イアペトゥス (衛星)

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イアペトゥス
Iapetus
Iapetus as seen by the Cassini probe - 20071008.jpg
仮符号・別名  別名 Saturn VIII
発見
発見者 ジョヴァンニ・ドメニコ・カッシーニ
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 3,560,820 km
離心率 (e) 0.0286125
公転周期 (P) 79.3215 日
軌道傾斜角 (i) 15.47° (土星赤道に対する)
土星の衛星
物理的性質
直径 1494×1498×1425
半径 736 ± 2 km
表面積 6,700,000 km2
質量 1.9739×1021 kg
平均密度 1.27 g/cm3
表面重力 0.2553 m/s2
自転周期 79.3215 d
(公転周期と同期)
アルベド(反射能) 0.04-0.5
赤道傾斜角 0
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イアペトゥス (Saturn VIII Iapetus) は、土星の第8衛星1671年10月25日フランスの天文学者ジョヴァンニ・カッシーニが発見した。日本語ではイアペタスヤペタスイアペトスなどの表記もある。

土星から約356万キロ離れたところを79日ほどで公転しており、軌道傾斜角が15.47°と他の衛星に比べて大きい。地球系と同様、イアペトゥスの公転周期と自転周期は同期しており1回公転するごとに1回自転する。平均直径は1436kmで、土星の衛星の中ではタイタンレアに次ぎ3番目に大きい。密度が1.27と小さいことから主な成分は水の氷であり、一部、岩石が混ざっていると考えられている。

2004年12月31日には、無人土星探査機カッシーニがイアペトゥスから17万kmまで接近し、鮮明な写真を撮影している。

二面性[編集]

イアペトゥスの特徴は、表面が暗い部分と明るい部分に非常にはっきりと分かれていることである。この明暗の差が非常に大きいため、イアペトゥスは地球に向けている面により、最も明るいときの10.2等から最も暗いときの11.9等まで明るさが大きく変化する。そのためカッシーニは、この星が土星の片側にあるときしか観測することができなかった。この原因についてカッシーニは、イアペトゥスの半分が他の半分よりも暗い色をしているからではないかと正しい推測をした。

この地帯は、カッシーニの名を取りカッシーニ地域 (Cassini Regio) と命名されており、明るい地帯はロンスヴォー大陸Roncevaux Terraローランの歌の決戦地ロンスヴォー峠にちなむ)と命名されている。

カッシーニ地域の暗い部分を形成する物質の由来については2つの説が存在する。1つは別の土星の衛星フェーベから飛来したという説で、もう1つはイアペトゥスの内部から噴き出したという説である。2009年に、スピッツァー宇宙望遠鏡赤外線観測によって、フェーベに由来する粒子が土星の周りに希薄で広大なリングを形成していることが発見され、フェーベ由来説を支持する証拠となった。この粒子は、母天体のフェーベと同様に土星の周りを逆行公転しており、順行軌道を持つイアペトゥスの、進行方向側の半球に吹き付けていると考えられている[1]

また、イアペトゥスの二面性は正のフィードバックによって維持・強化されていることが示唆されている。これは「粒子が付着した半球はアルベドが低下して太陽光をより多く吸収するようになり、温度の上昇に伴う氷の気化によりさらなるアルベドの低下が引き起こされる。」「明るい半球や極地方では、氷が固化してアルベドが上昇し、温度が低下してさらなる氷の固化・アルベドの上昇を招く。」というものである[2]

地形[編集]

赤道に見られる尾根の拡大写真。

ロンスヴォー大陸のほか、クレーターは「ローランの歌」にちなんで命名されている("シャルルマーニュ"、"ローラン"など)。

赤道上の尾根[編集]

赤道には幅20km、高さ13km、長さ1300kmの巨大な尾根が連なっている。この尾根の生成過程については、イアペトゥスが誕生当初は現在よりも早く公転していたが、まもなく急激に冷えて表面が固まり、自転速度が遅くなったのが原因だと考えられている。この現象を引き起こしたイアペトゥスの熱源は、アルミニウム26(半減期7.17 ×105年)などの放射性同位体だと考えられている。これらの元素は、太陽系においては誕生直後のみ存在したと考えられていることから、イアペトゥスは太陽系とほぼ同時に誕生したと見られている[3]

赤道の尾根の成因については、かつてイアペトゥスを小さな衛星が周回していたことが原因とする異説もある。この説では、小さな衛星が破壊されてイアペトゥスを取り囲むリングになり、それが赤道に降り積もって尾根が形成されたと説明されている[4]

地すべり地形[編集]

赤道上の尾根や巨大なクレーターの縁など地形の高低差が激しい。こうした場所では、巨大な地すべりが多く観測されている[5][6]

作品[編集]

小説版「2001年宇宙の旅」ではイアペトゥスの変光性に注目し、「目玉のような明るい地域の真ん中に巨大なモノリスが立っている」設定が登場する。(日本語版では「ヤペタス」と表記されていた) 明るさの等級の変化についても記述されており、物語のミステリアス性を高めるのに一役買っている。しかし、映画版では土星の輪を当時はうまく映像化することができなかったためクライマックスの舞台は木星に変更され、イアペトゥスも登場しなくなった。

脚注[編集]

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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]