豊洲市場

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座標: 北緯35度38分39秒 東経139度47分01秒 / 北緯35.64417度 東経139.78361度 / 35.64417; 139.78361

豊洲市場「水産仲卸売場棟」の見学者通路より手前「管理施設棟」と奥「水産卸売場棟」を見る(2018年10月24日撮影)
地図

豊洲市場(とよすしじょう)[1][2]は、東京都江東区豊洲六丁目にある公設の卸売市場。東京都内に11か所ある東京都中央卸売市場の一つ。2018年平成30年)9月13日に開場記念式典が行われ[3]、同年10月11日に取引を開始した。(築地市場移転問題の項目も参照)。

背景[編集]

東京都は、築地市場中央区)が取り扱い数量の拡大により施設が手狭になった事や、施設老朽化、銀座などに近い豊洲という立地の良さなどを鑑み、2014年を目処に江東区豊洲への移転を検討していた。東京都側と築地市場業界との協議機関として、新市場建設協議会が設置され、2004年7月には「豊洲新市場基本計画[4]」が策定された。

移転先予定地は元々東京ガスの施設で、土壌汚染が発覚した。国の環境基準を大きく上回る有害物質が地中に検出された。ヒ素六価クロムシアン水銀ベンゼンの6種類が国の環境基準を超えており、発癌性物質であるベンゼンにいたっては局地的ではあるが、国の基準の43,000倍である[5]。こうした安全・衛生面や移転に伴う経費等の負担への不満、築地に対する愛着を抱く一部仲卸などにより、移転反対運動が行われている。安全面での対応としては、2012年度より豊洲新市場土壌汚染対策工事およびそれに関する技術者会議を行っている[6]

なお、築地市場でも敷地の土壌汚染が確認されている[7]。このほか地下には第五福竜丸によって水揚げされた、水爆で被曝したマグロ(当時「原爆マグロ」と呼ばれた)が埋められている問題が存在している。

土壌汚染対策のために開場時期は何度も延期されている。2014年12月17日、新市場建設協議会は2016年11月上旬に開場し、築地に代わる新市場として発足する事を正式に決定し[8]、その後開場日は11月7日とすること、名称を「豊洲市場」とすることが決定した[1][2]。だが2016年8月31日、開場は2017年2月以降に延期されることが発表された[9]。その後2017年東京都議会議員選挙に先立つ2017年6月、2018年6月頃の移転を公表した。その後に開場日は2018年10月11日となった[10]

施設[編集]

環二通りと東京都市計画道路補助第315号線の交差点を中心に5街区から7街区の3街区に跨がって建設された。東側の5街区に青果棟(地上3階建)、西側の6街区に水産仲卸売場棟(地上5階建)、南側の7街区に水産卸売場棟(地上5階建)および管理施設棟(地上6階建)が配置されている。管理棟には、築地市場にあった約3000冊の資料を所蔵する「銀鱗文庫」も移管された[11]

また水産業者などから信仰される魚河岸水神社(すいじんじゃ、本殿は神田明神境内)の遥拝所も、築地市場から豊洲市場敷地内へ遷座された[12]

市場の各施設を隔てる道路の交差点北東方にはゆりかもめ東京臨海新交通臨海線市場前駅があり、歩行者デッキで各街区と連絡される。

千客万来施設[編集]

交差点に隣接して、6街区と5街区に観光客を対象とした商業・観光施設「千客万来施設」が建設される予定。

2014年2月19日、大和ハウス工業(5街区の伝統工芸体験施設を担当)と「すしざんまい」を運営する喜代村(6街区の飲食店や温浴施設を担当)の2社へ運営を委託することを決定した[13]が、2015年2月23日に大和ハウス工業が、同年4月28日には喜代村が辞退を申し入れた[14][15]

