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*[[ピーター・オトゥール]]…ノーフォーク公リチャード殿下(『豹の檻』)
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*[[アーネスト・ボーグナイン]]…フォスター大佐(『臆病者の島』)
*[[アーネスト・ボーグナイン]]…フォスター大佐(『臆病者の島』)
*[[フランシ・フォポラ]]…トニィ・スタンレイ(『失われた天才監督』)
*[[スタンリー・キューブリ]]…トニィ・スタンレイ(『失われた天才監督』)
*([[レイジング・ブル]]の頃の)[[ロバート・デ・ニーロ]]…コナリー(『穏やかな死』) 
*([[レイジング・ブル]]の頃の)[[ロバート・デ・ニーロ]]…コナリー(『穏やかな死』) 



2008年3月3日 (月) 09:47時点における版

MASTERキートン』は、勝鹿北星浦沢直樹著の漫画作品1988年から1994年にかけて小学館「ビッグコミックオリジナル」に連載。単行本はビッグコミックスから全18巻。後にアニメ化もされている。タイトルは喜劇俳優バスター・キートンのもじりと思われる。

ストーリー

ロイズ保険調査員(オプ)である平賀・キートン・太一は、オックスフォード大学を卒業した考古学者であると同時に、元SAS(英国特殊空挺部隊・対テロ活動で知られる)のサバイバル教官でもある。フォークランド紛争や在英イラン大使館人質事件ではSAS隊員として活躍したとされる。父は日本人(父・太平は動物学者)、母はイギリス人。オックスフォード大学時代に日本人女性と学生結婚し、一女をもうけたが、離婚。別れた妻は数学者として大学教員を勤めている。本人は考古学の道を進みたいと思っているが、職もままならない。発掘費用のために調査員を続けるが、過去の経歴からいろいろな依頼が舞い込み、数々の危険な目にも遭ってしまう。

冷戦前後の社会情勢、考古学、そして太一をめぐる人々のドラマが絡み合った秀作。

主な登場人物

人物描写に定評がある浦沢漫画の中でも、特に秀逸な描写で知られている作品である。端役にあっても深く掘り下げられて描かれ、バックボーンを想像することができる。 ※(声)はアニメのキャスト。

