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『妖怪千物語』では、『妖怪大戦争』のメンバーに'''ミイラ男'''や'''ゴーゴン'''などを加えて、日本を侵略。さらった子供達の魂で妖怪樹を育て、その実の霊力で悪魔総統[[プルート|デビルプルトー]]を復活させようとした、[[不死身]]で無敵の妖怪として登場。鬼太郎の活躍でデビルプルトーは希望の光に消滅、ベアードも逃げ去った。
『妖怪千物語』では、『妖怪大戦争』のメンバーに'''ミイラ男'''や'''ゴーゴン'''などを加えて、日本を侵略。さらった子供達の魂で妖怪樹を育て、その実の霊力で悪魔総統[[プルート|デビルプルトー]]を復活させようとした、[[不死身]]で無敵の妖怪として登場。鬼太郎の活躍でデビルプルトーは希望の光に消滅、ベアードも逃げ去った。


アニメ第5作は、第18話『古城に光る黒い眼』で初登場。ベアードの名前は古今(ココン)には'''馬句部阿度'''と記載されている。アニメ版にしては珍しく優遇されており、西洋妖怪達の大統領的存在と言われ、強大な魔力を持つ黒幕として幾話に渡って登場している。日本妖怪根絶と地獄侵略を企んでいるが、活動範囲を広げるため、一時的に日本妖怪の総大将であるぬらりひょんと手を組んでいる。体を構成する妖怪細胞は、時に鋼鉄より硬く時にゴムより軟らかくと硬軟自在の為、目も含めて並大抵の攻撃は通じず、体内は毒素で満ち溢れている。反面、通常空間には短時間しか出られず、普段は異空間に潜んでいる。紳士的な態度であるが、その本質は冷酷無比である。ただし、高い知性を備えていること、理性的であることは事実のようで、配下の西洋妖怪たちを纏めるに当たっても、妖怪としての実力より、むしろ政治力と統率力で従わせている節がある。部下に対しては、魔女ザンビアのバレンタインプレゼントを気持ちだけでも受け取る等の優しさもある。
アニメ第5作は、第18話『古城に光る黒い眼』で初登場。ベアードの名前は古今(ココン)には'''馬句部阿度'''と記載されている。アニメ版にしては珍しく優遇されており、西洋妖怪達の大統領的存在と言われ、強大な魔力を持つ黒幕として幾話に渡って登場している。日本妖怪根絶と地獄侵略を企んでいるが、活動範囲を広げるため、一時的に日本妖怪の総大将であるぬらりひょんと手を組んでいる。体を構成する妖怪細胞は、時に鋼鉄より硬く時にゴムより軟らかくと硬軟自在の為、目も含めて並大抵の攻撃は通じず、体内は毒素で満ち溢れている。反面、通常空間には短時間しか出られず、普段は異空間に潜んでいる。紳士的な態度であるが、その本質は冷酷無比である。ただし、高い知性を備えていること、理性的であることは事実のようで、配下の西洋妖怪たちを纏めるに当たっても、直接的な実力より、むしろ政治力と統率力で従わせているのではないか? と思える節がある。部下に対しては、魔女ザンビアのバレンタインプレゼントを気持ちだけでも受け取る等の優しさもある。


『妖鬼化』([[水木しげる]])によれば、水木しげる本人はバックベアードを気に入っているようで、形が面白いのでよく作品に登場させていると語っている。「ゲゲゲの鬼太郎」のカラーイラスト等でも、他の敵妖怪に比べて描かれている割合が多い。
『妖鬼化』([[水木しげる]])によれば、水木しげる本人はバックベアードを気に入っているようで、形が面白いのでよく作品に登場させていると語っている。「ゲゲゲの鬼太郎」のカラーイラスト等でも、他の敵妖怪に比べて描かれている割合が多い。

