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== 概要 ==
== 概要 ==
近年、[[地球]]表面の[[大気]]や[[海洋]]の平均温度(一般には「地球の[[気温#平均気温|平均気温]]」あるいは「地上平均気温」と呼ばれる。詳しくは[[#気温の変化|後述]])は上昇を示しており、これに伴う、[[海水面]](海面水位)の上昇や[[気象]]の変化が観測され、[[生態系]]や[[人類]]の活動への悪影響が懸念されている。
近年、[[地球]]表面の[[大気]]や[[海洋]]の平均温度(一般には「地球の[[気温#平均気温|平均気温]]」あるいは「地上平均気温」と呼ばれる。詳しくは[[#気温の変化|後述]])は上昇を示しており、これに伴う、[[海水面]](海面水位)の上昇や[[気象]]の変化が観測され、[[生態系]]や[[人類]]の活動への悪影響が懸念されている。この地球温暖化は自然由来の要因と人為的な要因に分けられる。20世紀後半の温暖化に関しては、人間の産業活動等に伴って排出された人為的な[[温室効果ガス]]が主因となって引き起こされているとする説が有力とされている。[[2007年]]2月には、国連の[[気候変動に関する政府間パネル]](IPCC)により、人為的な[[温室効果ガス]]が温暖化の原因である確率は「90%を超える」と報告された。この報告が現在の世界の動きの主軸となっている。
この地球温暖化の原因は人為的な[[温室効果ガス]]の放出が原因の可能性が高く、[[2007年]]2月に国連の[[気候変動に関する政府間パネル]](IPCC)により、人為的な[[温室効果ガス]]が温暖化の原因である確率は「90%を超える」と報告された。この報告が現在の世界の動きの主軸となっている。


IPCCが最新の[[IPCC第4次評価報告書|第4次評価報告書]](以下、'''AR4'''と表記する)において集約した膨大な数の学術的予測によれば、[[2100年]]には平均気温が最大推計で6.4[[セルシウス度|℃]](最良推定値1.8~4[[セルシウス度|℃]])、海面水位は平均推計で38.5[[センチメートル|cm]](最大推計59cm)上昇するとされている。地球温暖化の影響要因としては、人為的な[[温室効果ガス]]の放出、なかでも[[二酸化炭素]]や[[メタン]]の影響が大きいとされる。また人為的な[[土地利用]]による[[アルベド]]の低下、[[排気ガス]]などの[[エアロゾル]]や[[スス]]といった、温室効果ガス以外の原因もある。その一方で[[太陽放射]]の変化の寄与量は人為的な要因の数%程度でしかなく、自然要因だけでは現在の気温の上昇は説明できないことが指摘されている。また一度環境中に増えた二酸化炭素などの長寿命な温室効果ガスは、能動的に固定しない限り、約100年間(5年~200年<ref>[http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/ghghp/20gases.html 温室効果ガスに関する基礎知識] 気象庁。</ref>)に亘って地球全体の気候や海水に影響を及ぼし続けるため、今後20~30年以内の対策が決定的な意味を持つと指摘されている。
IPCCが最新の[[IPCC第4次評価報告書|第4次評価報告書]](以下、'''AR4'''と表記する)において集約した膨大な数の学術的予測によれば、[[2100年]]には平均気温が最大推計で6.4[[セルシウス度|℃]](最良推定値1.8~4[[セルシウス度|℃]])、海面水位は平均推計で38.5[[センチメートル|cm]](最大推計59cm)上昇するとされている。地球温暖化の影響要因としては、人為的な[[温室効果ガス]]の放出、なかでも[[二酸化炭素]]や[[メタン]]の影響が大きいとされる。また人為的な[[土地利用]]による[[アルベド]]の低下、[[排気ガス]]などの[[エアロゾル]]や[[スス]]といった、温室効果ガス以外の原因もある。その一方で[[太陽放射]]の変化の寄与量は人為的な要因の数%程度でしかなく、自然要因だけでは現在の気温の上昇は説明できないことが指摘されている。また一度環境中に増えた二酸化炭素などの長寿命な温室効果ガスは、能動的に固定しない限り、約100年間(5年~200年<ref>[http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/ghghp/20gases.html 温室効果ガスに関する基礎知識] 気象庁。</ref>)に亘って地球全体の気候や海水に影響を及ぼし続けるため、今後20~30年以内の対策が決定的な意味を持つと指摘されている。
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現在、地球表面の大気や海洋の平均温度は、[[1896年]]から[[1900年]]の頃(5年平均値)に比べ、0.75[[セルシウス度|°C]]暖かくなっており、[[1979年]]以降の観測では下部[[対流圏]]温度で10年につき0.12から0.22°Cの割合で上昇し続けている。[[1850年]]以前、[[11世紀|過去1000年]]から[[1世紀|2000年前]]の間、地表の気温は[[中世の温暖期]]や[[小氷期]]のような様々な(おそらく地域的な)変動を繰り返しながら比較的安定してた状態が続いていた。
現在、地球表面の大気や海洋の平均温度は、[[1896年]]から[[1900年]]の頃(5年平均値)に比べ、0.75[[セルシウス度|°C]]暖かくなっており、[[1979年]]以降の観測では下部[[対流圏]]温度で10年につき0.12から0.22°Cの割合で上昇し続けている。[[1850年]]以前、[[11世紀|過去1000年]]から[[1世紀|2000年前]]の間、地表の気温は[[中世の温暖期]]や[[小氷期]]のような様々な(おそらく地域的な)変動を繰り返しながら比較的安定してた状態が続いていた。


