「キング・コング (2005年の映画)」の版間の差分
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:髑髏島で飛翔生物に進化した[[齧歯類]]で、[[コウモリ]]と[[ハダカデバネズミ]]を足して2で割ったような姿をしている。オリジナルの[[プテラノドン]]に当たるクリーチャーであり、群れでアン達を襲い、多くはコングに迎撃されながらも、アンとジャックをさらっていく。 |
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:プテラノドンだと羽ばたくことが不可能と考えコウモリをモチーフに制作された。 |
:プテラノドンだと羽ばたくことが不可能と考えコウモリをモチーフに制作された。 |
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2015年1月7日 (水) 05:24時点における版
キング・コング | |
---|---|
King Kong | |
監督 | ピーター・ジャクソン |
脚本 |
ピーター・ジャクソン フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン |
原案 |
メリアン・C・クーパー エドガー・ウォレス |
製作 |
ジャン・ブレンキン キャロリン・カニンガム ピーター・ジャクソン フラン・ウォルシュ |
出演者 |
ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ ジャック・ブラック |
音楽 | ジェームズ・ニュートン・ハワード |
撮影 | アンドリュー・レスニー |
編集 | ジェイミー・セルカーク |
配給 |
ユニバーサル・ピクチャーズ UIP映画 |
公開 |
2005年12月14日 2005年12月17日 |
上映時間 | 187分 |
製作国 |
ニュージーランド アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $207,000,000[1] |
興行収入 |
$550,517,357[1] $218,080,025[1] |
『キング・コング』(King Kong)は、2005年のアメリカ映画であり、ラブロマンスとホラーの要素の入ったアクションアドベンチャー映画である。1933年の映画『キング・コング』のリメイクであり、同作を見て映画製作を志したというピーター・ジャクソン監督の悲願の企画であった。本作の邦題は、1作目と同じく(そして2作目と異なり)「・(中黒)」が入る。ちなみに主演のナオミ・ワッツは、37歳にしてヒロインを見事に演じた。
2005年のアカデミー賞においてアカデミー視覚効果賞、アカデミー音響編集賞、アカデミー録音賞の3部門で受賞した。
特徴
本作では、ジャクソン監督が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで培った特撮技術が最大限に活用されている。しかし監督曰く、「この作品が『ロード~』を超える作品になると確信している」とのことで、あくまでその特撮技術は『キング・コング』を描く上での重大なポイントとはされていないようである。 物語の中盤における舞台であるスカル島の場面では、シャッタースピードを落としたブレのある映像など、同監督の初期作品に見られるようなホラー映画的演出を施された映像が散見される。
またジャクソンによる『ブレインデッド』のオープニング・シーンは、本作や33年版コングの舞台となった島であるという設定で、「1958年 スマトラ沖 スカル・アイランド」というテロップが入る。それと呼応して、本作のベンチャー号の貨物室のシーンには、『ブレインデッド』に登場する「スマトラン・ラット・モンキー」の名前の入った木箱が積まれているのが確認できる。
ストーリーラインは基本的にオリジナルと同じだが、登場人物やその設定は大幅に変更され、スカル島の生物(恐竜など)が架空のものになっている等の変更が行われている。
多くの生物達やニューヨークの町並み、背景に至るまで、映像全般に渡り緻密なCGが用いられている。2005年度アカデミー賞において、視覚効果賞、音響編集賞、録音賞の計3部門を受賞している。
制作には2億700万ドル(248億4000万円)という巨費が投じられ、その一部はジャクソン自身が自腹を切って捻出した。これは、『スパイダーマン3』が塗り替えるまでは映画史上最高額であった。
