スズキ・バーディー

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バーディーBirdie)はスズキが製造販売するオートバイである。

車両解説[編集]

1973年にスーパーフリーF50/80の後継モデルとして製造開始したビジネス用バイク。車名は英語の「小鳥」に由来し、街に住み着く小鳥のように生活の場に適した愛されるバイクとして命名された。

競合車種はホンダ・スーパーカブヤマハ・メイトなどで両モデル同様にフレームはアンダーボーン型である。

水平配置のシリンダーを持つ空冷単気筒エンジンへの燃料供給はミクニキャブレターを介し、動力伝達はエンジン内蔵式3速ロータリートランスミッション自動遠心クラッチを組み合わせて行う。

ブレーキは前後ともワイヤー式ドラムブレーキ

サスペンションは当初フロントサスがボトムリンク式、リアサスツインショックスイングアームであったが、新聞配達仕様や郵政省(現・日本郵政)仕様ではテレスコピックフォークに変更され現在では全車この仕様となった。

  • また郵政仕様では、直射日光の熱を吸収することで配達員の熱中症罹患を防ぐ意味合いから、通常の黒暗色系と異なるベージュ色のシートが採用された。

始動装置はキックスターターが主体であるが、6ボルトバッテリー搭載の初期モデルからセルモーター付もラインナップされており、セル付き車のみ12ボルトを搭載する。後に全車12ボルト仕様となった。

モデル一覧[編集]

排気量・エンジンの相違によるシリーズ車種が製造されたが、本項では排気量別に解説を行う。

なおスーパーフリーは元となるモデルであるが、共通する部分が多いため加えることとする。

スーパーフリーF50[編集]

1969年発売。1971年まで販売されたアンダーボーン形式のビジネスモデル。公称出力4.5ps。吸気系統はクランクケースリードバルブ2ストロークオイルの供給は同社の4輪軽自動車で実績のあったCCIS分離給油方式[注釈 1]を採用。

のちのFR50型にはフロント周りはほぼ同じ仕様で継続されるが、フレームのリアセクションは大きく異なっている。

ホンダ・スーパーカブに酷似したスタイルだが、フレームはスーパーカブがリアセクションをプレス成型してフロントセクションとシンプルなパイプでつないだことに対し、スーパーフリーF50はリアからセンターまでプレスモナカとし、それにヘッド部分を溶接するスタイルを採用した。これによりフレーム剛性はスーパーカブより格段に高くなり、高速走行時の安定性が非常に高かった。

エンジンには市販車では初となるクランクケースリードバルブ形式を採用し、低い燃費と高い馬力を両立した。これは当時のスズキのレーサーで使われていた技術のフィードバックである。

キャブレターはVM14相当のものが右ケース内に収納され、騒音防止と防塵性が高く整備性も良好であった。このキャブレターの収納形式はバーディシリーズはもちろんのこと、Kシリーズにもほぼそのままの形で受け継がれている。

フレームのリアセクションの右側にサイドカバーを兼ねた鉄製燃料タンク、左側に右側のタンクと同じスタイルのサイドカバーを配し、その中にオイルタンクとバッテリーが収められていた。

現在ではマイナーな存在ではあるが、このスーパーフリーF50で2ストロークバーディシリーズの基礎部分は出来上がり、エンジン部分はKシリーズにつながっている。スズキ小排気量オートバイの要石のようなモデルである。

バーディー50[編集]

  • 当初は2ストロークエンジンのみであったが、1983年10月に4ストロークエンジン搭載車が追加された。以後は2ストローク車と4ストローク車を並売していたが、2004年にフルモデルチェンジを行い4ストロークエンジンのみに統一された。
  • 併売時代には2ストローク車は「2サイクル・バーディー50」、4ストローク車は「4サイクル・バーディー50」の名称で販売された。


FR50型[編集]