どの変化に焦点を当てるか、また研究に使用できるデータベースなどによって議論の対象となる時間の長さは異なってくる。計測機器を使用した地球規模での気温の観測は[[1860年]]頃から始まっており、観測点は年々増え移動する観測点も多い。[[IPCC第4次評価報告書|第4次報告書]]の「世界平均気温」については、都市の[[ヒートアイランド現象]]の影響が最小限となるよう観測地点を選び、地表平均気温の値を算出している。一方、気象庁の「世界の年平均気温」はGHCNに準拠し、第4次報告書に比べれば観測点が時間的にも空間的にも偏りが大きい<ref>[http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/qa_temp.html 世界と日本の気温、降水量の経年変化に関して、よくある質問] 気象庁</ref>。期間の見積もりでは、最近千年については様々な指標用いられ再現されている([[過去の気温変化]]の項参照)。最近の過去50年は最も詳細なデータが得られており、1979年からは[[対流圏]]温度の[[衛星]]による観測が始まっている。
どの変化に焦点を当てるか、また研究に使用できるデータベースなどによって議論の対象となる時間の長さは異なってくる。計測機器を使用した地球規模での気温の観測は[[1860年]]頃から始まっており、観測点は年々増え移動する観測点も多い。[[IPCC第4次評価報告書|第4次報告書]]の「世界平均気温」については、都市の[[ヒートアイランド現象]]の影響が最小限となるよう観測地点を選び、地表平均気温の値を算出している。一方、気象庁の「世界の年平均気温」はGHCN(Global Historical Climatology Network)に準拠し、第4次報告書に比べれば観測点が時間的にも空間的にも偏りが大きい<ref>[http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/qa_temp.html 世界と日本の気温、降水量の経年変化に関して、よくある質問] 気象庁</ref>。また、GHCNの観測地点は増減を繰り返しているため、その平均気温は絶えず異なる数の母集団から求められており、継続した気温の変化を単純に比較することを難しくしている<ref>[http://data.giss.nasa.gov/gistemp/station_data/ Data @ NASA GISS: GISS Surface Temperature Analysis: Station Data]</ref>。特に1990年前後を境に観測地点の急激な減少と平均気温の急上昇が同して起こっている<ref>http://timlambert.org/category/science/mckitrick/ Deltoid » McKitrick]</ref>。そのため、観測地点の変化と平均気温のに高い相関があることを指摘する報告もなされてきている<ref>[http://icecap.us/images/uploads/MM.JGR07-background.pdf Quantifying the influence of anthropogenic surface processes and inhomogeneities on gridded global climate data] Ross R. McKitrick and Patrick J. Michaels, IN PRESS: Journal of Geophysical Research-Atmospheres, December (2007)</ref><ref>[http://ingenierias.uanl.mx/37/37_Global.pdf Global warming and CO2: Highlights of differing perspectives] Victor Goldschmidt, Ingenierias, Vol. X, No. 37, 38-47(2007)</ref>。さらに、気温測定そのものに対しても、観測地点の周囲の環境の変化による影響や百葉箱などの保守管理に対する不備を指摘する声もあり<ref>[http://www.surfacestations.org/ surfacestations.org]</ref><ref>[http://wattsupwiththat.wordpress.com/ USHCN National Weather Station Quality Plot]</ref>、観測地点の選定や都市化の影響等を受けた近年の気温測定に関する不備を指摘する声は少なくない。一方、長期の見積もりでは、最近千年については様々な指標用いた復元が行われている([[過去の気温変化]]の項参照)。AR4に掲載された過去1300年間の北半球の気温変化を復元した図を参照すると、陸上の堀削にもとづく試料による測定値や、樹木の年輪、氷床、貝殻などの自然界のプロキシを用いて復元された過去の気温変化と比べて観測装置による測定値は、近年の温暖化が過去に例のない上昇を示していることがわかる<ref>[http://www.ipcc.ch/ipccreports/ar4-wg1.htm IPCC (2007) Chapter 6 Palaeoclimate]</ref>。最近の過去50年は最も詳細なデータが得られており、1979年からは[[対流圏]]温度の[[衛星]]による観測が始まっている。


== 原因 ==
== 原因 ==
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''(詳しくは[[地球温暖化に対する懐疑論]]を参照)''
''(詳しくは[[地球温暖化に対する懐疑論]]を参照)''


気候の研究者の中にも「温暖化は人為的なものであるとは断言できない」とする意見がある<ref>[http://www.sepp.org/policy%20declarations/statment.html Statement by Atmospheric Scientists on Greenhouse Warming] SEPP POLICY DECLARATIONS</ref>。具体的には、二酸化炭素を主因とする温暖化を疑うものが多いが、温暖化自体を否定しているものは少ない<ref>『[[:en:List_of_scientists_opposing_global_warming_consensus|List_of_scientists_opposing_global_warming_consensus]]』,英語版ウィキペディア</ref>。また、モデルと実際の気候の不整合を問うものなどがある。その他にも、宇宙物理学などの分野から太陽と[[テレコネクション]]などの気候変化の関係に注目するする研究の中から、査読を受けた論文に基づいた主張もなされている<ref>[http://www.springerlink.com/content/t341350850360302/ On global forces of nature driving the Earth’s climate. Are humans involved?] L. F. Khilyuk and G. V. Chilingar, Environmental Geology, 50, 6, 899 (2006)</ref><ref>[http://www.springerlink.com/content/vl7536426072q7j7/ Response to W. Aeschbach-Hertig rebuttal of “On global forces of nature driving the Earth’s climate. Are humans involved?” by L. F. Khilyuk and G. V. Chilingar] G. V. Chilingar et al., Environmental Geology, 50, 6, 1007 (2007)</ref>。しかし、IPCCの報告書では、特に太陽活動による太陽磁場や紫外線が気候に与える間接的効果については科学的理解の水準が低いとされ、採用される段階にはいたっていない。下記に代表的な主張を例示する。
気候の研究者以外から「温暖化は人為的なものであるとは断言できない」とする意見がある。具体的には以下のような主張があるが、いずれも学術的に広く認められてはいない。


* 温暖化は自然現象である、または自然現象の影響も大きいとする説。太陽活動の影響、宇宙広範の活動の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因であるとの主張。
* 温暖化は自然現象である、または自然現象の影響も大きいとする説。太陽活動の影響、宇宙広範の活動の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因であるとの主張。

2007年12月10日 (月) 02:01時点における版


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1940~1980年の平均値に対する1995年から2004年の地表面の平均気温の変化

地球温暖化(ちきゅうおんだんか)とは地球表面の大気海洋平均温度が長期的に見て上昇する現象である。生物圏内の生態系の変化や海水面上昇による海岸線の浸食といった、気温上昇に伴う二次的な諸問題まで含めて言われることもある。その場合「気候変動」や「気候変動問題」という用語を用いることが多い[1]。特に近年観測されている(更に将来的に予想される)20世紀後半からの温暖化について指すことが多い。単に「温暖化」と言うこともある。現在、温暖化が将来の人類や環境へ与える悪影響を考慮して、さまざまな対策が立てられ、実行され始めている。

概要

近年、地球表面の大気海洋の平均温度(一般には「地球の平均気温」あるいは「地上平均気温」と呼ばれる。詳しくは後述)は上昇を示しており、これに伴う、海水面(海面水位)の上昇や気象の変化が観測され、生態系人類の活動への悪影響が懸念されている。この地球温暖化は自然由来の要因と人為的な要因に分けられる。20世紀後半の温暖化に関しては、人間の産業活動等に伴って排出された人為的な温室効果ガスが主因となって引き起こされているとする説が有力とされている。2007年2月には、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)により、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は「90%を超える」と報告された。この報告が現在の世界の動きの主軸となっている。

IPCCが最新の第4次評価報告書(以下、AR4と表記する)において集約した膨大な数の学術的予測によれば、2100年には平均気温が最大推計で6.4(最良推定値1.8~4)、海面水位は平均推計で38.5cm(最大推計59cm)上昇するとされている。地球温暖化の影響要因としては、人為的な温室効果ガスの放出、なかでも二酸化炭素メタンの影響が大きいとされる。また人為的な土地利用によるアルベドの低下、排気ガスなどのエアロゾルススといった、温室効果ガス以外の原因もある。その一方で太陽放射の変化の寄与量は人為的な要因の数%程度でしかなく、自然要因だけでは現在の気温の上昇は説明できないことが指摘されている。また一度環境中に増えた二酸化炭素などの長寿命な温室効果ガスは、能動的に固定しない限り、約100年間(5年~200年[2])に亘って地球全体の気候や海水に影響を及ぼし続けるため、今後20~30年以内の対策が決定的な意味を持つと指摘されている。 ただし、それぞれの原因が気候に与える影響に関して、科学的な理解水準が異なる。温室効果ガスに対する科学的理解の水準は比較的高いが、ほかの影響因子の中には理解度が比較的低いものや専門家の間でも意見が分かれる部分もあり、AR4においても信頼性に関する情報として意見の一致度などが記載されている。予測精度を上げる努力が続く一方、こうした不確実性を批判する意見や、政治的陰謀であるとの主張も存在する。

