ぬりかべ (ゲゲゲの鬼太郎)

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境港市水木しげるロードに設置されたぬりかべのブロンズ像

ぬりかべ水木しげる漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(旧題:『墓場の鬼太郎』)の仲間の妖怪のひとり。塗壁ぬり壁と表記される場合もある。

キャスト[編集]

概要[編集]

調布市にて

相手の前に立ちはだかって、通行の邪魔をする妖怪。大きな長方形の土壁に目(アニメでは2眼だが、原作初期では1眼のこともあった。また、普段は見えないが口や鼻もある)と手足がついた姿。年齢は不明だが、中年男性に相当する模様(アニメ第3作103話でねずみ男に「中年妖怪」と言われた)。

身体は頑強そのもので、溶岩の中などでも平気で行動できるほどであり、この特性を活かして仲間を守る防壁となる。戦うときは敵に倒れかかって巨体で押し潰すほか、敵を取り押さえて体内に塗り込むなどの攻撃手段を持つ。身体の構造はよく分からないが、アニメ第3作59話と94話で体内に竹の格子のような骨組みが見える描写がある。また、後述の通り吸血鬼に攻められ干からびる描写があり、通常の生物同様の血液あるいはそれに相当する液体が体内に流れている(第4作104話「恐怖!吸血妖怪の島」などで吸血妖怪に取り囲まれても血を吸われていない場面もある)。

食事はごく普通のもので、アニメ第1作ではおにぎりなどを食べる場面がある[1]。体格相応に大食であり、ねずみ男に「飯ばかり余計に食う」と揶揄されたり(「朝鮮魔法」)、1日パン1個しか食べられない状況で弱音を吐いたりしている(お化け旅行編「砂妖怪」)。好物はヤマブドウ[2]

原作初登場は貸本「鬼太郎夜話・地獄の散歩道」、アニメ初登場は第1作・第10話「妖怪大戦争(前編)」。原作とアニメ第1作での「妖怪大戦争」では西洋妖怪との闘いで戦死(多数の吸血鬼に集られ血を吸い尽くされた)したが、その後原作では「笠地蔵」、第1作では第27話「おどろおどろ」で復活、準レギュラーとして活躍した。アニメ版において、ぬりかべが本格的にレギュラーとなったのは2作目以降である。

言葉も話すが、より生活がクローズアップされた第5作を含めても、総じて仲間より描写が少ない。第4作に至っては、「ぬりかべ」およびその部分的な言葉しか発言しない。また、一味の他のメンバーに共通する事だが、鬼太郎親子の仲間になった経緯が紹介された事はない。

通常身長:3m(伸縮自在) 基本体重:1t(増減自在)

家族[編集]

アニメ第5作のみ妻子が登場し、まとめて「ぬりかべ一家」と呼ばれる。初登場は第13話「奮闘!ぬりかべ用心棒」(ただし、OPでは第1話から姿を見せている)。

ぬりかべ女房
ぬりかべと同族の妻。体色はピンク(夫は灰色)で、夫よりやや小さく下膨れ気味の体形。夫に比べるとやや饒舌で、また帽子エプロンなども着用する。力は夫にひけを取らず、夫婦で敵を撃退したことも何度かある。連携技で夫の上に乗ることが多いが、その度に「重い」とぼやかれている。
声:田中真弓
子ぬりかべ
ぬりかべと女房の間に生まれた12体の子供達。体色は水色で、鬼太郎や猫娘の膝くらいの身長。「ぬ〜」としか喋らない。見た目には区別がつかないが、「鬼太郎マガジン」Vol.2によると男子と女子の両方いて、成長すると両親のように色分けされるとのこと(第71話で南国風の衣装を着た際は、腰蓑のみの男子らしき者と貝殻ブラも着けた女子らしき者とがいる)。小柄だが、一族所以の力の強さは持っている。母親の体に同化して移動する事も可能。
声:豊嶋真千子、他その回の女性声優達

妖術・技[編集]

鈍重に見えるが、後述の移動能力の他、足腰の筋力を利用するジャンプ力など瞬発力はかなりのものがある。

格闘[編集]

頑強な巨体から繰り出す破壊力はかなりのもの。

押し潰し/倒れ込み
最も多用する必殺技。敵に倒れ込んで巨体で押し潰す。また、アニメ第五作第一話では、水虎に水を利用させないため、水虎を誘き出した学校のプールを塞ぐことに使用した(基本的に身長は約3mなので、体の大きさを相当大きくしたようである。)
子泣き爺などが背に乗って加重することも多い。
ぬりかべアタック
第5作13話で大百足に止めを刺した技。ぬりかべ一家の合体技で、妻の上に子供たち全員が段を組み、それを一番下から夫が支えて同化し、ジャンプして敵を押しつぶす強力な技。この時、全員の体が黄金色に光り輝く。
お尻アタック
アニメ第5作13話にてぬりかべ女房が大百足に使った横跳びからのヒップアタック。
ぬりかべ自身は垂直にヒップドロップする形で、アニメ第2作42話で鬼太郎が閉じ込められた車を壊したり、1980年代『最新版』で夜行さんを押さえつけたりしている。
ぬりかべパンチ・張り手
ぬりかべの腕から繰り出される強烈なパンチ。アニメ第5作33話ではミイラ軍団を撃退、87話ではゴーレムを粉砕した。

