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日野・レンジャー

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レンジャー(RANGER)は、日野自動車が製造する中型クラスのトラックである。GVW(車両総重量)8トンクラスからGVW20トンクラスの6x4低床車まで幅広いバリエーションを揃えている。日本国外では500シリーズとして販売されている。

初代(1964年-1984年)

  • 1964年(昭和39年)7月、KM300型として登場。発売当初は3.5t積であった。ハイ・ロー共用点灯式の2灯ヘッドランプを採用。
  • 1964年(昭和39年)12月、ロングホイールベースのKM340系を追加。
  • 1967年(昭和42年)11月、マイナーチェンジ。コーナーランプを移設し、フロントグリルのデザインを変更(コーナーランプ・ヘッドランプのベゼルと一体化)。
  • 1968年(昭和43年)、キャブドアを後ろヒンジの前開きから、前ヒンジの後ろ開きに変更。
  • 1969年(昭和44年)11月、ビッグマイナーチェンジ。フロントグリル・コーナーランプのデザインを変更。ヘッドランプが4灯化される。
  • 1978年(昭和53年)11月、マイナーチェンジ。エンジンを110psのDQ100型に変更し、ハイバックシートやサイドミラーの大型化など安全性を高めた。
  • 1980年(昭和55年)昭和54年排ガス規制に適合する形でK-KM系に変更。ネーミングがレンジャーKMからレンジャー3Mに変更される。これは同年の3代目レンジャー登場の際にレンジャーKLからレンジャー4Dに変更されたのに合わせたためである。
  • 1982年(昭和57年)グリルにシルバーの縁取りとRANGER 3Mのエンブレムが取り付けられ、同時期の3代目レンジャーに似せたデザインになる。

3.5t積の初代レンジャーは2代目KL型の登場後も継続生産され、デーキャブレンジャー(後述)の登場まで20年にわたって生産された。

2代目(1969年-1980年)

2代目 トラッククレーン
  • 1969年(昭和44年)1月、ジョヴァンニ・ミケロッティデザインの大型トラック・ZM系と同じテイストのデザインとなる。エンジンは新開発の直6・EC100型(120 ps)を搭載。
  • 1970年(昭和45年)6月、ワイパーが対向式になる。またウィングマークのデザインを変更。
  • 1972年(昭和47年)6月、145psのEH100型エンジンを搭載したKL-S登場。
  • 1972年(昭和47年)12月、マイナーチェンジ。フロントグリルが変更されたほか、ウインカーランプにスモールライトが追加される。6t積の大型仕様車「レンジャー6」(KR360型)が追加された。
  • 1974年(昭和49年)7月、155psのEH300型エンジンを搭載した高出力車KL-SSが登場。
  • 1975年(昭和50年)9月、マイナーチェンジ。フロントグリルが変更。この2段式のグリルはSDグリルと呼ばれている。大型車よりも先行的にテールランプが丸型から角形に変更される(ただし、架装メーカーや上物の違いによる丸テールは存在した模様)。
  • 1977年(昭和52年)1月、165psのEH700型エンジンを搭載したKL-SDを追加。内装備のデザインを変更し「悠々キャビン」と命名して発売。
  • 1978年 (昭和53年)6月、EH700型を170psにパワーアップ。
  • 1979年 (昭和54年)9月、昭和54年排ガス規制適合。

3代目(1980年-1989年)

