保育士

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保育士
英名 Childcare Worker
略称 CW
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 保育・児童、教育・教養
福祉・医療、保健・衛生
試験形式 マークシート・実技
認定団体 厚生労働省
認定開始年月日 2001年(平成13年)11月30日
等級・称号 保育士
根拠法令 児童福祉法
公式サイト http://www.hoyokyo.or.jp/
特記事項 職能団体:全国保育士養成協議会
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保育士(ほいくし、: Childcare Worker)は、一般に保育所など児童福祉施設において子供保育を行う者。日本国家資格の一つである。

学歴によっては保育士と幼稚園教諭免許状一種・二種免許状)の、双方の国家資格教育職員免許状を取得することも可能である。保育士の単一資格者は後にオプションとして、幼稚園教諭免許状(一種・二種免許状)の教育職員免許状取得を目指す者も多い。またその逆で、幼稚園教諭免許状(一種・二種免許状)の単一資格者も後にオプションとして、保育士の国家資格取得を目指す者も多い。

法律による定義[編集]

保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう(児童福祉法第18条の4)。名称独占資格の一つである。

保育士の就労[編集]

保育所に入所することを希望しながらも、種々の理由により入所できない待機児童が約2.5万人いる[1]。そのため政府・地方自治体は待機児童の解消の施策により保育所等の増設を進めているが、大都市を中心に保育所や認可外保育施設の新設が進んだ地域では、保育士の人材不足という新たな課題に直面している。 都市部の保育園では従来の公的な人材サービスの他に民間の求人広告媒体や人材サービスを利用するケースが一般化してきているが、従来の総合的な求人広告媒体や総合人材サービスでは専門性の高い保育業界の人材動向に追いつけず、人材不足の問題は深刻化の一途を辿っている。

ただし、保育士の人材不足の原因は必ずしも保育園の増加だけが原因とは言えない。保育士本人の低待遇や志向の多様化による早期離脱者の増加、又は自己中心的な保護者の要求(いわゆるモンスターペアレント)についていけないが故の離脱者の増加、新規学卒者の求人票離れによる保育施設への就業率の低下、学童保育の増加、歯科医院や美容室といった他業界の託児所整備による人材流出など様々な要因が重なって保育士の人材不足が加速していると言える。

保育士の主な就労先は保育士の資格を必要とする認可保育所認可外保育施設いわゆる無認可保育所事業所内保育施設病院内保育施設、へき地保育所、季節保育所)の他に、乳児院児童養護施設児童館学童保育をはじめとした児童福祉施設知的障害者に関わる施設への就職もある。保育士を目指す多くの人は、公立や認可保育所の正規職員を目指しているが、非正規雇用となる場合も少なくない。

近年は産休交代要員等の保育士の派遣を行う労働者派遣会社や、指定管理者として施設を受託運営する会社、保育士を専門に扱う求人広告会社、民設民営で認可保育所を運営する会社が現れている。 前者の就労形態は登録型派遣労働である事が殆どであり、後2者は施設長及び担任を除き、パートタイム労働等の非正規雇用である場合が多い。保育専門の求人広告においては正規職員、パートタイム労働、派遣社員の求人や新卒用や中途採用など幅広く展開している。尚、保育の業務は派遣法上の26業務に含まれていない為、産休等の代替要員派遣を除き、派遣期間は最長で1年となる。 また、保育士は、県知事の許可をうけないと働くことができない。(児童福祉法第18条の4。現地の県・府・道・都の知事に登録を受け、専門的知識にもとづき、児童を育成する)

男女雇用機会均等と保育士[編集]

1999年平成11年)以前の正確な資格名は「保母」であった。それまで、この職業に従事する者は、ほぼ例外なく女性であったが、1985年昭和60年)の均等法1999年平成11年)の男女共同参画社会基本法の制定を契機として、1990年代から徐々に男性保母の就労数も増えていった。

