コンテンツにスキップ

行木俊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
行木 俊
北九州下関フェニックス #15
広島東洋カープ時代
(2022年4月18日、マツダスタジアムにて)
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 千葉県山武市
生年月日 (2001-01-08) 2001年1月8日(23歳)
身長
体重
184 cm
77 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り NPB / 2020年 ドラフト5位
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

行木 俊(なみき しゅん、2001年1月8日 - )は、千葉県山武市出身のプロ野球選手投手)。右投右打。

経歴

[編集]

プロ入り前

[編集]

山武市立大平小学校1年生の時に兄の影響から松尾町少年野球クラブで野球を始めた。小学校高学年の時は主に捕手山武市立松尾中学校時代は九十九シニアに所属し、二塁遊撃など内野を守った[1][2][3]

横芝敬愛高等学校時代は、遊びで投げていたところ、チーム内で一番球が速かったことから周囲に勧められ、2年時に投手三塁を兼任。3年時に本格的に投手に取り組むようになる[3]。しかし、その3年時に右肩の故障に苦しみ[4]、右腕が肩の高さ以上上がらないほどの状態で、夏の県大会での登板に間に合うかも危うい状況だった[5]。結局同大会には4番エースで出場するも球速は最速130km台しか出ず、1回戦で敗退を喫した[6][7][8]

卒業後は高校の先輩でNPBに進んだ伊藤翔鎌田光津希と同じルートを目指し、独立リーグ四国アイランドリーグplus徳島インディゴソックスに入団した[6]

四国・徳島時代

[編集]

2019年の入団初年度は右肩の故障が癒えず、公式戦登板なしに終わる[6]2020年の2年目途中から投球できるようになるまで無給の練習生契約であり、多い時には4つもアルバイトを掛け持ちして生活していた[8][9][10]。2年目となる2020年はリーグ戦中盤以降に投球内容が改善し、先発した9月26日の対香川オリーブガイナーズ戦で7回を無失点に抑え、アイランドリーグでの初勝利を挙げる[11]。高校時代最速138km/hだった球速も150km/h台を出すまで向上し[11]、最終的に10試合に登板した[3]

独立リーグでのプレーは2年と決めていた中で、広島東洋カープ千葉ロッテマリーンズの2球団から調査書が届き、2020年10月26日に行われたNPBドラフト会議では、広島から5位指名を受けた[6]。同年のドラフト会議で指名された独立リーグ所属選手の中では最も早い指名順位であった。徳島からは、戸田懐生読売ジャイアンツから育成ドラフト7位指名を受けた[6]。11月21日に、契約金2000万円・年俸550万円(金額はいずれも推定)で仮契約した[4]

広島時代

[編集]

広島1年目の2021年は強化指定選手として体力強化に特化。春季キャンプを怪我なく終えた[12]。体づくりに専念する予定も、4月中にウエスタン・リーグ公式戦の実戦登板を経験した[13]。しかし、入団前と同じ右肩を故障し[14]、その影響で公式戦登板はその1試合にとどまり、10月14日、1年目にして球団より翌年の契約を結ばない旨を通達された。同時に育成選手契約の提示も受けた[15]。12月9日に育成選手として再契約したことが発表され、背番号は120に変更された[16]

2022年も右肩痛が癒えていなかったが、公式戦登板なしでは立場が危うくなるとの危機感から、右肩を庇いながらウエスタン・リーグ公式戦への登板を重ねた[5]。公式戦18試合に登板し、25回2/3を投げ、0勝3敗1セーブ、防御率3.51の成績を残したが[17]、ワンバウンドを連発したり、直球すら制球が定まらないこともあるなど、のちに「イップスみたいになっていました」と語っている[5]。シーズン終了後はみやざきフェニックス・リーグに参加した[18]

2023年6月、チームメイトの益田武尚に紹介された北九州市の病院で治療を受けると右肩痛が痛みがなくなり[5]、この年はウエスタン・リーグ公式戦19試合に登板。21回2/3を投げ、2勝1敗、防御率3.32の成績を残した[19]。行木本人いわく「感覚も良く球速も上がってきた」が、10月5日、球団から翌年の契約を結ばない旨を通達された[20]

現役続行を希望し[20]、11月15日に鎌ケ谷スタジアムで開催の12球団合同トライアウトに参加。シート打撃で田中俊太伊藤康祐釣寿生と対戦し、被安打1、奪三振1の内容で、直球の最速は146km/hを計測した[21]。複数の社会人クラブチームからオファーは届いたが、NPB復帰を目指すために断りを入れた[22]。その後、自費で単身で台湾に渡り、同月29日に台湾プロ野球台鋼ホークスの新入団選手トライアウトに参加したが[23][24]、結果は不合格だった[22]