妖怪漆喰[編集]

体を構成する漆喰で敵を固めてしまうことができる(表現上セメントの様に見える事もある)。この漆喰を扱う時はどこからともなく左官のコテを出して使う。漆喰を投げつける技もある。

塗り込む
敵を取り押さえて体内に塗り込んでしまう(自分よりも大きな体躯の敵でも塗り込める)。
「朝鮮魔法」で初使用したが、この時は逃げ出されたり腹を蹴破られたりで、成功したとは言えなかった。「血戦小笠原」にてアササボンサンを仕留めたのが初成功である。
またこの応用で荷物などを体内に収めることもできるようで、アニメ第3作12話では多数のミカンを持参し、第5作13話では子ぬりかべ達は母親(ぬりかべ女房)の体内から現れている。
ぬりかべ封じ
体から漆喰を削って敵に投げ付け固める。アニメ第3作70話と103話で使ったが、皮肉にも2回とも敵に騙されての仲間割れと言う状況だった。

この他、自身の傷を修復も出来る。第5作では左官屋のように建物の建設・修繕をしたり、87話で自分と体質が似たゴーレムを修復したりもしている。

液体の貯蔵と噴出[編集]

体内には水や油を蓄え(「国盗り物語」にて容量約5トンと本人談)噴出することができる。

水鉄砲
口からテッポウウオのように水を噴出する。初使用は「砂妖怪」(アニメでは第5作36話で子ぬりかべが使用)。ムーのヤドカリマンモス軍との戦いでは油をまき、鬼太郎が火を放つ戦法を取った。
水霧(みずぎり)
水を状に噴出して視界を遮る。アニメ第4作46話で初使用。天狗ポリスから追われる鬼太郎を逃がした。
技名はゲーム「妖怪創造主現る!」より。
渦巻き
ゲーム「異聞妖怪奇譚」にて使用。大地を踏みしめ回転しながら水を吹き、水の竜巻を起こす。

その他[編集]

防壁役
頑強な巨体を活かして敵の射撃(防げる攻撃の性質はシリーズによって異なる。例えばアニメ第4作102話「凶悪!中国妖怪刑天」では体が「石」で出来ているために敵の石化の術が効かないとされるが、原作やアニメ第3,5作では石化される場面がある)から仲間を守ったり、敵の移動を阻んだりする。炎や雪崩などの強い力を受けると耐えきれず後ろに倒れてしまうこともある。
子ぬりかべ達は一体一体が小さいため、ブロックの様に複数組み合わさって防壁になる。
巨大化 / 伸縮化(元の大きさに戻る)
体の大きさは自在に変えることができるが、上限下限がある模様。
第4作では歴代でも際立って巨大化する事があり、基本の大きさも歴代随一である。本作では巨体である事が強調される描写が随所にあり、一挙一動が地響きを起こす程に重く力強い。第1話「妖怪!見上げ入道」中など、近代ビルに匹敵するほど巨大化している場面もあるが使用は限られている。
縮小する方では第3作103話で、幼児が上辺に手を掛けられる位まで縮んだ描写がある。
戸板返し(といたがえし)の術
アニメ第3作103話で魚を捕るのに使用。水中で回転して筒のようになり、水をかき出す。
移動能力
ぬりかべの能力でも特に有用性の高いもので、巨体とは裏腹に異常とも言える程の移動能力が特徴。アニメ第3作以降は鬼太郎達と別行動をとって、窮地の時などに突如(地中から地面を突き破ったり、どこからともなく飛び降りて来たり)現場に出現する能力を披露するようになった。移動の原理は明らかになっていない。
アニメ第3作66話で鬼太郎達が海外(韓国)に遠征した際は別行動で即日現地に到着し、同第三作第108話では足洗いに踏まれた鬼太郎のところに突然現れ、その巨体で足洗いを持ち上げ、鬼太郎を助けた。さらに、第4作最終話「絶体絶命!死神の罠」に至っては、地獄界を先行していた妖怪列車や妖怪自動車に地上から追いつき、線路の支柱の中から妖怪自動車を後ろから掴んで加勢できるものを選んで現れるなど、愚鈍そうな外観に反して移動力は相当なもの。
ただし原作ではこのような能力は見られず、『鬼太郎の世界お化け旅行』では移動面で巨体ゆえの不便な思いをしている(魔女ので飛ぶのに6本も必要、仲間達のように旅客機に乗れず貨物船で別行動するなど)。
また、原作やアニメ第1作でも船旅の際は体の面積を活かしのように風を受ける。
擬態
他の壁に溶け込むように姿を隠す。
実写映画第1作では壁面に周りと似た風景を映す空間迷彩のような能力を見せた。また第2作では過去の映像を映し出すスクリーンとして使われた。
ジャンプ台
アニメ第3作74話で使用。体をしならせて上辺へ仲間に足を掛けさせ、戻る勢いを加えて跳び上がらせる。同作51話では橋を落とされた谷間に立ち、自動車で飛び越えるためのステップ台になった。
マグマ誘導
アニメ第3作47話と111話で使用。パンチや地中移動能力などで火口や地底のマグマだまりなどに繋がる穴を開け、敵地にマグマを流し込む。ぬりかべ自身はマグマの流れに乗ることも可能。
鼻糞
「国盗り物語」で役小角三十世との戦いに使用。人間がこの鼻糞をのみ込んでしまうと下痢を引き起こす。ここで初めてぬりかべの鼻が描かれた。
ぬりかべ反射鏡
砂かけ婆の用意した妖怪磨き粉(または磨き砂)で体表を磨き、大きなになる。
アニメ第4作93話では、月女をに帰す船に必要な月光を集めるのに使用。
「妖怪千物語」第4話では、傘化けの熱線を跳ね返した。

