道化師

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お祭りの道化師

道化師(どうけし)または道化(どうけ)とは、滑稽な格好、行動、言動などをして他人を楽しませる者(大道芸人)。サーカスクラウンclown)や、中世ヨーロッパ宮廷道化師jester)がそれにあたる。

特徴[編集]

派手な衣装と化粧をし、サーカスなどに登場するコメディアンのことを「クラウン」とよぶ。日本では「ピエロ」と呼ばれることも多いが、ピエロはクラウンの一種である。こうしたもののステレオタイプな例は、マクドナルドのイメージキャラクター「ドナルド・マクドナルド(※本家はロナルド・マクドナルド)」や、バットマンジョーカーなどにみることができる。また、フランスにおけるピエロの起源は、コメディア・デラルテに登場する、プルチネッラとする説がある。

歴史[編集]

ヤン・マテイコ画『スタンチク』(1862年)
スタンチク(スタニスワフ・ゴンスカ)はポーランドの黄金時代(15-16世紀)に活躍した、非常にユニークなタイプの宮廷道化師であった
彼は単なる宮廷道化師ではなく、高い教養をもち、当時のポーランドにおけるすぐれた政治批評家および思想家の一人で、同時代の他の思想家たちからも尊敬され、その鋭い発言を通じて当時のポーランドの政策に強い影響を与えていたことが、同時代の著述家や歴史家の多くによって記録されている
絵は1513年ポーランド王国首都クラクフのヴァヴェル王宮で行われた華やかな宮廷舞踏会の最中に楽屋にていち早くスモレンスク陥落の速報を受け取り、表で見せる陽気な顔と異なり、真剣な面持ちで思索にふけるスタンチク
当時、スモレンスクはポーランド王国(行政区分としてはリトアニア大公国)の東部辺境の国境線を守る要塞都市であった
この絵は黄金時代を謳歌するポーランド王国の未来に不吉な影がさしたこと、聡明なスタンチクがそれに最も早く気づいていたことを表現している
画中のスタンチクの顔は作者のマテイコ自身のものであるとされる

道化師の歴史は古代エジプトまで遡ることができる。中世ヨーロッパなどでは、特権階級にある人物が城内に道化としての従者を雇っていたことが確認されており、「宮廷道化師」と呼ばれている。 宮廷道化師達の肖像は犬と一緒に描かれることが多く、彼らが犬と同様に王の持ち物とされていたことを裏付けている。シェイクスピアの戯曲などにもしばしば登場し、重要な役を担う。日本では明治時代に初めて曲芸を行った。

宮廷道化師(ジェスター)[編集]

宮廷道化師の仕事は、その名の通りの主人または周囲の人物達を楽しませる役割を担っていた。また、宮廷道化師達は小人症などの肉体的障害を持っているものが多く、笑い物としての対象にされていた。しかし、君主に向かって無礼なことでも自由にものを言うことができる唯一の存在でもあった。曲芸よりは冗談やジョークを言う芸風を主とする道化師である。

ジョーカー[編集]

トランプでよく登場するジョーカーはジャック、クィーン、キングが宮廷の王族を意味する絵柄から関連して宮廷道化師が描かれることが多い。詳しくはジョーカー (トランプ)を参照。

クラウン[編集]

現在では曲芸と曲芸の間の「間(ま)」を埋めて観客の曲芸への余韻を冷めさせない役目として作られたおどけ役の、曲芸もでき司会(日本的な視点では客いじりも行う)もする役者である。18世紀頃イギリスのサーカス(サーカスの前身である円形の劇場での曲馬ショー)の中で「おどけ役」を演じていた役者が自らのことを「クラウン」と名乗ったのがクラウンの始まりだとされている。クラウンの意味にはのろま、ばか、おどけ者、おどける、ふざける、田舎ものなどの意味を含む。18世紀当時は曲馬ショーと曲馬ショーとの間に曲馬乗りを下手に演じたり、パロディをしたりしていた。

ピエロ[編集]

クラウン自体はおどけ役だがその中でも馬鹿にされる人と言われる。つまりクラウンよりもさらに馬鹿にされる芸風(日本的な視点ではツッコミが無いボケ役)を行う。クラウンとピエロの細かい違いはメイクに涙マークが付くとピエロになる。涙のマークは馬鹿にされながら観客を笑わせているがそこには悲しみを持つという意味を表現したものであるとされる。またピエロはフランスの喜劇芝居の中に登場する事が多い。

その他[編集]

奇抜な風貌の為に、ピエロに対して極端な恐怖心を持つ『道化恐怖症(ピエロ恐怖症)』も近年注目されつつある。スティーヴン・キング原作の小説・映画「IT イット」に登場する「ペニーワイズ」は特定の人物にしか見えない殺人鬼であり、ピエロに恐怖を抱く少年の姿が描写されている。ジョン・ゲイシーの影響もあるとおもわれる。


関連項目[編集]