  • 1980年2月登場。通称風のレンジャー。昭和54年排出ガス規制適合。それまでのレンジャーKLシリーズに変わりレンジャー4L、4S、4Dのシリーズ名がつけられる。キャッチコピーは「新しい時代はいつも日野から始まる」。グリルがガンメタリック色なのが最初期型の特徴である。バンパーもグリル同色だった。
  • 1982年6月、マイナーチェンジ、フロントグリルがシルバーに変更され、黒帯が入る。バンパーがキャブ同色へ、運転席側サイドミラーの形状が変更される。
  • 1982年11月、レンジャーターボU(4E)登場。
  • 1984年1月、マイナーチェンジ。昭和58年排出ガス規制適合、ヘッドライトを丸型4灯から角型4灯に変更、助手席セーフティウインドウが標準装備された。キャッチコピーは「先進が走る」。通称シャッターグリル。グリルの色はライトゴールドである。
  • 1986年4月、マイナーチェンジ。通称レンジャー+5(プラスファイブ)。エンジンワンキー操作が標準装備された。キャッチコピーは「きめて乗る、今度の新型」。グリル上部がフラットな形状になった。グリル上部がシルバー、ヘッドライトのあるグリル下段がガンメタ色になった。
  • 1988年6月、マイナーチェンジ。通称ONE UP レンジャー+5(プラスファイブ)。グリル周りを白系統に変更。

アジアなどの海外仕様車では1995年まで「エコノ・ディーゼル(Econo Diesel)」として継続生産されていた。

4代目(1989年-2001年)

クルージングレンジャーGD
教習車
  • 1989年7月登場。通称クルージングレンジャー。コマーシャルにはアメリカの女優ダイアン・レインが出演した。エンジンは平成元年排出ガス規制適合のH07Dを搭載。ヘッドライトは異型2灯を採用した(一部の輸出向けは角型4灯を継続)。キャッチコピーは「人と街に響きあう」「トラックを脱いだ」「トラックの流れをつくった」「うつくしいとらっく」「あったかっこいい」「ドキドキさせたい」。フロントグリルがガンメタリック色に戻り、フェンダーガーニッシュも同じ色である。
  • 1989年9月、7t積「FF」を追加。
  • 1989年10月、インタークーラーターボエンジン車を追加。
  • 1990年5月、4t積「FD」にリヤエアサスペンション車、8t積「FG」、3軸低床「GK」(6×4)、高床パートタイム4WD車「FT」を追加。
  • 1992年12月、マイナーチェンジ。OHC・24バルブのJO8Cエンジンを追加。JO8Cカーゴ系全車にチューブレスラジアルタイヤを標準装備。ABS、車間距離警報装置、代替フロンガス使用のエアコンをオプション設定。
  • 1993年3月、低床フルタイム4WD車「FX」(4t積)が登場。
  • 1994年10月、マイナーチェンジ。通称ライジングレンジャー。エンジンをJ05C、J07C、J08Cに変更して中型トラックでは最も早く平成6年排出ガス規制(KC‐)に適合し、ウイングマークを廃しHを模したCIが初めて採用された。キャッチコピーは「トラックを好きになってください」「これがニッポンのトラックだ」。大型車と共にヘッドライト内側が丸くなっている。サイドウインカーの形状変更。サイドリフレクタがコーナーランプからサイドウインカー一体型になり、ヘッドライトと繋がるデザインに(プロフィアはコーナーランプ内蔵のまま)。助手席ウインドーは引違い式から巻き上げ式に変更。これに伴い、確認窓の面積が小さくなった。
  • 1995年2月、ベッドレス車「FC」を追加。デーキャブレンジャー生産終了。
  • 1995年5月、3.5t積モデル「FB」をトヨタOEM供給開始(1999年まで)。ダイナ・グランキャブトヨエース・グランキャブとして発売される。
  • 1996年、J08Cエンジンにコモンレール噴射システムを採用。
  • 1997年8月、5.5t積車に低床フルタイム4WD「GX」を追加。
  • 1999年3月、マイナーチェンジ。通称スペースレンジャー。ABS、サイドドアビーム、運転席エアバッグが標準装備され、ドアハンドルが金属製から樹脂製に変更された。平成10年排出ガス規制適合。キャッチコピーは「21世紀のスタンダードへ」「レンジャー、極まる」。ヘッドライトリムがキャブ同色へ。フェンダーガーニッシュが大型化しステップ部分を覆う形状になる。フロントバンパーもデザインが新調され、ウインカー/フォグのコンビランプはいすゞ・ギガいすゞ・フォワード用をベースに灯室を2分割しフォグランプを足したものである。従って外形はいすゞ用と同じ。 翌2000年に登場する初代プロフィア最終型、通称テラヴィにもこのランプが装備される。

