ケム・トレイル

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ケム・トレイル (: chem trail) は、航空機が化学物質などを空中噴霧することによって生じているという飛行機雲に似た航跡。chemical trail, ケミカル・トレイルの略であり、con trail, コン・トレイル(航跡=飛行機雲)より派生した語。公害のような副次的被害ではなく有害物質が意図的に散布されているという妄想

陰謀論の一種と見做されており、「航跡」も単なる飛行機雲に過ぎないと言われている[1][2]

概要[編集]

Chem-Trail, (ケム・トレイル) という言葉は、2004年にエイミー・ワージントンによって初めて使われた言葉で、その文献の示すところによれば、ケム・トレイルとは「ある殺人的プロジェクトに係わる航空機から散布された何トンもの微粒子状物質」であり、「アスベスト、バリウム塩、アルミニウム、放射性トリウムなどを含む有毒金属を含んでいる」という。またワージントンは、このプロジェクトは「アメリカ国防総省、アメリカエネルギー省、国立研究機関、大学、民間の防衛産業、製薬会社などが係わっている巨大な組織」が推進しているものであると述べ、さらに「航空機から散布された何トンもの微粒子状物質は、大気を高電荷の導電性プラズマにする」、また、「­­それらは地震を引き起こす地殻操作兵器などのために、荷電した大気を人為的に操作するためのものである」としている。[3]

ただし、これらの指摘は具体的根拠や統計的数値が十分に公表されているものではなく、また「微粒子状物質が大気を高電荷の導電性プラズマにする」というメカニズムや、荷電した大気を人為的に操作することによって地震を引き起こすという「人為的操作」の具体的技術には言及されていない。ケム・トレイルの存在を信じる人々はケム・トレイルとは以下のようなものであると主張している。

  • 航跡が長く残留し、拡がり、独特な雲に変化していくことが多い[4]
  • 大気中に残留化学物質などが確認され、周辺地域で健康被害が報告されることがある、出現の直前に軍用機などが飛行している。散布後にヘリコプター飛来の報告がある。
  • 皮膚の下を寄生虫のようなものが蠢くモルジェロンズ病英語版の原因をケム・トレイルだと主張するものもおり、ケム・トレイルを取り上げたサイトの多くで関連性が指摘されている。

ケム・トレイルの存在を主張する者は世界各国に存在し、それぞれの国で目撃したとしている。また、ケム・トレイル散布の状況を撮影したと主張するビデオがネット上で公開されている[6]。それらのビデオの撮影者は単なる飛行機雲ではないと主張しているが、その違いは不明である。

アメリカ国内の小学校の教科書では「エアロゾルが飛行機雲を生成することにより日照に影響する場合がある」と説明しているものもあるが[7]、人体への影響について書かれているわけではない。アメリカ議会ではWeather Modification Research and Development Policy Authorization Act of 2005[8](気候操作研究開発ポリシー承認法)が出された。ケム・トレイルの存在を主張する人々は、これらによってアメリカ政府がケム・トレイルの存在を認めたと主張しているが、これらはあくまで人工降雨など気象制御を目的とする公開された技術の研究開発についてのものであり[9]、ケム・トレイル論者が主張するような生物兵器の実験や製薬会社による病源体散布について述べたものではない。

また、ヨーロッパでもケム・トレイルと呼ばれるものの存在について大手新聞が報道したことがあり、用語自体は公に認知されつつある。米国ではケム・トレイルを事実と信じている市民による反対運動も行われており、ケム・トレイルに関する追求、研究サイトも作られている。

専門家はケム・トレイルを疑似科学または被害妄想にすぎないとの立場を取っている。ドイツ政府及び米国政府は気象操作目的での化学物質の空中散布を行っていることは公表している。2006年にアメリカの放送局NBCは全国放送のニュース番組中でケム・トレイルに関する特集を組み、ケム・トレイル被害を訴える住人と、それに対する複数の専門家の否定的見解を報道した[10]。また、米空軍はデマであると明言している[11]

脚注[編集]

  1. ^ chemtrails (contrails)
  2. ^ なお、Wikipedia英語版en:Chemtrailの項目は、Chemtrail conspiracy theory(ケム・トレイル陰謀論)にリダイレクトされている。
  3. ^ Chemtrails Aerosol and Electromagnetic Weapons in the Age of Nuclear War(英語)エイミー・ワージントンのケム・トレイルに関する文章(同文書の翻訳)。
  4. ^ 『トンデモ本の世界W』(楽工社)でケム・トレイル陰謀論を取り上げたSF作家の山本弘は、これらを通常の飛行機雲でも見られる特徴であり、「気象条件によっては何十分も空に残る飛行機雲もある」と指摘している。
  5. ^ 皮膚の下に寄生虫が蠢く ― 謎の“モルジェロンズ病”患者が増加 米X51.org、2006年05月10日)
  6. ^ Killer Chemtrails: The Shocking Truth - YouTube
  7. ^ CHEMTRAIL SUNSCREEN TAUGHT IN US SCHOOLS
  8. ^ SEC. 4. WEATHER MODIFICATION SUBCOMMITTEE.
  9. ^ ケム・トレイル関係の特許だとされる成層圏で物質を撒く特許リスト
    • “Process of Producing Artificial Fogs”(人工霧の制作方法)、“Process For Controlling Weather”(天気制御の方法)等、人工的に雲や雨を降らせる技術がほとんどだが、“Solar-powered airplane”(太陽動力の飛行機)といった関係性が不明なものも混じっている。
  10. ^ NBC NEWS - Chemtrails over California? - YouTube
  11. ^ CONTRAILS FACTS (PDF)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]