平安京エイリアン

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平安京エイリアン
対応機種 PC-8001
アーケード
Apple II
ゲームボーイ
スーパーファミコン
Windows
携帯電話
発売元 [AC]:電気音響 (現・村田製作所)
[GB]:メルダック
[SFC]:日本物産
デザイナー TSG (東京大学理論科学グループ)
人数 一人用/二人用
発売日 PC-8001:1979年
[AC]:1980年1月
[GB]:1990年1月14日
[SFC]:1995年12月15日
デバイス 4-way joystick, 2ボタン
CPU Z80
サウンド モノラル
ディスプレイ ラスタースキャン
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平安京エイリアン』(へいあんきょうエイリアン)は、1979年東京大学の理論科学グループ(略称:TSG)が開発したコンピューターゲーム。最初はパソコンゲームでの登場だったが、1980年1月に電気音響株式会社からアーケードゲームとしても発売された。当時は東大生が開発したゲームということが各メディアで取り上げられ話題となった。

概要[編集]

2人プレイでは「1人ずつの交互プレイ」「2人で同時(協力)プレイ」があり、前者をPart1、後者をPart2として選択できる。

プレイヤーは検非違使を操り、平安京に侵入したエイリアンを殲滅するという内容。穴を掘り、エイリアンを落とし、埋めるという単純なルールではあるが、それまでの攻めのゲームと違ってプレイヤーが敵に対して行うことは「待ち」であり、非常に戦術的な要素を持っていた。

穴に落ちたエイリアンを埋めるとポイントになり、落としてから埋めるまでの間が短いほど高得点になる。エイリアンは面が進むたび4匹、6匹、8匹と増加。一定時間で穴から脱出するほか、仲間のエイリアンが接触すれば助けられる。1ラウンドで一定時間が経過するとエイリアンが16匹に増殖し、事実上のタイムアウトになる。エイリアンに噛まれるとミスとなるが、その際検非違使が昇天するという演出がある。

ハイスコアを出すと、この頃から定着しつつあったネームエントリーが可能になる。文字の選択方法はただカーソルを動かすのでなく、検非違使を動かして文字のある道を通過するという、凝った演出になっている。

CPUはZ80アーケードゲーム基板セガヘッドオン』のコピー品を使用している。ただし元々の基板がコピー品ゆえ容易にコピーが可能で、結果として実際に世の中に出回った基板の大半は、「コピー品のコピー品」とでも言うべき他社製の基板となってしまった。そのため電気音響製の純正品は現存数が少ない[1]

開発背景[編集]

1979年週刊朝日の「デキゴトロジー」という人気コラムで、大学サークルが開発したビデオゲームを紹介するシリーズがあった。東工大のゲームが紹介され、次に東大が取材された。記者はまず東大マイコンクラブ(TSGとは別の団体)に行ったが、同サークルが見せたゲームは記者が想定するレベルを満たしていなかった。そこでTSGに取材を申し入れたが、TSGは当時ゲームについて何も取り組んでいなかった。

急遽、学生会館ロビーでアイディア出しを行い、河上達(現・ソニー)が平安京エイリアンのアイディアを出した。取材時にはアイディアの説明をおこない、これが週刊朝日に掲載された。しかしこの時点では紙の上のアイディアだけで、プログラムにはなっていなかった。その後サークルのメンバーがApple II、言語はBASICでプログラムを作り上げると記事を見たナムコセガ、そして電気音響(現・村田製作所)の3社からオファーが入り、具体的な商品化案を持ってきた電気音響から翌年発売された。開発にあたったTSGのメンバーは荒川隆志田畑光敏、河上達、武重有正(本ゲーム開発後株式会社ハイパーウェア、現・武重本家酒造)、島田啓一郎(現・ソニー)達である。

当初のアイデアは、「マンションのリビングにゴキブリが這い回っているところに、ゴキブリホイホイを仕掛けて退治する」というものだったという。ただそれだとプレイヤーの自由度が大きすぎるので、フィールドを碁盤の目とし、当時映画『エイリアン』が封切り直後だったためメンバーから「どうしてもエイリアンを出したい」という意見があり、ゴキブリをエイリアンに、ゴキブリホイホイを落とし穴に変更。フィールドも碁盤の目のような町ということで、いくつか名前が挙がった中から平安京となり、ゲームの大枠が固まったとのこと[1]