5代目(2001年-2017年)

レンジャーFG
  • 2001年12月、フルモデルチェンジにより、レンジャープロとなる。中型トラッククラスとして初めて、バンパー埋め込み型のロアヘッドライトが採用された[1]。当時放映されたCMは、オールCGで描かれロボットが時空を越えてレンジャープロに変形するというものだった。ヘッドライトの外形は後に登場するグランドプロフィア、2代目セレガとも共通である。ただし大型用のプロジェクターライトは純正では設定されていない。キャッチコピーは「トラックの進化は未来からやってきた」。
  • 2002年 9月、低公害車LEタイプ車の設定、グッドデザイン賞を受賞。
  • 2003年 4月、エアサス車の拡大、超低PM車の設定。
  • 2004年、マイナーチェンジ。サブネームを使わずに日野・レンジャーと名乗る。グリルの色を黒からグレーに変更。エンジンは直噴コモンレール式インタークーラーターボを全車に搭載。J05D、J07E、J08Eに変更され、超低PM排出85%に認定。FC(ショートキャブ)にハイブリッド車、4WD車に高床仕様の「FT」(消防車仕様のみ)をそれぞれ追加。
  • 2005年 5月、新長期排出ガス規制に適合、CNG車の設定。
  • 2006年 10月、全車低排出ガス重量車(排ガス記号BDG-)に認定。
  • 2007年2月、積載性のある中型免許対応車を新規設定、重量車燃費基準達成車を追加、全車にエンジンイモビライザーとマルチ・インフォメーション・システムを標準装備。
  • 2008年 9月、ハイブリッド車が新長期排出ガス規制に適合、機械式AT(Pro Shift 6)搭載車を追加。
  • 2010年GVW12トン超車が平成21年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合。同時にクリーンディーゼルシステム「AIR LOOP」を採用。
  • 2011年、GVW8t-11t車が平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合。同時に「AIR LOOP」システムを採用。又、フロントアンダーランプロテクター(4WD車はオプション)が採用され、運転席側サイドミラーをドアミラーに変更し、運転席側アンダーミラーを標準装備とした。同時にGVW8t車のトレッドを拡大。
  • 2014年、灯火器規制対応の為、アッパーヘッドライト車のヘッドランプを同社既存の2代目ポンチョ用とほぼ同サイズのマルチリフレクタータイプの丸型2灯式に、ヘッドランプカウル部分の塗装を車体色からガンメタリック単色にそれぞれ変更。

6代目(国外仕様:2015年- 、国内仕様:2017年 - 2022年〈生産停止中〉)