2016年3月4日、辞退表明をした2社に代わって万葉倶楽部が事業予定者として選定された[16](6街区のみ)。しかし、2017年6月に都知事の小池百合子が築地市場の再整備を行い、物流と食の観光拠点とすることを発表した[17][18]ことを受け、万葉倶楽部は採算が採れなくなることを理由に、撤退の意向を東京都に伝えた[19]。その後、両者の協議により「千客万来施設」は再び整備される方向となった。2018年8月時点の東京都による江東区議会への説明では、2023年開業が予定されている[20]

施設の設計[編集]

水産仲卸売場棟、水産卸売場棟、青果棟の設計は日建設計が行っている[21]

施設の施工[編集]

豊洲市場の施工は以下の共同企業体(JV)が行っている[22]

アクセス[編集]

最寄り駅は、ゆりかもめ市場前駅。駅名は将来当駅付近に新市場が移転する事を見込んで付けられた。

路線バスでは、新橋駅と築地市場を結んでいた都営バス「市01系統」が豊洲市場との往復に変更され、構内にバス停4カ所が新設された[23]東陽町駅前を発着する「陽12-2系統」も豊洲市場を終点・始点とする。このほか、東京駅前と東京ビッグサイトを結ぶ「都05-2系統」も豊洲市場を徒歩圏内とするバス停(新豊洲駅前)を通過する[24]

特徴[編集]

  • 他市場への転配送施設を設置するなど、首都圏のハブ機能を確立する。
  • 搬入から搬出までの一貫した物流システムを確立するなど、取引・物流両面の効率化を図る。
  • 高度な衛生管理、よりよい品質管理が可能となる施設整備や体制作りを行うなど、安全・安心の市場作りを行う。
  • 買い回りの利便性の向上及び商品や取引情報の提供など、顧客サービスを充実する。
  • 環境負荷の低減、省エネ・省資源を実現する。
  • 賑わいゾーンの設置や魅力ある都市景観に配慮するなど、街作りに貢献する市場とする。
以上、豊洲新市場基本計画より[25]

諸問題[編集]

  • 豊洲市場敷地は元々東京ガスの工場跡地で土壌汚染があった。対策として、汚染された土を掘り出し浄化処理し、埋め戻した上で建築を進めた。2016年に東京都知事小池百合子に代わった際、豊洲市場の建物地下に盛り土がされておらず空間になっていることが問題視された。盛り土は高潮津波への対策としての嵩上げが目的であり、汚染対策としての機能は持たないが、あたかもそのように主張され都政の争点となった。
  • なお、この空間には地下水が溜まっており、採取した水からシアン化合物が1リットル当たり0.1ミリグラム検出されたが、工事における塩ビ管カットの際に出るポリ塩化ビニル(PVC)が熱分解され水に反応したとの見方[誰?]もある。シアンやベンゼン、ヒ素の地下水一リットルあたりの含有量が環境基準値を超えたことが問題とされたが、「調理したりするわけではないので有害物質が体内に入る可能性は低い」「環境基準は、毎日2Lの水を70年間飲み続けた場合に健康被害が出ることを防ぐための飲料水基準と同じに設定している。飲むわけでもない水に含まれる物質が、その値を一時的に超えたからといって慌てる必要はない。」との専門家等の意見もある。[26]上智大学織朱實教授(環境法)は、「科学的には問題ないが、食品を扱う市場なので、消費者の安心という面で課題はある」とする[27]。地下利用の設計が行われた可能性が高いのは2011年3月から2011年6月の間とされている[28]
  • また、地下空間があることにより耐震性に疑義を持つ者も存在する[29]。またこの地下空間を地下ピットとの認識を持つ都議会議員等も存在する。[30]
  • 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて来日していた米国ジョージア大学のチャム・ダラス教授が都内各地の放射線量を測定した。その結果、各地で放射性物質は検出されたが、いずれも許容範囲内だった。しかし、新宿区西新宿都庁前と江東区の豊洲でやや高い数値を検出。豊洲の数値が高い理由として教授は「第一原発ではなく以前の工業地帯時代に原因があると思われるが、いずれにせよ子供は注意したほうがいい」と語っている[31]
  • 仲卸店舗の横幅は1.5mで、隣り合った店舗の間には間仕切りの壁がある。マグロを捌く包丁は刃渡り70-80cmで長さは1mほどあり、店内でマグロを捌くことが困難と報道される[32]。実際はあくまでも店舗の最小単位である1コマの幅の話なので、生マグロを捌く必要のある仲卸業者は2コマ以上を使用しており、作業上の問題は無いが、一部のマスコミ等が誇大に報道しただけである。
  • 床の耐荷重が700kg/m2しかなく、魚を入れた容器などを置くとすぐに超過してしまうとの主張があった[33]。しかしその後の第2回「市場問題プロジェクトチーム会議」ではコンクリートの厚みが150㎜ではなく10㎜として間違って計算されていたことが発覚した。また一区画分を全て水槽にしてシミュレーションしたとしても床は耐えられることが分かった。[34]
  • 水産卸棟及び青果棟の一部のトラックバースにおいては、コールドチェーン実現のため冷蔵倉庫と同様にトラック後部から荷卸しする構造になっており、ウィング車の使用を想定していない[33][35]。一方で、トラックヤードは一ヵ所ではなく、全てのトラックヤードにおいてウイング車の横扉の開閉が不可能なわけではない。

