都心部・臨海地域地下鉄構想

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都心部・臨海地域地下鉄構想(としんぶ・りんかいちいきちかてつこうそう)は、東京都心部と臨海部を結ぶ地下鉄の構想である。

概要[編集]

具体的なルートは決まっていないが、東京都中央区が2014年度から2015年度にかけて行った調査[1]では、都心部の起終点を銀座駅付近(新銀座駅(仮))、臨海部の起終点を国際展示場駅付近(新国際展示場駅(仮))の4.8kmとし、中央区内では晴海通りもしくは晴海通りと環状2号線の間にある道路沿いに、江東区内では環状2号線沿いを通り、途中3(新築地駅(仮)、勝どき・晴海駅(仮)、新市場駅(仮))ないし4駅(勝どきと晴海の両方に駅を設置)を設けるとしている。

途中3駅を設置した場合、建設費は2410億円 - 2580億円。事業主体は第3セクターとし、運賃は東京臨海高速鉄道りんかい線並みを想定した場合、輸送人員は1日あたり約10.2万人 - 14.4万人、輸送密度は約6.6万人- 8.6万人/日となり、30年間の費用便益比は0.8 - 1.0、開業後22年 - 31年で資金収支が黒字に転換するとしている。

2016年4月、国土交通省交通政策審議会による答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について[2]では、都心側の起終点を東京駅とするとともに、秋葉原駅 - 東京駅の延伸計画がある常磐新線(つくばエクスプレス)との一体整備および相互直通運転が盛り込まれた。これは、答申をまとめた東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会が提案したもので[3]、原計画では他のネットワークとつながっていないため事業的に課題が生じるという分析結果(総事業費2600億円、輸送密度約4.6万人 - 4.7万人/日、費用対便益比0.7、累積資金収支黒字転換年36年 - 38年)[4]から、常磐新線との一体整備(秋葉原駅 - 新国際展示場駅(仮)8.6km、総事業費6500億円、輸送密度9.9万人 - 10.2万人/日、費用対便益比1.5 - 1.6、累積資金収支黒字転換年18年 - 19年)により既存ネットワークとの有機的な連携と事業性の確保が図れるとした。

沿革[編集]

中央区では、2011年度より銀座晴海地区を結ぶLRTの調査を開始[5]。2013年には「基幹的交通システム導入の基本的考え方」[6]をまとめた。計画では有楽町(運転開始当初は銀座五丁目) - 晴海トリトン間でBRTを導入し、段階的にLRTに転換するというものであった。

BRTについては、東京都などを交えて検討した結果、2019年に新橋駅 - 勝どき - 豊洲駅間で運転を開始し、2020年以降虎ノ門バスターミナル - 国際展示場駅東京テレポート駅2020年東京オリンピック選手村跡地(再開発後)への路線を開設する計画[7]である。

中央区では、選手村施設の集団住宅への転用や再開発事業の進展により、都心と臨海部との間の交通需要がさらに増加するとして、2014年より地下鉄導入を検討[8]、2015年3月に「都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査」の報告書[1]をまとめ、同年6月区議会に報告した[9]

東京都より2015年7月に公表された「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」[10]では、当路線は「整備について検討すべき路線」となった。 報告書によると、臨海部で計画・構想されている4路線(当路線、および東京8号線(有楽町線)延伸(豊洲駅 - 住吉駅)、ゆりかもめ延伸(豊洲駅 - 勝どき駅)、JR東日本羽田空港アクセス線)を比較検討した結果、当路線とゆりかもめ延伸を両方整備した場合、ゆりかもめ延伸の収支採算性の確保に課題が生じるが、その他の2路線(いずれも「整備について優先的に検討すべき路線」)とは需要が競合せず、収支採算性に影響はないとの結果となった。

2016年4月に公表された「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、当路線の新設に加えて常磐新線との一体整備および直通運転が「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として取り上げられた。

読売新聞東京版2019年4月3日付夕刊において、東京都が2019年度中に具体的な整備計画をとりまとめ、2020年東京オリンピック終了後に整備に着手、10〜20年後の開業を目指す方針であることを報じている。この記事の中では銀座を起点に国際展示場駅に至るルートとし、沿線となる築地市場跡地、晴海・勝どき地区、豊洲市場周辺に5ヶ所程度の駅を整備するほか、東京駅まで延伸しつくばエクスプレスと、国際展示場駅でりんかい線・羽田空港アクセス線臨海部ルートと、それぞれ直結させ、千葉・茨城方面から羽田空港への空港アクセス路線にする計画もあるとしている。新線の利用者は1日5万人、総事業費は2500億円を見込んでいる[11]

脚注[編集]

  1. ^ a b 都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査 報告書(概要版) (PDF)”. 中央区. 2017年10月11日閲覧。
  2. ^ 東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申) (PDF)”. 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会. 国土交通省 (2016年4月20日). 2016年4月24日閲覧。
  3. ^ 交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会(第20回) (PDF)”. 国土交通省. p. 18 (2016年4月7日). 2016年5月17日閲覧。
  4. ^ 鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果 (PDF)”. 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会. p. 9 (2016年7月15日). 2017年10月11日閲覧。
  5. ^ “銀座―晴海に路面電車を検討、中央区が周辺道路を調査へ”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2011年2月5日). http://www.nikkei.com/article/DGXNZO22867560U1A200C1L52000/ 2016年4月27日閲覧。 
  6. ^ 基幹的交通システム導入の基本的考え方 (PDF)”. 中央区 (2013年5月23日). 2016年4月28日閲覧。
  7. ^ 都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画 (PDF)”. 東京都都市整備局、京成バス (2016年4月4日). 2016年4月28日閲覧。
  8. ^ “東京都中央区、地下鉄の新路線誘致を検討 五輪で人口増にらむ”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2016年4月28日). http://www.nikkei.com/article/DGXNZO66473270W4A200C1L83000/ 
  9. ^ “選手村予定地に地下鉄構想、五輪後の住宅整備見込む”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2015年6月12日). http://www.nikkei.com/article/DGXMZO88004550S5A610C1000000/ 2016年4月28日閲覧。 
  10. ^ 広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫ (PDF)”. 東京都 (2015年7月10日). 2016年4月28日閲覧。
  11. ^ 銀座から臨海部へ都が地下鉄、羽田直結目指す,読売新聞オンライン,2019年4月4日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]