連邦首相 (ドイツ)

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ドイツの旗 ドイツ連邦共和国連邦首相
Bundeskanzler (Bundeskanzlerin)
Bundesadler Bundesorgane.svg
Angela Merkel 24092007.jpg
現職者
アンゲラ・ドロテア・メルケル
Angela Dorothea Merkel

就任日 2005年11月22日
官邸 連邦首相府
任命者 ホルスト・ケーラー
任期 原則として4年
(連邦議会にて信任決議が否決された場合のみ、任期途中で議会を解散可能)
初代 コンラート・アデナウアー
創設 1949年
副官 ジグマール・ガブリエル
(副首相兼経済・エネルギー相)
ウェブサイト 連邦首相府公式サイト
(ドイツ語)

連邦首相(れんぽうしゅしょう ドイツ語: Bundeskanzler ブンデスカンツラー)は、ドイツ連邦共和国首相連邦宰相連邦総理大臣とも訳される。儀礼的地位である連邦大統領の下で、行政権を司る。

2005年11月からはアンゲラ・メルケルがその地位にある。このため、現在は連邦首相は女性形Bundeskanzlerinと表記されている。

呼称[編集]

連邦首相のドイツ語での正式名称は「Bundeskanzler」であり、「Bund」は「連邦」を意味し、「Kanzler」は「首相」を意味する。ちなみにドイツ語において「大臣」という言葉は「Minister」で、諸外国の「首相」はドイツ語で「Premierminister」である。これとは異なるという意味で「宰相」の訳を当てることもある[1]。また、連邦制であるドイツの各州政府の長は「Ministerpräsident」であり、これも首相(州首相)と訳される。

選出[編集]

3人の連邦首相(左からキージンガーシュミットブラント1979年10月ボンにて。)

ドイツ連邦共和国基本法では議院内閣制が採用されており、連邦首相は連邦大統領の推薦に基づき、ドイツ連邦議会下院)の議員の中から過半数の賛成によって選出され、内閣を組閣する。ただし、連邦議会選挙で採用されている小選挙区比例代表併用制の下では、ひとつの政党が単独で過半数の議席を得ることは極めて困難であるため、連邦議会の過半数の信任を得て連邦首相が選出されるには、複数の政党で連立政権を組む必要がある。そのため、首相選出の前には各政党間で多数派形成のための詳細な政策協議が行われる。任期は4年間で、連邦大統領によって任命される。

また、倒閣だけを目的とした内閣不信任が乱発されて政治が不安定化し、ナチ党の権力掌握を許してしまったワイマール共和政への反省から、ドイツ連邦議会による内閣不信任は、連邦議会における過半数の賛成によって代わりの首相が指名された場合のみ成立するとされている(この仕組みを「建設的不信任制度」という)。これまでのところ、これが成立したのは1982年ヘルムート・シュミット政権が倒された時のみである。

権限[編集]

ベルリン連邦首相府 (Bundeskanzleramt)
連邦首相の執務室。机の背後の壁には、オスカー・ココシュカによって描かれた初代首相コンラート・アデナウアーの肖像画が飾られている。
西ドイツ時代の首都・ボンにある第二首相官邸

連邦首相は大臣の選任を行って内閣に相当する連邦政府を構成し、行政権を司る。基本法第115条では、防衛事態であると連邦議会が認定した場合、ドイツ連邦軍の指揮権は首相に属するとしている。

なお、ドイツ連邦共和国基本法では、連邦首相はドイツ連邦議会の解散権を持たず、連邦大統領が解散を行うとされているが、解散が出来るのは、連邦議会での連邦首相に対する指名選挙が3回選でも統一見解を得ない場合と、連邦首相に対する信任決議否決された場合のみとされている(建設的不信任制度により、不信任決議は同時に新首相を選出しなければ成立しないため、議会の解散を目的として行うことはできない)。このため、与党側が随意に連邦議会を解散して総選挙に持ち込むためには、与党議員に信任決議の採決を棄権させるなどして、わざと内閣信任決議案を否決させるという手を使うことになる。ただし、これには解散権を持つ連邦大統領の同意が必要であり、実際にこの方法で解散が行われたのは1972年1983年2005年の3回のみである。憲法学者などの中には、こうした手法は基本法違反であるという声もあり、1983年の解散時には連邦憲法裁判所にて違憲審査が行われたが、この時は4対3の僅差で信任案否決が認められた。また、2005年の解散時にも違憲審査の実施を求める提訴があったが、連邦憲法裁判所は提訴を却下した。

歴代連邦首相[編集]

ドイツの首相#ドイツ連邦共和国(西ドイツ→再統一ドイツ)「連邦首相」」を参照。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本の外務省のサイト(外務省:アンゲラ・メルケル連邦首相略歴)や駐日ドイツ大使館のサイト(ドイツ大使館-アンゲラ・メルケル ドイツ連邦共和国首相 略歴)、新聞などの報道では「連邦首相」「首相」としている。

参考資料[編集]

外部リンク[編集]