黄金を抱いて翔べ

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黄金を抱いて翔べ』(おうごんをだいてとべ)は、1990年12月新潮社から出版された高村薫サスペンス小説。高村のデビュー作(第3回日本推理サスペンス大賞受賞作)。

概要[編集]

小説新潮』1990年10月号初出。第3回日本推理サスペンス大賞受賞。単行本は1990年12月10日発行。文庫本は1994年1月25日発行。

あらすじ[編集]

大阪に本店をおくメガバンクの地下には、240億もの金塊が眠るという。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちは、その6トンの金塊強奪計画を企む。

彼らは無謀なまでの強奪計画を企てて、「鉄壁の要塞」からの金塊奪取に挑もうとする。しかし、そこには誰も知らない「6人の過去」が複雑に絡み合っていた。

登場人物[編集]

金塊強奪グループ[編集]

幸田弘之(コウダ ヒロユキ)
主人公。「人のいない土地」を探している29歳。
北川浩二(キタガワ コウジ)
幸田とは大学が同じだった。既婚の30歳。銀行襲撃を計画するリーダー的存在。
北川春樹(キタガワ ハルキ)
北川浩二の弟。高校を中退している。
楚要煥(モモ)
北朝鮮スパイ。幸田との縁で襲撃計画に参加。
野田(ノダ)
コンピュータ会社に勤めるエンジニア。北川とは外車ショーで知り合った。
岸口順三(キシグチ ジュンゾウ)
神父エレベータ会社に勤めていた経験を買われ、計画に参加する。

なお6人のうち、関西育ちで関西の言葉を使うのは神戸出身(文庫P.302)の野田のみ。幸田は7歳で荻窪の叔父に引き取られており、北川も千葉の出身。岸口老人に出身地の記述はないが、関西弁を使っていない。

その他[編集]

北川圭子 (キタガワケイコ)
北川浩二の妻。
山岸 (ヤマギシ)
左翼系の政治団体「青銅社」の人間。幸田と関わりを持つ。
サク
暴走族「吹田連合」の総長。春樹に恨みを持つ。
映画版では「キング」と呼称され、半グレ集団の頭目として描かれる。
末永 (スエナガ)
公安と北朝鮮の二重スパイ。モモを標的にしている。

テレビドラマ[編集]

1991年4月2日日本テレビ系列「火曜サスペンス劇場」枠で放送(放送時間:21時03分 - 23時22分)。

キャスト
スタッフ

映画[編集]

黄金を抱いて翔べ
Fly With The Gold
監督 井筒和幸
脚本 吉田康弘
井筒和幸
原作 高村薫
製作 千葉龍平
軽部進一
藤岡修
油谷昇
出演者 妻夫木聡
浅野忠信
桐谷健太
溝端淳平
チャンミン東方神起
西田敏行
音楽 平沢敦士
主題歌 安室奈美恵Damage
撮影 木村信也
編集 冨田伸子
制作会社 nktエンターテイメント
製作会社 「黄金を抱いて翔べ」製作委員会
配給 松竹
公開 日本の旗 2012年11月3日
上映時間 129分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 5億500万円[1]
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2012年11月3日に公開された井筒和幸監督、妻夫木聡主演の実写映画。

2012年1月7日クランクイン。全国191スクリーンで公開され、2012年11月3、4日の初日2日間で興収1億98万4,200円、動員7万5,120人になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第4位となった[2]。キャッチコピーは「札束より欲しいもの、おまえにはあるか?」

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

受賞[編集]

関連作品[編集]

私が黄金を追う理由〜映画「黄金を抱いて翔べ」スペシャルドラマ〜[編集]

BeeTVオリジナルストーリーの全5話からなる携帯ドラマ。映画公開前の2012年10月1日から10月27日までBeeTV&dマーケットVIDEOストアにて配信された。

キャスト[編集]
  • 坂下ルカ - 平山あや
  • 飯塚悠斗 - 木村了
  • 吉岡朋 - 石橋杏奈
  • 幸田弘之 - 妻夫木聡
  • 北川浩二 - 浅野忠信
  • 野田 - 桐谷健太
  • 北川春樹 - 溝端淳平
  • モモ - チャンミン(東方神起)
スタッフ[編集]

Blu-ray / DVD[編集]

  • メイキング・オブ 黄金を抱いて翔べ(2012年10月2日発売)
  • スタンダード・エディション(2013年4月2日発売、映像特典:特報・劇場予告編・TVスポット集)
  • 初回限定 コレクターズ・エディション(2枚組、2013年4月2日発売)
    • ディスク1:本編ディスク(スタンダード・エディションと同様)、ディスク2:特典DVD(撮影日誌、完成披露試写会・初日舞台挨拶ドキュメント、キャラクター紹介映像集、スピンオフドラマ「私が黄金を追う理由」)、封入特典:マスコミ用プレス(リサイズ版)、黄金仕様の特製アウターケース付きデジパック仕様

発売元:エイベックス・マーケティング 販売元:ハピネット

出典[編集]

  1. ^ キネマ旬報」2013年2月下旬決算特別号 210頁
  2. ^ 『のぼうの城』3日で5億円超えの大ヒット!シネマトゥデイ 2012年11月6日

外部リンク[編集]