ヤマネコ (種)

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ヤマネコ[1]
Wildkatze 002.jpg
ヨーロッパヤマネコ
Felis silvestris silvestris
保全状況評価[2]
LEAST CONCERN

(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg

分類
: 食肉目(ネコ目) Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
亜科 : ネコ亜科 Felinae
: ネコ属 Felis
: ヤマネコ F. silvestris
学名
Felis silvestris
Schreber, 1775
和名
ヤマネコ
英名
Wildcat
Wild Cat
Wild-cat
下位分類群
本文参照
2007年のDNA解析によるヤマネコ Felis silvestris 5亜種の分布[3].

ヤマネコ(山猫、英:Wildcat, Wild cat, Wild-cat)とはヨーロッパ西アジアアフリカに分布する小型ネコ類の一種である。学名:Felis silvestris

呼称[編集]

日本では一般に野生の小型ネコ類を「山猫(やまねこ)」と総称するが、本項で解説するヤマネコ(Felis silvestris)はそれらのうちの1種である。広義の山猫については「ヤマネコ」を参照のこと。本種はツシマヤマネコイリオモテヤマネコなどとはの水準で別系統であり、日本には、家畜種であるイエネコを除きヤマネコ種の動物は棲息しない。

本種は「ヨーロッパヤマネコ」と呼ばれることもあるが、これは本種に含まれる亜種の一つ・F. s. silvestris和名でもある。

概要[編集]

小型の哺乳類、その他の生物を捕食する。地域により異なった亜種が知られているが、近年はイエネコ(いわゆるネコ)がFelis silvestris catusとして本種に含められることが多い。イエネコは後述するように、人類によってヤマネコの亜種の1つから作出された家畜種であるが、世界中の居住可能な大陸のすべてと大きなのほとんどに導入されており、それらの環境の多くで野生化し、ノネコ野良猫)となっている。

原生地の環境において、本種はサバンナ疎林ステップなどさまざまなタイプの棲息地に適応可能である。家畜種であるイエネコには多様な形態と毛色が見られるが、野生のヤマネコは、黒い縞の入った中間調の褐色で、体長45-80cm、体重3-8kg、肩高は平均35cmほど、尾長は30cmほどである。アフリカに分布する亜種はやや小柄で、色も明るめの褐色であることが多い。

非常に臆病であり、人間の居住地に近づきすぎることを避ける。単独で生活し、約3平方キロメートルのなわばりをもつ。

系統関係[編集]

2007年アメリカ国立癌研究所などアメリカドイツイスラエルスペインフランススコットランドの研究者からなる国際研究チームが、世界各地のイエネコと3大陸に棲息するヤマネコ類5グループ、計979頭から採取されたミトコンドリアDNAを分析した。

その結果、これらがいずれも同一種Felis silvestris(ヤマネコ)の亜種であることが確認された(亜種を参照)。さらに、イエネコは10万年以上前の中東地域に棲息していたリビアヤマネコF. s. libyca)の一群を祖先とし、地中海東部沿岸地域で少なくとも5種類の母性系統から家畜化されたことが明らかになった[3][4][5][6]

本種と系統的に最も近いネコ類はスナネコFelis margarita)である。

亜種[編集]

2007年に発表されたゲノム解析によれば、本種は5つの亜種からなる[3]

古い資料は上記以外の亜種も記載しているが、その分類法は研究者によって一定しない。以下に示すのは、MSW3[1]による分類である。

  • アフリカ系亜種
    • Felis silvestris cafra:アフリカ南部
    • Felis silvestris foxi:アフリカ西部
    • Felis silvestris griselda:アフリカ中央部
    • リビアヤマネコ Felis silvestris lybica:アフリカ北部
      • イエネコ Felis silvestris catus:家畜種
    • Felis silvestris ocreata:中央アフリカ東部
    • Felis silvestris mellandi:中央アフリカ西部
  • アジア系亜種
    • Felis silvestris caudataカスピ海地域
    • ステップヤマネコ Felis silvestris ornata:インドからイランにかけて
    • ハイイロネコ Felis silvestris bieti:(亜種である可能性のある個体群)
  • 不明
    • Felis silvestris chutuchta
    • Felis silvestris gordoni
    • Felis silvestris haussa
    • Felis silvestris iraki
    • Felis silvestris nesterovi
    • Felis silvestris rubida
    • Felis silvestris tristrami
    • Felis silvestris ugandae
    • Felis silvestris vellerosa

関連項目[編集]

脚註[編集]

  1. ^ a b Wozencraft, W. C. (16 November 2005). in Wilson, D. E., and Reeder, D. M. (eds): Mammal Species of the World, 3rd edition, Johns Hopkins University Press, 541. ISBN 0-801-88221-4.
  2. ^ Cat Specialist Group (2002). Felis silvestris. 2006. IUCN Red List of Threatened Species. IUCN 2006. www.iucnredlist.org. Retrieved on 2007-09-02.
  3. ^ a b c « The Near Eastern Origin of Cat Domestication », Science, 29 june 2007. : summary. Authors : Carlos A. Driscoll and al.(M. Menotti-Raymond, A.L. Roca, W.E. Johnson et S.J. O'Brien from the National Cancer Institute in Frederick, MD ; C.A. Driscoll, N. Yamaguchi & D. Macdonald of the Oxford University, Oxford, UK ; A.L. Roca of SAIC-Frederick society, Inc. in Frederick, MD ; K. Hupe of Jagd Einrichtungs Büro in Fürstenhagen, Germany ; E. Geffen Tel Aviv University, Tel Aviv, Israel ; E. Harley Cape Town University, Cape Town, South-Africa ; M. Delibes, CSIC, Seville, Espagna ; D. Pontier, UMR-CNRS 5558, Villeurbanne, France ; D. Pontier, Université Claude Bernard Lyon I à Villeurbanne, France ; A.C. Kitchener, National Museums of Scotland, Scotland, UK.).
  4. ^ 「人類史上初のイエネコは1万年前に中東でネズミを捕っていた」 AFP, 2007年06月29日.
  5. ^ 「イエネコの祖先は近東出身」 Science, 今週のハイライト, 2007年6月29日.
  6. ^ Study Traces Cat's Ancestry to Middle East”. 2007年6月29日閲覧。

外部リンク[編集]