ブレーメン級フリゲート

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ブレーメン級フリゲート (122型)
エムデン (F210)
艦級概観
艦種 フリゲート
艦名 ドイツの地方行政区分・都市
建造期間 1979年 - 1987年
就役期間 1982年 - 現在
前級 Z1級 (119型)ドイツ語版
※旧米海軍フレッチャー級駆逐艦
ケルン級 (120型)
次級 バーデン・ヴュルテンベルク級 (125型)
性能諸元
排水量 基準: 2,950 t
満載: 3,800 t
全長 130.0 m
全幅 14.5 m
喫水 6.5 m
機関 CODOG方式
MTU 20V956 TB92ディーゼルエンジン (3.8MW / 5,200bhp) 2基
LM2500 ガスタービンエンジン
(19MW / 25,800shp)
2基
5翔可変ピッチプロペラ 2軸
速力 30.0 kt
航続距離 5,700海里 (17kt巡航時)
電力 ディーゼル発電機 (750 kW) 4基
乗員 個艦要員: 士官21名+曹士160名
航空要員: 士官6名+曹士12名
武装 76mmコンパクト砲 1基
MLG-27 27mm機関砲
※後日装備
2基
RAM近SAM 21連装発射機
※後日装備
2基
Mk.29 シースパロー短SAM 8連装発射機 (ミサイル24発) 1基
ハープーンSSM 4連装発射筒 2基
Mk.32 mod.9 連装短魚雷発射管 2基
艦載機 リンクスMk.88哨戒ヘリコプター 2機
C4I SCOT-1A 衛星通信
※後日装備
海軍戦術情報システム
(SATIR-II CDS+リンク 11/16)
レーダー DA-08 対空捜索用
TRS-3D/32に後日換装
1基
WM-25 低空警戒/射撃指揮用 1基
STIR-180 PDMS射撃指揮用 1基
3RM20 航法用
※ヌークレウス5000に後日換装
1基
ソナー DSQS-21BX 船首装備式 1基
電子戦
対抗手段
FL-1800S電波探知装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
AN/SLQ-25対魚雷曳航デコイ

ブレーメン級フリゲートドイツ語: Fregatte BREMEN-Klasse, : Bremen-class frigate)は、西ドイツ海軍および統一ドイツ海軍(以後、ドイツ海軍)の汎用フリゲート。計画名から122型フリゲート(90年代の改修以後は122A型)とも呼ばれる。海上自衛隊においては、はつゆき型護衛艦がカウンターパートに相当する[1]

来歴[編集]

本級は、1960年代より着手された予備研究に由来する。当初は1,200トン級の防空コルベット10隻の建造が計画され、まもなく対潜戦の要請増大を考慮して2,500トン級に大型化した。しかし予算上の制約により、リュッチェンス級(103型)3隻、およびツォーベル級(142型)10隻の近代化に落ち着いた。その後、フリゲート70計画が開始され、予算は1969年1月23日に一旦は承認された。しかし設計作業が完了せず、また排水量3,600トンに大型化したことによるコスト上昇を受けて、これはのちにキャンセルされた[2]

これを受けて、海外の設計が検討の俎上にあげられることとなり、オランダの標準型フリゲート(S型)が最も適したものとして選定された。1975年7月17日、オランダとの間で合意文書が調印され、1976年1月28日に国防会議の承認を受けた。これによって建造されたのが本級である[2]

設計[編集]

上記の経緯から、本級の基本設計は、他国のStandard Frigateと共通のものとなっているが、後檣はより背の高いものとされ、外見上の特徴となっている。艦載機を安定的に運用できるようフィンスタビライザーが搭載され、また、対潜戦闘を重視して設計されたことから、船体およびスクリューに雑音を遮蔽するための気泡発生装置(プレーリー・マスカー)も装備されている[3]

一方、両国の運用構想の差異に伴い、主機関は異なる形式とされている。本級においてはCODOG方式が採用されており、巡航機としてはMTU 20V956 TB92ディーゼルエンジン、高速機としてはゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジンフィアット社によるライセンス生産品)が各2基搭載されている。推進器としては、5翔の可変ピッチ式スクリュープロペラが両舷に計2軸配置されており、巡航機と高速機は各推進器に1基ずつ、減速機を介して接続されて、これを駆動する[3]

装備[編集]

本級はシステム艦として構築されており、その中核となる戦術情報処理装置としてはSATIR-IIが搭載されている。これは、アメリカのUNIVAC社によってリュッチェンス級駆逐艦用に開発されたSATIR-Iをもとに、周辺機器もデジタル化・統合化したほか、対潜戦およびヘリコプターの航空管制能力を強化して開発したものであり、アメリカの海軍戦術情報システム(NTDS)に準拠して、リンク 11に対応している。AN/UYK-7コンピュータを中核として、OJ-194ワークステーションを9基備えている。また1990年代中盤には、後述のF122A改修により、AN/UYK-43コンピュータの採用やプログラムの改良など、SATIR-III/F123の技術をバックフィットする改修を受けた[4]ほか、2011年までに、多機能情報伝達システム(MIDS)を搭載してリンク 16にも対応している[5]

