エンジンスワップ

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エンジンスワップ( : Engine Swap)とは、現に自動車に搭載されているエンジンを取り外し、別のエンジンに載せ換えることを言う。

オースチン・ミニにホンダVTECエンジンを載せた例

概要[編集]

エンジンスワップは自動車の修理や性能向上、環境対応を目的に行われるものである。 基本的には同系車種・エンジン間で行われる(例えばAE80系レビン・トレノの1500cc車に1600ccエンジンを載せる、スカイラインセフィーロ等のRB20/RB25搭載車にRB26を載せる、などと言った感じ)ケースがたびたび見られるが、「ダットラ、果てはハイラックスSR20DETを載せる[1]」と言った具合に時にメーカーの壁どころか「エラントラ4G63を載せる」[2]というように国境すら越えて根本的に形式を変更するものもある。中には車体を大きく加工して行われるケース[3]もあり、その作業のライト・ハードさには開きがある。

エンジンスワップが行われる背景[編集]

基本的には自動車の基本性能(最高出力/トルク、燃費、エミッション、耐久性等)を向上させるためにより高性能なエンジンに載せ替える、と言うパターンが多い。[4] ただ、「なぜエンジンスワップをする必要があるのか」と言うことにはいくつかの背景がある。

  • 基本性能の向上
  • 元々のエンジンの継続使用が困難になった場合。
    • エンジンの破損・故障・経年劣化
    • 排ガス規制で使用している車両に使用規制がかかった場合(例えばいわゆる自動車NOx・PM法)への対応(=環境性能の向上)
    • 旧車においては部品供給終息への不安を解消するために世代が新しいエンジンへのスワップが行われる。[4]
  • 人気グレードを「作る」
    • 例えば同一形式の車種でも市場や年式、ボディタイプなどにより高性能エンジンが設定されていない場合がある。
    • また、当該市場で販売していたとしていてもそのグレードの中古車価格が他のグレードと比較して著しく高額だった場合や程度が悪い場合、希少な場合はエンジンスワップは安価または良質な車両を作ることができる手段の一つとなりうる。[7]
    • 特に新興国や途上国にあたる地域(ただしこれらの地域に限った話ではなく、車種によってはいわゆる先進国でも間々ある。)では以下のような事情があり、エンジンスワップによる「人気グレード制作」が行われる。
      • 自動車の国産化に力を入れる関係で、完成車輸入に高額の関税が掛けられていたり中古車の輸入が規制されたりしている。[注 9]
      • 一方、国によっては現地ブランドはもとより、海外ブランドであっても自国の工場で生産していれば国産車と見なされ関税が免除される。[2]
      • そのため、以下の事例のように中古エンジンを輸入し載せ替える例がある。
        • ランエボのドライブトレーンを東南汽車・リオンセル(ランサーの中国現地生産車)に移植した「リオンセル・エボリューション」[2]
        • オーストラリア仕様クレシーダに日本仕様チェイサーの1JZ-GTEツインターボを換装した「クレシーダ2.5GTツインターボ」[8]
        • 日本の解体屋がスワップ用部品取りにされることを前提にハーフカット[注 10]にしたDC2インテRミラターボの輸出用中古車の例[9]
        • 日産・シルビア/180SXの場合、アメリカ仕様車(240SX)にはSR20ではなくKA24が搭載されているためSR20を輸入して載せ替える場合がある。[注 11]

注釈[編集]

  1. ^ 海外仕様車やワゴン(ジータ)には2JZ搭載車があるが日本仕様セダンにはなく、その逆に3S-GEは日本仕様セダンにしかない。
  2. ^ 230系セリカなどにも搭載される2ZZ-GE+6M/Tの組み合わせがランクス/アレックスフィールダーなどには設定があるがセダンにはない。
  3. ^ ミニカのトールワゴンとして枝分かれした経緯のあるトッポBJには4気筒20バルブツインカムインタークーラーターボの設定があるが40系ミニカにはない。
  4. ^ 東南汽車・リオンセル、プロトン・インスピラなど。
  5. ^ プロトン・サトリア(初代)、プリムス・コルトなど。
  6. ^ 大宇・ティコマルチ・800など。
  7. ^ プロドゥア・カンチル/クリサ/ビバなど。
  8. ^ 海外仕様車であるクレシーダはジンバブエや南アフリカでも生産された。
  9. ^ 例:マレーシアでの三菱・ランサープロトン・インスピラ・・・インスピラは現地生産車、ランサーは完成輸入車のためほとんど同じクルマなのに車両価格に格差が存在している。
  10. ^ 輸出先の規制・関税などの関係でコンプリート状態での輸出が困難という事情から切断された輸出用車両のこと。下記の岡野自動車商会のページによると、本当に部品として輸出するために切る場合が大半で、まれに「これは部品です」と言う建前で切断するケース(いわばノックダウン生産用)もあるという。
  11. ^ 実際、ワイルド・スピード第1作目においては「レース前にはSR20は高値で売れる」と言うセリフが存在しており、人気のほどが伺える。

出典[編集]

  1. ^ OPTION2 2005年3月号「元祖パーキングオートサロン」 ダットラ:100-101ページ、ハイラックス:103ページ。
  2. ^ a b c Option 2009年3月号「中国的改造車事情」。 リオンセル制作ショップのサイト
  3. ^ GC10+2JZ-GTE2JZ-GE - チューニングショップ「C&Yスポーツ」。バルクヘッドを大きく切り取り、ハコスカに2JZ-GTEを搭載している。
  4. ^ a b SHOP INFO - 主に日産系の旧車にエンジンスワップを施した車両を制作・販売する「ロッキーオート」のHP。「毎日の実用にも使える快適な旧車~(中略)~(旧車に)すべてを求めてはいけないという当たり前の常識を変えたかった。」とあり、21世紀の現在でも当たり前に乗れることを目標に旧車の基礎体力向上を目論んだエンジンスワップを行っていることがわかる。
  5. ^ a b Pimp My Ride Sedaon5 第4回。この回ではアース・デーにちなんでシボレー・インパラバイオディーゼル燃料対応のDuramaxディーゼルエンジンをスワップしており、ランボルギーニとのドラッグレースで勝てるほどの動力性能の高さも実証した。なお、インパラのオーナーは番組中で改造前は燃費の悪さで悩んでいた事を明かしている。
  6. ^ KCテクニカ スズキ アルトバンターボ 装備が簡略な(=軽い)バン仕様にK6Aターボを載せたコンプリートカーで、その軽さから「ワークスを越える」とまで喧伝している。
  7. ^ この実態が存在することを表す例の一つとして、頭文字Dコミックス第5巻において池谷と健二がイツキのAE85レビンに4A-Gを換装し「85改86」を制作することを匂わせる会話をしていたシーンがある。
  8. ^ YouTube 「MightyCarMods」チャンネル内(3部作)
  9. ^ (有)岡野自動車商会 BOSS日記 「ハーフカット」 本記事ではシビックR、ランエボ、シルビア/180SXのハーフカットもスワップ用として需要があるという。