所在地と周辺[編集]

  • 江東区豊洲6丁目5・7街区及び6街区の一部。
  • 市場施設周囲を取り巻く江東区立「豊洲ぐるり公園」は2017年7月に一部が先行開園、2018年4月に全面開園[36]
  • 旧豊洲埠頭に位置し、対岸に晴海(中央区)、有明(江東区)がある。
  • 豊洲市場予定地の2003年頃の写真は、豊洲鉄鋼埠頭を参照。

ギャラリー[編集]

参考資料[編集]

脚注・出典[編集]

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  1. ^ a b 豊洲新市場(仮称)の名称及び開場日について - 東京都、2015年7月17日、2015年8月13日閲覧。
  2. ^ a b 移転先名称は「豊洲市場」 来年11月7日に開場 - 産経ニュース、2015年7月17日、2015年8月13日閲覧。
  3. ^ 豊洲市場開場記念式典/曲折30年 決意新たに/「仲卸置き去り」憤りも『毎日新聞』朝刊2018年9月14日(東京面)2018年9月15日閲覧。
  4. ^ 豊洲新市場基本計画”. 東京都中央卸売市場. 2018年10月17日閲覧。
  5. ^ 築地市場の移転整備疑問解消BOOK (PDF)”. 東京都中央卸売市場. p. 12. 2018年10月17日閲覧。
  6. ^ 豊洲新市場予定地の土壌汚染はどうするの?”. 東京都中央卸売市場. 2018年10月17日閲覧。
  7. ^ 「築地の土壌からヒ素検出 豊洲との比較が焦点」日本経済新聞ニュースサイト(2017年5月25日)2018年9月15日閲覧。
  8. ^ 16年11月上旬に開場 築地移転の豊洲新市場”. 産経ニュース (2014年12月17日). 2014年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月17日閲覧。
  9. ^ 築地市場の豊洲移転延期 - Yahoo、2016 年8月31日、2016年8月31日閲覧。
  10. ^ 豊洲市場の開場日の決定及びこれに伴う平成30年東京都中央卸売市場における臨時休開場日の変更について - 東京都中央卸売市場、2018年12月20日、2018年12月21日閲覧。
  11. ^ 築地市場の図書室も移転 魚関係3千冊、貴重な資料日本経済新聞ニュースサイト(2018年9月11日)2018年9月15日閲覧。
  12. ^ 魚河岸ものがたり(19)水神社 移転しても商売を見守る『朝日新聞』朝刊2018年9月11日(東京面)2018年10月13日閲覧。
  13. ^ 千客万来施設事業 事業予定者の決定について (PDF)”. 東京都中央卸売市場 (2014年2月19日). 2017年7月11日閲覧。
  14. ^ 千客万来施設事業 事業予定者の一部辞退について”. 東京都中央卸売市場新市場整備部 (2015年2月23日). 2017年7月11日閲覧。
  15. ^ 千客万来施設事業 事業予定者の辞退について”. 東京都中央卸売市場管理部市場政策課 (2015年4月28日). 2017年7月11日閲覧。
  16. ^ 千客万来施設事業(6街区)事業予定者の決定 (PDF)”. 東京都中央卸売市場 (2016年3月4日). 2017年7月11日閲覧。
  17. ^ “都知事、豊洲移転を表明 築地にも市場機能”. 東京新聞. (2017年6月21日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062102000126.html 2017年7月11日閲覧。 
  18. ^ 小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成29年6月20日) 築地市場移転問題について”. 東京都政策企画局調整部政策課 (2017年6月20日). 2017年7月11日閲覧。