地球温暖化は、気温や水温を変化させ、海水面上昇、降水量の変化やそのパターン変化を引き起こすと考えられている。また、洪水旱魃酷暑ハリケーンなどの激しい異常気象を増加・増強させる可能性がある。また生物種の大規模な絶滅を引き起こす可能性も指摘されている。大局的には地球温暖化は地球全体の気候生態系に大きく影響すると予測されている。ただし、個々の特定の現象を温暖化と直接結びつけるのは現在のところ非常に難しい。 また、こうした自然環境の変化は人間の社会にも大きな影響を及ぼすと考えられている。真水資源の枯渇、農業漁業などへの影響を通じた食料問題の深刻化、生物相の変化による影響などが懸念されており、その影響量の見積もりが進められている。AR4では「2~3℃を超える平均気温の上昇により、全ての地域で利益が減少またはコストが増大する可能性がかなり高い」と報告されている。

地球温暖化の対策として様々な自主的な努力、および政策による対策が進められ、幾つかはその有効性が認められている。現在のところ、その効果は温暖化を抑制するには全く足りず、現在も温室効果ガスの排出量は増え続けている。しかし現在人類が持つ対策(緩和策)を組み合わせれば、今後数十年間の間にGEG排出量の増加を抑制したり、現状以下の排出量にすることは経済的に可能であるとされる。同時に、「今後20~30年間の緩和努力が大きな影響力を持つ」とも予測されており、現状よりも大規模かつ早急な対策の必要性が指摘されている(AR4 WG III)。その一方、コストなどを理由に挙げてこのような緩和策に反対・抵抗する国や勢力も存在する。

地球温暖化は主要な環境問題の1つであり、全地球的な広がりを見せる地球環境問題である。と同時に社会問題でもあり、その対策が求められている政治問題になりつつある。また、温室効果ガスがその原因とされることから、エネルギー問題にも深く関連している。

気温の変化

過去20世紀にわたる複数地点の気温変化。十年スケールでスムージング処理(グラフの曲線を滑らかにする)を行っている。スムージングしていない2004年の年平均データを参考として掲載(*印)
詳細は過去の気温変化を参照。

現在、地球表面の大気や海洋の平均温度は、1896年から1900年の頃(5年平均値)に比べ、0.75°C暖かくなっており、1979年以降の観測では下部対流圏温度で10年につき0.12から0.22°Cの割合で上昇し続けている。1850年以前、過去1000年から2000年前の間、地表の気温は中世の温暖期小氷期のような様々な(おそらく地域的な)変動を繰り返しながら比較的安定してた状態が続いていた。

どの変化に焦点を当てるか、また研究に使用できるデータベースなどによって議論の対象となる時間の長さは異なってくる。計測機器を使用した地球規模での気温の観測は1860年頃から始まっており、観測点は年々増え移動する観測点も多い。第4次報告書の「世界平均気温」については、都市のヒートアイランド現象の影響が最小限となるよう観測地点を選び、地表平均気温の値を算出している。一方、気象庁の「世界の年平均気温」はGHCN(Global Historical Climatology Network)に準拠し、第4次報告書に比べれば観測点が時間的にも空間的にも偏りが大きい[3]。また、GHCNの観測地点は増減を繰り返しているため、その平均気温は絶えず異なる数の母集団から求められており、継続した気温の変化を単純に比較することを難しくしている[4]。特に1990年前後を境に観測地点の急激な減少と平均気温の急上昇が同期して起こっている[5]。そのため、観測地点の変化と平均気温の間に高い相関があることを指摘する報告もなされてきている[6][7]。さらに、気温測定そのものに対しても、観測地点の周囲の環境の変化による影響や百葉箱などの保守管理に対する不備を指摘する声もあり[8][9]、観測地点の選定や都市化の影響等を受けた近年の気温測定に関する不備を指摘する声は少なくない。一方、長期の見積もりでは、最近千年については様々な指標を用いた復元が行われている(過去の気温変化の項参照)。AR4に掲載された過去1300年間の北半球の気温変化を復元した図を参照すると、陸上の堀削にもとづく試料による測定値や、樹木の年輪、氷床、貝殻などの自然界のプロキシを用いて復元された過去の気温変化と比べて観測装置による測定値は、近年の温暖化が過去に例のない上昇を示していることがわかる[10]。最近の過去50年は最も詳細なデータが得られており、1979年からは対流圏温度の衛星による観測が始まっている。

原因

(詳細は地球温暖化の原因を参照)

地球温暖化は、人間の産業活動に伴って排出された温室効果ガスが主因となって引き起こされているとする説が主流である。『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)によって発行されたIPCC第4次評価報告書によって、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は「90%を超える」とされている。IPCC第4次評価報告書は現在世界で最も多くの学術的知見を集約しかつ世界的に認められた報告書であり、原因に関する議論が行われる場合も、これが主軸となっている。

原因の解析には地球規模で長大な時間軸に及ぶシミュレーションが必要であり、膨大な計算量が必要である。計算に当たっては、直接観測の結果に加え、過去数万年の気候の推定結果なども考慮して、様々な気候モデルを用いて解析が行われる。

地球温暖化の影響要因としては、環境中での寿命が長い二酸化炭素メタンなどの温室効果ガスの影響量が最も重要であるとされる。またこの他、エアロゾル、土地利用の変化など様々な要因が影響するとされる。

地球温暖化の原因については、科学的理解度が低い部分や不確実性が残る部分もあり、それが批判や懐疑論の対象になる場合もある。

IPCCによる評価結果

各要因別の放射強制力の評価結果。正の値が大きいほど、地球温暖化を促進する効果が高いことを示す。最右端の人為的要因の合計に比べ、太陽放射の変化によるものは10分の1以下である。
(詳細はIPCC第4次評価報告書を参照)

IPCC 第一作業部会(WG I)による報告書"The Physical Science Basis"(自然科学的根拠, AR4 WG I)が発行された。 この報告書は気候システムおよび気候変化について評価を行っている。多くの観測事実とシミュレーション結果に基づき、人間による化石燃料の使用が地球温暖化の主因と考えられ、自然要因だけでは説明がつかないことを指摘している。

  • 二酸化炭素の増加は、主に人間による化石燃料の使用が原因である。
  • 二酸化炭素は、人為起源の温室効果ガスの中で、最も影響が大きい。この他、メタン一酸化二窒素ハロカーボン類なども影響したと考えられる。
  • 1750年以降の人間による活動が、地球温暖化の効果(正の放射強制力)をもたらしている。
  • 20世紀半ばから見られている平均気温の上昇は、人為的な温室効果ガスの増加によるものである可能性がかなり高い。

それぞれの原因が気候に与える影響に関しては、科学的な理解水準が異なる。温室効果ガスに対する科学的理解度は比較的高いが、や太陽放射変化などの気候因子は理解水準がまだ比較的低い。また専門家の間で意見が分かれる事柄もあり、報告書にも「意見の一致度」として評価結果が記載されている。

影響要因としくみ

二酸化炭素濃度の過去40万年の変化と産業革命以降の急激な上昇。
(詳細は地球温暖化の原因#影響要因としくみを参照)

気候システムは、自然の内部的プロセスと外部からの強制力への応答との両方によって変化する。外部強制力には人為的要因と非人為的(自然)要因がある。その外部強制力には、下記のようなものがある。

