豊洲市場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

座標: 北緯35度38分39秒 東経139度47分01秒 / 北緯35.64417度 東経139.78361度 / 35.64417; 139.78361

豊洲市場

豊洲市場(とよすしじょう)[1][2]は、東京都江東区豊洲六丁目に新設が予定されている東京都中央卸売市場の一つ。2016年11月に開場予定であったが、築地市場移転問題により移転が中止された状態となっている。

背景[編集]

市場前駅より「青果棟」を見る(2016年9月26日撮影)

東京都は、築地市場中央区)が取り扱い数量の拡大により施設が手狭になった事や、施設老朽化、銀座などに近い築地という立地の良さなどを鑑み、2014年を目処に江東区豊洲への移転を検討していた。東京都側と築地市場業界との協議機関として、新市場建設協議会が設置され、2004年7月には「豊洲新市場基本計画」が策定された。

しかし、移転先の場所が元々東京ガスの施設だった事から、国の環境基準を大きく上回る有害物質ヒ素六価クロムシアン水銀ベンゼンの6種類が国の環境基準を超えており、発癌性物質であるベンゼンにいたっては局地的ではあるが、国の基準の43,000倍である[3]。)が地中にあり、移転反対運動が行われている。その対応として、2012年度より豊洲新市場土壌汚染対策工事を行っている。なお、環境問題に関しては現在の築地市場でも、地下には第五福竜丸によって水揚げされた、水爆で被曝したマグロ(当時「原爆マグロ」と呼ばれた)が埋められている問題が存在している。

また、築地市場の建物にはアスベストが使用されていたが、現在は健康被害を防ぐための対策がなされている。主要施設においては既に「対策済み」とされている。一部施設(駐車場など)については、吹きつけ材の状態が安定しているなどにより、当面は現状維持の上で「解体時対応」とされる[4]

土壌汚染対策のために開場時期は何度も延期されている。2014年12月17日、新市場建設協議会は2016年11月上旬に開場し、築地に代わる新市場として発足する事を正式に決定し[5]、その後開場日は11月7日とすること、名称を「豊洲市場」とすることが決定した[1][2]。だが2016年8月31日、開場は2017年2月以降に延期されることが発表された[6]。その後2017年2月18日、小池百合子知事は同年7月2日に行われる都議選までに移転可否を判断することは困難という認識を示した。

施設[編集]

環二通りと東京都市計画道路補助第315号線の交差点を中心に5街区から7街区の3街区に跨がって建設された。東側の5街区に青果棟(地上3階建)、西側の6街区に水産仲卸売場棟(地上5階建)、南側の7街区に水産卸売場棟(地上5階建)および管理施設棟(地上6階建)が配置されている。

交差点の北東方に市場前駅があり、歩行者デッキで各街区と連絡される。

また、交差点に隣接して6街区と5街区に観光客を対象とした商業施設「千客万来施設」が建設される予定。同施設は万葉倶楽部が運営し、江戸の街並みを再現した200店前後からなる商業ゾーン(地上3階地下2階建)と、24時間営業の温泉・ホテルゾーン(地上10階建地下2階建)からなる。前者は2018年8月から、後者は2019年8月から開業予定であったが、豊洲市場移転可否検討の影響により、延期を余儀なくされる見通しとなった[7]

施設の設計[編集]

水産仲卸売場棟、水産卸売場棟、青果棟の設計は日建設計が行っている[8]

施設の施工[編集]

豊洲市場の施工は以下の共同企業体(JV)が行っている。[9]

  • 水産仲卸売場棟 - 清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・錢高組・東洋建設JV、
  • 水産卸売場棟 - 大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木JV
  • 青果棟 - 鹿島建設・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本工業JV

東京都が主張する特徴[編集]

  • 他市場への転配送施設を設置するなど、首都圏のハブ機能を確立する。
  • 搬入から搬出までの一貫した物流システムを確立するなど、取引・物流両面の効率化を図る。
  • 高度な衛生管理、よりよい品質管理が可能となる施設整備や体制作りを行うなど、安全・安心の市場作りを行う。
  • 買い回りの利便性の向上及び商品や取引情報の提供など、顧客サービスを充実する。
  • 環境負荷の低減、省エネ・省資源を実現する。
  • 賑わいゾーンの設置や魅力ある都市景観に配慮するなど、街作りに貢献する市場とする。
以上、豊洲新市場基本計画より。

諸問題[編集]