レンジャーFD
  • 2015年1月15日、世界に先駆けてインドネシアで新型500シリーズ (NEW GENERATION RANGER) が発表された[2][3]
  • 2017年4月5日、国内仕様を約16年ぶりにフルモデルチェンジ。日野レンジャーとなる。旧型車同様、一部特装系の標準キャブ仕様車に限り、ヘッドライトがキャビンに取り付けられた「ヘッドランプ移設車」のメーカーオプションが設定される[4]。バックライトがテールランプ一体型の2灯になっている[5]。新開発の5.1L・直列4気筒SOHC16バルブ直噴ディーゼルを用いたA05C型エンジンが全車に搭載され、210psエンジン搭載車と190psエンジン搭載車はDPR-IIを採用し、尿素フリーを実現[6]。トランスミッションはカーゴ系の一部車種に、セレクターがダイヤル式のAMTPro Shift6またはPro Shift7)を設定。プロフィア同様に安全装備の充実が図られ、 プリクラッシュセーフティ、車線逸脱警報装置、VSC(車両安定制御装置)が全車に、スキャニングクルーズIIが260psエンジン搭載車と240psエンジン搭載車に(210psエンジン搭載車と190psエンジン搭載車はオプション設定)、ドライバーモニターがカーゴ系(ダンプ・ミキサーはオプション設定)にそれぞれ標準装備された。通信により車両情報を日野に送るICTサービス機能を装備している[7]
  • 2017年9月6日、GVW16tクラスのFGとGVW20tクラスのGKを追加(発売は9月21日)[8]
  • 2017年10月4日、2017年度グッドデザイン賞を受賞[9]
  • 2018年1月12日東京オートサロンに出品される[10]
  • 2019年4月10日、一部改良(発売は5月6日)。ヘッドライト操作を自動で行うオートマチックハイビームとオートヘッドランプを、一部特装系を除くLEDヘッドライト車に標準装備した他、可変配光型LEDヘッドランプをエアサス車にオプション設定した。ドライバーモニターも設置位置をインパネからピラーに変更し、サングラスやマスク着用時並びに運転姿勢が崩れた場合にも検知する様に精度向上が図られ、ドライバーモニターIIとなった。また、ハンズフリー機能付きBluetooth対応オーディオを全車型に標準装備した他、2019年9月1日より搭載が義務化される車載式故障診断装置(J-OBDⅡ)にも対応している[11]
  • 2021年8月2日、一部改良。オートヘッドランプ、サイトアラウンドモニターシステムを全車型に標準装備した他、プリクラッシュセーフティは自転車運転者検知機能や夜間歩行者検知機能が追加された。また、ドライバー異常時対応システム(EDSS)を一部車型に標準装備した。ドライバー異常時対応システムは、異常自動検知型と押しボタン型の併用で、異常自動検知型はドライバーモニターⅡや車線逸脱警報と連動し、異常を感知すると自動的に停止する。押しボタン型はドライバー自身がEDSSスイッチを押すことで作動する。ドライバーによるEDSSスイッチの誤操作対策として、EDSSキャンセルスイッチも装備している[12]
  • 2022年1月13日、メーカー完成車シリーズ(VQシリーズ)のVQウイングバンのラインナップを拡大。2022年1月以降におけるトランテックス製荷台のVQウイングバンの製造は、日野自動車古河工場にて一貫して行い、シャシーの製造はは日野が、ボディ架装はトランテックスがそれぞれ担当する[13][14]
  • 2022年3月4日、DPR-II(HC-SCR)搭載車がエンジン不正問題により出荷停止[15]
  • 2022年3月29日、DPR-II(HC-SCR)搭載車が国土交通省から型式指定の取消処分を受ける[16]
  • 2022年8月2日、エンジン不正問題に伴う国土交通省の指導により、DPR+尿素SCR搭載車が出荷停止[17][18]
  • 2022年11月1日、同年9月9日に国土交通省からDPR+尿素SCR搭載車の出荷再開を認めたことを受け、DPR+尿素SCR搭載車の生産を再開する予定[19][20]

ラインナップ

初代・2代目(1964年-1984年)

  • KM(駆動2-4D、積載4tクラス、ショートキャブ)
  • KQ(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-S(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-SS(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-SD(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KR(駆動2-4D、積載6tクラス、フルキャブ)
  • KJ(駆動2-4D、コンテナ専用、積載6tクラス、フルキャブ)
  • KU(駆動2-4D、車両運搬用、積載6tクラス、フルキャブ)
  • WB(駆動2D-4D、パートタイム4WD、積載4t〜5tクラス、フルキャブ)

3代目以降(1980年-)

  • FB(駆動2-4D、積載3.5tクラス、ショートキャブ)
  • FC(駆動2-4D、積載4tクラス、ショートキャブ)
  • FD(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • GC(駆動2-4D、積載6tクラス、ショートキャブ)
  • GD(駆動2-4D、積載6tクラス、フルキャブ)
  • FJ(駆動2-4D、積載8.5tクラス、ショートキャブ)
  • FE(駆動2-4D、積載8.5tクラス、フルキャブ)
  • FG(駆動2-4D、積載9tクラス、フルキャブ)
  • KK(駆動2-4D・4D、積載8.5tクラス、フルキャブ、3代目)
  • GK(駆動2-4D・4D、積載11.5tクラス、フルキャブ、4代目-)
  • FX(駆動2D-4D、フルタイム4WD、積載4tクラス、フルキャブ)
  • GX(駆動2D-4D、フルタイム4WD、積載6tクラス、フルキャブ)
  • FT(駆動2D-4D、パートタイム4WD、積載量4tクラス、フルキャブ)
  • SG(駆動2-4D)
  • FM(駆動2-4D・4D)
    日本国外向けにはセミトラクタの設定もあり、日本仕様にはないP11Cエンジンを搭載している。