KAL・北九州時代

[編集]

2024年1月31日、九州アジアリーグ北九州下関フェニックスとの間で入団に合意したと発表された[25]。広島時代のチームメイトである益田を経由して、北九州から興味を持たれていることを知り、現役引退も考えていたことから一度は保留したものの、周囲からの勧めで入団を決意した[22]。2024年シーズンは31試合に登板して4勝1敗3セーブ13ホールド、防御率3.64の成績で[26]、17ホールドポイントを記録してリーグの最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得するとともに中継ぎ投手部門のベストナインに選出された[27]

選手としての特徴

[編集]

手足が長いことを特徴と自認しており[28]、腕が長くて振りがよいと評されている[29]。自信のある球種は直球スライダー[3]。直球は徳島時代に最速153km/hを計測している[30]

目標とする選手は同じ広島の森下暢仁[4][28]。新入団選手披露会の際には、同じドラフトで巨人に指名された戸田懐生と試合で対戦したいと述べている[28]

詳細情報

[編集]

NPB年度別投手成績

[編集]
  • 一軍公式戦出場なし

独立リーグでの投手成績

[編集]

出典は「一球速報.com」の個人投手成績[31][26]





















































W
H
I
P
2020 徳島 10 8 0 0 0 3 2 0 0 .600 167 42.1 31 0 7 - 3 22 0 0 13 6 1.28 0.90
2024 北九州下関 31 0 0 0 0 4 1 3 13 .800 134 29.2 39 1 7 - 2 26 2 0 13 12 3.64 1.55
IL:1年 10 8 0 0 0 3 2 0 0 .600 167 42.1 31 0 7 - 3 22 0 0 13 6 1.28 0.90
KAL:1年 31 0 0 0 0 4 1 3 13 .800 134 29.2 39 1 7 - 2 26 2 0 13 12 3.64 1.55
  • 2024年シーズン終了時。

背番号

[編集]
  • 14(2019年 - 2020年)
  • 68(2021年)
  • 120(2022年 - 2023年)
  • 15 (2024年 - )

