アイテム課金

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アイテム課金(アイテムかきん)とは、コンピュータゲーム内で利用できるアイテム(追加コンテンツ)を課金してユーザー販売するビジネスモデル。

日本オンラインゲーム協会(JOGA)のガイドライン[1]によると、2013年現在、ゲームの課金方式は「パッケージ販売」・「月額課金」・「アイテム課金」・「従量課金」(プレイするたびに課金する方式)・「その他の課金」(複数の課金方法を組み合わせたものなど)の5種類あるとされており、そのうちの「アイテム課金」について本稿で扱う。以下、用語などはJOGAのガイドラインになるべく従うものとする。

概要[編集]

アプリケーション内で小出しで課金することによってサービスが拡充するというマイクロトランザクションと呼ばれるシステムの一種である。アイテム課金型ビジネスモデルを採用したゲームの多くは、プレイするにあたっての基本料金が無料である「基本無料」と呼ばれる形態のビジネスモデルを採用しているが、アイテム課金にその他の課金方法を組みあわせた「ハイブリッド課金」と呼ばれる形態のゲームも存在する。日本では一部でも無料で遊べる要素がある場合「基本無料」などと銘打つことが多く、「一部有料のコンテンツがある」ように、活字の小さい「打ち消し表示」の注意書きで書くことがある。

主にオンラインゲームソーシャルゲーム(スマホアプリ、ブラウザゲームなど)で導入されているが、近年ではコンシューマーゲームでも「ダウンロード専売・基本無料」として導入されるゲームが登場している。

歴史[編集]

日・中・韓でのみ「アイテム課金」が流行した背景として、当時韓国中国で、インターネットの普及に合わせて売り切り型ゲームで急激に増える海賊版ユーザーを防ぐために月額課金型のオンラインゲームが隆盛をみており[2]、一部の韓国製オンラインゲームが日本にも進出して人気を得ていたという事情がある。ちなみに日本市場におけるフィーチャーフォン時代後期以降からスマホ時代にかけてのコンテンツビジネスの歴史は『スマホ白書』各年度版に詳しい。

アイテム課金は、2001年9月に韓国中国で同時にリリースされた韓国製MMORPGの『The Legend of Mir 2』が、アバター用の服装のアイテムに課金したのが最初だ。

基本無料・アイテム課金で収益を得る収益モデルを史上初めて採用したゲームは、韓国で2003年4月に正式リリースされた『メイプルストーリー』で、当初はカジュアルゲームと呼ばれ、高額な月額料金が払えない経済力の低い学生を対象とするゲームに基本無料・アイテム課金型のビジネスモデルが採用された。

アバターシステムとは、アバター用アイテムを購入することでアバターにおしゃれをさせられる、という形で(ガチャではなく)アバターで収益を上げる無料ゲームのビジネスモデルを指す。のちに「ガチャ」とよばれるシステムを生み出す『メイプルストーリー』も、2003年4月のリリース当時はアバターシステムを柱としていた[3]

一方、ハイブリッド課金とは、月額課金や従量課金などにアイテム課金(この当時の「アイテム」とは「アバター用アイテム」を指す)を組みあわせて収益を上げるビジネスモデルであり、当時の一般的なオンラインゲームはこちらを採用していた。例えば、無料のカジュアルゲーム『メイプルストーリー』を提供するネクソンも、一方では『風の王国』などの月額課金ゲームを提供しており、中国で人気の『The Legend of Mir 2』も当時はハイブリッド課金を採用していた。『メイプルストーリー』開発者インタビューで、無料ゲームのアバターに「1万円近く使っている人が多い」ということがわざわざ特筆されるなど、後に天井なしの課金額が各国で法規制を招く「アイテム課金」も、カジュアルユーザーをメインターゲットとする2003年当時の収益はこの程度であった。ちなみに、2003年8月に日本でのベータ版サービスが開始されたこの『メイプルストーリー』が、日本初の基本無料(アイテム課金)ゲームとなる[4]

ランダム型アイテム提供方式(いわゆる「ガチャ」)は、日本版『メイプルストーリー』が2004年4月に実装した「ガシャポンシステム」が初出で[5]、韓国や中国ではランダム型アイテム提供方式が法的に規制されているため、日本で最初に実装された。韓国ではガチャによって得られるアイテムが最初から分かっている「確定ガチャ」(日本で言う「BOXガチャ」に相当)が2014年の時点では主流で、日本のようによりレアなアイテムを得られる確率を低くするのではなく、よりレアなアイテムを得られるための課金額が倍々で増えることで収益を得ている[6]。また、2013年に中国政府が「ガチャ課金が「賭博」である」と勧告したため、課金の累積額に応じて「特権」を得られる「VIPシステム」が収益の基本となっている[7]

有料の「ランダム型アイテム提供方式」に数万円〜数十万円を注ぎ込むユーザー(通称「廃課金」)を生み出し、2010年代には社会問題化した(後述)。2008年の時点で既に「ガシャポンはアイテム課金の代表的なサービス」であることが『メイプルストーリー』の開発者から語られている。2010年代には無料ゲームのアイテム課金に数十万円も注ぎ込む「廃課金」はおろか、数百万円を費やす「神」クラスも現れた。

基本無料」は、1990年代後半から2000年代前半にかけて存在した、上記『メイプルストーリー』などの無料カジュアルゲームを祖先として挙げることもできるが、月額課金に代わって「基本無料」が主流となる直接的なきっかけとなるのが、月額課金型オンラインゲームの市場飽和と、中国・韓国・日本で2004年から2005年にかけて運営を開始した無料カジュアルゲーム『マビノギ』や『スカッとゴルフ パンヤ』などの成功で、これを受け、韓国では2005年8月にネクソンが『風の王国』など自社の月額課金ゲームを「基本無料」へと切り替えた。それらが成功をするのを見た競合韓国企業も、自社のコンテンツを「月額課金」から「基本無料」へと変えた[8]。中国でも2005年11月には『The Legend of Mir 2』が「基本無料」となり、続いて中国で2006年4月に正式リリースされた『征途』の成功によって基本無料(部分有料)でアイテム課金型のビジネスモデルが確立する。『征途』をきっかけに、中国でも金山軟件完美世界などの大手メーカーが一気に基本無料MMORPGに参入し、「征途時代」と呼ばれる盛況を呈した[9]。欧米のゲームでも『The Lord of the Rings Online』が2007年11月に「Free to Play」(F2P)となるなどして、次第に一般化した。