デーキャブレンジャー(1984年〜1999年)

デーキャブレンジャー前期型
海外仕様車
デーキャブレンジャー後期型
  • 1984年6月、レンジャー3M(KM・初代レンジャー)を20年振りにフルモデルチェンジして登場したショートキャブ仕様。3.5t積のFB(3B)と4t積のFC(4C)がある。ライバル車[21]が小型トラックのキャブを流用したのに対し、日野は当時小型トラックの自社生産を行っておらず、ダイハツ工業からのOEMだったためキャブは中型ショートキャブ専用設計になっているのが特徴である。キャッチコピーは「でっかい、いち日」。

通常のレンジャーとは異なる外観であり、簡単に区別できるよう縦型のアウタードアハンドル、角目4灯ヘッドライトを採用し差別化を図っていた。エンジンはW04D型、W06D型、H07C型の3種類。

  • 1987年4月、マイナーチェンジ。フロントグリルや内装のデザインを変更。
  • 1988年11月、マイナーチェンジ。フロントグリルを変更。
  • 1989年2月、4Cダンプに特別仕様車「イエローバージョン」発売。
  • 1990年5月、ビッグマイナーチェンジ。フロントグリル、キャブドアのデザインを変更。平成元年排出ガス規制適合。キャッチコピーは「アクティブ・スリム」「人と空間の最先端に」。
  • 1991年、デーキャブレンジャーをベースにディーゼルハイブリッドのHIMR塵芥車を開発。
  • 1995年2月、ライジングレンジャーに統合される形で生産終了。但し、HIMR仕様は、その後も1999年まで生産が継続された。

レンジャーとダカール・ラリー

ダカール・ラリー参戦車両(2007年)
ダカール・ラリー参戦車両(1996年)

特記事項としてダカール・ラリーへの参戦が挙げられる。

日野自動車創立50周年記念の社内提案[22]がきっかけで1991年の第13回大会に参戦、以降日本車で唯一カミオン(トラック)部門に連続して参戦しており、1997年にはこれも日本車で唯一のカミオン部門総合優勝を成し遂げている。カマズ(ロシア)やタトラ(チェコ)、ダフ(オランダ)、メルセデス・ベンツウニモグ(ドイツ)等の欧州勢を相手に部門トップ争いを繰り広げ、小排気量でトラックとしては小柄な車体ながらも大排気量車に伍する戦いぶりを見せることから、『リトルモンスター』の異名を持つ。

ダカール・ラリー仕様のレンジャーは消防車仕様の四輪駆動車「FT」をベースとしており、2013年バージョンで長さ6.15m×幅2.4m×高さ3.05m、ホイールベース3.75m、J08Cエンジンの最高出力はチューニングが施されているとはいえ485PSと数値的には小柄だが、取り回しの良さと総重量6-7tの軽さを武器に大排気量・高出力エンジンを搭載するライバルを脅かすことも多い。2014年バージョンでは1号車のエンジンがプロフィアに搭載されているA09C換装され、こちらは600PSを発揮する[23]。2015年バージョンからは2号車のエンジンもA09Cに換装された。四輪駆動は2016年までパートタイム式だったが、2017年からセンターデフを用いた(前後50:50)のフルタイム式へ変更されている[24]