ピーター・ジャクソンは初代アン・ダロウ役のフェイ・レイをラストシーンに出演させる予定であり、実際にフェイの快諾も得ていたのだが、クランクイン前に急逝したため実現はかなわなかった[2]。「飛行機じゃない、美女が野獣を殺した」というカール・デナムの台詞は、元々は見物人役のフェイが口にする予定だった。
田中芳樹によるノヴェライズ小説がある。
『GODZILLA』のアメリカ国内外における興業が失敗に終わったことから、ハリウッド映画界が怪獣映画を敬遠する傾向になったため、当初は製作が難航した(これは後の『クローバーフィールド/HAKAISHA』に至るまで続く事になる)。詳細はGODZILLAを参照。原作と本作に寄れば、「18.8mのキングコングVS.16.8mのティラノサウルス」とある。
ストーリー
1930年代、世界大恐慌下のニューヨーク。失敗作続きの映画監督カール・デナムは、脚本家のジャック・ドリスコルや失職した女優アン・ダロウらを言いくるめ、どこからか入手した地図に描かれた謎の島『髑髏島』を撮影すべく、密輸船ベンチャー号で出航する。霧の中、座礁しながらも島に辿り着いた一行。しかし、不気味な島民の襲撃を受けた揚句、ついにはアンを奪われる。彼女を取り戻すべく武装して島へ乗り込んだカール達は島民を蹴散らすが、島民が髑髏島の王者として崇める巨大ゴリラの生贄されたアンは連れ去られてしまう。 カールとジャック他15名で島の奥へと捜索に向かうが、そこで見たものは、絶滅したはずの恐竜達だった。
スタッフ
- 提供:ユニバーサル・ピクチャーズ
- 監督:ピーター・ジャクソン
- 脚本:ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン
- 原案:メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォレス
- 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
- VFX:WETAデジタル
登場人物
- アン・ダロウ
- 演:ナオミ・ワッツ(日本語吹き替え:安藤麻吹)
- 舞台女優。ニューヨークのヴォードヴィル劇場で喜劇に出演していたが、雇い主が逃亡し失職。カールにスカウトされ、当初は乗り気ではなかったものの、脚本家のジャックに憧れて出演を承諾する。髑髏島では先住民によってコングへ捧げられ、コングにさらわれる。
- オリジナル版と大まかな設定は変わらないが、芯の強い女性として描かれており、当初はコングに強気で接したり、手話を教える描写がある。またストーリーが進むにつれ、コングに対して愛情を抱くようになる。
- カール・デナム
- 演:ジャック・ブラック(日本語吹き替え:後藤敦[3])
- 映画監督。失敗作が続いており、どこからか手に入れた髑髏島の地図を使い、未開の地を撮影することで一発逆転を狙う。髑髏島の撮影中にカメラが壊されたことで、映画撮影からコングの捕獲へと関心がシフトしていく。
- オリジナル版では設定や性格描写が希薄だったが、本作では映画の撮影への野心やコング捕獲に至るまでの心理が描かれる。
- ジャック・ドリスコル
- 演:エイドリアン・ブロディ (日本語吹き替え:宮本充)
- 脚本家。デナムから映画の脚本を書くように打診され、当初は適当に切り上げて帰る予定だったが、デナムの計略により撮影にまで付き添うこととなる。
- アンとは航行中に恋仲となり、アン救出時は率先して救助に向かおうとする。
- オリジナル版とは設定が大きく異なり、職業は一等航海士から脚本家へ、性格はキザな二枚目から純粋な常識人へと変更された。
- 恋敵となるコングとの直接的な対決シーンや、オリジナルでジャックを演じたブルース・キャボットに毒づくシーンが存在する。
- イングルホーン船長
- 演:トーマス・クレッチマン(日本語吹き替え:宮内敦士)
- 密輸船ベンチャー号の船長。裏では、アフリカで密猟した動物を売買している。経験豊富で、危機的な状況に際して活躍する。
- ジミー
- 演:ジェイミー・ベル(日本語吹き替え:伊丸岡篤)
- ベンチャー号の船員を務める少年。幼い頃に船の中で発見され、以降はヘイズに育てられる。ヘイズに対して強い憧れを抱いている。『闇の奥』を愛読している。
- ベン・ヘイズ
- 演:エヴァン・パーク(日本語吹き替え:楠大典)
- ベンチャー号一等航海士。良識人であり、ジミーの育ての親でもある。ジミーを常に気にかけ、船から降りて立派な仕事に就くことを願っている。コングに襲撃され死亡。その後、ヘイズの帽子はジミーが受け継ぐ。
- ブルース・バクスター
- 演:カイル・チャンドラー(日本語吹き替え:木下浩之)
- 映画俳優。気障な二枚目で、スクリーンではタフガイぶりを披露するが実際は気が弱く、ベナートサウルスの襲撃の後アンを見捨て真っ先に逃げた。だが戻ると直ぐにイングルホーンらを説得してジャック達の救助に向かい、トンプソンを片手に谷底の虫たち相手に大立ち回りした。