モバイルソーシャルゲームはグリーが2007年5月にリリースした「釣り★スタ」が史上初[10]で、それ以来、PC→フィーチャーフォン→スマホと、アイテム課金は文字通り「進化」していった。ソーシャルゲームではSNS上の相手との協力プレイや対戦(PvP、Player versus Player)ができるため、プレイヤーは主に対戦相手との勝負に勝つための有料アイテムを利用する(Pay to Win)傾向があるが、日本では「カードコレクションバトル型ゲーム」が主流となったため、主にカードをコレクションするためのアイテムに料金を支払う方向に進化し、またゲーム内容もPvPよりもソロゲー(PvE、Player versus Environment)を重視する方向に進化していった。

「カードコレクションバトル」型ゲームは、「キャラクターのコレクション」「合成や進化」「スタミナ制」「ガチャ」などの要素を持つゲームで、2009年にリリースされたZyngaの『Mafia Wars』と、そのゲームシステムをほとんどそのまま日本に持ち込んだ『怪盗ロワイヤル』によって原形が形作られ、これに2010年9月にリリースされた『ドラゴンコレクション』が「カードのコレクション」の要素を加えたことによって完成を見た。「カードコレクションバトル」型ゲームは日本のモバイルソーシャルゲームと相性が良く、ゲーム性が低くただ単に携帯電話のボタンを押しているだけの「ポチポチゲー」と揶揄されながらも、日本のフィーチャーホン時代のピークとなる2010年から、スマートフォン時代の最初期となる2012年にかけてブームとなり、日本メーカーから盛んにリリースされた[11]。『スマホ白書2015』では、スマホ向けゲームがゲーム性よりも収益性を重視するようになった原因として、フィーチャーフォン時代のSNSゲームのブームを挙げ、従来型携帯電話のポチポチゲーと同じレベルのスマホ画面をタップするだけのゲームから、ゲーム性を重視する姿勢へと回帰した一つのエポックとして、「カードコレクションバトル」型ゲームにマッチ3ゲームの要素を入れることでヒットした、2012年2月リリースの『パズル&ドラゴンズ』を挙げる。

アプリ内課金は、2011年2月にApp Storeが「App内課金」に対応したのが最初で、2011年3月にはAndroid Market(後のGoogle Play)も「アプリ内課金サービス」に対応した[12][13]ことで一般的になった。この仕組みは、アプリ内でのアイテム課金に対する決済をアプリマーケット側が代行するもので、これによって製作者側としてはアイテム課金方式のゲームアプリをより容易に開発できるようになり、また利用者側としてもクレジットカードを必要とせず、プリペイドカードの入金で支払えるなど、よりカジュアルに購入できるようになった。このようなマイクロペイメント少額決済)を容易にする、スマートフォンタブレット端末といったスマートデバイスが普及してからは、アイテムに限らずアプリ内のサービスごとに小出しに課金するマイクロトランザクション方式のビジネスモデルを採用したゲームが一般的になった。

フリーミアムとは、基本的なコンテンツを無料(フリー)で提供し、付加的な価値(プレミアム)を有料で提供することで収益を得るビジネスモデルを指す。2011年にはApp Storeにおける無料ゲームの「売り上げ」が有料ゲームの売り上げを超え[14]、2012年には日本で『アイドルマスター シンデレラガールズ』の売り上げが月あたり10億円に達するなど[15]、2012年にはゲームにおけるフリーミアムのビジネスモデルの優位性が明確になった。大手ゲームメーカーの中では最後までフリーミアムに否定的見解を示していた任天堂も2014年2月に初の基本無料タイトル『STEELDIVER SUBWARS』をリリースするなど、2014年にはゲーム業界においてフリーミアムのビジネスモデルが完全に定着した。

[16]とは、リアルマネーで購入する「課金アイテム」の一種であり、それを使うことでスタミナを回復できる「スタミナ回復アイテム」の一種、あるいはそれを使って他のゲーム内アイテムと交換できる「ゲーム内仮想通貨」の一種であるともみなせるが、単なる課金アイテムとは違ってゲーム運営の根本にかかわる、より高次の概念である。

アイテム課金型ゲームにおける「石」という概念を確立したのは『パズル&ドラゴンズ』であり、2014年度のGame Developers Conferenceにおいてガンホー社の森下一喜によってその概念が明示化された[17]。この「石」は、しばしば少数を無料配布されることが特徴であり、予定外のサーバーメンテナンスなどのトラブルに際して無料配布される「石」を特に「詫び石」と呼ぶ。「詫び石」の概念を生み出したのも『パズル&ドラゴンズ』であり、同じくGame Developers Conference 2014においてその施策の効果が明示化された。「詫び石」の施策前は、「石」を無料配布することで売り上げが減少すると予想されていたが、実際は売り上げは減少せず、一方で上がりすぎたARPU(アクティブユーザー1人当たりの課金額)を下げる効果があることが報告されたため(アイテム課金型ゲームを運営するうえでは、短期的にはまずARPUを上げる施策が重要だが、ARPUが高くなりすぎると新規ユーザーが入ってこなくなり、ヒットしても短命に終わることになるので、ゲームを中長期的に運営する上では上がりすぎたARPUを下げる施策も重要になる)、中長期的運営を目指す各社のゲームでこの「課金アイテム」のシステムが採用されることになる。

課金方式[編集]

ポイント方式と直接課金方式[編集]

2000年代においては、リアルマネー(現金電子マネー)、クレジットカードプリペイドカードなどにより、いったんある程度の額を支払って「ゲーム内通貨」である「ポイント」[16]を購入し、その「ポイント」を使用してアイテムあるいは「有料ガチャ」を購入する、という方式が一般的だった。

これは、アイテムを購入するたびにいちいち100円程度の少額を支払う手続きをすることが、当時は現実的でなかったためであった(支払いのたびに決済手数料がかかり、支払額が少額だと決済手数料のほうが高くなることもある)。しかし、2010年代以降はマイクロペイメントのシステムが整備され、「ポイント」を利用せずにApple StoreやGoogle Playなどの決済代行業者に登録されたクレジットカードから料金が直接引き落とされる方式も一般的となった。ただし、もともと日本では2000年代後半のフィーチャーフォン時代からゲームの料金を携帯電話の料金合算して支払える仕組みが整備されており、マイクロペイメントへの親和性は高かった。

課金アイテム[編集]

リアルマネーで販売される「ポイント」[16]および「アイテム」は多岐に及び、

  • 性能が高いアイテム
  • 無料のプレイでは入手が不可能(もしくは困難)なレアアイテム
  • 低確率(おおむね1%~最高3%程度)でレアアイテムが出てくることが期待される、ランダム型アイテム提供方式(通称「ガチャ」
  • キャラクターの服装や髪型など見た目を変えるアバター関連アイテム(ファッションアイテム)
  • 「スタミナ」回復アイテム
  • ゲームオーバー後のコンティニューを可能にするアイテム
  • 経験値の獲得効率・消費項目の時間短縮・アイテム所持数の増加

