一院制

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一院制(いちいんせい)とは、議会がただ1つの議院によって構成される制度。対義語は両院制

概要[編集]

世界的には先進国は別として一院制をとる国が多い[1]

先進国の多くは両院制を採用している[2]フランスアメリカイギリスドイツ日本イタリアカナダなど)。一方、一院制をとる代表的な国として中国(全国人民代表大会[3]や韓国(国会[4]が挙げられる。1970年代に北欧諸国は両院制から一院制に移行した[5]スウェーデンでは両院合同会議の慣行から一院制に移行している[6]

しかし、ベルギーで上院議長を務めたアルマン・ドゥ・デケールは世界的にはむしろ両院制指向にあるとしている[5]。一時期、比較的小さい国では両院制から一院制への移行の動きがみられたが、ロシアフィリピンのように一院制から両院制へ移行した国もある[2]

独裁政治から民主政治への移行時、社会主義からの転換時、連邦制の導入時などに一院制から二院制への移行は見られるといわれる[6]。フランス上院で法務副委員長を務めたパトリス・ジェラールは「上院あるいは第二院の存在はほとんど民主主義の基準と言ってよいと思う」と述べている[7]

パリ第二大学教授のピエール・アヴリルによると、フランスでは19世紀末から両院制がとられ、しばしば一つの主権に二つの議会はおかしいという批判を受けたが、1946年及び1969年の憲法改正の国民投票では賛成を得られず上院が維持されており、「強いて問題があるとすれば、更に近代化を進めるべき」と指摘している[8]。ベルギーでは2004年8月に首相のヴェルホフスタットが上院を下院に吸収合併する提案をしたが失敗している[9]。欧州連合(EU)の立法システムは、欧州議会及び閣僚理事会双方の承認を要する方向に進んでおり、一種の二院制のような形になっているとされる[10]

日本では、参議院について、衆議院と全く同じ意思を示すと「カーボンコピー」と揶揄され、衆議院と正反対の意思を示すと「決められない政治」と言われる難しい存在であるという指摘がある[11]。そのため参議院不要論など一院制への移行が主張されることがある。一方、人口比例により大都市部の代表が増えて農村部の代表が減ることへの危惧などから、衆議院とは異なり参議院については地域代表の院としての性格を持たせることで独自性を発揮させるべきといった意見もある[12]

一院制の特徴[編集]

利点[編集]

  1. 両院の意見が対立し、時機に応じた法律の整備が遅れるということがない。
  2. 両院の意見が一致する場合の議論の重複を省くことができ、速やかに立法が行われる。
  3. 人件費、選挙実施費用、といった経費を削減できる。

欠点[編集]

  1. 一通りの審議で法律が成立してしまうので、その時の雰囲気に流されて立法がなされる恐れがある。
    アルマン・ドゥ・デケールは、一院制における一般大衆におもねる危険を指摘し、選挙の際の一時的な考えや利益に左右される傾向やポピュリズムの傾向があると指摘する[13]
  2. 一つしかない議会が解散されて総選挙が行われる前に、議会決議が必要な事態に対応できない恐れがある。

一院制を採用する国[編集]

  両院制を採用している国
  一院制を採用している国
  議会がない国

五十音順。★印は活動停止中。

最初から一院制[編集]

二院制から一院制へ[編集]

数字は、一院制に移行した年。

二院制へ移行した国[編集]

数字は、二院制に移行した年[16]

参考資料[編集]

  • 参議院『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』2005年4月
  • 国立国会図書館調査及び立法考査局 シリーズ「憲法の論点」二院制(田中嘉彦) 2005年3月

脚注[編集]

  1. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』p.191
  2. ^ a b 第159回国会 参議院憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会 第2号”. 参議院憲法調査会. 2015年12月2日閲覧。
  3. ^ 中国基礎データ”. 外務省. 2015年12月2日閲覧。
  4. ^ 大韓民国基礎データ”. 外務省. 2015年12月2日閲覧。
  5. ^ a b 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』p.247
  6. ^ a b 日本国憲法に関する調査特別委員会関係資料”. 参議院憲法調査会. 2015年12月2日閲覧。
  7. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』pp.332-333
  8. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』pp.336-337
  9. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』p.208
  10. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』pp.279-280
  11. ^ “参院に独自性は必要か 創論・時論アンケート”. 日本経済新聞. (2013年6月30日). http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXNASGH2700P_X20C13A6000000&uah=DF260620133648 2014年7月7日閲覧。 
  12. ^ 憲法調査会報告書等発言要約一覧”. 参議院憲法調査会. 2016年1月12日閲覧。
  13. ^ 『参議院憲法調査会における海外派遣調査の概要』p.248
  14. ^ 2005年成立の憲法は二院制を定めるが上院未成立
  15. ^ 1924年から1961年まで一院制、以降1980年まで二院制、以降一院制。THE CONSTITUTIONAL TRADITION AND PARLIAMENTARY LIFE” (英語). 2008年10月30日閲覧。
  16. ^ 国立国会図書館調査及び立法考査局 シリーズ「憲法の論点」二院制(田中嘉彦) 2005年3月

関連項目[編集]