平賀・キートン・太一
声‐井上倫宏/少年時代 宮田幸季
動物学者の父太平と、イギリス・コーンウォール地方の名門キートン家の息女パトリシアとの間に生まれた日英ハーフ。イギリス国籍。
ロイズ保険組合の調査員をしながら、遺跡発掘の足がかりとするために考古学者として大学への就職を探っている。本人の希望は、師であるユーリー・スコット教授も提唱した「西欧文明ドナウ起源論」の証明をすること。専門の考古学に限らず歴史全般に造詣が深く、博覧強記と呼ぶにふさわしい知識人で、複数の言語を自在に操るマルチリンガルでもある。日本の自宅にいる時以外は、発掘作業中であっても基本的にスーツを着ている。拾得物をすぐポケットに入れる癖がある。
オックスフォード大学ベーリアル校に在学中、同校に留学していた日本人女性の数学者と結婚するが離婚。父と同様バツイチの独身である。別れた妻への未練を断ち切るため、陸軍に志願(イギリスは徴兵制度を1960年に廃止している)。SASで数々の戦果を上げ、サバイバル教官としても活躍した。軍当局は当人を士官候補生として扱ったが、軍隊が「あまりに現実的すぎて」自分には向かないと感じ、曹長のときに名誉除隊を選ぶ。とはいえ、サバイバルのスペシャリストであることからフォークランド紛争の際は予備役として待機命令を受けたという。この作品の中でも、湾岸戦争で英国政府から王族救出の特命を受け、イラクへの潜入作戦に従事している。
見た目は柔弱そうだが上記のような経歴を持つため、いざとなるとテロリストや犯罪組織相手にも熟練した戦闘力を発揮。武器を携行せずとも現場にあるさまざまなものを効果的に利用して危機的状況から生還する。格闘も器用にこなすが、あるいはいちばんの特技は投擲かもしれず、足下の石や雪玉、自分の革靴、はてはつららまで、プロ野球の投手顔負けのコントロールで標的に命中させている。
しかし「罪を憎んで人を憎まず」という性格から、たとえ敵対者を打ち倒しても、相手がそれで窮地に陥ってしまったら助けずにはいられない人道家でもある。火器の扱いも完璧だと思われるものの、危機に瀕しても銃口を人間には向けられない臆病ともとれる一面も持ちあわせている。実際、ある案件での逃走中、追手を直接撃たずに足止めさせることだけを選んだ結果、油断によって同行人を死なせてしまったこともある。
借り物のクルマを何台もオシャカにしている。
平賀太平
声‐永井一郎
太一の父で動物学者。パトリシアと結婚し息子・太一をもうけるが離婚。もう老人なのに若い女に手を出すなど、好き勝手に暮らしているように見える。太助というチャウチャウの血が混じった雑種犬を飼っている。一見すると多少茶目っ気の多い凡庸な人物のようだが、その実深い洞察力と人間としての器の大きさを持ち、しばしば主人公の太一をも顔色なさしめる活躍をする。本編中には彼を主人公としたエピソードも数編ある。元軍属ながら性格が柔和という点で息子の太一と共通するが、怒るととても怖いという従軍時の元部下の証言もある。モデルは喜劇俳優の益田喜頓
平賀百合子
声‐桑島法子
太一の娘。初登場時は中学生だが物語が進むうちに高校へ進学する。母親譲りの気の強さや現実的な面と、父親譲りの堅実さやロマンチストな面を、理想的なバランスで兼ね備える利発な少女として描かれる。父親のお人好し過ぎる所は「尊重すべき欠点」と見なしている模様で、当人もややもすればお節介焼きである。
「百合子」の名前はキートンの恩師であるユーリー・スコット教授に由来する。
オックスフォード大学への進学を計画する。
チャーリー・チャップマン
声‐菅原正志
太一の幼なじみの有名探偵。イタリア系。仕事の上では太一をライバル視しており、素早い事件解決をモットーとしているため、重箱の隅をつつくように彼の調査に疑問を提示する太一に苛立ちを覚えることもあるが、その一方で自分以上に度胸の据わっている太一を認めている。いつも推理で太一に一歩及ばないことが悩みの種。登場当初はダンディを地でいくスタイルで事件を解決する姿が描かれたが、それ以降は最終回直前まで太一のかませ犬の役回りに甘んじる。また、女性に惚れっぽく、母親に頭が上がらない。モデルはジャン・レノ
ダニエル・オコンネル
声‐辻親八
太一の勤める探偵事務所の共同経営者(相棒)。女性に弱く、振られる事も多いが、ファッションには一寸うるさい一言家で、人生を達観している所もある。荒事の才能は皆無に等しいが、実務に関しては相応の手腕がある模様で、小さな探偵事務所の経営が行き詰まらないのも彼のお陰といえよう。ただ、太一の能力を信頼しすぎるがゆえか、しばしば非常に難しい仕事を取ってくるため、煙たがられることも……。モデルは元ジェネシスフィル・コリンズ
ハドソン
元ロンドン警視庁・ホーンズロウ警察署の敏腕警部。とある事件で太一と知合い、定年退職後ダニエルの探偵事務所に顔を出すうちに、ルーマニアでの事件に巻き込まれる。太一が念願のドナウ河発掘に従事するのと入替わりで、ダニエルのもとで仕事を担当するが、強引過ぎるやり方でギャラ以上の損害賠償を請求されるほどである。
ナレーション
声‐キートン山田

その他登場人物について逸話

浦沢自身インタビュー(ビッグコミックオリジナル1994年6月20日号)で語っている通り,海外の映画俳優・歌手等をモデルにすることが多い。どの登場人物もよく雰囲気を掴んでおり,浦沢の画力の高さを物語っている。

アニメ版

アニメ版のMASTERキートンは、1998年に原作の全144話の一部を全24話の一話完結式で映像化して日本テレビ系列で放送された。また、ビデオ化の際に新たに15話が制作され、計全39話になっている。原作を忠実に、且つクオリティの高い映像として再現したアニメである。本放送と再放送ではオープニング・エンディング共に主題歌が異なる。

