オリッサ州

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オリッサ州
Orissa
ଓଡ଼ିଶା
インド国内の位置
(インド国内の位置)
基礎情報
 インド
行政区 オリッサ州
州都 ブバネーシュワル
面積 155,707 km²
人口 2018年
 - 合計 45,989,232 人
 - 人口密度 300 人/km2
時間帯 インド標準時(IST)UTC+5:30
公用語 オリヤー語
創立 1949年1月1日
州知事 サトヤ・パル・マリク英語版(Satya Pal Malik)
州首相 ナヴィーン・パトナーヤク英語版(Naveen Patnaik)
立法機関(議席数) 一院制(147)
略称ISO IN-OR
州公式ウェブサイト http://www.orissa.gov.in

オリッサ州(オリッサしゅう、オリヤー語: ଓଡ଼ିଶା英語: Odisha、以前は英語: Orissa)は、インドの南東部にあるの一つ。州都はブバネーシュワル。人口は約4372万人(2014年)。公用語はオリヤー語

呼称[編集]

2009年に現地語の英語での綴り(rendering)が旧名称英語: Orissaから変更され英語: Odishaとなった。現地語自体は変わらずオリヤー語: ଓଡ଼ିଶା[oˑɽisaˑ]であり、現地語からの音訳である日本語での呼称も変わらずオリッサ州である。

地理[編集]

インド東部に位置する。州東部に海岸線が広がりベンガル湾へと通じる。州の東部で西ベンガル州、南部でアーンドラ・プラデーシュ州、西部でチャッティースガル州、北部でジャールカンド州に面している。内陸には山地が広がっている。主要河川にマハーナディー川英語版で、中東インド地方における主な川である。

歴史[編集]

プリーの風景
コナーラクの太陽神殿

オリッサの歴史はインドの有名な叙事詩であるマハーバーラタまでも遡り、この聖典では本地方にカリンガ国土着の民族が住んでいたと指摘されている。古代において、この地域にカリンガ国が栄えていた。紀元前3世紀にこの地に対して残酷な征服を敢行したのがマウリヤ朝アショーカ王であったが、これを反省した同王は、これ以降ダルマ(法)に基づく統治を行ったとされる。そのため、アショーカ王の支配された地方として、また同王を仏教へ導いたカリンガ国で戦われたカリンガ合戦の記念として、オリッサ州の州都であるブバネーシュワル周辺では、数多くの仏教建造仏が今でものこされている。

マウリヤ朝が弱体化するとカリンガ国は独立し、紀元前2世紀チェーティ朝が成立した。カーラヴェーラ王時代にはグレコ・バクトリア王国サータヴァーハナ朝に対抗して大勢力を築いた。

その後は、インド北部南部をつなぐ地域であるため、諸勢力の征服を受けた。5世紀末に成立した東ガンガ朝のもとで独自の文化が形成され、オリッサ文化英語版が栄えた。

1434年カピレーンドラ英語版が東ガンガ朝に代わりガジャパティ朝を創始し、ベンガルデカン南インドに進撃し、この王朝は栄えた。

しかし、16世紀後半オリッサはムガル帝国の支配下に置かれることとなり、19世紀初頭からはイギリスの統治下におかれた。

1856年、オリッサ州都カタックから北西に100キロメートルほどの都市のタルチール炭田[注釈 1]で、イギリス地質調査局のブランフォード兄弟が石炭だけでなく、それが堆積している前が氷河時代だったことを発見した[1]

1905年に出されたベンガル分割令で、州の一部は西ベンガル州に組み込まれたが、分割令の廃止にともない再編され、1912年ビハール州と合併した。1936年に再び単独の州となり、州都はカタックCuttack)に置かれた。第二次世界大戦後、山岳地帯にあったいくつかの藩王国と合併し、1956年には州都をブヴァネーシュヴァルBhubaneswar)に遷都した。

1999年オリッサ・サイクロンが上陸。

2013年10月12日、大型のサイクロン・ファイリン英語版が上陸[2]

経済[編集]