1991年大会の選手の負傷、2010年大会の車両故障、2018年大会のスタックによるリタイヤがあるものの、排気量10リットル未満や市販車ベースのグループでは上位に入賞することが多く、1997年の第19回大会ではカミオン部門総合トップ3を独占する快挙を達成している。参戦初期は『エキップ・カミオン・ヒノ』というチーム名で日野自動車本体がワークス・チームを編成して参戦していたが、現在は菅原照仁率いるチームスガワラが実質的ワークス・チームとして活動している。なお1995年の第17回大会からは、全国の日野自動車販売会社からチームのメカニックを選抜してダカール・ラリーに参戦する体制を採っている。

2019年4月に、1992年大会から出場してきた菅原義正が、2019年大会をもってダカール・ラリーからの引退を発表。チームスガワラと日野自動車は、2020年大会以降における菅原義正の後任ドライバーの選定を行い[25]、2019年6月3日に2020年大会の体制を発表。車両はレンジャー2台体制から、レンジャー・600各1台体制に変更する他、1号車となるレンジャーのドライバーは菅原照仁が、2号車となる600のドライバーはサミットレーシングプロモーションズ所属の塙郁夫がそれぞれ務める[26]。2021年大会は新型コロナウイルス感染症の影響で菅原1台体制に縮小されたと同時に、レンジャーとしては最後のダカール・ラリー参戦となった。

2022年大会は車両をレンジャーから600ハイブリッドへ変更し、2021年大会同様に菅原1台体制で参戦する[27]

  • ダカール・ラリー(カミオン部門総合)におけるレンジャーの成績
大会 ドライバー 順位
1991年 13 J-P.ジョッソー(フランス)
J-P.ライフ(オーストリア)
J.プティ(ベルギー)
J-C.シュマラン(フランス)
7
10
14
リタイヤ(負傷)
1992年 14 J-P.ライフ(オーストリア)
J-P.ジョッソー(フランス)
菅原義正
J.プティ(ベルギー)
4
5
6
10
1993年 15 菅原義正 6
1994年 16 菅原義正 2
1995年 17 菅原義正 2
1996年 18 菅原義正
柴田英樹
6
11
1997年 19 J-P.ライフ(オーストリア)
菅原義正
J.プティ(ベルギー)
1
2
3
1998年 20 菅原義正 2
1999年 21 菅原義正 4
2000年 22 菅原義正 5
2001年 23 菅原義正 2
2002年 24 菅原義正 3
2003年 25 菅原義正 5
2004年 26 菅原義正 5
2005年 27 菅原義正
菅原照仁
2
6
2006年 28 菅原義正
菅原照仁
5
7
2007年 29 菅原照仁
菅原義正
9
13
2008年 30 菅原照仁
菅原義正
レース中止
2009年 31 菅原照仁
菅原義正
14
25
2010年 32 菅原照仁
菅原義正
7
リタイヤ(失格)
2011年 33 菅原照仁
菅原義正
9
13
2012年 34 菅原照仁
菅原義正
9
24
2013年 35 菅原照仁
菅原義正
19
31
2014年 36 菅原照仁
菅原義正
12
32
2015年 37 菅原照仁
菅原義正
16
32
2016年 38 菅原照仁
菅原義正
13
31
2017年 39 菅原照仁
菅原義正
8
29
2018年 40 菅原照仁
菅原義正
6
リタイヤ(スタック)
2019年 41 菅原照仁
菅原義正
9
リタイヤ(マシントラブル)
2020年 42 菅原照仁 10
2021年 43 菅原照仁 12

車名の由来

RANGER(レンジャー)

常に進化し、お客様の期待に応え利益をお約束するプロフェッショナルのためのトラックの意である。1964年のレンジャー発売時に、一般公募にて選考された。

SPACE RANGER(スペースレンジャー)

SPACE(スペース)には、安全・快適空間、積載効率の高い。宇宙-先進的。仕事の領域を拡大する。これらを意味することから名が付けられた。

RANGER-PRO(レンジャープロ)

PRO(プロ)には、PROceed、PROgress(常に進化し)、PROspect(お客様の期待に応える)、PROmise(お客様の利益をお約束する)、PROfessional(プロフェッショナルのためのトラック)という思いが込められている。