武器システムとしては、中口径砲、個艦防空ミサイル艦対艦ミサイルCIWS短魚雷発射管と、対空・対潜・対水上にバランスの取れた兵装を備えている。またゾーン対潜戦に対応して、アグスタウェストランド リンクスMk.88 哨戒ヘリコプター 2機を搭載している[3]

また1990年代中盤にはF122A改修と呼ばれる大規模改修が行われた。これにより、上記のような戦術情報処理装置の更新のほか、メインセンサとなるレーダーは2次元式DA-08から3次元式TRS-3D/32に換装され、またRAM近接防空ミサイルも導入された。また同時期には、ステルス性を考慮した改修も行われている[3]

配備[編集]

ドイツ海軍において、本級は、フレッチャー級駆逐艦及びケルン級フリゲートの後継艦として整備されることとなった。当初は12隻を取得する計画であったが、最終的な建造数は8隻にとどまった。

まず1977年11月26日に6隻が発注され、続いて1985年12月6日に2隻が追加された。ドイツの造船所5社が機関部を含む船体を建造し、最終艤装はブレーマー・フルカン造船所によって行われた[6]

その後、ドイツ海軍の働き馬として艦隊の基幹兵力となってきたが、艦齢が30年を超え、また防衛予算削減に伴うドイツ連邦軍の規模縮小もあり、2012年より順次に退役を開始している。後継艦としてはバーデン・ヴュルテンベルク級(125型)フリゲートが計画されている。

同型艦一覧
# 艦名 造船所 起工 就役 退役
F207 ブレーメン
Bremen
ブレーマー・
フルカン
1979年7月 1982年5月 2014年3月
(予定)
F208 ニーダーザクセン
Niedersachsen
AGヴェーザー 1980年11月 1982年10月
F209 ラインラント=プファルツ
Rheinland-Pfalz
B+V 1979年9月 1983年5月 2013年3月
F210 エムデン
Emden
ノルト
ゼーヴェルケ
1979年6月 1983年10月 2013年11月
F211 ケルン
Köln
B+V 1980年6月 1984年10月 2012年7月
F212 カールスルーエ
Karlsruhe
HDW 1981年5月 1984年1月
F213 アウクスブルク
Augsburg
ブレーマー・
フルカン
1987年4月 1989年10月
F214 リューベック
Lübeck
ノルト
ゼーヴェルケ
1987年6月 1990年3月

編制[編集]

1988年10月1日に第2フリゲート戦隊(2. Fregattengeschwader)が編成された際には、ケルン級フリゲートの残存艦「F224 リューベック(1988年12月に退役)」と「F225 ブラウンシュヴァイク(1989年7月に退役)」の他に、第4フリゲート戦隊(4. Fregattengeschwader)から異動したケルンとカールスルーエが配備された。後には、新たに就役したアウクスブルクとリューベックが第2フリゲート戦隊に配属された。

しかし、2006年の再編成において第1フリゲート戦隊(1. Fregattengeschwader:2000年編成)と第6フリゲート戦隊(6. Fregattengeschwader:1994年9月28日編成)が解隊され、それぞれの戦隊に所属していたザクセン級フリゲート3隻とブランデンブルク級フリゲート4隻が第2フリゲート戦隊に配属されることになった。
これに伴い第2フリゲート戦隊に所属していた4隻のブレーメン級フリゲートは、全て第4フリゲート戦隊に転属されることとなった。

運用史[編集]

本級はNATOの艦艇の一員として、アドリア海アラビア海で運用された。2008年4月、ソマリア沖のアデン湾において、日本郵船のタンカー「高山」が武装した海賊に襲撃された際、「高山」の救難信号を受信した「エムデン」(F210)が艦載機により救援した。ヘリコプターが現場海域に到着した時点では、既に海賊は撤退した後だったが、海賊抑止として一定の評価がなされた[1][2]

2008年8月、F214 リューベックはアメリカ海軍の「テイラー」(O.H.ペリー級)、スペイン海軍の「アルミランテ・ファン・デ・ボルボーン」(アルバロ・デ・バサン級)、ポーランド海軍の「ゲネラウ・カジミェシュ・プワスキ」(O.H.ペリー級)といったNATO所属艦艇と共に、黒海での演習のためにボスポラス海峡を通過した。これらは2007年10月の時点で既に予定されていた演習だが、南オセチア紛争の当事者であるロシアが情勢への影響に対して懸念を表明した[3][4]

出典[編集]

  1. ^ 「独「ブレーメン」級フリゲイトの近影」、『世界の艦船』第505号、海人社、1996年1月、 86-87頁。
  2. ^ a b Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. (1996). p. 145. ISBN 978-1557501325. 
  3. ^ a b c d Wertheim, Eric (2007). Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World: Their Ships, Aircraft, and Systems. Naval Institute Press. ISBN 9781591149552. http://books.google.co.jp/books?id=TJunjRvplU4C. 
  4. ^ Friedman, Norman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629. http://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC. 
  5. ^ SPG Media Limited (2009年). “Bremen Class (F122) Frigates - Naval Technology” (英語). 2009年9月7日閲覧。
  6. ^ 「水上戦闘艦 (第2次大戦後のドイツ軍艦)」、『世界の艦船』第542号、海人社、1998年9月、 80-83頁。

関連項目[編集]