鉱油

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鉱油(こうゆ)は、石油原油)、天然ガス石炭など地下資源由来の炭化水素化合物もしくは不純物をも含んだ混合物の総称。鉱物油(こうぶつゆ)、鉱物性油(こうぶつせいゆ)とも呼ばれており、一般的には石油由来の油として広く工業製品等に用いられている。

石油由来の物質に、英語のMineral、漢字の「鉱」の字があてられているのは、石油がリンネの時代など過去の分類学上、鉱物扱いされてきたことの名残である。

国際鉱物学連合が定める鉱物の定義については、鉱物の項を参照のこと。

潤滑油[編集]

エンジンオイル

紀元前より天然アスファルト(歴青)が潤滑剤に用いられた歴史があるが、容易に利用できる石油資源は偏在しているため、植物や動物性油脂と比べて一般化することはなかった。17世紀以降、燃料源として石油の掘削、石油精製が盛ん行われるようになると、分留した重質油潤滑油への用途に注目されるようになり、1845年アメリカ合衆国においてカルシウムグリース(鉱油と獣脂、石灰を混合した潤滑油)が開発されている[1]。動植物油と比べ安定性などに優れ、他の石油製品と同様に安価であったため、一部の用途を除き動植物油から鉱油へと移行した。 20世紀に入ると、フィッシャー・トロプシュ法ベルギウス法などの発明により、鉱油を分解・合成して不純物を取り除き、成分を均質化した化学合成油が製造されるようになった[2]。こうした化学合成油は、コストや供給面から原料を鉱油(天然ガス)を用いることもあり、出発原料を含める形で広義の鉱油として見なすことも可能であるが、鉱油として扱う事は一般的ではない。

なお従来は鉱油として扱われたものを製品段階で差別化を図るために鉱油(鉱物油)と化学合成油の名称を使い分けることがある。代表格は、自動車に用いられるエンジンオイルであるが、これとて鉱油(鉱物油)と化学合成油の定義や境界に議論を挟む余地があり、過去にはメーカーの間で議論となったことがある。

鉱油と化学合成油の違いに関する議論の詳細は、カストロール#化学合成油の概念を変えたの項を参照のこと。

燃料油[編集]

エネルギー革命以前に、植物性、動物性油脂も燃料として用いられていた時代には、ガソリンを鉱油として区別していた。日本では、その名残として燃料を扱う業者の中には、会社名に鉱油の名称を用いている業者も存在する(例:ガソリンスタンドチェーンを展開する宇佐美鉱油、太陽鉱油等)。

化粧品等[編集]

白色ワセリンの例(ユニリーバ製)

鉱油は、化粧品医薬品等にも広く利用されている。代表格は、日本薬局方で処方が定義されている白色ワセリンである。これは性質や性状の安定性を保つため、あえて鉱油を精製した原料を用いて製造しており、ワセリンを二次的に利用した化粧品等も多く流通している。値段が安いことでも知られており、多くの化粧品会社が使用している。

出典[編集]

  1. ^ グリースの歴史(協同油脂ホームページ)
  2. ^ 特集記事・「合成潤滑油-その素性と可能性」2005/8(潤滑通信社ホームページ)]

関連項目[編集]