副市町村長

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副市町村長(ふくしちょうそんちょう)は、市町村において市町村長を補佐し、その補助機関たる職員の担任する事務を監督する、特別職地方公務員である。市町村長が欠けたときにはその職務を代行する。東京都特別区に置かれる副区長も同等の役職である。副区長と合わせて副市区町村長と総称する場合もある。

本記事においては、改正地方自治法2007年4月1日に施行されるまで存在した、同等の役職である助役(じょやく)についても併せて解説する。

  • 地方自治法は、以下で条数のみ記載する。

人数・任期[編集]

第161条第1項において、市町村に副市町村長を置くことができると定められている。ただし、条例によって、置かないこととすることもできる。また、同第2項において、定数は条例で定めることとなっている。例えば、大阪市においては最大3名、横浜市においては最大4名が定数である。

副市町村長の任期は4年であるが、市町村長は任期内であっても副市町村長を解職することができる。また、住民による解職請求制度もある。

副市町村長が任期中に辞職を申し出る場合、20日以上前に市町村長(市町村長が欠けている場合は市町村議会の議長)に申し出て、その承認を受けなければならない(165条)。

改正前地方自治法では、第161条第2項において、市町村には助役を1名置くことが定められていた。ただし特別に条例で定めることで、2名以上の助役を置いたり、助役を置かなかったりすることができた。人口規模の大きい市では2人あるいは3人の助役を置くことが多く、また逆に行政改革を進める市町村では助役を置かないこともあった。平成の大合併の頃は、合併直後の市町村が、合併前の市町村の助役を引き続き各1名任命し、助役が4名以上の多数になることもあった。

選任方法・資格[編集]

副市町村長は市町村長が指名し、市町村議会の同意を得て選任される。このため、市町村長と市町村議会の多数派が対立している場合、副市町村長が任命できない事態が起こりうる。

  • 2010年、鹿児島県阿久根市で、市長がその権限を楯にとって議会の同意を得ずに副市長を任命するという事案が発生した。2010年8月2日、竹原信一市長は議会の同意を受けないまま、市長の専決処分によって仙波敏郎(元愛媛県巡査部長)を副市長に任命した。仙波の副市長就任人事案は8月25日に開催された市議会に提案されたが、市議会はこれを否決した。しかし、竹原と仙波は、仙波の副市長就任のための手続きはこれで終わり、市長の専決処分が議会の議決に優先するので仙波は完全に副市長だ、と主張し、仙波は副市長に留まっている。それに対し、阿久根市議会運営委員長の櫁柑幸雄は、議会は仙波を副市長と認めていない、と批判した。また、鹿児島県知事伊藤祐一郎も仙波の副市長としての法的資格に疑義を表し、仙波を阿久根市副市長ではなく一般職員のひとりとして扱うことを鹿児島県庁内に指示した。

上記事例の後、副市町村長の選任の同意に関する事件については市町村長の専決処分の対象とならないことが、地方自治法上で明文化された[1]

成年被後見人禁錮以上の刑の執行中であったり、公職時代に収賄罪斡旋利得罪で有罪となって公民権停止の者は副市町村長になることができない。国会議員地方議会議員、常勤の地方公共団体職員、検察官警察官公安委員会委員、なろうとしている市町村が発注する業務を請け負う会社の役員等も副市町村長になることができない(166条)。

多くの市町村では、当該自治体の幹部職員から指名されることが多いが、都道府県庁からの出向者や中央省庁のキャリア官僚を副市町村長として受け入れるケースもあり、2014年時点で、内閣府から1人、総務省から19人、国土交通省から42人、厚生労働省から1人、財務省から1人、経済産業省から8人、農林水産省から6人の、計78人が副市長として中央から地方に出向している[2]

職務[編集]

167条では、副市町村長は市町村長を補佐し、市町村長の命を受けて政策・企画をつかさどり、その補助機関たる職員の担任する事務を監督することとされている。また、同条第2項に、市町村長の権限に属する事務のうち委任を受けたものについて、執行すると規定されている。

具体的には、市町村長に代わって業務の詳細についての検討や政策の企画立案を行なったりするほか、市町村長の判断が不要な重要でない事案、もしくは市町村長の委任を受けた事案についての決定や処理を行なう。複数の副市町村長がいる市町村では多くの場合、副市町村長ごとに担当分野が定められており、副市町村長は定められた分野に関して上記の職務を行なう。

また、市町村長に事故があったり欠けたりしたとき、その職務を代理をする。具体的には、市町村長が病気で入院する、逮捕された、海外出張に行くなどで容易にその意志決定ができない状態や、辞任や死亡により空席になったときに、職務代理者として市町村長の代わりに市町村の代表として業務を行なう。このとき、複数の副市町村長がいる場合には、以下の順に職務代理者が決められる。

  1. あらかじめ市町村長が指名した順
  2. (指名が無い場合)席次の順
  3. (席次が不明な場合)年齢の順
  4. (年齢も同じ場合)くじで定めた順

副市町村長が不在の場合に職務代理者となる者については、各市町村でその順番を規定する。規定に該当する役職の者がいなくなった場合は、都道府県知事が代理で当該市町村の在住者から指名することができる。

  • 岩手県大槌町では、2011年3月に東日本大震災で町長の加藤宏暉が行方不明となった後に死亡が確認され、副町長の東梅政昭が職務代理者となった。町長選挙は臨時特例法の適用を受けて延期され、同年6月に同副町長の任期が満了した後は、副町長の指名権を持つ町長が空席のため副町長も空席となった。そのため、町の規定により一般職員である総務課長(当時)の平野公三が職務代理者となり、同年8月の選挙で当選した碇川豊が町長に就任するまでその状態が続いた。
従前の助役の職務

従前の助役の職務は、市町村長の補佐及び職員の事務の監督、市町村長の職務を代理する、といったことのみが規定されていた。また、収入役を置かない市町村では、助役がその職務を兼ねることができた。

旧制度の下でも、札幌市仙台市横浜市京都市福岡市上越市1999年7月から2002年3月31日まで)など一部の市では対外的に副市長の呼称を用いていた。無論、法的・正式には助役であり、条例等では助役と呼ばれ、その権限も助役と同じであった。

副市町村長制度創設の目的[編集]

地方分権や地方行政改革の流れに沿い、また市町村長の市町村運営・政策立案体制(トップマネジメント)を強化・再構築するべきとの地方制度調査会(内閣総理大臣の諮問機関)の答申[3]を受け、従前の助役の権限の強化・明確化を目的として、助役を廃して新たに副市町村長が設置されることになった。

有名な助役・副市町村長[編集]

市町村長にならず、助役・副市町村長のみ務めた人物を挙げる。

注釈・参考[編集]

  1. ^ 地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)により、地方自治法第179条第1項に「ただし、第162条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意については、この限りでない」との一文が追加された
  2. ^ 国と地方公共団体との間の人事交流の実施状況 平成26年10月1日現在
  3. ^ 第28次地方制度調査会の答申

関連項目[編集]

外部リンク[編集]