といった利便性を向上させるアイテムがある。

消費者庁による「インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A」においては「アイテム」「カード」「キャラクター」「アバター」などを総称して「アイテム等」と呼称され、いずれも日本の法律である不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の「景品類指定告示第1項」の第4号「便益、労務その他の役務」に相当すると判断されており[18]、したがって景品表示法の規制を受ける。

アイテム課金制のゲームの多くは無料プレーヤーに「ストレス」を与え、徐々に課金アイテムの購入に導くシステムとなっている[19]。一方で課金アイテムが少なく、無料プレイヤーでも最後までプレイ可能なゲームも存在する(「ポイント」の購入があっても、有料「ガチャ」の要素がないゲームも存在する)。

課金アイテムは「景品類指定告示第1項」の第1号「物品」に相当する価値があると錯覚されがちだが、実際は前述のとおり単なる「役務」(サービス)であり、課金アイテムに「物品」としての価値はない

アバター用アイテム[編集]

ゲーム内のアバターの服装などのファッションアイテム。「アイテム課金」というシステムが誕生した当時からあるアイテム。「ガチャ」が存在しない時代は「アイテム」というと必然的にアバター用アイテムのことを意味した。

「スタミナ」回復アイテム[編集]

「基本無料」のゲームの多くは「スタミナ」(「燃料」「体力」「エネルギー」などと呼ばれる要素や、プレイ後の再プレイ制限時間などの「消費項目」)制を導入している。ゲームプレイ時にそれらを消費し、その消費量と上限値を設けることで、無料プレイは1日あたりにプレイできる回数が1回~多くて数回程度に制限される。

この仕組みは東アジア圏のソーシャルゲームによく見られるが、西洋においてはほんの一部のゲームで採用されてはいるものの「League of Legends」「World of Tanks」のように回数制限が緩いか、設けていないタイプが主流である。

「スタミナ」の要素はゲーム内でクリアした際に得られる報酬の他に、時間の経過と共に回復していく。連続プレイにより消費が自然回復に追いつかなくなってきた(待ち時間が煩わしくなってきた)場合、課金アイテムを使用することで回復できる[20]アーケードゲームでのコンティニューなどのクレジット追加に近い)。

仮想通貨[編集]

ゲーム内でのみ使える仮想通貨。誤解されがちだが、金銭としての価値はない。「レアアイテム」や「ガチャを引く権利」と「交換」できる(仮想通貨は「金銭」ではなく「役務」なので、「購入」ではなく「交換」が正しい)。

レアアイテム[編集]

文字通りレアなアイテム。アイテムの提供数や提供期間が限定されていたり、提供開始後からの利用期間が限定されていたり、提供終了後に再発売を行わないことをうたって希少感を高めているケースもある。これらのアイテムはゲーム内で直接購入するのが一般的であるが、攻略本などの書籍にレアアイテムと交換できるシリアルコードを付属させることでさらなる収益を図ることもある。

有料ガチャ[編集]

アイテム課金を採用しているゲームの中には、「アイテム等」を商品とした「くじ」を引く権利が有料で販売されているものがある。

JOGAのガイドラインでは有料ガチャ英語版と呼称し、「利用者が有料で利用するランダム型アイテム提供方式」と定義される。

購入者側からの視点では通称「ガチャ(課金)」ともいう。

有料ガチャで提供されるアイテムのうち、「顧客を誘引する目的で提供されるもの」が特に「ガチャレアアイテム」と定義される。消費者庁でも有料ガチャと呼称し、「くじを用いるなど、偶然性を利用して、利用者に対してアイテム等を提供する仕組み」を「ガチャ」、「有料で行うガチャ」を「有料ガチャ」と定義している[21]

ゲームにおいては有料または「ログインボーナス」などと称して無料で提供される何らかの「アイテム」を介してガチャを行うものが多いため、ガチャの「有料」「無料」を区別せず、単に「ガチャ」と表記される場合が多いが、景品表示法の解釈上では「有料」と「無料」のガチャははっきりと区別されている[22][23]

日本では有料ガチャに対して長らく法的規制がなく、「遊びすぎに注意しましょう」くらいしか言えない状況が2012年まで続いたが[24]、2012年に起こった「コンプガチャ騒動」(後述)において、消費者庁は、「有料ガチャ」すべてが景品表示法の規制の対象になるわけではないものの、「コンプガチャ」は景品表示法で禁じられている「景品類の提供行為」に当たると明示し[23]、業界団体の自主規制なども設けられた。

「有料ガチャ」の価格は運営会社やゲームタイトルごとによって異なり1回ガチャをプレイするごとに一定の金銭(かもしくは現金で購入したポイント)を消費し、事前に設定された確率に基づきランダムにアイテムを1個ないし複数個排出する。その中には有料ガチャでしか入手できない「レアアイテム」が最低1%以下~数%の低確率で出現する。

JOGAガイドラインでは「有料ガチャで提供されるアイテムの価格が、ガチャ一回分の価格を上回ること」が規定されており、また「"1%(以上)の確率" かつ "5万円(以下)" でレアアイテムをゲットできること」が期待される(期待値)。このため、ガチャアイテムには最低でも課金額と同等の資産価値があることが錯覚されるが、どれだけ高額の料金を支払って入手したアイテムであっても資産として課税されないことからわかるように、どれだけスーパーレアなガチャレアアイテムであっても法的には資産としてのない(「アイテム等」は、法的には「物品」ではなく「サービス」になるため)。

2015年12月にCygamesの『グランブルーファンタジー』にて特定キャラクターが追加される武器の出現率に端を発する騒動において、国家公安委員会委員長消費者担当大臣河野太郎が2月26日の会見でコメントするにまで至ったことを受け、Cygames側は3月10日より「一定回数以上(300回、約9万円相当)のガチャを引けば、任意のアイテムを入手できる」仕様を追加した。これについて国際カジノ研究所所長の木曽崇はtwitter上で「賭博的にはセーフだが、キャラがプレゼント扱いになったことで景品表示法の規制対象となった」と指摘[25]し、木曽の発言をニュースメディアが記事にした[26]。その後は後述するアイテム単位での出現率の公開に踏み切り、他メーカーもそれに追従した。

VIPシステム[編集]