温暖化による影響の予測結果・予想

地球温暖化による影響は、気象自然環境への影響と、社会経済への影響とに大別される。主な影響を挙げると、気象や自然環境への影響では、気温海水温の上昇、海水面の変動(上昇)、異常気象や激しい気象の増加、気候の変化、生態系の変化、植生地形景観)の変化などが挙げられる。社会や経済への影響では、食糧生産や飲料水への影響、激しい気象や気候変化による物理的な被害や人的な被害、生活環境の変化、経済システムの変化、社会制度の変化などが挙げられる。

温暖化による影響は非常に広い範囲に及ぶが、その影響の確実度や科学的根拠の明確さなどは1件1件異なるため、どれもが起こりうると考えることもでき、ほとんど起こらないと考えることもできる。そのため、研究や対策の際には、1件1件の確実度などを十分に考慮する必要がある。また、影響などが及ぶ期間や数値の取り方などによって見方が変わってしまうため、一時的な影響と長期的な影響を区別することなども必要である。

1件1件の影響について、温暖化がどれくらい関与しているかということにも考慮が必要である。温暖化とは関係のない自然破壊環境汚染が原因に含まれる場合も多々あるが、それぞれの原因がどの程度関与しているかを把握することが、影響の軽減や解決につながると考えられる。例えば、海面上昇の要因としては、温暖化による変化のほかに、地盤沈下土壌流失、侵食による海岸線の後退、気圧の周期的変動、潮汐の周期的変動などが考えられる。

気温への影響

気候モデルによる今後の気温の上昇予測(8モデル、2000年比)
2005年から過去50年間の、世界の山岳氷河の平均の厚さの推移

第4次報告書では、地球の平均地上気温は、複数シナリオと気候モデルによる計算によって、1990年から2100年までの間に1.1~6.4℃上昇すると予測されている。これは過去1万年の間にも観測されたことがないほどの大きさである可能性が「かなり高い」(90-99%)とされている。

北極域では温暖化による影響がもっとも顕著に現れているともいわれており、第4次報告書によると北極の平均気温は過去100年間で世界平均の上昇率のほとんど2倍の速さで上昇したとされている。また、1978年からの衛星観測によれば、北極の年平均海氷面積は、10年当たり2.1~3.3%(平均2.7%)縮小している。

陸域に於いては、最高最低気温の上昇、気温の日較差の縮小などの可能性がかなり高いと予測されている。

氷床コアの分析から、過去地球が温暖化することによって大気中の二酸化炭素やメタンガスの量が増えているというデータがある。現在起きている温暖化によって、海中からそれらの温室効果ガスが放出され、さらに温暖化が促進されるという正のフィードバック効果が懸念されている。

気象現象への影響

気象現象への影響は一括して「異常気象の増加」、気候への影響は「気候の極端化」と表現されることがある。平均的に地上気温は上昇すると考えられているが、その変化は均一ではなく、場所によって上昇幅が異なり、また、期間によって低下したりと、時間によっても異なる。そのため、地上の温度分布が変わることによって気圧配置が変わり、これまでとは異なる気象現象が発生したり、気象現象の現れ方が変わったりすることが考えられている。

例えば、チベット高原などの気温上昇によって偏西風が蛇行しやすくなり、中高緯度地域でブロッキングが発生しやすくなることで、異常気象の増加といった影響が予想されている。チベット高原の気候変動はこのほかにも、梅雨の期間・降水量や冬季における寒気の流入、春や秋の低気圧の勢力・進路などを左右し、日本周辺の気候に大きな影響を与える可能性があるとの研究結果もある。

また、アメリカ南東部・東部の海水温上昇により、竜巻の発生域が南東部や東部に広がっており、温暖化によってこの傾向に拍車がかかる可能性が指摘されている。第4次報告書では、抽象的表現ながら、ほとんどの陸上で寒い日・寒い夜が減少、暑い日・暑い夜が増加し、全体的に昇温傾向となるのはほぼ確実とされているほか、高温や熱波・大雨の頻度が増す可能性がかなり高く、干ばつ地域の増加・勢力の強い熱帯低気圧の増加・高潮の増加がもたらされる可能性が高いなどとされている。

また、温室効果が強まると成層圏対流圏上部の気温が低下し、地上との気温差が増して大気の対流が強まり、気象現象も強まるとの考え方がある。これにより、例えば勢力が強い低気圧が増えたり、積乱雲の勢力が強まったりといったことが予想される。しかし、成層圏の気温には、オゾン濃度の減少による気温低下、エアロゾルによる日傘効果など、科学的に詳しく解明されていない点がある要素が関わっており、上昇するのか低下するのかは定かではないとの考えもある。

降水量の変化

複数の気候モデルのシミュレーションによれば、大気中の水蒸気量の増加により、平均降水量は21世紀中は増加すると予測されている。平均降水量の変動幅の増大や豪雨の増加の可能性がかなり高い地域が多く、また旱魃の増加の可能性が高い地域もある。平たく言えば、平年通りの雨の降り方をすることは少なくなり、極端に少なかったり、集中豪雨となったり、長雨になったりすることが増えるということである。アマゾンでは、大西洋の海水温上昇によって海洋での対流が活発化し、熱帯雨林への雲の流れが弱くなり、乾燥化すると考えられている(一方、1982年から18年間の衛星による観測結果は地球規模で正味6%の一次生産量の増加を示し、その増加の42%はアマゾンでの増加であるとの報告もある[11])。また、中央アジアアフリカの乾燥地域でも降水量が減り、乾燥化や砂漠化が進むと予想されているが、これには森林伐採や過放牧といった他の要因も深く関係している(ただし、サハラ砂漠は縮小傾向にあり、緑地が広がっているとの報告もなされている[12])。

海水面の上昇

過去約120年間の海水面の推移(地質が安定している世界23地点の平均)
1982年から2004年の南極周辺の平均気温・海水温の変化。赤が上昇、青が低下。

地球全体の気温が上昇し、陸上の氷床氷河の融解や海水の膨張が起こると、海面上昇が発生する。北極海や南極海に浮かぶ海氷の場合は、融解のみを考慮すればごく僅かだけ上昇するが、海面の上昇にはほぼ寄与しないといえる[13]

オランダドイツ北部、デンマークバングラデシュベトナムなど海抜以下の地域を抱えた各国、オセアニア諸国、モルディブなどの海抜が低い島を擁する地域にとっては、差し迫った問題となっている(ただし、モルディブの海水準はここ30年間下降している[14])。既にツバルでは集団移住が計画されており、今後この様な海面上昇による移民(環境難民)の発生が予測されている。ただし、オーストラリア国立潮汐研究施設がツバルの首都フナフティに設置した潮汐計では、これまでのところ平均海面高の変化は示されていないなどの報告もある[15][16]。第3次報告書では、西暦2100年までに30cmから1mの海面上昇が起こるだろうと計算されている。

第4次報告書によれば、ここ1993-2003年の間に観測された海面上昇は、熱膨張による寄与がもっとも大きい値を示している(1.6±0.5mm/年)。ついで氷河と氷帽(0.77±0.22mm/年)、グリーンランド氷床(0.21±0.07mm/年)、南極氷床(0.21±0.35mm/年)とつづく。