脚注

[編集]
  1. ^ “「地元に恩返ししたい」 山武出身・広島入団、行木投手が活躍誓う”. 千葉日報. (2020年12月28日). https://www.chibanippo.co.jp/news/local/752400 2021年2月14日閲覧。 
  2. ^ 1. 12月15日 本校の卒業生 広島東洋カープに入団決定!”. 山武市立大平中学校. 2021年2月26日閲覧。
  3. ^ a b c d 行木俊(インタビュアー:広島アスリートマガジン編集部)「投手歴は4年。わずか10試合の登板でプロ入りを勝ち取った行木俊の1年目の誓い【SELECT INTERVIEW】」『広島アスリートマガジン』、サンフィールド、2頁、2021年9月6日https://www.hiroshima-athlete.com/articles/-/2144?page=22021年10月11日閲覧 
  4. ^ a b c “早くも「打倒巨人」の心意気!広島東洋カープ5位・行木 俊(横芝敬愛-徳島インディゴソックス・投手)が仮契約”. 高校野球ドットコム. (2020年11月24日). https://www.hb-nippon.com/news/36-hb-bsinfo/45105-bsinfo20201123011 2021年2月14日閲覧。 
  5. ^ a b c d 川村虎大「戦力外に凍り付いた治療室…わずか1年で「頭真っ白」 コップも持てず、生活脅かした激痛」『Full-Count』2024年2月2日。2024年2月4日閲覧
  6. ^ a b c d e “プロ野球ドラフト会議 指名のインディゴ2選手が抱負”. 徳島新聞. (2020年10月27日). https://www.topics.or.jp/articles/-/439140 2021年2月14日閲覧。 
  7. ^ 稲毛vs横芝敬愛 2018年夏の大会 第100回選手権記念 東千葉大会 1回戦”. 高校野球ドットコム. 2021年2月26日閲覧。
  8. ^ a b 川村虎大「深夜3時までアルバイト、無給は「きつかった」 人参農家も経験…紆余曲折の広島入り」『Full-Count』2024年2月1日。2024年2月4日閲覧
  9. ^ 藤田絢子 (2020年12月16日). “電気代は月600円 無給の練習生からカープの選手に”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASNDH71JYNDHPTQP00H.html 2021年3月5日閲覧。 
  10. ^ “【野球】独立L時代は4カ所バイト掛け持ちも…NPBで活躍するため広島・行木は走る”. デイリースポーツ. (2021年4月2日). https://www.daily.co.jp/opinion-d/2021/04/02/0014204834.shtml 2021年4月3日閲覧。 
  11. ^ a b “徳島インディゴソックス第5の男・行木 俊 首位攻防戦で7回ゼロ封!”. 高校野球ドットコム. (2020年9月28日). https://www.hb-nippon.com/news/36-hb-bsinfo/44159-bsinfo20200928003 2021年2月14日閲覧。 
  12. ^ 行木俊(インタビュアー:広島アスリートマガジン編集部)「投手歴は4年。わずか10試合の登板でプロ入りを勝ち取った行木俊の1年目の誓い【SELECT INTERVIEW】」『広島アスリートマガジン』、サンフィールド、1頁、2021年9月6日https://www.hiroshima-athlete.com/articles/-/21442021年10月11日閲覧 
  13. ^ 高信二(インタビュー)「「林を上げるのは待ってほしい」水本前二軍監督からのアプローチ。高二軍監督が語る小園・林・玉村の育成エピソード」『広島アスリートマガジン』、サンフィールド、2021年9月13日https://www.hiroshima-athlete.com/articles/-/21522021年10月11日閲覧 
  14. ^ 行木俊(インタビュアー:菅原梨恵)「ファームで力戦奮闘中! 未来を照らす超新星たち 広島・行木俊 乗り越えて、また一歩「やるべきことは多い。でも、今が楽しい」」『週刊ベースボールONLINE』、ベースボール・マガジン社、2022年7月9日https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=082-20220718-012022年9月22日閲覧 
  15. ^ “広島行木俊、育成選手で再出発 右腕は「しっかり治して」支配下目指す”. 日刊スポーツ. (2021年10月14日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202110140000906.html 2021年10月15日閲覧。 
  16. ^ 広島が戸田隆矢、行木俊の両投手と育成契約 背番号は戸田「125」、行木「120」”. Full-Count (2021年12月9日). 2022年1月3日閲覧。
  17. ^ 2022年度 広島東洋カープ 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)”. NPB.jp 日本野球機構. 2022年10月21日閲覧。
  18. ^ 「みやざきフェニックス・リーグ2022」参加メンバーについて”. 広島東洋カープ公式サイト (2022年10月6日). 2022年10月21日閲覧。
  19. ^ 2022年度 広島東洋カープ 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)”. NPB.jp 日本野球機構. 2022年10月21日閲覧。
  20. ^ a b カープ戦力外通告の育成3選手、現役続行を希望」『中国新聞デジタル』2023年10月5日。2023年10月19日閲覧。
  21. ^ 阪神高山俊がマルチ安打 59人が参加 プロ野球12球団合同トライアウト/詳細”. 日刊スポーツ. プロ野球ライブ速報 (2023年11月15日). 2023年11月16日閲覧。
  22. ^ a b c 川村虎大「予期せぬ戦力外に「え、マジか」 自費で台湾挑戦も不合格…引退直前に“救いの手”」『Full-Count』2024年2月3日。2024年2月4日閲覧
  23. ^ “抱持加入台鋼決心 日職廣島投手自費來台” (中国語). ETtoday運動雲. (2023年11月29日). https://sports.ettoday.net/news/2633052 2023年11月30日閲覧。 
  24. ^ 横尾弘一「台湾プロ野球に新規参入した台鋼ホークスのトライアウトにあの日本人も!!」『Yahoo!ニュース』2023年12月1日。2023年12月14日閲覧。
  25. ^ 行木俊選手入団合意のお知らせ - 北九州下関フェニックス(2024年1月31日)2024年1月31日閲覧。
  26. ^ a b 行木俊 北九州下関フェニックス - 一球速報.com
  27. ^ 2024ヤマエグループ九州アジアリーグ 個人賞 - 九州アジアベースボールリーグ(2024年10月21日)2024年10月21日閲覧。
  28. ^ a b c “広島ドラ5・行木、特徴は「手足の長さを生かしたピッチング」”. デイリースポーツ. (2020年12月15日). https://www.daily.co.jp/baseball/carp/2020/12/15/0013939712.shtml 2021年2月14日閲覧。 
  29. ^ “独立リーグで球速が大幅アップ。カープ5位指名・行木俊の注目ポイントは?”. 広島アスリートマガジン. (2020年12月17日). https://www.hiroshima-athlete.com/articles/-/977 2021年2月14日閲覧。 
  30. ^ 寺下友徳「早くも「打倒巨人」の心意気!広島東洋カープ5位・行木 俊(横芝敬愛-徳島インディゴソックス・投手)が仮契約」『高校野球ドットコム』2020年11月24日。2024年3月25日閲覧
  31. ^ 四国ILplus2020公式戦徳島IS投手成績”. 一球速報.com. 2021年2月14日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]