FR50-3型
FR50-3型
FR50-J型
FR50-J型
  • 吸気系統はクランクケースリードバルブ(ただしロータリーディスクバルブのスーパーフリーの流れを汲む名残でケース側面から吸気)、2ストロークオイルの供給は同社の4輪軽自動車で実績のあったCCIS分離給油方式[注釈 1]を採用。クラッチはヤマハのメイト(2ストローク車のVシリーズ)と同じで、変速時にも繋がったままのため変速ショックが大きい。
  • 初代から続く型式であったFR50型までは、スーパーフリーから継承されたフロントフォーク部へのポジションライトが残存する。ホンダ・スーパーカブC50型の通称"行灯カブ"に倣い、一部マニアの間では"行灯バーディー"と呼称されている。
  • 1992年よりメーカーが自主的に製品仕様を取り決め、一部の車種でライトスイッチを廃して常時点灯の普及が始まった。1998年に保安基準として[注釈 2]、国産車か輸入車かを問わず走行時には消灯できない構造であることが制定されている。
  • 1987年以降の製造車では型式にBA12Aが与えられており、世代を分類する際にはこちらで呼び表される場合もあるが、上述のポジションライトの形状で製造年代の特定も可能である、
  • レンズ全体がフロントフォーク内に収まっている(3型の画像参照)→70年代・同一形状で長方形(横長)→80年代前半・フォーク横側まではみ出している(J型の画像参照)→80年代後半以降と変化する。
  • 1993年に製造終了。海外市場では1973年頃から80年代後半に至るまで、そのままの名称で販売された。
  • 燃料タンクは4L、エンジンの最高出力は4,2ps、最大トルク0,62kg-mとトルク重視の設定となっていた。


4サイクルバーディー50[編集]

BA41A型
BA41A型
BA42A型
BA42A型
  • 1983年から製造された4ストロークエンジン搭載車。型式名BA41A、モデル名FB50。自動車排出ガス規制強化により1991年にはA-BA41A型へ、2002年にはBA-BA41A型へ変更するマイナーチェンジを実施しているがモデル名はFB50を継承している。
  • A401型エンジンを搭載し、フレームやリアセクション[注釈 3]の形状を変更した。
  • このエンジンは後にクラッチを手動式として原動機型式を変更した上でギャグGS50にも搭載された。
  • 燃料タンクは5L、エンジンの最高出力は5,0ps、最大トルク0,58kg-mと、ライバルのホンダ・スーパーカブヤマハ・メイトよりもパワフルなセッティングとなっていた。更にカブ100EXより早く発進/停止用の遠心式と変速用のシフトペダル連動式の、2系統のクラッチを採用している。(同時代のスーパーカブやヤマハ・タウンメイトT50/80は1系統で両機能を行う)
  • 2004年にBA-BA42A型[1]へのフルモデルチェンジを行い、以下の大幅な変更を実施した。
  • 従来はリアフェンダーとフレームが金属製で一体化しておりフェンダーが腐食した場合はフレームまで使えなくなるが、パイプフレームと樹脂製リアフェンダーに分離することでフレームの耐久性を向上。
  • 前後タイヤを既にバーディー90でも採用されていた14インチサイズに小径化し、荷台面や座席面の高さを抑えた。
  • テレスコピック式サスペンションへの変更。このモデルチェンジにより、ライバルとなる他社のビジネスバイクとは大きく異なるスタイルとなった。
  • 2008年にはJBH-BA43A型[2]として環境対策を兼ねた以下のマイナーチェンジを行われた。
  • 平成18年排出ガス規制に対応するため燃料供給をフューエルインジェクション化。燃料計の装備、レッグシールドをホワイトに変更。また本モデルでは一般仕様の他に、90の足回りを流用しキャストホイールなどを装備した重荷仕様や大型フロントバスケット・リアキャリア・グリップヒーターを装備した新聞仕様[3]も販売されている。
  • 海外市場では90年代前半にスズキ・FB50 Birdieの名称で輸出が行われていた[4]
  • 2016年7月1日に施行された欧州Euro4とWMTCを参考とした規制値および区分[5]の平成28年排出ガス規制[6]をクリアすることが難しいことから、平成24年規制に基く継続生産車である本モデルは2017年8月31日をもって生産終了となった[7]


RC50型[編集]