映像作品における変遷[編集]

アニメ[編集]

第1作・第2作
第1作の登場回数はわずか6回で、完全なゲスト扱い。上記のように「隠形魔法」(原作「朝鮮魔法」を改題)の回では、多数のおにぎりを食べたり、饒舌に喋るといった姿を見せた。「隠形魔法」の回も含め、手や腕が描かれていないシーンが多い。第2作ではセミレギュラー級となり、妖怪アパートの住人として登場する。走る、ジャンプするなど他のシリーズと比べて大きな動きも見せる。 [1]
第3作
特殊な移動能力を得て、神出鬼没に鬼太郎達の援護に駆けつけるようになった。また、台詞も第2作までに比べるとかなり増えている。
枕返しが見せた悪夢ではネズミの大群にかじられた(ただし、ねずみ男や鉄鼠などのネズミ妖怪を恐れる様子はない)。人間(及び人間型妖怪)の女性に興味があり、59話で後神の美貌にトロけたり、103話で紅子という少女に淡い恋心を抱いたりした。
体色は水色。
第4作
第2作までと同様無口で「ぬりかべ~」としゃべるだけではあるが、移動能力を駆使していることもあって存在感は十分にあった。劇場版「大海獣」では鬼太郎大海獣の光線で毛だらけになったり、93話では妖怪磨き粉で鏡になったこともあった。今作のみ子泣き爺同様「元々石なので石化攻撃を受けても平気」とされる。枕返しが見せた願望の夢では露天風呂に入る(15話。ちなみにこの願望は第5作35話で叶っている)。一番会いたいと思っている者はお地蔵様(89話)。
他シリーズと比べ太い手足を備えた重量感のある造形で、目も大きめ。反面ジャンプは苦手で40話の運動会の幅跳び記録は33cm(ほとんど転んで倒れただけに等しい)。体色は灰色。
第5作
先述の様に妻子がおり、妖怪長屋に単身住み込み貯めたお金で13話で横丁にマイホームを建て彼らを呼び寄せ住んでいる。この資金(家賃と建築材費)を稼ぐために、ねずみ男の口利きで人間界で悪妖怪退治のアルバイトをしていた。またその家の建築作業は自前であり、その技能を買われてか36話では目玉おやじからゲゲゲハウスの改装、87話ではお歯黒べったりから大風呂屋敷の修繕を頼まれている。約束を重んじる性格で、家族を抱える身ながら他者を信じ過ぎる様子をねずみ男に心配されている。運動神経が良く、53話では一家で一輪車芸を披露(ちなみに、今作の鬼太郎は自転車の練習に苦戦していた)。
体色は灰色。73話で妖怪四十七士の福岡県代表に覚醒。

実写映画[編集]

実写映画版第1作にて、猫娘共々実写初登場を果たす。「妖術・技」の項で先述したように映画独特の擬態能力を見せた。2作目においてはアニメなどでのように突如地中から出現する能力も披露し、夜叉相手に善戦した。なお、実写映画版のぬりかべは目玉おやじや一反木綿同様CGで表現されているが、2作目の戦いで体に大穴が開けられ倒れるシーンのために初めて造形物が作られた。 声を演じた伊集院光の談によれば、4時間の収録時間が用意されたが、ほとんどの台詞が「ぬりかべ~」としかなかったため8分で全て撮り終えてしまったとのこと。「ぬり、ぬり」という台詞は伊集院のアドリブである。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 1週間編集部編 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 完全読本』 講談社2006年、31頁。ISBN 978-4-06-213742-3
  2. ^ 谷中晶彦編 『アニメ版 ゲゲゲの鬼太郎 マニアックス』 一迅社2007年、10頁。ISBN 978-4-7580-1070-2

関連項目[編集]

外部リンク[編集]