2007年3月10日よりNHK衛星第2テレビジョン衛星アニメ劇場)にてOVA版も含む全39話が再放送された。

製作スタッフ

  • 企画:伊藤和明 (NTV) 、伊藤梅男 (VAP) 、山下暉人・植田文郎(小学館)
  • シリーズ構成:浦畑達彦
  • キャラクターデザイン・総作画監督:高坂希太郎
  • レイアウト監修:高坂希太郎、栗田務
  • 美術監督:池田祐二
  • 担当美術:池田祐二、池田尚、高木佐和子 他
  • 背景:スタジオワイエス手塚プロ、アトリエブーカ、スタジオイースターマッドハウスDR・ムービーTEAM'S ART 他
  • 色指定:鎌田千賀子、佐藤秀一、中村忍、志浦聡子 他
  • 撮影監督:白井久男
  • 撮影:スタジオコスモス
  • 音楽:蓜島邦明
  • 音響監督:本田保則
  • 音響制作:アーツプロ 寺尾桂子
  • 音響効果:倉橋静男(サウンドボックス
  • 録音:田中和成
  • 録音助手:山本和利
  • 録音スタジオ:三分坂スタジオ、タバック
  • 音楽制作:千石一成(日本テレビミュージック
  • 編集:尾形編集室 尾形治敏、寺内聡
  • 現像・ビデオ編集:東京現像所
  • 広報:大関雅人(日本テレビ)、坂下尚美 (VAP) 、山田洋二 (VAP)
  • タイトル・リズワーク:マキ・プロ
  • 制作デスク:根上政紀
  • 企画協力:鈴木総一郎・長崎尚志(小学館ビッグコミックオリジナル編集部)、中中中(チュンノミ)
  • 文芸・設定制作:荒西大介
  • アシスタントプロデューサー:島田享子
  • アニメーションプロデューサー:吉本聡
  • プロデューサー:山下洋 (NTV) 、大島満・田村学 (VAP) 、丸山正雄(マッドハウス)
  • 監督助手:笹木信作
  • 演出助手:笹木信作、小高義規 他
  • 監督:小島正幸
  • アニメーション制作:マッドハウス
  • 企画・制作:日本テレビ
  • 製作・著作:小学館バップ
  • ©浦沢直樹・勝鹿北星/小学館・バップ・NTV 1998

サブタイトル

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 制作協力
CHAPTER:1 迷宮の男 藤田伸三 小島正幸 政木伸一 高坂希太郎
CHAPTER:2 小さな巨人 小島正幸 藤田しげる
CHAPTER:3 ラザーニェ奇譚 小川智子 平田敏夫 神戸守 古賀誠 伽藍
CHAPTER:4 不死身の男 高屋敷英夫 小島正幸 原博 岩井優器 ジュニオ
CHAPTER:5 屋根の下の巴里 笹木信作 高坂希太郎
CHAPTER:6 白い女神 浦畑達彦 青山ヒロシ 古佐小吉重
清水健一
MOOK
CHAPTER:7 遥かなるサマープディング 高屋敷英夫 ときたひろこ 島崎奈々子 太田雅彦 グループ・タック
CHAPTER:8 交渉人のルール 志村錠児 立花源十郎 香月邦夫
CHAPTER:9 貴婦人との旅 金春智子 原博 三好友橋 ジュニオ
CHAPTER:10 チャーリー 藤田伸三 志村錠児 井上鋭
CHAPTER:11 特別なメニュー 高屋敷英夫 青山ヒロシ 古佐小吉重 MOOK
CHAPTER:12 御婦人たちの事件 藤田伸三 島崎奈々子 佐々木守 グループ・タック
CHAPTER:13 穏やかな死 浦畑達彦 小島正幸 栗田務
CHAPTER:14 心の壁 高屋敷英夫 原博 三好友橋
林康弘
ジュニオ
CHAPTER:15 長く暑い日 浦畑達彦 松尾衡 井上鋭
CHAPTER:16 永遠の楡の木 金春智子 平田敏夫 青山ヒロシ 古佐小吉重
清水健一
MOOK
CHAPTER:17 バラの館 藤田伸三 郷敏治 岡千家子 イマジン
CHAPTER:18 フェイカーの誤算 高屋敷英夫 吉村文宏 西田正義 手塚プロダクション
CHAPTER:19 空へ・・・ 金子ツトム 桑原智 瀬谷新二
CHAPTER:20 臆病者の島 藤田伸三 大久保富彦 島崎奈々子 佐々木守 グループ・タック
CHAPTER:21 アザミの紋章 金春智子 笹木信作 藤田しげる
CHAPTER:22 シャトー・ラジョンシュ1944 高坂希太郎
CHAPTER:23 出口なし 藤田伸三 郷敏治 岡千家子 イマジン
CHAPTER:24 オプの生まれた日 浦畑達彦 青山ヒロシ 佐々木守 MOOK
CHAPTER:25 砂漠のカーリマン 金春智子 小島正幸 原博 井上鋭
CHAPTER:26 家族 高屋敷英夫 原博 郷敏治 岡千家子 イマジン
CHAPTER:27 赤い風 水上清資 松尾衡 佐々木守
CHAPTER:28 アレクセイエフからの伝言 荒西大介 小島正幸 井上鋭
CHAPTER:29 禁断の実 小川智子 坂田純一 松村康弘 岡千家子 イマジン
CHAPTER:30 瞳の中のハイランド 井上敏樹 笹木信作 吉田健一
CHAPTER:31 匂いの鍵 藤田伸三 原博 粟田務
清水洋
CHAPTER:32 背中の裏街 金春智子 島崎奈々子
佐々木守
島崎奈々子 佐々木守
遠藤正明
CHAPTER:33 天使のような悪魔 荒西大介 小島正幸 石崎すすむ 増谷三郎 スタジオポッケ
CHAPTER:34 瑪瑙色の時間 川尻善昭 小島正幸
熊谷雅晃
古屋勝悟
三原三千雄
CHAPTER:35 五月の恋 金春智子 高坂希太郎
CHAPTER:36 Blue Friday りんたろう 原博 井上鋭
本間嘉一
CHAPTER:37 面接の日 浦畑達彦 島崎奈々子 木宮茂 倉嶋丈康 イマジン
CHAPTER:38 狩人の季節 前編 藤田伸三 笹木信作 三原三千雄
古屋勝悟
CHAPTER:39 狩人の季節 後編 小島正幸 井上鋭
本間嘉一

