シジミ

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シジミ
W sijimi4041.jpg
外来種と見られるシジミの一種
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
亜綱 : 異歯亜綱 Heterodonta
階級なし : Euheterodonta
階級なし : Neoheterodontei
上科 : シジミ科上科 Cyrenoidea
: シジミ科 Cyrenidae
学名
Cyrenidae J.E.Gray1847
[引用 1]
シジミ[1]
100 g (3.5 oz)   あたりの栄養価
エネルギー 213 kJ (51 kcal)
炭水化物 4.3 g
- 食物繊維 (0) g
脂肪 1.0 g
- 飽和脂肪酸 0.13 g
- 一価不飽和脂肪酸 0.12 g
- 多価不飽和脂肪酸 0.14 g
タンパク質 5.6 g
水分 88.3 g
ビタミンA相当量 24 μg (3%)
- βカロテン 110 μg (1%)
チアミン (B1) 0.03 mg (2%)
リボフラビン (B2) 0.25 mg (17%)
ナイアシン (B3) 1.0 mg (7%)
パントテン酸 (B5) 0.38 mg (8%)
葉酸 (B9) 17 μg (4%)
ビタミンB12 62.4 μg (2600%)
ビタミンC 1 mg (1%)
ビタミンD (0) μg (0%)
ビタミンE 1.6 mg (11%)
ビタミンK 1 μg (1%)
カルシウム 130 mg (13%)
鉄分 5.3 mg (42%)
マグネシウム 12 mg (3%)
リン 86 mg (12%)
カリウム 66 mg (1%)
塩分 73 mg (3%)
亜鉛 2.1 mg (22%)
コレステロール 78 mg
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

シジミ)とは、二枚貝綱異歯亜綱シジミ科 (Cyrenidae) に分類される二枚貝の総称。淡水域や汽水域に生息する小型の二枚貝である。通常目にする二枚貝のうちでは小型なので「縮み」が転じて名づけられたとする説がある。

従来使用されてきた学名CorbiculidaeCyrenidae Gray, 1847のシノニムとされる[2]

種類[編集]

日本本土の在来種としては、汽水性のヤマトシジミと淡水性のマシジミ、セタシジミの計3種が生息し、大きさは何れも2-3cm程度である。また、琉球列島には汽水性で10cmの大きさに及ぶマングローブシジミ属(ヒルギシジミ属) (Geloina) なども生息する。しかし、20世紀末期以降、中国や台湾を中心とした東アジアの淡水域に生息するタイワンシジミ類が外来し繁殖するようになり、場所によっては非常な高密度で生息し、在来種のマシジミの存続を危ぶませるなどの問題も起こるようになった。

  • マシジミ Corbicula leana (全国の淡水)の砂礫底や砂底に生息し雌雄同体卵胎生で雄性発生をするが、繁殖様式は十分に解明されていない。殻の内面は、 紫色。平均水温19℃程度以上で繁殖し、繁殖期間は4月~10月。
  • セタシジミ Corbicula sandai 琵琶湖固有種。水深10m程度までの砂礫底や砂泥底に生息し、寿命は7~8年程度とされている。雌雄異体で卵生。殻の内面は、濃紫色。漁業調整規則による制限殻長は15mm。減少した資源回復のため滋賀県は、捕獲の体長制限と種苗放流を主とした琵琶湖セタシジミ資源回復計画を策定し[3]回復に努めている。

シジミ科に近縁なマメシジミ科(数mm程度)や、近縁ではない[引用 2]が見かけが似るドブシジミ科(1cm程度)が広く分布するが、小型であるために目立たず、利用もされない。

生活史[編集]

卵生の種の生活史は海産の貝とほぼ同じで、受精後はトロコフォア幼生、D型幼生、穀頂期、変態期の各期を経て着底する。但し、トロコフォア期およびD型幼生期には遊泳しない[4]。初期幼生での種の同定は困難である。寿命は種と環境によるが7〜8年から10年以上である。

外来種[編集]

1980年代以降は、中華人民共和国大韓民国ロシアなどから輸入されたタイワンシジミ類 (Corbicula fluminea) も多く、日本国内産と比べて、比較的廉価に販売される。また、これらは日本国内産との識別が難しく、また種の特定も困難なため、産地偽装なども多い[引用 3]

