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[[第三軌条方式|第三軌条集電方式]]を採用している関係上、ポイント部分など軌条が途切れている区間があり、1993年7月まで使われていた車両はこの途切れる部分にさしかかると一瞬室内灯が消える(非常灯が点灯)ことがあった。消灯時の反応で東京へ来て間もない人かどうかが判断できるとも言われた。現在の車両では、軌条が途切れた区間を通過しただけでは室内灯が消えることはない。
[[第三軌条方式|第三軌条集電方式]]を採用している関係上、ポイント部分など軌条が途切れている区間があり、1993年7月まで使われていた車両はこの途切れる部分にさしかかると一瞬室内灯が消える(非常灯が点灯)ことがあった。消灯時の反応で東京へ来て間もない人が判断できるかどうかとも言われた。現在の車両では、軌条が途切れた区間を通過しただけでは室内灯が消えることはない。


トンネル断面が小さい故に車両自体も小さく(東京地下鉄の車体の規格の中で一番小さい)、そのため1両あたりの乗車定員は少ない、車内[[冷房装置]]の屋外機が天井に取り付けられない、などの制約が生じている。これは、完全な[[民営鉄道]]として開業するがゆえに、建設費を節約せねばならず、国鉄などの一般的な鉄道の車両と[[路面電車]]の中間に車両の大きさを設定したためとされる。初めての地下鉄建設とあって将来的な輸送の見込みを立てるのは困難であり、実際開業当時は十分な輸送力を持っていたのだが、現在に至っては輸送力不足を招く結果になってしまった。
トンネル断面が小さい故に車両自体も小さく(東京地下鉄の車体の規格の中で一番小さい)、そのため1両あたりの乗車定員は少ない、車内[[冷房装置]]の屋外機が天井に取り付けられない、などの制約が生じている。これは、完全な[[民営鉄道]]として開業するがゆえに、建設費を節約せねばならず、国鉄などの一般的な鉄道の車両と[[路面電車]]の中間に車両の大きさを設定したためとされる。初めての地下鉄建設とあって将来的な輸送の見込みを立てるのは困難であり、実際開業当時は十分な輸送力を持っていたのだが、現在に至っては輸送力不足を招く結果になってしまった。
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なお、[[東京地下鉄有楽町線|有楽町線]]との唯一の接続駅である、[[赤坂見附駅]]・[[永田町駅]]での乗り換えは、構内を15分以上歩かねばならず、乗り換えの便は悪い。[[都営地下鉄浅草線|都営浅草線]]の[[浅草駅]]や[[日本橋駅 (東京都)|日本橋駅]]、[[新橋駅]]の乗り換えも、改札を出て10分程度かかる。
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== 沿革 ==
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2007年10月29日 (月) 11:34時点における版

東京地下鉄銀座線

銀座線(ぎんざせん)は、東京都台東区浅草駅から渋谷区渋谷駅間を結ぶ、東京地下鉄(東京メトロ)が運営する鉄道路線。正式名称は3号線銀座線である。

路線名の由来は繁華街の銀座から。車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「オレンジ」(橙):G

路線データ

概要

渋谷駅東急東横店3階のホームから出て明治通りを跨ぎ、表参道駅に向かう(2005年5月5日撮影)

1927年(昭和2年)に日本で最初に浅草~上野間で営業を開始した地下鉄である[1]。当時のポスターでは「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーが使われ、極東では初めての地下鉄路線であった。

他社路線との直通運転がない。東京地下鉄では、丸ノ内線とこの銀座線のみ。都営地下鉄では大江戸線がある。

第三軌条集電方式を採用している関係上、ポイント部分など軌条が途切れている区間があり、1993年7月まで使われていた車両はこの途切れる部分にさしかかると一瞬室内灯が消える(非常灯が点灯)ことがあった。消灯時の反応で東京へ来て間もない人が判断できるかどうかとも言われた。現在の車両では、軌条が途切れた区間を通過しただけでは室内灯が消えることはない。

トンネル断面が小さい故に車両自体も小さく(東京地下鉄の車体の規格の中で一番小さい)、そのため1両あたりの乗車定員は少ない、車内冷房装置の屋外機が天井に取り付けられない、などの制約が生じている。これは、完全な民営鉄道として開業するがゆえに、建設費を節約せねばならず、国鉄などの一般的な鉄道の車両と路面電車の中間に車両の大きさを設定したためとされる。初めての地下鉄建設とあって将来的な輸送の見込みを立てるのは困難であり、実際開業当時は十分な輸送力を持っていたのだが、現在に至っては輸送力不足を招く結果になってしまった。

輸送人員は一日平均1,016,086人で、浅草・上野・日本橋・銀座・新橋・赤坂・青山・渋谷といった繁華街やビジネス街を縫う様に走る路線のため利用客が多く、日中でも3分に1本の割合で高頻度の運転がなされている。この路線の混雑緩和のために建設されたのが半蔵門線である。また後発の他線に比べても乗り場が浅く、田原町駅や末広町駅、虎ノ門駅、外苑前駅など多数の駅で階段を降りたら目の前が改札口で、改札口を通れば目の前にホームという利用しやすい形態になっている。

