カモフラージュメイク

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カモフラージュメイクは、

  • 顔のアザや手術痕などキズを自然に隠すメイク方法。
  • 兵士が戦場で目立たないようカモフラージュするために、顔に施す化粧の方法。

のいずれかを指す。

本稿では「顔のアザや手術痕などキズを自然に隠すメイク方法」について記す。

痣(アザ)や傷のある問題個所を化粧で覆い隠すだけではなく、心理的に問題個所には注目しなくてすむように化粧を施術する。欧米ではコスメティックカモフラージュ、カモフラージュメイクアップ、またはカモフラージュセラピーと呼ばれる。

英国赤十字ではスキンカモフラージュ(Skin camouflage)とよばれ、消えない傷跡、刺青、酒さ、あざ、皮膚変退色、その他皮膚疾患の患者に対するソーシャルケア(Social Care)の一環として年5日間の研修を受けたボランティアによる化粧の指導が行われている。[1]

日本では、セラピーメイクメイクセラピーリハビリメイクメディカルメイクカバーメイク化粧療法などさまざまな呼び方があり、使用製品や技法もそれぞれで異なり、特に統一化はされていない。

また、化粧での被覆だけをおこなう団体もあれば心のケアまでをおこなうところもあり、専門従事者がおこなうところだけではなく専門職でないボランティアがおこなっている場合もあるため、施術結果や評判はまちまちである。 そのため、一ヶ所の施術で満足が得られない場合は、他をあたることで違う情報や成果を得ることが出来る。 ただし、各団体間での連携はとれていないため、施術希望者が各自で探し当てる必要がある。

歴史[編集]

歴史は1928年米国のリディア・オリリーによって皮膚変色をカバーして見えなくする化粧品が開発されたことから始まる。

日本では1955年、広島のいわゆる「原爆乙女」たちがニューヨーク市マウントサイナイ病院においてケロイド痕治療を受けたが、その際に五番街カバーマーク相談室を紹介された。ここでカモフラージュメイクの施術をうけ、オリリー婦人からプレゼントされたカバーマーク化粧品を持って帰国した。

一方、社会事業家、沢田美喜ニューヨークに滞在中に、顔にアザのある女性、リディア・オリリーが開発した化粧品「カバーマーク」を知り、自身が関わる皮膚の黒い子供たちのために必要とピアス化粧品の阪本社長に紹介し、日本への輸入を依頼した。

1960年(昭和35年3月)日本医学皮膚科学会で、米国カバーマーク社のアーティスト、クラフト夫人がデモンストレーションを行い広く知られるようになった。この年ピアス化粧品の出資でジャパンオリリーが設立されて日本でのカバーマーク化粧品安定供給が可能となった。化粧指導員の多くが、顔にアザなどの疾患のある女性だった。各地で、カバーマークの使い方をデモンストレーションして普及させていった。

しかし、悩みを持つ当事者も普通の化粧品を求めるようになってきた。なかなか隠せない場所には、カモフラージュメイク専用化粧品を使用するにとどめる傾向がある。また、いくらカバー力のある化粧品であっても、その化粧品を使いこなす技術がないという当事者は多い。

今後は、カモフラージュメイクの方法をもっと公開して、卓越したカモフラージュメイク技術者を養成する必要があり、施術者の養成講座が各地で開催されつつある。ただし、その講座内容に関してはまちまちなのが現状で、ファンデーションなど化粧品での被覆だけをおこなうところもあればメンタルケアや美術、皮膚科学など多岐にわたって学ばせるところもある。

しかし、受講したからといって現場に対応できる人材が即座に育成できるわけではなく、非常に多くの症例への施術経験がなければ当事者の悩みに本当に応えられる施術者とはなりえないため、当事者のニーズに応えられる技術者はごく少数だと考えられる。

また、普通の肌のためのメイク教育を受けたプロであっても、皮膚病などの状態にある人へのメイク技法は別の技術や製品が加わるため、学習と現場研修が極めて重要である。そのため、一般化粧品店でおこなわれるカバーメイクだけを体験して挫折感のまま過ごす当事者も多い。諦めずにいろいろな団体や施術者をあたるのが好ましい。

1990年代になって、この化粧法がアンチエイジング化粧に応用されていった。よって、アンチエイジングの手法でメイクをしようする人がいるが、工夫をしないと病変をメイクで隠すことは不可能だ。

また、当事者のなかには、カモフラージュメイクによって「完全にアザが隠れる」という期待を抱く人がいる。しかし、顔面の病状が深刻な場合、そのような夢のような化粧品、化粧方法、カモフラージュメイク技術者は存在しないといってよい。このような説明をしないメイク技術者が多いために、当事者のなかには理想のメイクを求めて、メイク技術者のサービスをわたりあるく人もいる。メディアによって過大な報道がされている嫌いもあり、期待度だけが高まっている現状も否めない。

なお、悩みの部分を被覆したり他の部分の化粧効果を応用して目立たなく感じさせたりする『作業』は、決して当事者にそれを強要するためではない。このことは、施術者や取り組む団体は常に心に留めておく必要があり、当事者も依存しすぎないよう心がけるのが理想だと思われる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 英国赤十字のWebサイト 'Skin camouflage' を参照