国家戦略特別区域

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国家戦略特別区域(こっかせんりゃくとくべつくいき)とは、日本経済再生本部からの提案を受け、第2次安倍内閣成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域法2条で地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区である。国家戦略特区(こっかせんりゃくとっく)と略される。

概要[編集]

地域を絞って、そのエリア内に限り従来の規制を大幅に緩め[1]、外国企業を誘致する計画である。また、この区域は「解雇ルール」、「労働時間法制」、「有期雇用制度」の3点の見直しを対象としている[2]

国家戦略特別区域の方針を決める産業競争力会議。この委員となった竹中平蔵の説明に拠れば、内容は以下の通り[3]

この国家戦略特区(=国家戦略特別区域)は、今までの特区と異なり総理が主導の特区であり、これまでの地方から国にお願いして国が上の立場から許可するというものとは大きく異なり、例えば、東京ヘッドクウォーター特区や北海道輸出農業を特区にしてといった形で、特区を、国を代表して特区担当大臣、地方を代表して知事市長、民間を代表して企業の社長という地方企業の3者統合本部でミニ独立政府の様に決められる主体性を持った新しい特区です。この特区を活用して岩盤規制に切り込みたいと思っている。

アメリカ通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー次席代表代行も、アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」に謳われている規制緩和や透明性の確保などについて、「TPP交渉のうち1つの焦点となっている非関税分野で、アメリカが目指すゴールと方向性が完全に一致している」、「(TPP交渉の非関税分野の議論は)ほとんどすべて安倍首相の3本目の矢の構造改革プログラムに入っている」と語り、歓迎している[4]

経緯[編集]

  • 2013年(平成25年)10月21日、午前の衆院予算委員会で、雇用分野を所管する厚生労働相など、関係分野の大臣を、国家戦略特区ごとに設ける統合推進本部から、外す考えを表明。この件に関して安倍晋三総理は、「意見を述べる機会を与えることとするが、大切なのは意思決定。意思決定には加えない方向で検討している」と語った[5]
  • 特区の今後の方針について、竹中平蔵は、「(2014年)1月24日に召集される通常国会で国家戦略特区法をさらに磨き上げる」、「臨時国会で措置した特例措置は、あくまで暫定的な初期メニュー」、「さらに(規制改革の)項目を追加していかなければならない」、「更なる措置に向けて、早急な調整を進めるべき」というコラムを掲載しており、対象範囲を広げていく予定[6]

問題点[編集]

これは、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の前倒しと既成事実化ではないかという声もあり、特に医療費の負担増が懸念されている[7]。また、税収が増えるとされているが、試算は行われていない[8]。 経済ジャーナリストの東谷暁は、「(国家)戦略特区は間違いなくTPPの受け皿」、「安倍政権の成長戦略は、『アメリカがTPPやそれと並行して行われている二国間交渉で要求していること』をほとんど全て満たしています」、「規制緩和に反対する人たちを「お白州」に引っ張り出してみんなで批判し、規制緩和を進める」と、この特区の問題点を指摘した[9]

問題は成立経緯に関しても指摘されている。2013年(平成25年)11月、山本太郎参議院議員国会答弁で、憲法95条が特定の自治体に適用される法律に住民投票を要求しているところ、戦略特区のように政令で自治体を特定する場合にも同条の精神に照らして住民に制度的な手続を保障すべきで、行政裁量で行われる意見聴取で足りるということではないという旨を主張している[10]

また、国家戦略特区のワーキンググループで行われた有識者ヒアリングには[11]、「平時であれば、絶対に法制審をスキップすることはできない。なぜできたかといえば火事場だったからである。つまり、今も火事場だという認識を作る必要がある。だから、平常のルーチンはスキップさせてもらいますと、これはとても重要だと思う。」という議事録が残されている。

指定内容[編集]

2014年(平成26年)3月28日発表[12]、2014年(平成26年)5月1日指定[13]
2015年(平成27年)3月19日発表[14]、2015年8月28日指定[13]
2015年(平成27年)12月15日発表[15]

都市再生認定事業[編集]

詳細は都市再生特別地区を参照。

  • 大手町一丁目地区(OH-1計画)
  • 大手町(常盤橋)地区 - 地上390mの超高層ビルを建設。
  • 日本橋兜町・茅場町一丁目
  • 八重洲一丁目6地区(八重洲一丁目東地区再開発)
  • 八重洲二丁目1地区
  • 八重洲二丁目中地区
  • 有楽町駅周辺地区
  • 日比谷地区(新日比谷プロジェクト)
  • 虎ノ門一、二丁目地区(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー)
  • 虎ノ門一丁目地区(虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー)
  • 日比谷線新駅
  • 虎ノ門四丁目
  • 愛宕地区(虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー)
  • 虎ノ門・麻布台地区
  • 六本木五丁目地区
  • 竹芝地区
  • 芝浦一丁目地区(東芝ビルディング再開発)
  • 三田三、四丁目地区
  • 品川駅周辺地区
  • 臨海副都心有明地区
  • 羽田空港跡地地区
  • 西新宿二丁目地区
  • 八重洲一丁目北地区
  • 日本橋一丁目中地区
  • 日本橋一丁目東地区
  • 八重洲二丁目南地区
  • 豊島区庁舎跡地地区
  • 浜松町二丁目地区(世界貿易センタービル再開発)
  • 赤坂二丁目地区(予定)
  • 歌舞伎町一丁目地区(予定)
  • 南池袋二丁目C地区(予定)
  • 東京国際空港第2ゾーン地区(予定)

脚注[編集]

  1. ^ 国家戦略特区 28日正式決定MSN産経ニュース、2014年3月25日)
  2. ^ 毎日新聞 2013年10月18日 国家戦略特区:方針決定 外国人医師を解禁…再生本部オリジナル
  3. ^ 東京プレスクラブ 2013年9月10日
  4. ^ CBC NEWS 2013年11月7日 米高官「アベノミクスとTPPの目指す方向性が一致」 オリジナル
  5. ^ 日本経済新聞2013年10月21日 首相、国家戦略特区への関係大臣関与「意思決定には加えない」
  6. ^ 日経BP2014年1月27日「岩盤規制」の突破口となる国家戦略特区、その生命線はスピード感
  7. ^ 国家戦略特区はTPPの前倒しと既成事実化? --見えないTPPを国家戦略特区から見てみよう IWJ Independent Web Journal 2013年8月29日
  8. ^ 原発問題に隠れた都知事選の争点:国家戦略特区 IWJ Independent Web Journal 特集 東京都知事選2014
  9. ^ 月刊日本 2014年3月7日 東谷暁 国家戦略特区はTPPの受け皿だ
  10. ^ 山本太郎公式サイト 【動画】2013.11.26(火) 山本太郎 内閣委員会にて国家戦略特区法案に対する“質疑” 2013年11月27日
  11. ^ 首相官邸 国家戦略特区ワーキンググループ有識者等からの「集中ヒアリング」 平成25年7月5日(金)13:00~13:50
  12. ^ 政府:国家戦略特区に東京都など指定-安倍首相ロイター、2014年3月28日)
  13. ^ a b 国家戦略特区”. 首相官邸. 2015年12月15日閲覧。
  14. ^ 地方創生特区、秋田・仙北と仙台と愛知に 政府決定
  15. ^ 国家戦略特別区域及び区域方針(案) (PDF)”. 首相官邸 (2015年12月15日). 2015年12月15日閲覧。
  16. ^ “4自治体新たに 千葉市はドローンで宅配へ”. http://mainichi.jp/articles/20151215/k00/00e/010/252000c 2015年12月15日閲覧。 

関連項目[編集]