保母に対しては保母さんという敬称や呼びかけを用いるのが通例であったが、男性に対して保母さんと呼ぶには抵抗のある向きも少なくない為、保父(ほふ)という言葉がつくられ、保父さんという呼び名が用いられた(似たような名称の過程をたどったものに、看護婦看護士の例などがある)。しかし、あくまでも正式な名称は「保母」であるため公式文書の職業欄には正式名称である「保母」と記入しなければならず、男性の保育業務従事者には不満であった。総務省行政監察局(当時)の行政相談に意見が寄せられ、これを契機に名称の見直しがなされ、1999年平成11年)4月1日男女雇用機会均等法の大幅な改正に伴い、児童福祉法施行令が改正されジェンダーに依存しない保育士に改称された。

男性保育士の増加については、テレビドラマドキュメンタリーでよく取り上げられている。男性保育士の有用性も指摘されており、男性の増加に期待する向きも少なくない。しかし、長年女性の職域であったため、待遇の不満や、就労に必要な設備(男子更衣室・男子トイレ等)が欠落している等の理由の他に、求人の段階で女性しか雇用しないとする保育園も未だ存在し、男性保育士の就労が阻まれている。

保育士資格を取得する方法[編集]

児童福祉法施行規則[2]に基づき、厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設で所定の課程・科目を履修し卒業するか、保育士試験に合格するかのどちらかで、前者は指定保育士養成施設といい、指定された科目を全て勉強し、保育園と児童福祉施設での校外実習に行って、卒業すると保育士の資格を取得することができる。後者は受験資格は短大卒業程度が必要だが1991年平成3年)3月31日以前に高等学校を卒業した人でも受験資格がある、これは1991年平成3年)4月1日以降から受験資格が短大卒業程度に引き上げられたことによる経過措置で、 高等学校の保育科を卒業した場合1996年平成8年)3月31日以前の卒業で受験資格がある。

保育士国家試験[編集]

受験資格[編集]

短期大学卒業又は大学に2年以上在学し必要以上の単位を取得していれば誰でも受験することができる。見込みでも受験することは可能だがその場合受験結果は仮となり、後日卒業・単位取得を証明する書類を提出しなければ受験結果が無効となる。また上記のように経過措置として高等学校卒業でも受験資格が得られる場合がある。
このほか児童福祉施設において一定期間以上児童の保護に従事していた経験があれば中卒・高卒でも受験資格を得ることができる[3]

筆記試験科目[編集]

保育士試験は科目別の合格制をとっており、各科目とも6割以上得点すれば合格となる。一度合格した科目は翌々年までの3年間有効で、例えば4科目が合格点に達していた場合、その4科目について合格証が交付され、次の保育士試験では残りの科目のみを受験すればいい。ただし教育原理と社会的養護は同一年に両方合格しなくてはならず、片方の合格を翌年以降持ちこすことはできない。既に合格している科目でも再受験が認められており、合格すればその年から更に3年間有効となり仮に不合格でも以前の合格が取り消され有効期限が短縮されることはない。(2013年(平成25年)保育士試験から試験科目が一部変更。)
※は同一年度に両方合格する必要がある、太字は幼稚園教諭免許所持者への免除対象科目。

実技試験[編集]

筆記試験全科目合格者のみ実技試験の受験が可能

  • (1)音楽表現に関する技術、(2)造形表現に関する技術、(3)言語表現に関する技術の3分野から2分野を選択し、両分野とも6割以上の得点で合格。

幼稚園教諭免許所有者を対象とした科目免除[編集]

種別を問わず幼稚園教諭免許所有者が保育士試験を受験する場合、免除申請を行うことで「保育の心理学」・「教育原理」・「実技試験」が受験免除となる。その他の科目についても指定保育士養成施設で受験科目に対応する教科目を習得していた場合、その受験科目は免除される。このため場合によっては全科目免除となる場合もあり得るが、その場合でも通常の受験と同様11月ごろに送付される合格通知書をもって合格となる。

合格後[編集]

合格してもその時点で保育士として勤務できるわけではなく、登録事務処理センターを通じて各都道府県知事への登録が完了し知事から保育士証の交付を受けて初めて保育士の名称を用いて勤務することができる。保育士試験合格から登録完了までにはおおよそ2,3カ月程度を要する。なおこの登録は任意であり、保育士として勤務する予定がない場合は登録しなくても保育士資格が無効となることはないが、保育士の名称を用いて勤務することはできない。

各メディアの取り上げ[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]