  19. ^ “豊洲に予定の観光施設 運営会社が撤退の意向”. NHK. (2017年7月11日). http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170711/k10011053561000.html 2017年7月11日閲覧。 
  20. ^ 豊洲「千客万来施設」、20年には暫定店舗設置日本経済新聞ニュースサイト(2018年8月29日)2018年9月15日閲覧。
  21. ^ “豊洲新市場の基本設計を日建設計が8610万円で受託”. 日経アーキテクチュア. (2011年3月11日). http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20110310/546273/ 2016年7月23日閲覧。 
  22. ^ 東京都/豊洲市場建設現場(江東区)を初公開/躯体工事がおおむね完了”. 日刊建設工業新聞 (2015年10月30日). 2018年10月17日閲覧。
  23. ^ 「築地市場」バス停も変身 地下鉄駅は名前そのまま『日本経済新聞』夕刊2018年10月11日(社会面)2018年10月11日閲覧。
  24. ^ 市場へのアクセスザ・豊洲市場(一般社団法人 豊洲市場協会)2018年10月11日閲覧。
  25. ^ 豊洲新市場基本計画 (PDF)”. 東京都中央卸売市場. pp. 6-7. 2018年10月17日閲覧。
  26. ^ 豊洲市場の土壌汚染問題、健康被害はあるのか 日経ビジネス 2016年11月10日
  27. ^ 「進捗状況、情報開示を」 豊洲の安全対策、識者の見方朝日新聞デジタル2017年6月21日
  28. ^ 朝日新聞2016年9月21日朝刊1面及び38面
  29. ^ “都が「虚偽」の説明、費用どこへ消えた 「豊洲市場盛り土せず」疑問山積”. 東京新聞. (2016年9月11日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016091102000110.html 2016年9月25日閲覧。 
  30. ^ 豊洲新市場(地下たまり水)と築地市場(濾過海水)、独自調査では双方から環境基準値を超える汚染物質が検出も...?huffpost 2016年10月16日
  31. ^ 核の米権威が警告!福島より高濃度…都内にある“危険エリア” 2011年4月14日 ZAKZAK 政治・社会
  32. ^ “「新店舗は狭すぎ」築地市場移転に仲卸業者が悲痛な叫び”. dot.(週刊朝日. (2016年3月4日). http://dot.asahi.com/wa/2016030200129.html?page=2 2016年7月23日閲覧。 
  33. ^ a b “豊洲市場は設計ミス? - 142”. 物流不動産ニュース. (2016年4月5日). http://www.butsuryu-fudosan.com/column/142/ 2016年7月23日閲覧。 
  34. ^ 「荷重で床が抜ける」はやっぱりデマだと完全に判明。豊洲新市場の建屋構造について、ほぼ安全性が確認されました huffpost 2016年10月26日
  35. ^ 森山高至 (2016年7月21日). “築地市場の豊洲移転が不可能な理由 10”. 建築エコノミスト 森山のブログ. 2016年7月23日閲覧。
  36. ^ 豊洲ぐるり公園、4月に全面開園 東京都江東区『日本経済新聞』朝刊2018年3月14日(東京・首都圏経済面)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]