放送局・放送時間

放送局 放送日時 放送期間 備考
日本テレビ【製作局】 毎週月曜 深夜24:50 - 1998年10月05日 - 1999年03月29日 *再放送1 1999/4/15-10/5 木17:00
*再放送2 2004/4/2-6/11 金10:30
札幌テレビ 同時ネット
ミヤギテレビ 同時ネット
テレビ金沢 同時ネット
長崎国際テレビ 同時ネット
熊本県民テレビ 同時ネット
中京テレビ 毎週火曜 深夜25:25 - 1998年10月13日 - 1999年04月
西日本放送 1998年10月 - 1999年04月
福岡放送 毎週土曜 深夜 1998年10月 - 1999年04月
静岡第一テレビ 1999年01月 - 1999年06月 3ヶ月遅れ
広島テレビ 1999年04月 - 1999年09月 6ヶ月遅れ
キッズステーション 2000年 CS
BS日テレ 2002年 BS
チャンネルNECO 2006年 CS
NHK衛星第2 毎週土曜 朝8:31 - 2007年03月10日 - 2007年12月08日 BS、OVA版も放送

前後番組

日本テレビ 月曜24:50~25:20
前番組 番組名 次番組
MASTERキートン
日本テレビ 深夜アニメ枠
剣風伝奇ベルセルク
(火曜25:45枠で放映)
MASTERキートン
(当作品のみ月曜24:50枠で放映)
陽だまりの樹
(火曜24:50枠で放映)
NHK衛星第2 土曜8:30~9:00
MASTERキートン
(2007.3.10~2007.12.8)

絶版問題

週刊文春(2005年5月26日号)の報道によると、『MASTERキートン』の著作者は勝鹿北星浦沢直樹となっているが、勝鹿が原作を仕上げたことはなく、小学館の担当編集者である長崎尚志と浦沢が漫画作りの全てを行っていた(長崎証言)、という。

印税は勝鹿と浦沢で折半していたが、これが問題となり交渉、印税は半分ずつのままで勝鹿の名を小さく表記することで決着したが、2004年12月の勝鹿の死去後、勝鹿と親しかった雁屋哲が小学館に猛抗議し、結局、2005年5月現在増刷が中断されている(匿名関係者証言)、とのことである。

但し、週刊文春の記事に対し、既に勝鹿が死去していることから「欠席裁判のような形」になっているとのいしかわじゅんのHP内に掲載された指摘[1]や「直接打ち合わせをしているのはほとんど長崎で、その段階で原作を改変していたというのが浦沢・長崎の語ったところだ」という夏目房之介の見解[2]を取り上げたうえで、記事内容に対し疑問を投げかける指摘もある(外部リンクの検証サイトを参照)。

なおアニメ版は上記の原作とは違いDVDは廃盤には至っていない。

外部リンク

脚注

  1. ^ http://serifugyakuyunyuu.com/lines/keaton/katsu/ishikawa.html
  2. ^ http://serifugyakuyunyuu.com/lines/keaton/katsu/natsume.html