ゲーム内アイテムの購入などによる課金の累積額によって「VIP」としてのランクが上がり、様々な特権を得られる。

中国では「一定額の課金をすれば、確実に欲しいアイテムを得られるようにすること」が法律で定められており、日本のように青天井のガチャ課金による収益を得られないため、収益はアイテム課金に頼ることになるが、「アイテム」よりもむしろ「VIP」を売ることで収益を得ている。VIPの各ランクになるための課金額は明示されており、ガチャ課金のように青天井ではないが、ランクが上がるにつれて課金額は跳ね上がる。

[編集]

アバター用アイテムや有料ガチャと言った、各ゲーム内アイテム(サービス)を直接購入するのではなく、通称「○○石」[16]を購入し、それを用いて間接的に各ゲーム内アイテム(サービス)を購入する。

「石」を使ってスタミナを回復することができるゲームもあり、その意味では「スタミナ回復アイテム」の一種であるともみなせる。また、「石」を使って他のゲーム内アイテムと交換することができるゲームもあり、その意味では「仮想通貨」の一種であるともみなせる。ただし、ゲームの運営側から見た場合、「石」はもう少し重要な意味を持ち、「ログインボーナス」「詫び石」「キャラクターの誕生日の記念」などで定期的に少数を無料配布されるなど、戦略的に利用される。

ガチャの種類[編集]

有料(ガチャ課金)と無料のガチャが存在する。

2013年12月に中国政府がガチャ課金が「賭博」であると勧告したため、コンテンツの変更を余儀なくされる[27]など、ガチャ課金は中国に限らず突然「違法」とされるリスクがあるため、同じゲームでも日本と韓国以外ではガチャ課金以外のマネタイズ方式が採用されている場合も多い。一方で「ガチャ」というシステム自体は実装し、「無料ガチャ」でドロップしたアイテムボックスを開いてアイテムをゲットするための「鍵」を有料で販売する、「BOXガチャ」や「確定ガチャ」など、「ランダムではないガチャ」による課金を実装して「賭博ではない」と主張する、など何らかの形でガチャを通じたマネタイズが行われている場合もある。

日本のゲームユーザーはガチャ課金を好み、いかに少ない金額で強くしたかを競い合う傾向があるが、中国のゲームユーザーは直接対価が見えているものに対して課金するのを好む傾向があり、有料ガチャは元々好まれていなかった[28]。2017年に中華人民共和国文化部(日本の文化庁に相当)の通知によって、法定通貨またはゲーム内通貨を用いてのガチャ(有料ガチャ)が法的に禁止された(文化部通知の第6条)[29]

中国では、ガチャに類するシステム(クエスト終了後に何らかのアイテムがドロップするなど)を実装する場合でも、ガチャで排出されるアイテムと同じものを同時に課金アイテムとして販売して「一定の金額を支払えば確実に特定のアイテムが貰える状態にしなければならない」ことが法律で定められている(文化部通知の第8条)。

中国では、いくら課金しても欲しいアイテムが得られるかどうかわからないシステムが「賭博」として法律で禁止されているのに対し、「課金すれば確実に欲しいアイテムが得られ、アイテムなどに課金すればするほど「特典」が得られる」システムを「VIPシステム」と呼び、これが収益の基本になっている。

日本においては、射幸性の強い一部の種類のガチャが規制されているが、ガチャ自体の規制は特になく、基本無料ゲームではレアアイテムの出現する「ランダム型アイテム提供方式」による「ガチャ課金」が収益の基本になっている。

「ガチャ」の呼称
JOGAのガイドラインでは「ランダム型アイテム提供方式」のことを「一般的には「ガチャ」と呼ばれる」としており、日本で「ガチャ」と言った場合は「ランダム型アイテム提供方式」のことを特に指す。オフィシャルな場では「ランダム型アイテム提供方式」と呼称されるべきだが、俗称の「ガチャ」もJOGAガイドラインの用語として公認されている。
ビデオゲームにおける「ガチャ」はNHNの登録商標であるため、他メーカーが「ガチャ」の呼称を使うこと不適当だが、ほとんどのメーカーは「ガチャ」と呼称している(商標の普通名称化)。「GACHA」(グリー)や「もばガチャ」(ゴンゾロッソ)など、似たような呼称で商標を取っているメーカーもある。「ガシャポン」の商標を持つバンダイナムコは「ガシャ」と呼称しているが、ゲームの特許などのオフィシャルな文章では普通に「ガチャ」の呼称を使用しており、「ガシャ」に関する特許を「ガチャ」で取っている。

ガチャというシステムを史上初めて生み出した『メイプルストーリー』は、バンダイナムコの商標である「ガシャポン」の呼称を使用していたため、後に「メイポン」に変更された。任天堂は『ファイアーエムブレム ヒーローズ』で挙げるとプレスリリースや運営からのお知らせといった際には「ランダム型アイテム提供方式」表記であり、ゲーム内でも「召喚」と命名していて、一貫してガチャは用いていない。

そもそも玩具における「ガチャ」は、タカラトミーアーツの登録商標だが、タカラトミーとNHNは協力関係にあり、タカラトミーの「ガチャ」(カプセルトイ販売機)でLineのキャラクターなどが販売されていたり、Lineでタカラトミーのキャラクターなどが販売されていたりする。タカラトミーは、「ランダム型アイテム提供方式」に関しては「デジガチャ」で商標を取っている。

ランダム型アイテム提供方式[編集]

アイテムやキャラクターに対し、最低~最高位まで数段階の「レアリティ」が設定されており、レアリティが高くなるほど当選確率が低くなる。

提示された当選確率に応じてランダムにアイテムが当選する方式。現実世界に存在するいわゆる「くじ」とは違い、確率的なイメージとしては抽選毎にコンピュータでサイコロを振っているようなもので一度当選したアイテムも再び重複して当たる可能性があり、またハズレ(レアリティが最低)のアイテムを入手しても以降の当たりの確率が上がることはない。

また、いくら課金と抽選を繰り返しても、レアアイテムが当たる保障はない(このような事象を、確率論では「独立」という)。日本と台湾では単に「ガチャ」というと「ランダム型アイテム提供方式」のことを指すが、韓国では禁止されている。

演出としては「箱からアイテムが出てくる」「召喚陣からキャラクターが召喚される」などゲームタイトルによる。

アイテム提供割合の表示の例
レアリティ(例) 確率(例) アイテムの内容表示(例)
スーパーレア(SR) =★★★★ 1.0% 「ダイヤモンド」が出現(最高のレアリティ)。
レア(R) =★★★ 4.0% 「ルビー」「エメラルド」が出現。
アンコモン(UC) = ★★ 15.0% 「アクアマリン」「ガーネット」が出現。
コモン(C) = ★ 80.0% 「ラピスラズリ」「アメシスト」が出現(最低のレアリティ)。