かつてはサイクロンなどの自然災害にさらされ、貧困地域として見向きもされない状況にあった。

しかし、鉄鉱石を初めクロム石炭などの鉱物資源が豊富に存在することが判明するやいなや、アルセロール・ミッタルや韓国最大の製鉄会社であるポスコなど大手製鉄企業が進出してきた。製鉄企業は100億ドル規模の投資を行い、製鉄所などの建設を進めている[3]。鉱物資源に関連する産業の急速な発展に伴い、過去10年にわたって平均的GDP成長はおよそ8~9%は保たれている。

ただし、この開発活動には問題も発生している。鉱区には先住民が住んでいるケースが多いが、企業や行政府は経済活動を優先し、強硬な立ち退きなどの措置を執っている。立ち退きの課程では先住民の死亡といった事態も起こっている[3]

なお、オリッサ州はインドでは珍しく、州政府の電力政策の改正によって地方などを含む電力供給が安定している[3]

行政区分[編集]

  1. アヌグル県英語版 (Angul District)
  2. バランギル県英語版 (Balangir District)
  3. バーレーシュワル県英語版 (Baleshwar District)
  4. バルガル県英語版 (Bargarh District)
  5. バウド県英語版 (Baudh District)
  6. バドラク県英語版 (Bhadrak District)
  7. カタック県英語版 (Cuttack District) - カタク
  8. デバガル県英語版 (Debagarh District)
  9. デンカナル県英語版 (Dhenkanal District)
  10. ガジャパティ県英語版 (Gajapati District)
  11. ガンジャム県英語版 (Ganjam District) - アスカ
  12. ジャガティンガプル県英語版 (Jagatsinghpur District)
  13. ジャジャプル県英語版 (Jajapur District)
  14. ジャルスグダ県英語版 (Jharsuguda District)
  15. カラハンディ県英語版 (Kalahandi District)
  16. カンダマル県英語版 (Kandhamal District)
  17. ケンドラパラ県英語版 (Kendrapara District)
  18. ケーンドゥジャル県英語版 (Keonjhar District)
  19. コルダ県英語版 (Khordha District) - ブヴァネーシュヴァル
  20. コラプト県英語版 (Koraput District)
  21. マルカンギリ県英語版 (Malkangiri District)
  22. マユールバンジ県英語版 (Mayurbhanj District)
  23. ナバランガプル県英語版 (Nabarangapur District)
  24. ナヤガル県英語版 (Nayagarh District)
  25. ナウパダ県英語版 (Nuapada District)
  26. プリー県英語版 (Puri District) - プリーコナーラク
  27. ラヤガダ県英語版 (Rayagada District)
  28. サンバルプル県英語版 (Sambalpur District) - サンバルプル
  29. ソナプル県英語版 (Sonepur District)
  30. スンダルガル県英語版 (Sundargarh District)

主要都市[編集]

  • プリー - ベンガル湾に面する都市。インド四大聖地の一つ。ジャガンナート寺院英語版が有名。
  • コナーラク - 玄武岩で作られた太陽神殿(スーリヤ・マンディル)が有名。
  • カタク - ブバネーシュワール以前の都として栄えた古都。オリッサ州における銀製品、真鍮製品、シルク製品、綿製品、宝石等取引の中心地。
  • サンバルプル - オリッサ一の大河、マハーナディー川沿いに発展した西オリッサ地方の中心都市。サンバルプリー方言が話される。特産物としてが有名。
  • アスカ - アジア初の製糖工場が設立された街。製糖業が盛んであり、「砂糖の街」の愛称がある。

教育[編集]

主要な出身者[編集]

インドにおける民族的英雄。日本と結んでインド独立を実現しようとした。ただし民族的出自はベンガル人である。
第15代大統領

オリッサ州を舞台にした作品[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 今はマハナディ炭田で357億8千万トンの埋蔵量、地元のいくつかの発電所に燃料を供給している[要出典]

出典[編集]

  1. ^ ニールド, テッド『超大陸 100億年の地球史』松浦俊輔訳、青土社、2008年10月、47頁。ISBN 978-4-7917-6442-6 
  2. ^ “巨大サイクロン、インド上陸=カトリーナに匹敵”. 時事通信. (2013年10月13日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2013101300008 2013年10月13日閲覧。 
  3. ^ a b c Kripalani, Manjeet (2007年12月13日). “インドのオリッサ州が熱い 天然資源の宝庫にグローバル企業が殺到”. 日経ビジネスオンライン. 日経BP. 2008年7月2日閲覧。一部閲覧制限あり。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]