南極について、第3次報告書では温暖化の結果降水量が増加するために、氷床の体積が66-90%の確率で増加するだろう(つまり南極のみの影響では海水面が下降する)とされていたが、第4次報告書では「将来増加する可能性も減少する可能性もある」とされている。また、1993年から2003年までの間に南極氷床の影響で海水面が0.21mm/年上昇した(ただし誤差±0.35mm/年)とされている(注: 1993年以降は衛星高度計の観測、1993年以前は潮位計のデータが用いられている)。また、南極の海氷面積には統計学的に有意な傾向は見られないとし、この地域全体で平均すると昇温が認められないことと整合しているとされている[17]

日本沿岸の海面水位に影響を与える原因は地盤沈下などの地盤変動と海洋の変動の二種類ある。この100年で大きな変化はまだないものの、1980年代半ば以降では大きな上昇率(3.3mm/年)が観測されている[18]日本においては、小さな海面上昇でも汽水域の移動などの影響があり、汽水域を必要とするノリカキアサリなどの沿岸養殖を含む各種の漁業に、深刻な影響を与える。また、秋に起きやすい異常潮位による浸水区域の広域化を招くため、防潮扉、それに伴う排水ポンプの設置など、海岸沿いの地域経済及び自治体に多くの負担を強いることとなる。

また、東京などの沿岸部に近い都市部の、海岸に近い地域では、海面上昇に伴い、地下水の水位が上昇する。これにより、地下鉄など地下に埋設された空洞部分の地下水に対する浮力が増し、地下道の破壊を招きかねない。この対策として、地下設備のアンカー固定を行う作業が必要となる。温暖化との直接の関連性は見受けられないが、東京などでは近年、地下水の上昇に伴い、地下駅の浮力の上昇が問題となっている。

同時に、海面の上昇は地下水における海水の侵入をも意味する。日本の工業地帯は主に海岸部に集中し、多くの地下水をくみ上げ工業用水として使用している。すでに地盤沈下などで工業用水のくみ上げの規制は行われているが、これに海水が混入し始めると、工業用水としての利用はできなくなる。このため、淡水化事業、ダム水利権など多くの問題が発生することとなる。また、海岸に近い水田では、地下深くにあった塩分の層が地表近くに達し、干拓地などにおける水田では、稲作に深刻なダメージを与えることが懸念されている。加えて、河川塩水くさびの影響が中流域にまで達すると考えられ、平野部の農業用水や生活用水の取水に大きな影響を与えるものと考えられる。

海水温・海洋循環への影響

地球規模の気温上昇に伴い、海水温も上昇する。平均海水温が3℃上昇するだけで、東京湾に生息する魚類が熱帯魚になるともいわれるように、生態系が変化するといわれている。さらに、気温や降水量と同様に、海水温についても、今後平均温度が上昇するとともに、変動幅が大きくなることが予想されている。これは、大気の流れや海流が変わったり、変動が激しくなったりすることによるもので、異常な低温や高温をもたらし、異常気象や生態系への影響をもたらす可能性があるとされる。

また多くの予測モデルで、太平洋熱帯域でのエルニーニョ現象が強まるとの結果が報告されている。

氷床や氷河は淡水であり、急激な気温の上昇によって極地の氷河が溶けると、海水の塩分濃度が低下し比重が小さくなる。大西洋北部では地中海由来の塩分の高い海水が沈み込み、深層循環の一部をなしているが、極地方の塩分濃度の低下により沈み込みが弱まるためにメキシコ湾流が弱まり、それによって極地方は寒冷化し、赤道付近は温暖化するという予測もある。深層循環の停止の項も参照のこと。

また、海底に低温度の淡水が流れ込むことにより、深層循環の停止とそれに伴う世界中の海流の変化が起こり、結果、両極周辺の平均気温が下がり高緯度地方と低緯度地方との温度差が著しくなることで、高緯度地方の積雪につながり氷河の増加に繋がるという仮説もある。深層循環は塩分濃度が主要因と考えられがちだが、大部分が風力と潮汐力によるものだということが明らかとなっている[19][20]。しかし、塩分濃度も要因であることには変わりなく、氷河等の融解による深層循環の停止の可能性を否定したものではない。ちなみに、映画『デイ・アフター・トゥモロー』は深層循環の停止という仮説をもとに作られた作品である。地球寒冷化の項も参照のこと。

生態系・自然環境への影響

変動を繰り返している気候に、温暖化の影響が加味されることにより、いわゆる気候の極端化が発生し、干ばつや高温などが増えたり強まったりして、生物が危険にさらされるリスクが増すと考えられている。また、地球温暖化とは関係のない人為的な活動による、いわゆる「自然破壊」によってもリスクが増すため、単独ではなく、2つの原因が重なっている場合が多い。一方、気温の上昇により生息域が拡大したり餌が増えたりと恩恵を受ける生物も多いが、これをきっかけに生態系が激変する可能性をもはらんでいる。

主な影響例として、北西太平洋で顕著なサンゴの白化や北上(北半球)・南下(南半球)、寒冷地に生息する動物(ホッキョクグマアザラシなど)の減少などが挙げられる。また、日本においては、ブナ林分布域の大幅減少や[21]、農業への深刻な影響も懸念されている[22]

社会・経済・生活への影響

社会的な影響としては、過去の温暖化による古代文明の繁栄を根拠に利点が多いとする説もあるが、これは局地的な繁栄に過ぎず、現在の温暖化の影響を考える上では参考程度にしか成り得ない。現在、人類の居住地域は非常に広範囲に広がり、世界総人口は65億人を超えて更なる増加が予想されており、都市を中心に人口密度が増し、気象災害のリスクが高い地域にも多くの人々が住んでいる状況では、大きな被害が出るリスクも大きい。

主な影響として、異常気象の増加(熱帯低気圧、嵐や集中豪雨)による物的・人的・経済的被害の増加、気候の変化による健康への影響や生活の変化などが考えられている。低緯度の感染症マラリアなど)が高緯度に拡大することも挙げられるが、これはむしろ交通の発達などにより感染症が広まりやすくなったことが主因であるという考えもある。

また、気候や海水温、海流などの変化によって、食糧に関連する生物植物水資源等にも影響が及ぶと考えられている。ただし、これらの要因としては自然起源の気候変動も考えられるほか、人間の生活の変化が被害を招くこともあるので、一概に地球温暖化によるものだとは言えない。例を挙げると、農業では、これまでその土地に適していた作物が恒常的な不作に陥り、食糧不足や飢饉を招き、転作品種改良を余儀なくされたり、農業に適さなくなった農地の放棄や新たな開墾による自然破壊、農業制度の変革などをもたらす可能性がある。また、狩猟や漁業では、恒常的な不猟・不漁により、猟漁場の移動や奪い合い、水産物等の奪い合いなどが起こる可能性がある。アルコール飲料味噌醤油などの発酵食品は、発酵を行う微生物の活動が、気温や湿度などの微妙な生息環境に左右されるため、軽微な気候変化でも品質の変化や産地の移動が起こると考えられており、ヨーロッパではすでにワイン産地の移動が始まっている。

チベット高原パミール高原ヒマラヤ山脈アフリカ東部の高地ヒマラヤ山脈ロッキー山脈などでは、降雪量の減少、氷河・氷帽の融解により、河川の流量が減り、流域の広い範囲に影響が及ぶと考えられている。