- オリジナル版でジャック・ドリスコルを演じたブルース・キャボットをモデルにしたキャラクター。オリジナル版のジャックとアンをそのまま再現したシーンが存在する。
- ランピー
- 演:アンディ・サーキス(日本語吹き替え:後藤哲夫)
- ベンチャー号のコック。荒くれ者で迷信深く、デナムに髑髏島の噂話を語り警告する。コングによって谷へ落とされ、カルニクティスの餌食となる。
- 演じるアンディ・サーキスは、当初はコングのモーションキャプチャーのみを担当する予定だった。ランピー役に抜擢されたことで、役作りのために料理から牛の捌き方まで会得した。
- ハーブ
- 演:ジョン・サマー(日本語吹き替え:楠見尚己)
- 撮影技師。アラスカでデナムの映画を撮影中にアザラシに片足を喰われ、義足となっている。ベナートサウルスの襲撃時、カメラをカールに託したが、直後にベナートサウルスに引き摺り下ろされ食い殺された。
- マイク
- 演:クレイグ・ハル(日本語吹き替え:川本克彦)
- 録音技師。当初アンからジャックと勘違いされる。ジャックからアンは彼が後ろから刺されているのも気づかないと嫌味を言われるが、結果的に先住民に後ろからヤリで襲われ、ジャックの皮肉が現実となる。
- マーニー
- 演:ジェイムズ・ホイットモア(日本語吹き替え:佐々木敏)
- アンとヴォードヴィルで舞台に立っていた喜劇俳優。失職して故郷へ帰る際、アンに映画業界への売り込みを打診する。
- その他の日本語吹き替え:さとうあい/西村知道/小形満/水内清光/横島亘/上田陽司/佐々木睦/中博史/廣田行生/田畑ゆり/星野充昭/浅井晴美/山田美穂/三戸崇史/小宮和枝/鈴木貴征/河相智哉/飯島肇/駒谷昌男/安齋龍太/武虎/福脇慶子/原田晃/泉裕子/加藤将之/寺田はるひ/小伏伸之/青山桐子/櫛田泰道/平田絵里子/近藤孝行/大浦冬華
コング及び髑髏島の生物たち
- キング・コング/Megaprimatus kong
- 演アンディ・サーキス
- 体長7.5m、体重3.6tのシルバーゴリラ。髑髏島の覇王。ギガントピテクスの進化系であり、髑髏島の最後の生き残り。
- 顔や身体には熾烈な戦いの跡がある。笹を食べるなど、普通のゴリラと似た食性が描かれている。
- 島民から生贄として贈られたアンを連れ去り、次第に心惹かれていく。
- 知能が高く手話を覚える描写もある。
- バスタトサウルス・レックス/Vastatosaurus rex
- 髑髏島で独自の進化を遂げたティラノサウルス。高低差の激しい髑髏島に適応した結果、柔軟性に富んだ骨格をしており、頭骨も祖先より頑強で、前足は3本指である。体表はワニのようなウロコで覆われている。群れで狩りを行ない、3頭でアンとコングに襲いかかる。
- ベナートサウルス/Venatosaurus saevidicus
- ドロマエオサウルス類が進化した肉食恐竜で、ユタラプトル並みの体格を誇る。ブロントサウルスに群れで襲い掛かり、たまたまその場に居合わせた撮影クルーに甚大な被害を与える。
- ピットブルのような顔つきは1996年版のコンセプトアートが基となっている。
- テラプスモルダックス/Terapusmordax obscenus
- 髑髏島で飛翔生物に進化した齧歯類で、コウモリとハダカデバネズミを足して2で割ったような姿をしている。オリジナルのプテラノドンに当たるクリーチャーであり、群れでアン達を襲い、多くはコングに迎撃されながらも、アンとジャックをさらっていく。
- プテラノドンだと羽ばたくことが不可能と考えコウモリをモチーフに制作された。
- ブロントサウルス/Brontosaurus baxteri
- 髑髏島に生息するアパトサウルスで、全長は最大で37mに達する。獰猛な肉食恐竜として描かれたオリジナルとは逆に、本作では本来の姿である温厚な巨大草食恐竜として描かれている。
- 外見は、尾こそ引きずっていないものの、旧復元をバランス型にしたような姿で描かれている。
- フェルクタス/Ferrucutus cerastes
- 髑髏島に生息する角竜。頭部はパキリノサウルスに、体型はペンタケラトプスに酷似している。オリジナルのステゴサウルスに当たるクリーチャーであり、ディレクターズカット版ではクルーたちに襲いかかったが、ヘイズによって射殺された。
- フィートドン/Foetodon ferreus
- 四足歩行するワニのような小型肉食恐竜。アンを朽木の中に追い詰めるが、バスタトサウルスに捕食されてしまう。
- ピラニアドン
- 髑髏島の沼の主として君臨する巨大魚で、オリジナルのブロントサウルスに当たるクリーチャー。ディレクターズカット版では、ブルースたちと別れた後、筏で沼を渡るクルーたちに襲いかかった。