スズキ・RC50[編集]
スズキ・RC50 (BA13A型)
スズキ・RC50 (BA13A型)
JETCOOLED 半強制空冷エンジン
JETCOOLED 半強制空冷エンジン
  • 1990年に製造開始された2ストロークエンジン搭載タイプ[8]で型式はBA13A。70年代の設計を引きずるFR型から一気に進んだ設計となった。
  • 当初はバーディーではなく、モデル名と同じスズキ・RC50という名称で販売された。FR50型の上位車種という扱いで、後述のBA14Aへのモデルチェンジまでは下位モデル扱いで従来型のFR50型も併売された。
  • フレームがBA41A型4ストローク車と共通したデザインとなり、オイルダンパー装備の本格的なテレスコピックフォークを採用。
  • エンジンはJET-COOLED半強制空冷エンジンとなった。
  • クランクシャフト左側にフライホイールと共にシロッコファンが設けられ、左クランクケースカバー後部から吸気し、シリンダー左側面から右側面に向けて送風による強制空冷を行うもの[9]で、シリンダーヘッドは自然空冷とされた為に半強制空冷と称された。
  • 左クランクケースカバーにJET-COOLEDロゴが刻印されており、レッグシールドにもシリンダー直上付近に5本の斜めスリットが左右に開けられている事で、4ストローク車との判別が行えた。
  • クラッチが4サイクルバーディーと同じ発進/停止用のドライブクラッチと変速用のシフトクラッチの二系統となった。
  • フレームサイドカバーにはRC50(RCのみ赤文字)のエンブレムが貼付された。
  • 電装を12ボルト仕様とし、ポジションライトを廃止。寒冷地向けに15Wのキャブレターヒーターもオプション設定された。
  • ドライブチェーンのサイズが420から428サイズに強化される。
  • 燃料タンクは4,4L、エンジンの最高出力は4,9ps、最大トルク0,62kg-mと従来型よりも出力UPの設定となっていた。


2サイクル・バーディー50[編集]
BA14A型
BA14A型

1993年にマイナーチェンジを行い型式がBA14Aとなる。(モデル名はBA13Aと同じRC50)この時、以下の仕様変更が行われた。

  • RC50の名称が使われなくなり、2サイクル・バーディー50という名称が与えられた。
    • BA14Aへのモデルチェンジと同時にFR50型の製造も終了した為、RC50は事実上FR50型に吸収統合される形で製造を終了する事となった。
  • フロントサスをボトムリンクに簡略化し、ヘッドライト周辺を含め4サイクル車(BA41A型)と共通化された。合わせてヘッドライトが25Wから35Wへ光量アップ。
  • レッグシールド右上の排気量を示すエンブレムを廃止[注釈 4]。斜めスリットも5本から3本に減少し、形状も楕円形に変化した。
  • フレームサイドカバーのエンブレムはBirdieの英字と鳥のマークが組み合わされた意匠のものに変更された。
  • 上位排気量モデルの廃止後も数少ない2ストロークのビジネスバイクとして生産が継続されていたが2004年に製造終了となった。特に1990年から1993年までのRC50は、テレスコピックフォークの採用で上質な乗り心地を目指したコンセプトのモデルでもあり、日本での製造終了後も東南アジア方面では同系統の位置付けの2ストロークビジネスバイクが、その後も複数の排気量で生産されている。
  • エンジン出力、タンク容量、タイヤサイズなど、フロントサス、ヘッドライトを除き基本的な設計部分にはRC50からの変更部分はない。

バーディー70・80[編集]

2ストロークエンジン搭載車[編集]

FR80
  • いわゆる原付二種(小型自動二輪車)カテゴリーでは、1975年頃2ストローク69ccのバーディー70(FR70型)が発売されたのが最初である。
  • 海外市場では1973年頃のFR50型の輸出と同時にFR70がラインナップされていたが、1974年には早くも2ストローク79ccのFR80にモデルチェンジしている。
  • 国内市場でも後年80ccに拡大されたバーディー80(FR80型)が登場。1986年に12ボルト電装のFR80D型、1992年にセル・キック併用型となったFR80GD型にマイナーチェンジし、1990年代中盤に生産終了となるまで装備・グレードの構成も含めて50cc同様に並売された。
  • なお、海外ではRC50の拡大版であるRC80やRC100が販売されていた[9]

4ストロークエンジン搭載車[編集]

  • 1986年から製造・販売が開始されたFB80型で車台番号はBC41A。1992年にはセル・キック併用型にマイナーチェンジ。2001年にバーディ90にフルモデルチェンジするまで製造された。
  • 海外市場ではスズキ・FB80の名称で輸出が行われていた[10]

バーディー90[編集]