  • 豊洲市場敷地は元々東京ガスの工場跡地で土壌汚染があった。この問題に対して汚染された土を掘り出し浄化処理して埋め戻した上で建築を進めたが、2016年に東京都知事が小池百合子に代わった際豊洲市場の建物地下に盛り土がされておらず空間になっていることが問題視された。盛り土は高潮・津波への対策としての嵩上げが目的であり、汚染対策としての機能は持たないが、あたかもそのように主張され都政の争点となった。なお、この空間には地下水が溜まっており、採取した水からシアン化合物が1リットル当たり0.1ミリグラム検出されたが、工事における塩ビ管カットの際に出るポリ塩化ビニル(PVC)が熱分解され水に反応したとの見方[誰?]もある。地下利用の設計が行われた可能性が高いのは2011年3月から2011年6月の間とされている[10]。また、地下空間があることにより耐震性にも疑義が呈されている[11]
  • 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて来日していたジョージア大学のチャム・ダラス教授が都内各地の放射線量を測定した。その結果、各地で放射性物質は検出されたが、いずれも許容範囲内だった。しかし、新宿区西新宿都庁前と江東区の豊洲でやや高い数値を検出、豊洲の数値が高い理由として教授は「第一原発ではなく以前の工業地帯時代に原因があると思われるが、いずれにせよ子供は注意したほうがいい」と語っている[12]
  • 仲卸店舗の横幅は1.5mで、隣り合った店舗の間には間仕切りの壁がある。マグロを捌く包丁は刃渡り7-80cmで長さは1mほどあり、店内でマグロを捌くことが困難となる[13]
  • 床の耐荷重が700kg/m2しかなく、魚を入れた容器などを置くとすぐに超過してしまう[14]
  • コールドチェーン実現のため冷蔵倉庫と同様にトラック後部から荷卸しする構造になっており、ウィング車の使用が困難である[14][15]
  • 築地市場では海水を使用して清掃を行うことによりを駆除してきたが、豊洲市場では腐食防止のため淡水で清掃する。このため、コバエの発生が懸念されている[16][17]

位置[編集]

  • 江東区豊洲6丁目5・7街区及び6街区の一部
  • 旧豊洲埠頭に位置し、対岸に晴海(中央区)、有明(江東区)がある。
  • 豊洲市場予定地の2003年頃の写真は、豊洲鉄鋼埠頭を参照。
  • 最寄り駅はゆりかもめ市場前駅。駅名は将来当駅付近に新市場が移転する事を見込んで付けられた。

ギャラリー[編集]

参考資料[編集]

脚注・出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 豊洲新市場(仮称)の名称及び開場日について - 東京都、2015年7月17日、2015年8月13日閲覧。
  2. ^ a b 移転先名称は「豊洲市場」 来年11月7日に開場 - 産経ニュース、2015年7月17日、2015年8月13日閲覧。
  3. ^ 豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?”. 東京都中央卸売市場. 2015年12月27日閲覧。
  4. ^ 都有施設におけるアスベスト使用のフォロー調査の結果(平成18年度末時点)平成19年5月15日 東京都 環境局
  5. ^ 産経ニュース 16年11月上旬に開場 築地移転の豊洲新市場
  6. ^ 築地市場の豊洲移転延期 - Yahoo、2016 年8月31日、2016年8月31日閲覧。
  7. ^ “移転 万葉倶楽部、観光拠点の開業延期「知事の判断で検討」/東京”. 毎日新聞. (2011年3月11日). http://mainichi.jp/articles/20170121/ddl/k13/010/025000c 2017年2月1日閲覧。 
  8. ^ “豊洲新市場の基本設計を日建設計が8610万円で受託”. 日経アーキテクチュア. (2011年3月11日). http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20110310/546273/ 2016年7月23日閲覧。 
  9. ^ 日刊建設工業新聞 http://www.decn.co.jp/?p=48954
  10. ^ 朝日新聞2016年9月21日朝刊1面及び38面
  11. ^ “都が「虚偽」の説明、費用どこへ消えた 「豊洲市場盛り土せず」疑問山積”. 東京新聞. (2016年9月11日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016091102000110.html 2016年9月25日閲覧。 
  12. ^ 核の米権威が警告!福島より高濃度…都内にある“危険エリア” 2011年4月14日 ZAKZAK 政治・社会
  13. ^ “「新店舗は狭すぎ」築地市場移転に仲卸業者が悲痛な叫び”. dot.(週刊朝日. (2016年3月4日). http://dot.asahi.com/wa/2016030200129.html?page=2 2016年7月23日閲覧。 
  14. ^ a b “豊洲市場は設計ミス? - 142”. 物流不動産ニュース. (2016年4月5日). http://www.butsuryu-fudosan.com/column/142/ 2016年7月23日閲覧。 
  15. ^ 森山高至 (2016年7月21日). “築地市場の豊洲移転が不可能な理由 10”. 建築エコノミスト 森山のブログ. 2016年7月23日閲覧。
  16. ^ “築地移転まで1年弱でも鳴り止まない仲卸業者の怒号”. ダイヤモンド・オンライン. (2015年12月21日). http://diamond.jp/articles/-/83495 2016年7月23日閲覧。 
  17. ^ “コバエや蚊だらけに? 豊洲新市場「海水使用禁止」の弊害”. 日刊ゲンダイ. (2016年6月29日). http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/184508 2016年7月23日閲覧。 

外部リンク[編集]