2011年7月29日 (金) 23:54時点における版

バックベアードは、アメリカ妖怪。巨大な黒い円形に枝のような物が放射状に生えており、中心にが付いた姿をしている。夕方、ビル街に出現する。その巨大な一つ目で睨まれると強烈な目眩を起こすため、ビルの屋上などにいると落されてしまう。光化学スモッグのようなものが正体だと指摘する書籍もある[1]

出自

現在、バックベアードやその元になったとされる伝承は発見されていない。水木しげるの書籍以外では、バックベアードに関する項目が見られないため、水木しげるにより創作された妖怪であると言われている。

「バックベアード」という名前についても、出典が明らかになっていない。『妖怪馬鹿』(京極夏彦多田克己村上健司)では、バグベアイギリスに伝わる子供の躾のために考え出された妖精)からの着想ではないかと考えられている[2]。ただし、微妙に語感が似ているという他に共通点が無く、その国や性質、容姿などはバックベアードとバグベアではまったく異なっている。

この妖怪の初出は1966年週刊少年マガジン』にて発表の『墓場の鬼太郎 妖怪大戦争』。その後、多数の雑誌掲載や原作漫画での再登場、作品がアニメ化された事などで有名になった。

『週刊少年マガジン』の巻頭口絵『世界の大妖怪』(1966年)では、「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターとは別に、目を見ると失明する妖怪として描かれている。

後年、伝承の妖怪を解説した『東西妖怪図絵』(1975年)にも外国の妖怪として紹介された。「ゲゲゲの鬼太郎」における西洋妖怪の大将や、『少年マガジン』の巻頭口絵での解説とは違い、新たに「睨みつけて目眩を起こす妖怪」、「光化学スモッグのようなものが正体」として描かれた[1]。以降の水木しげるの妖怪関連の書籍は『東西妖怪図絵』の絵や説明を基準にしている場合が多い。

伝承のある各国の妖怪に紛れて紹介されていたため、漫画から創作された妖怪であることを知られずに、妖怪や悪魔として、漫画ゲームなど、日本国内の様々な創作メディアで、大よそ類似したデザインで登場し続けている。アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』と同じ東映作品である特撮変身忍者 嵐』と『超神ビビューン』にも登場している。

盗作疑惑

バックベアードのその黒く丸い体に一つ目があり、そこから放射状に多数の黒い枝が延びたデザインは剽窃であるという主張が、写真家内藤正敏によってなされた。彼は1989年発行の雑誌『日本学』の「表紙のことば」において、自身が『アサヒカメラ1964年4月号にて発表した「新宿幻景・キメラ」というコラージュ作品が水木しげるによって剽窃されたと述べた。

厳密には、バックベアードの最初期のイラストである『週刊少年マガジン』の巻頭口絵『世界の大妖怪』にある「一つ目の大妖怪」(1966年)が「新宿幻景・キメラ(c)」(1964年)の模写である。同じく、『週刊少年マガジン』の漫画「墓場の鬼太郎 妖怪大戦争 第2回」でも初登場の絵には模写が使われている。

『ゲゲゲの鬼太郎』におけるバックベアード

西洋妖怪の総大将。アメリカの妖怪で、黒い球体に巨大な一つ目と多数の触手を備えた姿をしている。その巨大な目を見るだけで強力な催眠術にかかり、ベアードの言いなりになってしまう。原作後期では、妖怪事典の説明と同じく目眩を起こさせる他、強烈な眼光で目を眩ませたり、相手を灰にしてしまうなど、原作漫画によって眼力の効果が異なる。また場合によっては、手足を生やしての行動も可能。残酷で狡賢い性格をしており、邪魔だと判断した人間や妖怪を平気で殺してしまう。アニメ版では、破壊光線や金縛りの術など、原作以上に様々な術を使う。「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪の中でも、割と早い時期から登場していた強敵である。