輸入されたタイワンシジミが野外に逸出したものか、1990年代から日本国内各地で外来のシジミが出現し、在来種との交雑などの懸念が持たれている[引用 4]。また、タイワンシジミが進入した水域では、急速にマシジミが減少することが報告されている[5]

アメリカ合衆国南西部では1924年までに中国人が食用に持ち込んだとされるタイワンシジミが大量に繁殖し問題になっている。タイワンシジミは1980年代にはライン川に帰化し、ライン・マイン・ドナウ運河を通じてドナウ川にも帰化した。1998年にはすでにエルベ川にも定着している。

利用[編集]

食用にもなるマシジミ
日本国内で増加中の外来シジミ
(写真:タイワンシジミ

料理[編集]

味噌汁の具に利用される二枚貝としては、アサリと並んで日本人に最も馴染み深いものである。佃煮時雨煮などにもされる。食味ではセタシジミがもっとも美味とされ、次いで汽水産のヤマトシジミマシジミがおいしいとされる。[引用 5]。ただし、上記のような種不明の外来種が激増したことにより、これら食用シジミも減少傾向にある。

健康食品[編集]

オルニチン肝臓に作用するため、俗に「シジミの味噌汁は二日酔いに効く」と言われている。そのため、酒を飲んだ翌日の朝食に味噌汁にして食べる習慣のある家庭が存在する。また、鉄分が多く貧血に良いともされ、更にうま味成分の一種であるコハク酸を豊富に含んでおり、江戸時代の昔より肝臓に良い食材とされている。健康食品として「シジミエキス」なども販売されている。

有害性[編集]

慢性肝炎、NASH、アルコール性肝障害等を罹患している場合は、肝臓に蓄積する過剰な鉄分が有害性を生じるとの報告があり[6]摂食制限が必要な場合もある。

産地[編集]

日本国内の市場に出回るシジミのうち、国産として最も一般的なのは主に塩分濃度が1.5%以下(海水は約3.5%前後)の水域で採れるヤマトシジミで、有名な産地としては北海道網走湖パンケ沼天塩川中下流域[7]青森県十三湖小川原湖宮城県北上川茨城県涸沼川利根川島根県宍道湖宍道湖七珍の一つ)などがある。また琵琶湖に固有のセタシジミも流通する。しかし1980年代以降は国内漁場の環境悪化や価格高騰などにより国内産シジミが減り、それを補うように中国韓国北朝鮮ロシアを原産国とする輸入シジミの市場に占める割合が増えるようになり、2001年(平成13年)には輸入シジミが国産シジミを上回るようになった[8]。輸入シジミには複数種があるが、一見すると同じように見えるため外国産シジミを国産と偽って販売する業者もある[9]。またロシアや朝鮮半島ではヤマトシジミも漁獲されており、外見上で日本産のヤマトシジミと識別するのは困難である[10]

その他[編集]

殻は布でくるんでアクセサリーにすることもある。

参考文献[編集]

  1. ^ NCBI Taxonomy Browser より
  2. ^ Taylor, J. D.; Williams, S. T.; Glover, E. A.; Dyal, P., “A molecular phylogeny of heterodont bivalves (Mollusca: Bivalvia: Heterodonta): new analyses of 18S and 28S rRNA genes”, Zoologica Scripta 36 (6): 587–606, doi:10.1111/j.1463-6409.2007.00299.x, http://www3.interscience.wiley.com/journal/118504423/abstract?CRETRY=1&SRETRY=0 
  3. ^ http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/256030 ロシア産シジミ「国内産」と偽装 秋田の会社を書類送検:iza(2009年5月20日)
  4. ^ http://vege1.kan.ynu.ac.jp/forecast/taiwansijimi/taiwansijimi.htm 横浜国立大学大学院 小池文人教授ホームページ
  5. ^ 日本産淡水貝類図鑑〈1〉琵琶湖・淀川産の淡水貝類 (ピーシーズ生態写真図鑑シリーズ) 紀平 肇 (著), 内山 りゅう (著), 松田 征也 (著)

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]