JOGAガイドライン[30]の3.(1).「d」項目では、上記の例の表のように、レアリティ(レア度)やカテゴリ等の種別及び提供割合(当選確率)を表示することを求めている(「a」~「d」いずれかの項目を満たす必要がある)[31]

このように、種別内(レアリティ内)にアイテムが複数含まれていることがあり、ユーザーはこういった表示からはそれぞれ個別のアイテムがどの割合で含まれているかを知ることができない。「グランブルーファンタジー」において、キャラクターの確率を巡りグランブルーファンタジー#トラブル騒ぎも起きた。

CESAガイドラインでは、全てのアイテムの提供割合を表示するかそれに相当する表示を求めている[32]

BOXガチャ[編集]

アイテムの総数・内容があらかじめ予告されており、1個アイテムを排出すると(擬似的に)箱の中身が1個減っていくガチャ形式。予告された個数分排出させることでアイテムが全て揃う。イメージとしては通常のくじに近く、抽選のたびに均等に景品が選ばれる場合はハズレを引くと当たりの確率が上がり・当たりを引くとハズレの確率が上がることになる。

箱の中身を引き切ればガチャが終了するため、プレイ回数・金額の上限(天井)が存在する。レアリティに応じて確率を変動させたり、終盤にしかレアアイテムが当たらないような調整をすることは技術的には可能であるが、JOGAガイドラインでは確率操作が禁止されているため、BOXガチャの序盤でレアアイテムのみを引き切る可能性も十分ありえる。ただし、BOXガチャを最後まで引き切らせるため、BOXガチャに他の異なる条件を組み合わせていることもある。

ランダムガチャが賭博として禁止された韓国では「BOXガチャ」を採用して法的規制を回避したが、それでも1人当たりのモバイルゲーム利用金額が日本に次いで世界2位となり3位(アメリカ)以下を引き離すなど、日本で主流のランダム型アイテム提供方式と比べて必ずしも射幸心が劣っているわけではない。

確定ガチャ[編集]

「箱」の中身が1つで、購入すれば確実に特定のアイテムが貰えるガチャ。アイテムが当たる「くじ」を引く権利を販売するガチャのシステムを使って、アイテム販売に相当することを行なう。

コンプリートガチャ(コンプガチャ)[編集]

通常のガチャを複数回行うことで得られる、「特定の複数アイテム」をすべて揃えることで、特定のアイテムが得られるガチャ。日本では禁止されている。

トレジャーボックス[編集]

「ルートボックス」とも呼ばれる。「アイテム」ではなく「宝箱」が貰える。「宝箱」には何が入っているか分からないが、レアアイテムが出てくることを期待させて射幸心を煽る。「宝箱」の「カギ」を有料で販売したり、あるいは「カギ」すらガチャでドロップさせることでさらに射幸心を煽りながらのマネタイズが可能。

天井[編集]

課金額に上限(天井)を設けており、たとえハズレを引き続けても支払額が一定額までに到達すればその時点でガチャが終了し、特定のアイテムが貰えるガチャ。

「基本無料」と「Free to Play」との違い[編集]

「基本無料」ゲームはFree to Play(F2P)とも呼ばれるが、欧米では特にゲームの根幹部分(勝敗やプレイ要素、プレイ回数など)に制限を設けず自由・無料(Free)とした場合にのみF2P (Free to Play) と呼称することが求められるため[33]、日・中・韓のゲームの「基本無料」と欧米のゲームの「Free to Play」は本来異なる概念である。中国では「基本無料(部分有料、アイテム課金)」のビジネスモデルは「基本免費(道具収費)」と呼び、「F2P模式」と対比して「IB(item billing)模式」と呼ばれるが、これは中国製英語である。

日本・韓国・台湾ではF2Pゲームの多くがアイテム課金依存型のビジネスモデルを採用しているのに対し、欧米ではアイテム課金非依存型のビジネスモデルを採用したF2Pゲームも多い。例えばゲーム内広告を中心とするビジネスモデルや、アイテムに限らず追加マップや追加サービスなど「基本」以外の要素を小出しに課金するマイクロトランザクション型などがあり、ゲームの一部までをプレイできて料金を支払うことで続きがプレイできる「体験版」もF2Pに含まれる。

上記の「Free to Play」の制約の中で、欧米のアイテム課金依存型のゲームの多くは「ゲームをプレイできるためのアイテム」ではなく「対戦で勝つためのアイテム」に課金するというビジネスモデルを採用しているが、このような重課金を煽るシステムは日本のガチャ依存型ゲームと同様に大きな批判があり、課金バランスによって、料金が発生しない範囲でも対等に勝てるFree to Winや多額の料金を支払った場合にのみ勝てるPay to Winと呼ばれる分類がされている[34]

世界の課金[編集]

Electronic Entertainment Design and Research(EEDAR)の調査によると、2015年度のモバイルゲームの地域別ランキングでは1位が「Pay to Win」の北米、2位が「ランダム型アイテム提供方式」の日本、3位が「VIPシステム」の中国、4位が「BOXガチャ」の韓国、の順に収益が多い[35]

1人当たりでは日本、韓国、北米、中国の順に収益が多いが、中国ではスマホがまだ全国民に普及し切っていない点に注意されたい。

日本の1人当たりの利用額は1月に9.39ドル(約1,158円)、利用額のないユーザーを除いた場合は1人当たり1月に24.06ドル(約2,967円)と、2位以下を引き離している。

ガイドライン[編集]

アイテム課金によるトラブルを避けるため、日本では、業界団体による自主規制(ガイドライン)が存在する。自主規制であるため、国外メーカー製のアプリには適用されないうえ、違反しても罰則はない。

中国ではアイテム課金に対する規制が法律として明文化されている。日本にはネットゲームやアイテム課金そのものを規制する法律はないが、アイテム課金を不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の「便益、労務その他の役務」とみなすことで法的規制が可能だ。

JOGAガイドライン[編集]

日本オンラインゲーム協会(JOGA)が策定するガイドライン。2009年に策定された当時は、スマホもコンプガチャも存在しない、フィーチャーフォンでSNSゲームの普及が始まったあたりの時期であるため、チートやRMTなど当時よくあったトラブルに注意喚起を呼び掛ける程度の簡易なものだった。