上野検車区は地上と地下の2層構造になっていて、地上車庫の入口箇所には日本の地下鉄では唯一となった踏切(しかも日本では珍しい軌道遮断式)が存在する。また、渋谷駅周辺が窪地であるという地形上、同駅では東急百貨店東横店3階にあるホームから発着する。

昭和30年代には渋谷から二子玉川園(現二子玉川)駅への延長の形での東急新玉川線建設が計画されていたが、後に半蔵門線との接続に変更されて、現在の東急田園都市線の形となった。一方、反対の浅草側は、三ノ輪駅への延長計画があったが、昭和50年代に中止された。

赤坂見附駅溜池山王駅寄りに丸ノ内線とを結ぶ連絡線がある。銀座線車両の重点検整備のための中野工場中野富士見町駅近在)や小石川工場(茗荷谷駅近在)への回送や、隅田川花火大会開催日の臨時列車(丸ノ内線新宿発浅草行)、中野工場見学会などのイベント列車などが連絡線を通過する。

ホーム有効長が編成長ぎりぎりの駅が多いことから、オーバーラン防止と駅進入速度の向上による運転間隔の短縮・輸送力増強を図るために定位置停止装置(TASC)が設置されている。

沿革

ファイル:東京地下鉄道1000形電車.jpg
浅草-上野間開業時に用いられた1000形電車
東京高速鉄道開業時に用いられた100形電車(地下鉄博物館に保存のカットボディ)

浅草~新橋間は「東京地下鉄道」によって建設・運営された。本来は新橋から浅草まで一挙に開通させることを目指していたものの、関東大震災後による不況のため資金調達が困難になってしまい、当時は日本一の繁華街で高収益が見込める浅草から上野までの建設を先行させたのである。開業当初は物珍しさもあって、乗車時間わずか5分の区間に乗るため2時間待ちの行列ができたという。その後の経営も順調で7年後の1934年(昭和9年)に全通した。

一方、渋谷~新橋間は目黒蒲田電鉄系の「東京高速鉄道」により建設・運営された。1939年(昭和14年)に渋谷~新橋間が全通した。その後、東京地下鉄道との相互乗り入れ運転が開始された。

戦時体制下の1941年(昭和16年)、両社は国策上設立された特殊法人「帝都高速度交通営団」(営団地下鉄)に統合される。土被りが薄く爆弾等の被害を受けていたため、戦時中は空襲により度々運休となった。このため、空襲時もロンドンやベルリン、そして大阪(御堂筋線)の地下鉄のように市民の生命を救うことはなかった(「日本陸軍は軍事物資優先輸送を行ったため、一般市民の構内への避難を一切許さなかった」という説もあるが、大阪の例を見るとそうとも言い切れない)。

戦後、丸ノ内線が開業する前年の1953年(昭和28年)に、当線に銀座線の名称が付けられた。長く営団の重要路線として機能することとなる。2004年(平成16年)4月1日の営団の再編に伴う「東京地下鉄」の発足に際しては上野駅で発車式が行われた。

東京地下鉄道

  • 1927年(昭和2年)12月30日 - 浅草~上野間(2.2km)開業。
  • 1930年(昭和5年)1月1日 - 上野~万世橋(仮)※間(1.7km)開業。
  • 1931年(昭和6年)11月21日 - 万世橋(仮)※~神田間(0.5km)開業。万世橋(仮)駅廃止。
  • 1932年(昭和7年)4月29日 - 神田~三越前間(0.7km)開業。
  • 1932年(昭和7年)12月24日 - 三越前~京橋間(1.3km)開業。
  • 1934年(昭和9年)3月3日 - 京橋~銀座間(0.7km)開業。
  • 1934年(昭和9年)6月21日 - 銀座~新橋間(0.9km)開業。
  • 1939年(昭和14年)9月16日 - 東京高速鉄道と直通運転開始。
  • 1941年(昭和16年)9月1日 - 路線を帝都高速度交通営団に譲渡。

万世橋(仮)駅は現存せず(撤去済み)。

東京高速鉄道

  • 1938年(昭和13年)11月18日 - 青山六丁目(表参道)~虎ノ門間(4.4km)開業。
  • 1938年(昭和13年)12月20日 - 渋谷~青山六丁目(表参道)間(1.1km)開業。
  • 1939年(昭和14年)1月15日 - 虎ノ門~新橋間(0.7km)開業。
  • 1939年(昭和14年)9月16日 - 東京地下鉄道と直通運転開始。渋谷起点変更(+0.3km)。
  • 1941年(昭和16年)9月1日 - 路線を帝都高速度交通営団に譲渡。