具体的には、以下のような可能性が指摘されている。アフガニスタンなどでは、山に雪が降らなくなったことに起因する水不足などにより、大量の難民(生態系難民)が発生する[23]東南アジア南アジア中国などでは、2057年頃にヒマラヤ山脈の氷河は消失し、ヒマラヤ山脈を水源とする9つの大河、その流域の13億の人間に多大な影響が出る可能性がある(UNEP)(ただし、ヒマラヤの氷河は増加傾向との報告もなされている[24])。アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山は、2015年までに氷がすべて消失し、周辺の生態系や周辺の人々の生活に大きな影響を与える可能性がある(ユネスコ)(一方、観測されているキリマンジャロ山の氷河の減少と温暖化は無関係とする報告もある[25][26])。ヒマラヤ山脈の氷河が溶けて巨大化した氷河湖が決壊し大洪水が起こる可能性が高まっていると警告した(国際山岳開発センター:ICIMODのシュレスタ調査局長が2007年12月5日日本記者クラブで講演)。

スイスフランスでは、山に雪が積もらなくなり、氷河は消滅する可能性がある(スイス・ベルン大学)。また、アメリカ合衆国ではハリケーンが勢力を増し、大規模な火事が頻発し、農作物の生産量は減少する可能性がある(カリフォルニア大学のJohn Harte氏)(ただし、より強いハリケーンが発生するとの見方に対しては懐疑的な見方が強い[27][28][29])。日本では、60%の食糧を輸入しているため、国外での不作や不漁、価格変動の影響を受けやすく、食糧供給に問題が生じることが予想されている。

また、北極圏や高山などでは、永久凍土が融けたり、夏季の融解範囲が増えたりすることで、凍土に立つ建物の倒壊、土壌の軟弱化などが起き、沿岸部ではそこに海氷縮小が加わり、波による侵食も起こっている。

海面上昇にしても、洪水や旱魃などにしても、気候が激しさを増し生活が不便となるような地域では、移住の是非が大きな問題となり、環境難民(温暖化難民)の発生や、移住民と地元民の対立が増えると予想されている。これに関連して、安全保障の面では、旱魃による食糧供給の不安定化などに起因する地域紛争が増加するのではないかという予想もあり、地球温暖化は安全保障問題となったという考えもある。

長期的に見た影響・最悪のシナリオ

地球温暖化の諸影響については、気候モデルでは50~100年後、学術研究では最長300年程度しか予測・予想ができていない。これは、予想・予測期間が増すにつれて誤差や不確定性が加速度的に増えるためである。

気温については、2100年に現在よりも1.1~6.4℃前後上昇した後、「さらに上昇する」「上昇のペースが緩やかになる」「ある地点を境に急激に低下する」などさまざまな意見がある。海面についても、2100年に現在よりも0.18~0.59m前後上昇した後、「さらに上昇する」「上昇のペースが急になる」「上昇のペースが緩やかになる」などさまざまな意見がある。気候の変化などについては、詳細な予測・予想は出されていない。ただ、抽象的ながら、「気象現象がどんどん極端になる」「気候が安定化する」「氷河期に突入する」などの意見がある。

また、「最悪のシナリオ」としていくつかの考えがある。温暖化が際限なく続いて大量絶滅が起こる、あるいは人類生活が大きな打撃を受け文明が後退する、人類が激減・絶滅(滅亡)するといった極端なものもある。

ただ、これらには科学的な裏づけがないものも多く、温暖化対策の際に引き合いに出されることは多くない。

地球温暖化対策

国別一人当たり年間二酸化炭素排出量(2002年)
世界の化石原料由来の排出源別年間二酸化炭素排出量の推移(炭素換算、単位100万トン)
地球温暖化の早期防止を訴える活動、2005年7月、ワシントン・ホワイトハウス前にて。

地球温暖化と経済

1980年代から地球温暖化説が唱えられるようになった。1990年代に、科学的議論の途上であるなかで、温暖化対策が必要であるとして数々の国際的な取り組みが行なわれるようになった。対策の必要性自体は広く認められているが、将来のリスクの程度や、対策を施行する場合と施行しない場合に発生する経済的な利害などについて常に議論が存在している。

地球温暖化への対策は現在、温暖化効果ガスの排出の抑制と、森林育成などによる大気中の二酸化炭素の固定促進を主体として行われている。この対策を施行するにあたり、各国の国民経済構造が異なるために国際社会において利害対立が起きた。また各国国内においても、対策の影響を大きく受ける部門と、対策の影響が少ないあるいは対策によって利益を得られる部門との間で対立が起きている。

例えば、現代の英国は工業化のピークを100年以上前に過ぎ去り、経済構造は金融・サービス化している。産出される付加価値に比べて温暖化効果ガスの排出量は少ない。一方で、中国は世界史上類を見ないほど工業化が進展しており、付加価値産出に比べて温暖化効果ガス排出が他国よりも多い。

結果的に排出ガスを規制したり排出権を取引することは、国民経済間で新たな所得移転をもたらすことになる。このため、温暖化対策による環境効果がどのようになるかに関わらず、所得を得る側は対策を主張し、所得を奪われる側は対策を温暖化を利用した搾取だと主張している。

特に先進国の経済界や個々の企業に関して、世論の影響もあり、温暖化対策にCSR内部化を求める声が強くなってきているとされる。また、温暖化対策は一部企業にとっては商機にもなりつつあり、バイオ燃料や排出権取引を通した炭素市場が拡大してきている。

政治的な対策・協力と目標

温室効果ガスの削減としては、現在京都議定書による削減目標提示が最も大規模なものであり、1990年代から議定書の目標達成を目処に削減が行われてきた。目標達成の目処がついた欧州連合(EU)では、2007年2月の環境相理事会において、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で20%削減する目標で合意するなど、更なる削減を念頭に国際的な合議が進みつつある。一方で先進国間や全世界間では、対立や駆け引きの中で、曖昧な目標が立てられてしまっているところもある。例として、2007年のハイリゲンダムサミットの合意における「温室効果ガスを2050年までに半減する」(どの温室効果ガスをいつを基準に半減させるのかが不明瞭)という目標などが挙げられる。しかし、国際政治の舞台では温暖化問題あるいは温暖化対策が主要な議題とされることが多くなってきているのは明白である。全世界的な目標提示あるいは更なる削減の枠組みとして、現在は「ポスト京都議定書」の議論が進んでいる。

現在の議論や対策をみると、地域的には大幅な温室効果ガスの削減で合意したところもあるが、世界的には削減の有無や是非を議論する段階にとどまっている。温暖化の影響は全地球規模で及ぶため、対策も全世界が協力合意して行わなければうまく進まないという見方が多く、特に現在や将来の温暖化に対する責任を考えて世界的な合意を得たい先進工業国と、各国が現在の温暖化に対する責任の程度(二酸化炭素の排出量など)に応じた対策をとるべきとする新興工業国発展途上国の間とで深い対立があるため、早急に合意すべきだという意見もある。

長期的対策

将来どのように対策を行っていくか、という際の指針と対策・目標の立て方については、さまざまな方法がある。例えば、将来の気候変化やリスクの程度の長期的予測をもとに対策・目標を立てるやり方、次々に更新される予測にあわせて対策・目標を修正するやり方などがある。政治的・国際的対策として、どのようなやり方をとっていくかは、まだ定まっていないのが実状である。