コンプガチャ騒動が起こった2012年に改訂され、ガチャなどに関する詳細な規定が盛り込まれた。しかし、JOGAに所属しない企業は守る義務がなかったため、引き続きトラブルが起こった。

グラブル騒動が起こった2016年の4月1日に再度改訂された。今回はJOGAだけではなく他の業界団体であるモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)に所属する企業や、両団体に所属しない企業にも順守することを求めている(グラブル騒動を起こしたCygamesはMCFに所属している)。

CESAガイドライン[編集]

日本のほとんどのゲーム会社が加盟するコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が独自のガイドラインを策定している。

CESAの所属企業(つまり日本のゲーム会社のほとんど)が順守すべき「オンラインゲーム運営ガイドライン」が存在するが、フィーチャーフォン用SNSゲームすら存在しない、2006年に策定されたものがほぼそのままの形で2016年まで公開されており、SNSゲーム普及以降に急増したトラブルには何の効力もなかった。2009年に改訂されチャット機能などに関する注意が加わった程度であった。

2016年4月27日に再度改訂され、「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」が公開された。会員企業に対してガチャで取得できるアイテムや確率を表示するよう求めている他、JOGAやMCFとも連携してゲーム業界の健全な成長に貢献していくことを明記している[36]

中華人民共和国文化部のガイドライン[編集]

日本の文化庁に相当する中華人民共和国文化部が制定するガイドライン。2013年12月に勧告が行われ、中国のネットワークゲームの収益構造が「ガチャ課金」から「VIPシステム」へと移行する契機となった。その後、2016年12月に正式に明文化された[37]。2017年5月より有効。

ユーザー保護、ガチャによる確率の明記、抽選結果のログの保存、などを求めている。上記の日本の業界団体による自主規制などではなく、国家による法律であるため、中国の法が及ぶすべての地域・企業・ゲームに適用され、違反者は処罰される。

問題点[編集]

ガチャの確率[編集]

サイコロ(期待値3.5)の出目の平均値を示した図。だいたい500回くらいの試行収束している。ガチャレアアイテム(期待値5万円)だと2500万円に相当し、期待値が収束する前に破産する

有料の「ランダム型アイテム提供方式」によるガチャで、目玉景品やその他のレアアイテムの当たる確率は運営会社のさじ加減次第であるが(JOGA加盟企業の場合、確率が明記されていない場合は1%以上の確率、なおかつ期待値が5万円以下とされる)、ほとんどの場合レアアイテムが入手できるか否かは、確率論でいうところの偶然性により、プレーヤーが過去のガチャ課金で「いくら利用したのか」(課金額)は無関係である。つまり、

  • 「一定額以上の支払で必ずレアアイテムを入手できる」仕様にはなっていない(埋没費用、中国では必ず義務付けられている)
  • 「一定回数以上のガチャで必ずレアアイテムを入手できる」仕様にもなっていない(試行の独立
  • 「一定回数以上ハズレを引けば必ずレアアイテムを入手できる」仕様にもなっていない(事象の独立)

ため、運が悪いと数十万円注ぎ込んでもレアアイテムが入手できないこともある。そのため、レアアイテムの確率が低く設定されている『女神転生IMAGINE』では10万円を投じても欲しいアイテムが出なかったプレイヤーが、運営会社を提訴した[38][39]。2017年に『星のドラゴンクエスト』のガチャを巡り集団訴訟の準備が進められている。

なお、ガチャレアアイテムの確率がJOGAガイドラインで許容される、最低の1%に設定されていた場合、1回500円のガチャを100回(5万円)分購入した場合に1つもレアアイテムを得られない確率は36.6%(1/eにほぼ等しい)、200回(10万円)分購入した場合でも13.3%の人はレアアイテムが出ない計算となる。さらに、300回(15万円)の場合は4.9%、500回(25万円)の場合は0.65%、688回(34万4000円)の場合にようやく0.099%となることから、有料ガチャに34万3500円注ぎ込んでも1000人に1人は1つもレアアイテムを得られない計算となる。

確率の収束を見るには最低でも数百回の試行が必要になるが、期待値5万円のガチャで(この場合「ガチャを1回引くこと」ではなく「5万円前後の料金を支払ってガチャレアアイテムを1つ引くこと」が1回の試行に相当する)、仮に100回の試行で収束が見られたとしても500万円以上、500回の試行で期待値が収束したとしても2,500万円以上の費用が必要になり、期待値の収束を見る前に破産する。未成年者(および中卒者)はこのような後期中等教育数学A「場合の数と確率」)で習う期待値の計算がほとんどできないことも一因で有料ガチャに高額を注ぎ込んでしまう可能性が高いことから、JOGAガイドラインでは未成年者に対する高額課金の抑止が明記されており、「課金上限」「ペアレンタルコントロール」などの抑止策がとられているが、あまり活用されておらず、2010年から2014年にかけて、消費者庁に寄せられるトラブルの件数は毎年倍増している[40]。2017年には『Fate/Grand Order』にて無職の青年が両親のクレジットカードを無断で借用し1月あたり130万円をガチャに費やしたことが新聞記事の一面に掲載された[41]

景品表示法では「ガチャ」自体には欺瞞性は認められておらず、射幸心を煽ること自体も規制されない。ただしガチャの一種「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」については、2012年に消費者庁によって「欺瞞性」、すなわち「当選率に関する錯覚」、特に「判断力が未成熟な子ども」に対する欺瞞性が認められ、1969年に景品表示法で禁止された「カード合わせ」に相当する可能性があるとされたため、法規制を受ける前に業界団体で自主規制が行われた。ちなみにそれまで俗語であった「ガチャ」が法的な用語となったのもこの件がきっかけだ。

コンプガチャ騒動後は業界団体によってアイテム課金に対して一定のガイドラインが設けられたが、スクウェア・エニックスコロプラなど業界団体に未加盟の大手メーカーもあり、日本国外を含めたこれらのメーカーはガイドラインを守る義務がないため、引き続き問題となっている。2015年半ば頃からガチャに含まれるレアリティの封入率が公表されるようになり、2016年3月より前述の「グランブルーファンタジー」における騒動によってガチャに含まれるアイテム単位での封入率が公表されるようになった。2017年現在、ガンホーおよびmixiが運営するゲームではアイテム単位での封入率を公開していない。

2017年12月にAppleのガイドラインが更新され、ルートボックスおよびガチャを含めた関連商品に確率表示を明記するよう義務づけた。

コンプリートガチャ(コンプガチャ)[編集]