初登場は原作『妖怪大戦争』、そのアニメ化作品第1作第10話『妖怪大戦争(前編)』。原作ではブリガドーン現象の中に住む西洋妖怪軍の大将として登場し、ドラキュラ魔女狼男(人食い狼)フランケンシュタインや、その他大勢の妖怪を引き連れ、妖怪の国を作るため、鬼界ヶ島を占領した。島民の半数を殺し、島民解放に訪れた鬼太郎一行を全滅寸前まで追い込み、鬼太郎をも催眠術で支配下に置いたが、チャンチャンコの力を借りた目玉親父に、弱点である目を突かれて絶命した。

その後も、原作『妖怪ラリー』(およびアニメ第1作第54話)でアメリカ代表選手として登場するのを始め、宇宙旅行を計画したり(『鬼太郎の世界お化け旅行』)、相撲大会に参加したり(『鬼太郎国盗り物語 妖怪大相撲の巻』)と、様々なエピソードに登場する。原作漫画では、回を重ねる毎に単独で行動する様になっていく。『鬼太郎のベトナム戦記』と『妖怪ロッキード』では、逆に協力者になることもあった。原作では鬼太郎の宿敵として描かれる場合が多いのだが、登場作品の多くはアニメ化されていない物が多く、アニメ第3作からは鬼太郎の宿敵として、何故かよくぬらりひょんが使われるため、後期のアニメでは出番もそれほど多くなく、原作ほど目立った活躍はしていない。

アニメ第1作『妖怪大戦争』では、定期的に妖怪パーティーを開いていたイギリスの廃寺院が取り壊された事で、人間との共生を止めてしまう。仲間の西洋妖怪達を扇動して人間を支配しようと企み、妖怪の国を作る為の前線基地として、日本の鬼界ヶ島に目を付ける。アニメ化された事で表情も比較的豊かになり、あくびをするなど、他では見られないお茶目な姿も見せている。その後、第54話『妖怪ラリー』で再登場。賞品の佐渡島を手に入れるため、鬼太郎以外の選手と共同戦線を張り、進路妨害をさせていた。この時は真っ黒な背景と区別するためか、ベアード自身が白色に変更されており、デザインも簡略化されている。

アニメ第1作で退治されているため、その続編である第2作には登場しない。

アニメ第3作には、劇場版『妖怪大戦争』で初登場。ハレー彗星の接近とともに、ホウキ星島に突如出現した。体が規格外なほど巨大になっており、周囲に稲妻が飛び交うなど、当時の少年アニメらしく、原作よりも派手に描写されている。ハレー彗星と何らかの関係性があるらしく、体内が宇宙空間の様な異次元へ繋がっていた(劇中でも詳しくは語られない)。テレビ版でも第46話『妖怪大統領こうもり猫』でアメリカの妖怪大統領としてゲスト登場し、後の妖怪ラリーにも参加している(第51話『世界妖怪ラリー』)。

アニメ第4作では、第64話『激走!妖怪ラリー』から登場する。願いの叶う妖怪石を求めてラリーに参加し、鬼太郎とデッドヒートを繰り広げる。第96話『妖怪王・ぬらりひょん』から西洋妖怪の首領として再登場。妖怪島を復活させる目的で、ぬらりひょんと同盟を組んでいた。第4作は配下の妖怪がこれまでと全く違っており、ウーストレルヨナルデパズトーリポルターガイストゴーレムの他、西洋妖怪四天王としてこうもり猫グルマルキンブイイジャイアントなど、水木しげるの妖怪画や鬼太郎漫画から新たに選出されている(第96話 - 第99話)。

『妖怪千物語』では、『妖怪大戦争』のメンバーにミイラ男ゴーゴンなどを加えて、日本を侵略。さらった子供達の魂で妖怪樹を育て、その実の霊力で悪魔総統デビルプルトーを復活させようとした、不死身で無敵の妖怪として登場。鬼太郎の活躍でデビルプルトーは希望の光に消滅、ベアードも逃げ去った。