開発当時に「口裂け女」が流行っていた影響で、最初に開発されたパソコン版ではエイリアンから逃げられるようにするために、べっこう飴ボタンというものがあった[2]。ところが1レバー3ボタンという構成は、当時のハードウェアではできなかったためアーケード版では削除され、他のゲーム同様に「3回死んだらゲームオーバー」とされている。

電気音響は東京大田区に本社があった、音響部品やアーケードゲームを製造していた企業だった。1982年9月、村田製作所が電気音響株式会社の55%の株式を取得し傘下におさめた。1999年4月村田製作所に吸収合併され消滅。なお同社の次回作『ダンシングクイーン』にはTSGは関係していない。

テクニック[編集]

エリアは格子状の路地であるため(ゲームを面白くするため、一部路地が埋められて迷路状になっている)、これを応用した様々なテクニックが生まれた。これらは当初「I/O」に掲載された程度のため、マイコン少年の間でしか話題にならなかったが、漫画『ゲームセンターあらし』(すがやみつる)に取り上げられた事で(漫画にも「I/O」からの出典が明記されている)よく知られた存在となった[3]

隠居掘り
自分の直前と直後に穴を掘って、不意打ちされる死角を無くしたもの。ただしエイリアンが2匹以上で来ると、最初のエイリアンが穴に落ちても次のエイリアンが助けるため逃げ道が無く、特にエイリアンが多い局面では食われる危険性が高い。
アキバ掘り
十字路の中央に位置し、四方向の次の十字路に穴を掘るもの。形がJR秋葉原駅に似ている事からこう呼ばれる。隠居掘りよりエイリアンが穴に落ちやすいため初心者向けだが、逃げ道がない欠点は隠居掘りと同じ。
長野掘り
T字路をエイリアンが動く場合、プログラム上はエイリアンが直線区間を動く確率が高いため、残った一方へエイリアンが曲がってこない(掘り上がる前にエイリアンが穴を埋めてしまっても、検非違使のいる一方側にやって来ない)確率が低い事に賭けて、検非違使を一方側に置きながらT字交差点に穴を掘るもの。長野県出身のTSG会員が編み出した事から命名。
心臓掘り
迫り来るエイリアンを前にタイミングを計算しながら穴を掘るもの。心臓に悪い技なのでこの名がある。
伊藤掘り
エイリアンが穴に落ちた後すぐ埋めればいいが、しばらくたってから埋め始めると得点が低かったり、時間がたって這い出したエイリアンに食われる危険性がある。そこで落ちた穴の隣に新しい穴を掘り、這い出したエイリアンが新しい穴に落ちたら即座に埋めるもの。東大TSGの伊藤が編み出した事から命名。『あらし』では、あらしが教わってもいないのにこの技を使った事で敵が驚くシーンがあり、そのシーンでこれらのテクニックが説明されていた。
イゲタ掘り
一区画に存在する十字路4つ×隣接する2方向=計8方向に穴を掘り、完成した形がイゲタ(#)状に見えるのでこの名がある。隠居掘りやアキバ掘りと違ってエイリアンが進入しても逃げ道があり、また伊藤掘りもしやすい(この位置でエイリアンが穴から這い出しても、絶対同じ方向に進む)という二大長所を持つため、アーケード版では最も多用されるテクニック。ただしイゲタ掘りだけは「I/O」初出時には収録されておらず(したがって『あらし』でも紹介されていない)、別冊「マイコンゲームの本1」に再録された時にこの名がついたため、この名だけはあまり広まらなかった。

関連作品[編集]

アーケード版[編集]