  • 1991年から製造されていた郵政省向け納入モデルBD41A型(通称:郵政バーディー)が母体。前後ホイールに14インチ径を採用し88ccの4ストロークエンジンを搭載する。
  • 2001年に製造中止となったBD41A型をベースにBC-BD42A型[11]として製造販売が開始されたが、以下の変更点を持つ。
  • スーパーカブ・メイトと差別化を図るためビジネスモデルとしては初めてキャストホイールを採用[注釈 5]。チューブレスタイヤの装着が可能となりパンク時の補修が容易になった。
  • タンデムシート(ピリオンシート)を標準装備。
  • 2006年にフルモデルチェンジを実施しBC-BD43A型[12]となった。車体構成は先に変更されたバーディー50とほぼ同一となったが、先代からのキャストホイールやタンデムシートはそのまま承継された。
  • 排出ガス規制強化により2008年11月に生産終了。シリーズ中でも90は日本国内専売車種であった。

海外専売車種[編集]

Suzuki RG Sport 110(2サイクル110cc)
Suzuki RG Sport 110(2サイクル110cc)
Suzuki SATRIA 120(2サイクル120cc)
Suzuki SATRIA 120(2サイクル120cc)
Suzuki Raider 150(4サイクル150cc)
Suzuki Raider 150(4サイクル150cc)

東南アジアを中心とした発展途上国向け輸出モデルではBA14A・BA41A系列の車台に排気量100ccのエンジンを搭載し、2ストロークがRC100[13]、4ストロークがFB100として製造・販売された[10]

また厳密にはバーディーとはやや異なるスクーター然とした車種[注釈 6]でも、排気量110ccの車種も製造され2ストロークはクリスタル(RC110)[14]、4ストロークはショーグン(FB110)の名称で販売された。

バーディー由来の水平シリンダーエンジンの車種は上記110ccまでで、その後は傾斜シリンダーの新エンジンにレイアウトが変更されているが、上記の後継車種としてSuzuki・RG110(半強制空冷2サイクル110cc 自動遠心クラッチ)、Suzuki Satria 120(半強制空冷2サイクル120cc マニュアルクラッチ)、Suzuki Satria F150(空冷4サイクルDOHC150cc)などの系譜が続いている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b Cylinder Crank Injection and Selmixのアクロニム
  2. ^ 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第143条6項12)。
  3. ^ タイホンダ製のカブ100EX(タイカブ)に類似した形状である。
  4. ^ エンブレムは、数字が水色の物と赤色の物の2種類が有るが、この違いはグレードを示している。赤色であれば"ハイデラックス"仕様(フロントキャリア等装着)である<FR50初期(70年代製)のものはグレード別での色分けはされておらず全てメッキ製である。
  5. ^ BD42Aモデルチェンジ後にも少数が郵政省に納入されたが、この仕様は従来のスポークホイールで納入された。
  6. ^ スーパーカブに対するホンダ・ウェーブの関係に近い。

出典[編集]

  1. ^ 扱いやすさ、走行安定性、耐久性を一層向上 ビジネスバイク 新型「バーディー50」を発売 - 2004年10月20日 - スズキ株式会社-広報
  2. ^ スズキ、ビジネスバイク「バーディー50」シリーズを一部改良して発売 - 2008年2月22日 - スズキ株式会社-広報
  3. ^ スズキ、ビジネスバイク「新聞バーディー50」にグリップヒーター付を発売 - 2005年10月26日 - スズキ株式会社-広報
  4. ^ Suzuki models 1991 Page 7
  5. ^ 環境省・自動車排出ガス専門委員会(第54回)配付資料 54-2 二輪車の排出ガス規制に関する国際基準調和の動向等について (PDF) - 小排気量車の数値と区分が日本と欧州で異なる。
  6. ^ ディーゼル重量車及び二輪車の排出ガス規制を強化します。”. 国土交通省自動車局環境政策課 (2015年7月1日). 2017年3月24日閲覧。
  7. ^ モータファン ニューストピック 9月突入で生産終了モデルがズラリ! SR400もアドレスV125も……カタログモデル激減(涙) 2017年9月3日
  8. ^ ミイラ伝説 Vol.74 SUZUKI RC50
  9. ^ a b E-View: Suzuki RC 80 - Twostroker Indonesia
  10. ^ a b Suzuki models 1991 Page 6
  11. ^ 耐久性を追求したビジネスバイク「バーディー90」新発売 - 2001年10月15日 - スズキ株式会社-広報
  12. ^ スズキ、耐久性に優れたビジネスバイク「バーディー90」を全面改良して発売 - 2005年12月28日 - スズキ株式会社-広報
  13. ^ Suzuki RC80, RC100 dan RC100 Sprinter
  14. ^ Suzuki Crystal – Suzuki RC110

関連項目[編集]

外部リンク[編集]