温暖化対策の最終的な究極目標については、現在のところ1つに定まっているわけではない。気候を1750年ごろ(産業革命、工業化)以前のような状態に戻すこと、あるいは温室効果ガスの濃度を適切なレベルに下げることなどが挙げられる。

第4次報告書では、長期的な対策に関して、あらゆる対策を施した後に安定化したときの温室効果ガスの排出量が鍵を握り、この安定化時の排出量が多ければ多いほど、早期に対策を行い温室効果ガスの濃度低下を早める必要があるとしている。また、将来の二酸化炭素などの排出削減と気温などとの対応関係も示されており、2050年のCO2排出量を2000年比-85~50%とすれば排出量は2015年までにピークとなり産業革命以前比の気温上昇は2.0~2.4℃、-30~+5%とすれば2030年までにピークとなり2.8~3.2℃、+90~+140とすれば2090年までにピークとなり4.9~6.1℃など6パターンの予想が出された。

具体的対策

温室効果ガス、特に二酸化炭素の削減においては、省エネルギーエネルギー効率の改善などによりエネルギー原単位の低下を目指すこと、低炭素社会(二酸化炭素排出が少ない社会)を目指すこと、および炭素吸収量を増加させることなどが念頭に置かれている。また、こうした社会をつくるために、持続可能な開発循環型社会を実現していくことも重要である。

エネルギー効率改善においては、発電や熱を動力とするシステムの熱効率改善や、再生可能エネルギーの普及、エネルギーのローカル化(エネルギーを消費地の近くで供給できるような社会へ移行すること)などがあり、これらの実現が難しい場合は原子力発電の推進も手段の1つとされる。また、研究途中である核融合エネルギーの利用が可能となり、エネルギー効率の良いものが普及すれば、化石燃料の消費が大幅に抑えられると考えられているが、原子力発電と同様に被爆の危険性もはらんでいるほか、巨額の費用がかかることから、根強い反対もある。

省エネルギーにおいては、低電力消費の製品の普及や設備更新、電力・エネルギー消費が少ない経済システムへの転換、不要なエネルギー消費の削減、省資源などがあげられる。省エネ技術の普及には、トップランナー制度の他、企業への導入を経済的に補助するESCO事業などが効果を上げている。

また、これらに関連して、3R・4R・5Rリデュースリユースリサイクルの他、リフューズ、 リペア、 リファインなどがある)や節電節水などを一般家庭や企業などで行う。特に資源利用の見直しについては循環型社会を目指した活動が行われるが、この活動は環境保護全体を考えたものであり、温暖化対策を目的としていない場合もある。

京都メカニズムと呼ばれるクリーン開発メカニズム(CDM)や国内排出証取引排出権取引なども有効なシステムとされるが、これらは運用方法次第で、利益重視となり二酸化炭素排出の増加を招くようなことも有り得るため、適切な管理が必要である。また、法律や条令による直接規制による削減義務、炭素税、なども削減の手段として用いられる。

炭素吸収量の増加では、植林を始め、森林伐採量の抑制、灌漑水資源の適切な管理、休耕地の積極的な利用、二酸化炭素吸収の多い作物への転換、自然植生の保護などが挙げられる。また、地中や水中への二酸化炭素固定の技術についても研究が進んでおり、実用化されれば将来の温室効果ガス削減において大きなウェイトを占めると考えられている。

これらを補完する対策として、それぞれの対策における温室効果ガス削減効果を適切に予測・計測・公開すること、温室効果ガス削減や炭素削減などに関する技術開発を行ったり支援したりすることも挙げられる。技術支援の国際的枠組みとしてはクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップIEAなどがあり、主に先進国から発展途上国に対する技術供与という形で、技術協力が行われている。

しかし、温暖化対策が「温室効果ガスの削減」のみに傾きつつあることに対して懸念もある。温室効果ガスと同様地球の気候因子であるエアロゾルアルベド海洋循環大気循環などについても、可能な対策をとることが必要だとされる。また、地球温暖化の軽減効果について、現在は温室効果ガスのみが考慮されているが、それだけではなくアルベドやエアロゾルなどの変化も考慮に入れるべきとの指摘もある。

省エネルギー等においては、行政・企業・営利団体による啓発活動もさることながら、非営利・民間団体(特に環境保護団体)による啓発活動や、政治・行政の監視、市民運動も盛んである。また年を追うごとに、市民の間でも省エネルギー認識や環境問題への危機意識が高まりつつある[30][31]

また、エネルギー消費量や二酸化炭素などの排出量に深く関連するのが、人口生活様式である。温暖化を軽減するためにも、人口増加(出生)を極力抑え、最終的には適切なレベルにまで減少させることが必要だとされるが、人口減に伴う少子高齢化過疎化の問題もある。生活様式もできるだけエネルギー低消費型に移行するべきだとされるが、経済発展とエネルギー低消費型生活のどちらを優先するかという問題があり、コミュニティや行政単位によってさまざまな考え方や議論がある。

環境問題全般にも言えるように、温暖化対策についても、「できることから始めよう」「身近なところから始めよう」といった訴えかけとともにいくつかの対策例を挙げたものが多い。これらは実効性から見れば僅かなもので、どちらかといえば啓発活動や温暖化対策のきっかけづくりに近い。実効性のある対策を行うためには、もっと広い分野にわたる対策を、数十年単位で行っていく必要がある。

地球温暖化への適応策

地球温暖化対策は温暖化の軽減に主眼を置いているが、海水面上昇や気象の変化といった、温暖化によって引き起こされると考えられている諸問題に対する適応策も行われている。将来、温暖化を防げなかった場合、温暖化の軽減がうまく進まなかった場合や、温暖化対策が効果を挙げるまでの猶予期間の災害などを考慮して、こういった対策が求められる。

主な問題への対策としては、海水面上昇には移住や住居の高床化、異常気象には災害情報伝達や防災の強化、災害知識の普及、気象観測・予測の強化などが挙げられる。 生態系保全(生物・植物など)については、レッドデータブックに象徴されるような調査や保護管理活動による対策が行われているが、現在不十分なところも多い。

歴史的経過

(注:この節の文章は未整理です。内容が古すぎたり、他の節と重複している可能性があります。)

1980年代前半頃までは、「地球寒冷化」が学界の定説であった。1988年6月23日アメリカ上院のエネルギー委員会の公聴会におけるNASA所属のJ.ハンセンによる「最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」との発言が「地球温暖化による猛暑説」と報道されたことを契機として、当時の『ニューズウィーク』誌等の雑誌やTV放送等のメディアを通して一般に広まった。公聴会の議長を勤めた上院議員のティモシー・ワースは過去の気象から最高気温が記録された日を公聴会の開催日に選び、当日は委員会の冷房を切るなどの行為を行ったといわれている[32]。その後、ティモシー・ワースは1997年にCNNの創業者であるテッド・ターナーによる10億ドルの資金提供によって設立された環境問題(特に、地球温暖化問題)への取り組みを活動の柱とする国連財団の筆頭理事に就任した(国連財団会長はテッド・ターナー、専務理事はエンマ・ロスチャイルド)。