景品くじでしか購入できないアイテムを、特定の組み合わせで揃えると別のレアアイテムを獲得できる「コンプリートガチャ」(通称:コンプガチャ)と呼ばれるシステムが2012年以前は日本に存在した。懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年3月 1日公正取引委員会告示第3号)では「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供はしてはならない」としており、消費者庁は「コンプリートガチャ」がこの違法な「カード合わせ」に該当するとの見解を2012年5月に示した[42]

その後、業界団体のソーシャルゲーム6社協議会は同月に「コンプリートガチャガイドライン」を発表、2012年8月にはJOGAもコンプガチャの禁止に加えて確率明示などのガイドラインを示した「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」を発表、国内各社はコンプリートガチャを終了するとともに、これまで無法状態であったガチャに対して自主規制が設けられた。

優良誤認・有利誤認[編集]

2014年に入って『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』のガチャ課金が、「金の地図ふく引き」にて表示されている画像には「金の地図」が8枚あるのに対して、その地図を入手できる確率が非常に低いことから不当表示であるとして、購入したユーザが胴元であるApple StoreおよびGoogle Playに直接返金を求め、それが受理されたことから、騒動に発展した[43]。これは『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』『ガンダムコンクエスト』にも飛び火し[44]、『魔法使いと黒猫のウィズ』開発・運営元のコロプラはプラットフォームへ直接請求した場合アカウントを停止すると脅迫した[45]

2017年に入り、中国OURPALM社がSNKプレイモアからライセンスを受けて開発・配信しているアプリ『THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH Online』のガチャ課金にて、「クーラ・ダイアモンドの出現確率が3%」と表記されたことに疑問を抱いたユーザーが運営元であるOURPALM社へ問い合わせたところ、「3%とは、ガチャから格闘家が出現したあと、そこからさらに3%の確率でクーラが出現する」という回答を得る。「実際に出現する確率は3%よりはるかに低い(約0.3%以下しかない)ため、有利誤認ではないか」と指摘し、返金を請求したところOURPALMより虚偽の申告をするよう求められるが拒否し、訴状を送ったところ、OURPALMより「秘密保持契約を結ぶことを条件に、ガチャで使用したアイテムを補填する」と提案されるが、これも拒否し提訴へと踏み切った。

その後、OURPALM社の企業情報で、同社のサイトに記載されている所在地にオフィスが存在しない虚偽があることが発覚し、特定商取引に関する法律(特定商取引法)にも違反していることが明らかになった[46]

同年7月19日、消費者庁はガンホーに対して後述する2件の景表法違反(優良誤認)で再発防止の措置命令を下している。2017年2月に『パズル&ドラゴンズ』のヒロイン限定ガチャに登場した全てのモンスターが究極進化と称する仕様と発表されたが、実際にその仕様であったのは一部のみだったことと、『ディズニーマジックキングダムズ』で2016年10月から12月までの間に販売されたキャラクターと仮想通貨のセット商品が個別で購入した方が安くなっていた[47]

同年11月14日、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』にて更新されたガチャ「絆の合体!!女超戦士ガシャ」の排出率がユーザー毎に異なることに加え、ピックアップキャラクターが本来は5体表記されるところが4体表記されるという不具合が発生し、「ユーザー毎に出てこないキャラクターがいるのではないか」と疑念を持たれ炎上する。運営は「表記上の不具合」と釈明するが、本作を開発しているアカツキの株価が急落した[48]

課金アイテムの下方修正[編集]

アイテム課金を取り扱うゲーム全てに該当するが、課金アイテムの性能や効果が開発元の想定より強力であったため、アップデートなどで課金アイテムの性能を引き下げる(またはより高レアリティのキャラクターやアイテムが追加[49]される)ことで公式フォーラムやSNSが炎上することがある。

『World of Tanks』ではアイテム課金として扱われているアメリカ軍Tier8中戦車「T26E4 スーパーパーシング」が2013年のバージョン8.6以降のアップデートで性能の下方修正が行われると告知され、公式フォーラムではユーザーから反発を呼んだ[50]。開発運営元のWarGameing.net社は事態の収拾に追われ、最終的に返金を希望する購入者に対してゲーム内で使用する有料マネーでの返却と修正が完了するまでの間使用及び購入禁止処置で対処した[51]

「基本無料」の問題[編集]

いわゆる「基本無料」、すなわち無料でプレイできることを強調する宣伝をしながら、実際はある程度以上ゲームを進めるためには有料アイテムの購入や有料サービスの利用が必須になるようなシステムは、消費者庁の「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では「いわゆるフリーミアム(基本的なサービスを無料で提供し、高度な、あるいは、追加的なサービスを有料で提供して収益を得るビジネスモデル)における正確でない「無料」といった表示」と定義し、明確に景品表示法上の問題としている[52]。また、未成年が「無料」に気を引かれて有料のアイテムやコンテンツの存在を自覚せずプレイした結果、数万円の料金が請求されたり、無断で親のカードを利用するトラブルも報告されている[53]

リアルマネートレーディング(RMT)にまつわる問題[編集]

ゲーム内で得た有料アイテム等をゲーム内のアバターやキャラクター同士で取引できるゲームシステムの場合、ユーザー同士が現実世界の金銭を対価にアカウントやアイテム等を取引することがあり、これをリアルマネートレーディング(RMT)という[54]。特にガチャという射幸心を煽るシステムにアイテム課金が組み合わされる(ガチャ課金)と、レアアイテム等に対して単なるゲーム上のデジタルデータにもかかわらず資産性を感じるようになり、それがRMTの温床となる[54]。多くのゲームで規約違反とされており、また韓国では違法であるが、日本では2015年現在、法的な整備が追い付いていない。

脚注[編集]