壁の色がオリジナルは緑だが、スペシャルデュアル改造は水色と黄色が存在する。
  • 背景の青いコピーゲーム
こちらはスペシャルデュアルの筐体は使われていなかった。壁は水色、つまり背景色と併せて青の濃淡になっている。
ライセンス生産かコピーゲームかは不明。筐体インストラクションカードもタイトー式で当作専用のものが作られた。サウンドも『ヘッドオン』のものを多数使用している。壁は水色。
エイリアンの速度が最初から最速(ただし穴掘りや穴埋めの時処理落ちする)、掘りかけの穴にエイリアンが来た時にオリジナルでは穴が埋まってしまうが、このゲームはそのまま残る、サウンドが全て異なる(例えば最初にエイリアンが出現する時など、オリジナルは1匹ずつだが、このゲームは2匹ずつサウンドが繰りかえされる)、壁は黄色など、ゲーム内容にある程度アレンジが行なわれた唯一の作品。
アメリカへの輸出用で、ゲーム名の意味は「穴掘り屋」(『ディグダグ』と同語源である)。基本ルールは同じだが、画面や敵などが作り直されており、フォントなどは『ヘッドオン』と同じ。
当作の視点を真上から真横に表現したもので、プレイヤーが上の穴から下の階に飛び降りる事が出来たり、敵を埋める際に縦一列に穴が開いていればまとめて倒すこともできる。
またチュンソフト中村光一はアマチェア時代、このスペースパニックをPC-8001に移植し「I/O」に投稿。「ALIEN Part2」の名で掲載され、中村のアマチェア投稿出世作となった。
1987年に発売された平安京エイリアンのリメイク版。グラフィック、サウンド、ゲームシステムなどが時代に合わせてリニューアルされ、プレイヤーは様々な時代のステージをタイムスリップして進む。フィールド内の宝箱を全部集めると出現する鍵を取って、扉から脱出するとステージクリアー。

移植・リメイク[編集]

LSIゲームではあるが、雰囲気はオリジナルに忠実。
1981年6月発売。前述のとおりこのマイコン版がオリジナルである。壁は黄色。
『ブービーキッズ』というタイトルで発売されたリメイク版。タイトルは異なるが、前述のアーケード版『キッドのホレホレ大作戦』のファミコンへの移植である。グラフィック、サウンド、登場キャラクターなどはほぼ同じだが、ステージ構成が大幅に異なり、古代から未来へ順に進んで行くなど、ゲームシステムは家庭用向けに改編されている。
ドラえもん 迷宮大作戦』というタイトルで、前述の『キッドのホレホレ大作戦』のキャラクターをドラえもんに変更したアレンジ移植版。グラフィック、サウンド、登場キャラクターなどがドラえもん関連に変更されており、それに合わせた新規のデモ画面なども追加された。簡単なパスワードでステージ途中でセーブも可能。なお海外版の『CRATER MAZE』は『ホレホレ大作戦』に準じた仕様で移植されている。
アーケード版オリジナルモードとリメイク版の2本を収録。開発に関わった中潟憲雄の妻の兄が『平安京』の開発者であったため、アーケード版のオリジナルプログラムが提供され、参照した上で移植された。[4]。コーヒーブレイクデモでは検非違使とエイリアンのダンスが見られる。また2台のゲームボーイを接続して遊ぶ対戦モードでは、2台から別々の音が出て演奏する「MMSS=マルチ・マトリックス・サウンド・システム」が採用されている。
ニチブツアーケードクラシックス2』というタイトルで発売。アーケード版オリジナルモードと、スーパーファミコンの性能に合せたグラフィックのリニューアル版やVSモードを収録。ニチブツにライセンスがあったので移植することができた。
  • Windows 1999年9月2日 ハイパーウェア
発売は開発者の縁か上記のハイパーウェア。現在フリーウェア版が配信されているほか、ダイソーの「ザ・ゲームシリーズ」の25番目のタイトルとして100円でも販売されている。
  • 携帯電話用アプリ 2001年1月26日配信
iモード、j-sky(現・Yahoo!ケータイ)、EZwebで配信の携帯電話用アプリ版。アーケード版に準じた移植だが、当時の携帯電話の画面サイズと解像度の仕様に合せて移植のため、道路が縮小されているなど変更点がある。
  • 携帯電話用アプリ 2003年11月13日配信 株式会社ジー・モード
『平安京エイリアンDX』いうタイトルで、iモード用ゲームサイト「Get!! プチアプリ」で505i専用の携帯電話用のアプリケーションとして配信。グラフィックやゲームシステムが現代向けにアレンジされたリニューアル作品。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 多根清史箭本進一阿部広樹 『超アーケード』 太田出版、2002年6月。ISBN 4-87233-670-4 pp.10-23
  2. ^ 「口裂け女はべっこう飴が大好物なので、襲われてもべっこう飴を渡すと、口裂け女が夢中でなめている間に逃げられる」という俗説から。
  3. ^ ちなみに『ゲームセンターあらし』にはTSGも出演しているが、「超アーケード」によれば「特にTSGに話はなく、勝手に載せられた」とのこと。
  4. ^ CONTINUE Vol.4. 太田出版.  pp.10-23

外部リンク[編集]