オゾン層の破壊(オゾンホール問題)」と同様、厳密には、「人為的な原因を除いては説明できないため、それを制限する」という考えに基づくさまざまな会議が開かれ、対策が練られている。気候変動枠組条約の採択は、1992年6月にリオ・デ・ジャネイロで開かれた環境と開発に関する国際連合会議地球サミット)で行われた。そこで中心的役割を果たしたのが、当時ブラジル環境大臣でもあった原子物理学博士ホセ・ゴールデンバーグである。

地球は温暖化しつつあり、人類の排出した温室効果ガスがそれに重要な役割を果たしているということは科学的なコンセンサス(合意)となっている。このコンセンサスは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で要約されており、2001年にまとめられた第3次報告書では、最近50年間に観測された温暖化のほとんどは、人間活動に起因するものであり、残された不確実性を考慮しても、温暖化の大部分は温室効果ガス濃度の増加によるものであった可能性が高いとした。この姿勢は最近G8構成国およびブラジル中国インドの科学者により構成される国際グループ「気候変動に対する世界的対応に関する各国学術会議の共同声明」[33]で支持された。

世界の地上平均気温は、上下1.5°Cの範囲で、400-500年以上かけて温暖化または寒冷化といった形で上下している。15世紀からは比較的寒冷な期間(小氷期)が続いていたが、これは19世紀ごろまでで終わり、過去1世紀ほどの地球上の(陸地及び海域の)温度は0.6 ± 0.2°C(日本の気温は約1.0°C)上昇し、殊に1980年以降の約20年間の上昇はますます顕著になってきている。大気中の二酸化炭素1800年のおよそ280ppmから1958年には315ppm、2000年には367ppmと200年間で31%増加し、他の温室効果ガスも増加している。将来の二酸化炭素濃度は実際は、経済、社会、技術、自然開発などの不確かな状況に依存するが、このまま化石燃料の使用を続けると更に増加すると予想される。IPCCではその点を考慮して幅広い排出シナリオを予想しているが、それでも2100年には540ppmから970ppmに達するとしている[34]

科学的コンセンサスと経済的な動機が合致して、150カ国以上の国で京都議定書を批准するに至っているが、どこまで対策を進めるべきかについてはまだ議論がある。現在、世界各国にて「気候変動に対する強固かつ早期の対策を行うことによる便益は、そのコストを上回る」[35]といった考え方から対策が検討・推進され、経済界でもなんらかの対策(排出権取引炭素税、原発の増設など)が必要であるとしている団体も多い。また2007年には、気候変動に関する活動に対してIPCCが、人為的な気候変動問題の啓発に対してアル・ゴアが、それぞれノーベル平和賞を受賞したが、ゴア氏の受賞に際しては主張の一部が不正確であるとして批判も見られるなど論争も多い。

現在、科学的根拠や対策について批判や論争が多いままではあるが、政治経済社会生活などの多方面において、地球温暖化や地球温暖化問題の重要性は増してきており、人類共通の課題として認識されつつある。

温暖化問題に関する疑問点・問題・論議

温暖化人為説に対する論議

(詳しくは地球温暖化に対する懐疑論を参照)

気候の研究者の中にも「温暖化は人為的なものであるとは断言できない」とする意見がある[36]。具体的には、二酸化炭素を主因とする温暖化を疑うものが多いが、温暖化自体を否定しているものは少ない[37]。また、モデルと実際の気候の不整合を問うものなどがある。その他にも、宇宙物理学などの分野から太陽とテレコネクションなどの気候変化の関係に注目するする研究の中から、査読を受けた論文に基づいた主張もなされている[38][39]。しかし、IPCCの報告書では、特に太陽活動による太陽磁場や紫外線が気候に与える間接的効果については科学的理解の水準が低いとされ、採用される段階にはいたっていない。下記に代表的な主張を例示する。

  • 温暖化は自然現象である、または自然現象の影響も大きいとする説。太陽活動の影響、宇宙広範の活動の影響、地球内部の活動、磁気圏の活動などが原因であるとの主張。
  • 火山活動や海水からの二酸化炭素の排出の影響の方が大きい。
  • 水蒸気の影響の方が大きい。
  • 温室効果ガスの増加は一次的な主要因ではなく、温暖化のために増えている。
  • 南極の一部だけは気温が上昇していないから、水蒸気が増えてもそこに降雪が集中するはずだ。
  • 小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が、まだ続いている可能性もあるのではないか。
  • 予想に用いる気候モデルの信頼性が十分でない(二酸化炭素のミッシング・シンクなど)。
  • 軍事産業や一部国家による陰謀である。

温暖化の影響・対策に対する疑問

IPCC第4次評価報告書では温暖化の抑制が経済的にも可能であるとされている。しかし、温暖化対策に費やされる経済的コストが高すぎると主張し、温暖化対策に否定的な意見も存在する。地球温暖化に対する懐疑論を参照のこと。

温暖化対策としての原発推進に対する懸念

原子力発電は二酸化炭素の排出が非常に少ないと言う理由で、各国で温暖化対策の中核的手段とする動きが活発となってきている[40][41][42]。2007年の主要国首脳会議ハイリゲンダムサミット)では、日米で温暖化対策として原発推進を明記する提案がなされた。しかし、重大な事故につながる懸念も払拭されておらず、原発の総数が増えれば統計的に大事故につながる可能性も必然的に高まり、またピークウランが過ぎれば良質なウラン鉱石が得られなくなり、エネルギー利益比が格段に落ちるとの指摘もある[43][44]。また、コストや核の拡散やテロの標的になるなどの危険性から過度の原発の依存に対して懐疑的な見方もある[45]

地球温暖化をテーマにした作品

映画
アニメ
楽曲
  • 『地球温暖化進行曲』1990年、日本(歌:植木等。アルバム『スーダラ伝説』に収録)

出典

参考文献

肯定的

懐疑的

脚注

  1. ^ 「気候変動」には、1.人為的なものに起因する気候の変動(UNFCCCの定義)、2.短期的な気候の変動、3.人為的・自然起源にかかわらないすべての気候の時間的変動(IPCCが定義する「気候変化」と同義)などの意味がある。UNFCCCやIPCCなどの機関によって定義が異なることや、「気候変化(climate change)」と「気候変動(climate variation)」の訳し分けに伴う混乱により、相反する複数の意味を持つため、正確に記述するためにはどの定義で用いているのかを示さなければならない。この記事では定義を統一していないため、各文脈により判断される。
  2. ^ 温室効果ガスに関する基礎知識 気象庁。
  3. ^ 世界と日本の気温、降水量の経年変化に関して、よくある質問 気象庁
  4. ^ Data @ NASA GISS: GISS Surface Temperature Analysis: Station Data
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  12. ^ Africans go back to the land as plants reclaim the desert New Scientist, vol.175, no. 2361, p4, 2002
  13. ^ 「海氷が溶けても、アルキメデスの原理により海水準は上昇しない」と言われることが多いが、これは海水と海氷の比重が同じ場合のことである。海氷はもともと塩分濃度が低い河川流入水起源のものが多いが、凍る際に塩分濃度が低下し淡水に近い氷となる。融けた際には両者の密度差によって、わずかながら海水準の上昇が起こる。しかし、その増加分は僅かであり、陸氷の融解による体積増加分の1割にも満たない。詳しくは海面上昇を参照。
  14. ^ New perspectives for the future of the Maldives Nils-Axel Mo¨rner et al., Global and Planetary Change, 40, 177-182(2004)]
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外部リンク

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関連項目

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