主なCM出演者

普通型トラックとしては珍しく芸能人や著名人を起用し、特にクルージングレンジャーのCMでは、ダイアン・レインを起用してそれまでのトラックの武骨なイメージを払拭させる事に貢献している。

これらの他にも、積載量の異なる6台のレンジャーを用意し、子供のナレーションで「1レンジャー!2レンジャー!3レンジャー!4レンジャー!5レンジャー! もう1つあるんじゃー。6レンジャー!! 日野レンジャーどんなもんじゃー」と『秘密戦隊ゴレンジャー』(NET系列)のパロディをやるCMが存在していた。

ジャンボ鶴田が所属した全日本プロレスも、鶴田がCM出演したのがきっかけで、選手の移動バスは日野だった。

生産拠点

メーカー完成車シリーズ(VQシリーズ)荷台メーカー

一部荷台の総軸エアサス車は6速MTのみの設定となる。

  • VQウイングバン - トランテックスパブコ日本フルハーフ(パブコ製と日本フルハーフ製は6速MTのみ設定、トランテックス製は2022年1月から日野自動車古河工場にてシャシー組立からボディ架装まで一貫生産[13]
  • アルミブロック - トランテックス
  • 強化木製平ボディー - 東洋ボデー
  • VQクールバン - トランテックス(冷凍機は菱重コールドチェーン製とデンソー製を設定)
  • VQプラスシリーズ - トランテックス(クールバンの冷凍機は菱重コールドチェーン製とデンソー製を設定)
  • ダンプ完成車シリーズ - 新明和工業極東開発工業
  • ミキサー完成車シリーズ - KYB、新明和工業
    • プロフィアには上記の他にも、VQウイングバンは日本トレクス製、ダンプ完成車シリーズは小平産業製をそれぞれ設定しているが、レンジャーには日本トレクス製荷台のVQウイングバンと小平産業製荷台のダンプ完成車シリーズの設定はない。

関連項目

出典

  1. ^ キャブに規格型の角型2灯式ハロゲンライトを装備する「アッパーヘッドライト外観」も、標準キャブ車・ハイグレード仕様以外で選択可能であった。アッパーライト車は従前のスペースレンジャー用バンパー・フォグランプを装着するものの、バンパー装着ウインカーは省かれる。
  2. ^ 日野自、次世代中型トラックを世界初投入[車両]”. エヌ・エヌ・エー (2015年1月16日). 2015年1月16日閲覧。
  3. ^ Yongki Sanjaya (2015年1月15日). “Hino Luncurkan Truk Hino 500 Series New Generation Ranger” (インドネシア語). Liputan6. 2015年1月16日閲覧。
  4. ^ デュトロ標準キャブ車と同一のハロゲンヘッドライトが用いられる。但し、デュトロに設定されているHID仕様はレンジャーのキャブライト車には設定されない。
  5. ^ オプションでプロフィアと同型のLEDテールランプも選択可能。
  6. ^ 260psエンジン搭載車と240psエンジン搭載車はDPR+尿素SCRを採用。
  7. ^ 日野自動車、大型トラック「日野プロフィア」、 中型トラック「日野レンジャー」をモデルチェンジして新発売日野自動車 2017年4月5日(同年4月9日閲覧)
  8. ^ 日野自動車、中型トラック「日野レンジャー」に車型を追加して発売日野自動車 2017年9月6日(2017年9月16日閲覧)
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  24. ^ 冒険から競技へと進化したダカール・ラリー 「常勝軍団・日野チームスガワラ」が魅せた底力!
  25. ^ "ダカールの鉄人"菅原義正のダカール・ラリー引退について日本レーシングマネージメント・日野自動車 2019年4月23日
  26. ^ "日野チームスガワラ"、さらなる高みを目指した新チーム体制を発表日野自動車 2019年6月3日
  27. ^ ダカール・ラリー2022参戦車両が完成日野自動車 2021年10月25日

外部リンク