- オムニマテルシメックス ハルペフォルセプス/Omnimatercimex harpeforceps
- 腐った樹木の中に棲んでいた巨大ムカデ。アンの身体を這い回り、彼女を嫌悪させる。
- ウェタ・レックス/Weta-rex
- 谷底に生息する巨大カマドウマ。夥しい数の群れでジャックの身体を覆いつくすが、ジミーがトンプソン・サブマシンガンで狙撃して除去した。
- なお、『Weta』とはニュージーランドに生息するカマドウマの一種であり、本作のクリーチャーデザインを担当したWeta Workshopの社名の由来でもある。
- カルニティクス/Carnictis sordicus
- 谷底の泥沼に棲息するミミズのような生物。その実態はサナダムシのような寄生性の線虫が地熱で温められた泥の中で巨大化したものである。
- チョイの死体を捕食しようとした事でランピーの怒りを買い、鉈で数匹が斬り殺されるが、群れでランピーの四肢と頭に食らい付いて殺害した。
- デカルノシメックス/Decarnocimex
- 谷底を徘徊する巨大なケラのような生物。鋭利な前脚でデナムに襲い掛かるが、激昂した彼が振り回したライフルで撲殺された。
- デプレプター/Deplector
- 谷の亀裂の中に潜む陸蟹。巨大な鋏でクルーを亀裂の中に引きずり込んだ。
- アラクノ・クラウ/Arachno-Claw
- 谷の壁面を徘徊するサソリモドキのような巨大節足動物。ジャックらを追い詰めるが、救援にやってきたブルースたちによる銃撃で次々に射殺されていった。
オリジナルとの相違点
基本的な流れは同じだが、それぞれの性格描写などは大きく異なる。
- オリジナルのアンは野獣であるコングを拒絶し続けるが、本作では76年版のように、ストーリーが進むにつれコングとアンとの間に心の通じる様子が描かれる。
- 都市でコングが暴走するシーンでは、オリジナルでは無理やりアンを奪い去ろうとしているのに対し、本作ではアンが自らコングの前へと出向く。
- コングが都会で暴走する経緯が若干変わっている。フラッシュが焚かれる以前に、アンがショーへの出演を断ったため、別の女優が目の前に現れたことでコングの怒りに火がつく。
- オリジナルでは沼に棲むブロントサウルスがクルーに襲いかかるが、本作ではラプトルの襲撃によってブロントサウルスの群れが暴走し、そこに居合わせたクルーが巻き込まれる。沼のクリーチャーは巨大魚ピラニアドンに変更された。
- アン救出隊が渡ろうとした丸太をコングが落とす際、オリジナル及び76年版では、主人公格は近くにあった蔦に飛び移って難を逃れるが、本作ではカールやジャックといった主要メンバーも一緒に落とされている。
興行成績・評価
全世界の興行成績は5億4700万ドル[1](年間5位)となっており、成功と言える部類ではあるものの、2億700万ドル(約250億円)という巨額の製作費や、ジャクソン監督による前作『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の11億1800万ドルと比較すると、やや期待外れな結果となった。特に日本では予想外の不入り(興行目標80億円、最低でも50億円と予想されたが、実際には23億円に留まった)で、一般誌(『週刊文春』)で取り上げられる程だった。1976年版がアメリカでは不振だったのとは正反対の現象が起きたことになる。
日本国内における不振の原因として、『キネマ旬報』は「キング・コングのキャラクター自体を知らない現在の女性層・児童層を取り込めなかった」ことを挙げている。また、コング等の“売り”となる怪獣が登場するまでに1時間近くの人間ドラマがあるという構成を含め、「いわゆる“怪獣映画”としては3時間という上映時間は長すぎる」との批判もあった。その他に、メディアによる宣伝力の多くが同時期に公開された『男たちの大和』に割かれていた事も原因の一つと考えられる。
一方、作品としての評価は高く、米映画レビューサイトRotten Tomatoesでは84%のFRESH(好評)を得ており、数あるコング映画の中では33年のオリジナル版に次ぐ高評価となっている。日本では2005年度のキネマ旬報ベストテンで同年に公開された全映画中9位の高ランクに選出されたが、前年に『王の帰還』を3位に選出した読者ベストテンでは11位だった。
参照
- ^ a b c d “King Kong (2005)”. Box Office Mojo. 2009年11月24日閲覧。
- ^ http://www.scifi.com/sfw/issue452/interview.html
- ^ 公開前の予告編では、高木渉が吹き替えを務めた