アニメ第5作は、第18話『古城に光る黒い眼』で初登場。ベアードの名前は古今(ココン)には馬句部阿度と記載されている。アニメ版にしては珍しく優遇されており、西洋妖怪達の大統領的存在と言われ、強大な魔力を持つ黒幕として幾話に渡って登場している。日本妖怪根絶と地獄侵略を企んでいるが、活動範囲を広げるため、一時的に日本妖怪の総大将であるぬらりひょんと手を組んでいる。体を構成する妖怪細胞は、時に鋼鉄より硬く時にゴムより軟らかくと硬軟自在の為、目も含めて並大抵の攻撃は通じず、体内は毒素で満ち溢れている。反面、通常空間には短時間しか出られず、普段は異空間に潜んでいる。紳士的な態度であるが、その本質は冷酷無比である。ただし、高い知性を備えていること、理性的であることは事実のようで、配下の西洋妖怪たちを纏めるに当たっても、直接的な実力より、むしろ政治力と統率力で従わせているのではないか? と思える節がある。部下に対しては、魔女ザンビアのバレンタインプレゼントを気持ちだけでも受け取る等の優しさもある。

『妖鬼化』(水木しげる)によれば、水木しげる本人はバックベアードを気に入っているようで、形が面白いのでよく作品に登場させていると語っている。「ゲゲゲの鬼太郎」のカラーイラスト等でも、他の敵妖怪に比べて描かれている割合が多い。

声:富田耕吉(第1作)、柴田秀勝(第3作、第5作)、佐藤正治(第4作)

他作品におけるバックベアード

変身忍者 嵐
大魔王サタンの手下の西洋妖怪の一体として登場する。この作品では、ブルガリア出身の悪魔とされており、巨大な一つ目を持つ顔に鳥の足が生えた姿をしている。一つ目と、口から伸び出てくる2つの目から発射する光線で、人間の視力を奪ってしまう。42話で登場。声は八代駿
超神ビビューン
大魔王ガルバーの手下である、妖怪の一体として登場する。全身に眼がついた姿をしており、これから戦闘員である妖鬼を召喚する。物が食べられなくなる呪いを相手にかけたり、眼から稲妻を発することもできる。1話で登場。声は納谷悟朗
1000の小説とバックベアード
佐藤友哉小説京王プラザホテルの地下に築いた図書館に主人公達「失格者」を軟禁する。「図書館館長」を名乗る。

バックベアードが登場するゲーム(水木しげる原作作品以外)

外見や能力が似通ったビホルダー等の亜種的な位置付けで登場する事が多い。

インターネット上におけるバックベアード

インターネット上の電子掲示板サイトふたば☆ちゃんねるの「二次裏」に、『ゲゲゲの鬼太郎』のバックベアードの1コマに「このロリコンどもめ!!」という台詞をつけたコラージュが投稿され、妖怪バックベアードがロリータコンプレックスを一喝するという二次創作設定が広まった[3]

更に、このバックベアードと台詞をモチーフにした萌え擬人化で、バックベアードの娘「ベア子」が考案された。このキャラクターのフィギュアが制作されて、コミックマーケットの企業ブースで販売された[4]

脚注

  1. ^ a b 水木しげる東西妖怪図絵』読売新聞社、1975年。ASIN B000J939DC 
  2. ^ 京極夏彦村上健司多田克己『妖怪馬鹿―化け物を語り尽せり京の夜』新潮社〈新潮OH!文庫〉、2001年2月。ISBN 978-4102900734 
  3. ^ アニメ鬼太郎に「このロリコンどもめ!」妖怪→早速コラ画像 :にゅーあきばどっとこむ”. にゅーあきば (2007年8月5日). 2010年9月9日閲覧。
  4. ^ このロリコンどもめ!!「バックベアード様がみてる でかベア子」発売”. アスキー・メディアワークス (2008年2月14日). 2010年9月9日閲覧。

外部リンク