帝都高速度交通営団→東京地下鉄

  • 1941年(昭和16年)9月1日 - 帝都高速度交通営団発足。東京地下鉄道、東京高速鉄道から路線譲受(14.3km)。
  • 1945年(昭和20年)- 米軍の空襲による施設の破壊のため運休が相次ぐ。
  • 1968年(昭和43年)4月10日 - 都市交通審議会答申第10号にて、東京3号線は渋谷方面より赤坂見附、新橋、神田、上野及び浅草の各方面を経て三ノ輪方面に至る路線として提示。
  • 1984年(昭和59年)1月1日 - 01系試作車営業運転開始。
  • 1984年(昭和59年)11月30日 - 01系量産車営業運転開始。
  • 1985年(昭和60年)7月11日 - 浅草以遠で三ノ輪までの延伸計画を正式に取りやめ。
  • 1993年(平成5年)7月 全ての車両が01系に統一。
  • 1993年(平成5年)8月2日 - CS-ATC化により運転最高速度を55km/hから65km/hに引き上げ。所要時間5分短縮(浅草~渋谷間)
  • 1995年(平成7年)3月20日 - 地下鉄サリン事件に関連し午前中の運転を休止、午後から再開。
  • 1997年(平成9年)9月30日 - 溜池山王駅開業(虎ノ門~赤坂見附間)。
  • 2004年(平成16年)4月1日 - 帝都高速度交通営団が民営化して東京地下鉄になる。

運転

平日朝2分間隔、平日夕方2分15秒間隔、日中3分間隔で運行される。

全区間(浅草~渋谷間)通し運転を基本とする。

  • 平日朝夕と終列車時間帯に、上野~渋谷間の折り返し便がある。
  • 新橋と溜池山王留置車両の虎ノ門始発渋谷行と浅草行が1日各1本ある。

車両

6両編成38本228両が在籍。

過去の車両

駅一覧

駅所在地はすべて東京都内。

駅番号 駅名 駅間キロ 累計キロ 接続路線 所在地
G-01 渋谷駅 - 0.0 東京地下鉄:半蔵門線(Z-01)(※下記注意を参照) 副都心線(2008年6月開業予定)
東日本旅客鉄道山手線埼京線湘南新宿ライン
東京急行電鉄東横線田園都市線※下記注意を参照
京王電鉄井の頭線
渋谷区
G-02 表参道駅 1.3 1.3 東京地下鉄:千代田線(C-04)、半蔵門線(Z-02) 港区
G-03 外苑前駅 0.7 2.0  
G-04 青山一丁目駅 0.7 2.7 東京地下鉄:半蔵門線(Z-03)
都営地下鉄大江戸線(E-24)
G-05 赤坂見附駅 1.3 4.0 東京地下鉄:丸ノ内線(M-13)、有楽町線永田町駅:Y-16)、半蔵門線(永田町駅:Z-04)、南北線(永田町駅:N-07)
G-06 溜池山王駅 0.9 4.9 東京地下鉄:南北線(N-06)、丸ノ内線(国会議事堂前駅:M-14)、千代田線(国会議事堂前駅:C-07) 千代田区
G-07 虎ノ門駅 0.6 5.5   港区
G-08 新橋駅 0.8 6.3 都営地下鉄:浅草線(A-10)
東日本旅客鉄道:東海道線横須賀線、山手線、京浜東北線
ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線(U-01)
G-09 銀座駅 0.9 7.2 東京地下鉄:丸ノ内線(M-16)、日比谷線(H-08) 中央区
G-10 京橋駅
(明治屋前)
0.7 7.9  
G-11 日本橋駅
(高島屋前)
0.7 8.6 東京地下鉄:東西線(T-10)
都営地下鉄:浅草線(A-13)
G-12 三越前駅 0.6 9.2 東京地下鉄:半蔵門線(Z-09)
東日本旅客鉄道:総武線(快速)新日本橋駅
G-13 神田駅 0.7 9.9 東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線、中央線(快速) 千代田区
G-14 末広町駅 1.1 11.0  
G-15 上野広小路駅
(松坂屋前)
0.6 11.6 東京地下鉄:日比谷線(仲御徒町駅:H-16)
都営地下鉄:大江戸線(上野御徒町駅:E-09)
東日本旅客鉄道:山手線(御徒町駅)、京浜東北線(御徒町駅)
台東区
G-16 上野駅 0.5 12.1 東京地下鉄:日比谷線(H-17)
東日本旅客鉄道:東北新幹線上越新幹線長野新幹線宇都宮線高崎線常磐線(快速)、山手線、京浜東北線
京成電鉄本線京成上野駅
G-17 稲荷町駅 0.7 12.8  
G-18 田原町駅 0.7 13.5 首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線(03)(浅草駅:銀座線浅草駅より当駅の方が比較的近い)
G-19 浅草駅 0.8 14.3 都営地下鉄:浅草線(A-18)
東武鉄道伊勢崎線
※注意
渋谷駅では銀座線と半蔵門線は接続業務を行っておらず、事実上異なる駅として扱われている(相互に乗り換えるには必ず一旦改札の外に出ることになる)。銀座線と半蔵門線・東急田園都市線の乗り換えは公式には同一ホームで乗り換え可能な表参道駅を案内している。

関連項目

脚注

  1. ^ 地下に路線と駅を設置したという点では宮城電気鉄道仙台駅~東七番町駅間が日本初である。詳細は仙石線を参照