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  1. ^ JOGAガイドライン
  2. ^ Kimの韓国最新ゲーム事情#13 4gamer
  3. ^ メイプルストーリーインタビュー
  4. ^ 懐かしくも新しい! 2DサイドビューアクションMMORPG「メイプルストーリー」βテスト開始 4gamer
  5. ^ 「メイプルストーリー」4周年を記念した大型アップデートを実施
  6. ^ 【インタビュー】「FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏 G-STAR特別インタビュー - GAME Watch
  7. ^ 「トップ3のゲームで月商9億円。数百万円課金する『神様クラス』のVIPユーザーも」中国スマホゲーム市場の実態をワンオブゼムが語る。 | アプリマーケティング研究所
  8. ^ 【韓国】オンラインゲームの部分有料・アイテム課金モデル、8年の歴史とこれから - japan.internet.com、2009年12月3日。インターネットアーカイブ、2014年2月21日版、2015年12月8日閲覧。
  9. ^ 中国网游是否即将进入“征途时代” 新浪游戏(新浪网)、2006年9月
  10. ^ グリー株式会社 (GREE, Inc.) - 会社情報 - ヒストリー グリー株式会社
  11. ^ 『スマホ白書2015』「2014年のスマホゲーム市場の概況」
  12. ^ Androidでアプリ内課金を始めるための基礎知識(1/3) - @IT 2011年4月28日
  13. ^ In-App Purchaseプログラミングガイド - アップル Developer
  14. ^ Valadares, Jeferson (2011年7月11日). “Free-to-play Revenue Overtakes Premium Revenue in the App Store”. Flurry. 2011年8月5日閲覧。
  15. ^ Idolmaster Mobile Game Earns 1 Billion Yen a Month”. Anime News Network (2012年9月27日). 2013年7月19日閲覧。
  16. ^ a b c d 「○○石」「○○ポイント」「○○ストーン」「○○コイン」「ゴールド」「ジェム」など、ゲームによって独特の名称がつけられており、リアルマネーの「課金」で購入、または「ログインボーナス」「イベントの報酬」などにより、無料で少数を入手できる場合もある。
  17. ^ 電撃 - 【GDC 2014】今年の『パズドラ』講演のテーマは“勘”! ガンホー森下氏によるゲーム制作セッションをレポート 電撃オンライン
  18. ^ インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A 消費者庁
  19. ^ Erik Kain (2014年3月6日). “スマホに背を向ける任天堂は間違っていない”. Forbes.com. 日本経済新聞社. 2015年12月8日閲覧。インターネットアーカイブ、2014年3月9日版、2015年12月8日閲覧。
  20. ^ 『パズル&ドラゴンズ』初心者はこれだけ覚えておけばいい基本情報まとめ”. ファミ通.com. エンターブレイン (2012年5月16日). 2013年5月4日閲覧。
  21. ^ インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A 消費者庁
  22. ^ Q16 オンラインゲームにおいて、有料ガチャを通じてアイテム等を利用者に供給する行為は、景品規制の対象となりますか。 - インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A 消費者庁
  23. ^ a b オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について (PDF) 消費者庁
  24. ^ “モニ太のデジタル辞典 がちゃ【ガチャ】”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2012年3月13日). オリジナル2014年2月22日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20140222044557/http://www.yomiuri.co.jp/net/column/yougo/20120312-OYT8T00740.htm 2015年12月8日閲覧。 
  25. ^ takashikisoのツイート (702706545675505664)
  26. ^ Cygames、「グラブル」ガチャに実質的上限 9万円相当で必ず好きなキャラ - ITmedia、2016年2月25日版、2016年3月12日閲覧
  27. ^ 中国ゲームビジネス最前線 拡大を続ける市場でどう立ち回っていくかを深く討論【CEDEC 2014 - ファミ通.com
  28. ^ 日本と中国、文化の違いを超えてゲームビジネスで海外市場進出を成功させる秘訣をコンゾン・ジャパンに聞いてきた – App Ape Lab
  29. ^ 文化部关于规范网络游戏运营加强事中事后监管工作的通知 中華人民共和国文化部
  30. ^ ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン 日本オンラインゲーム協会
  31. ^ 改訂版「JOGAガイドライン」の解説セミナーが開催。有料ガチャの表示や設定,運用に関する項目をオンラインゲーム事業者にレクチャー 4Gamer.com
  32. ^ ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン 一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会
  33. ^ 「無料(Free)」と冠するゲームにおけるアプリ内課金活動の制限について 欧州委員会 2014年2月27日
  34. ^ ソーシャルゲームは落日なのか? 力押し課金に限界”. THE PAGE(ザ・ページ) (2013年8月13日). 2015年3月21日閲覧。
  35. ^ 日本のモバイルゲーム収益は世界2位6364億円、課金ではダントツ 産経アプリスタ
  36. ^ コンピュータエンターテインメント協会、ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドラインを制定Gamer 2016年4月27日
  37. ^ 文化部关于规范网络游戏运营加强事中事后监管工作的通知 中華人民共和国文化部
  38. ^ 『女神転生』でユーザーがメーカーを訴訟! トレビアンニュース 2007年9月12日
  39. ^ 「くじ1000回「当たらん」と提訴」- 朝日新聞2007年6月10日号 東京14版 38面
  40. ^ 第1部 第2章 第2節 ( 4 )デジタルコンテンツの普及とそれに伴う消費者トラブル | 平成26年版 消費者庁
  41. ^ 「【依存~溺れるネット世界(1)】スマホゲーム「無間地獄」 FGOにはまり際限なく高額利用」- 産経新聞2017年8月17日号 1面
  42. ^ インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A 2013年1月9日 消費者庁 表示対策課
  43. ^ 「DQMスーパーライト」ガチャ表示にユーザー怒り → 返金祭りへ発展か スクエニ「現在確認中です」 ※追記”. ITMedia (2014年2月5日). 2014年2月8日閲覧。
  44. ^ 「DQMスーパーライト」の返金騒動が飛び火 「黒猫のウィズ」「ガンダムコンクエスト」でも返金求める動き”. ITMedia (2014年2月6日). 2014年2月8日閲覧。
  45. ^ 「黒猫のウィズ」運営元が告知、「不正な返金請求にはアカウント停止も」”. ITMedia (2014年2月6日). 2014年2月8日閲覧。
  46. ^ スマホ版「KOF」景表法違反の疑いで訴訟問題に発展か さらに特商法違反も発覚”. ねとらぼ (2017年3月26日). 2017年3月27日閲覧。
  47. ^ 「パズドラ」などで不当表示=ガンホー、グリーに措置命令-消費者庁”. 時事通信 (2017年7月19日). 2017年7月25日閲覧。
  48. ^ 「ドラゴンボール ドッカンバトル」ガシャ表示の不具合から提供割合操作疑惑へと発展 → 公式は疑惑を否定”. ねとらぼ (2017年11月15日). 2017年11月15日閲覧。
  49. ^ 例としては、レアリティが「★」〜「★★★★」の4段階だったところで、さらに上位のレアリティ「★★★★★」が追加され、5段階になるなど。
  50. ^ T26E4 SuperPershing Changes in the 8.6 Update
  51. ^ Premium Vehicle Changes in the 8.6 Update
  52. ^ 「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について 消費者庁ホームページ 平成23年10月28日
  53. ^ コンプガチャ、規制後も子供の高額課金トラブル減らず 未成年の半数超は中学生以下 産経新聞 2013年1月5日
  54. ^ a b 薄まるギャンブル性 競売サイト自粛なら効果 日本経済新聞 2012年5月18日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]