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零 (ゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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零 zero』(ゼロ)は、コーエーテクモゲームス(旧テクモ)および任天堂から発売された日本のホラーゲーム/シリーズである。

ラインナップは以下の通り。

概要

カプコンの『バイオハザード』が開拓したサバイバルホラーゲームのブームに便乗する形で2001年12月にプレイステーション2にて第1作目を発売し、他機種への移植と合わせてコンスタントに続篇をリリースしながら現在に至る。

それまでのホラーゲームがおおむね西洋の世界観を題材にしていたのに対し、「和風ホラーアクション」と題した牡丹灯篭のような舞台設定を採用し、ジャパニーズホラー特有の湿っぽい恐怖感をかき立てる演出が特徴。

海外では『FATAL FRAME』(フェイタル・フレーム)および『Project ZERO』(プロジェクト・ゼロ)などのタイトル[2]で移植・輸出されている。

2011年で10周年を迎え、Wiiにて『零 新作(仮称)』、ニンテンドー3DSにてスピンオフ作品『心霊カメラ 〜憑いてる手帳〜』の発売を予定している[3]

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ゲーム内容

全体的なゲームデザインは前述の『バイオハザード』に倣った3Dアクションアドベンチャーだが、最大の違いであると同時に特徴として挙げられるのが、「射影機」(しゃえいき)と呼ばれるシリーズ全作共通のメインアイテムになっているフィルムカメラの存在(システム)である。

射影機は幽霊などの「ありえないもの」を写し出せる特殊なカメラであり、「その姿を撮影する」という手段によって死者の想いに触れたり声なき声を聞き取ることが出来るほか、「過去を写す」「呪縛を解く」といった機能もあるため、ストーリーの謎を解くのに必要不可欠な役目を担うものとなっている。

また、ゲーム内で敵となる怨霊に対抗しうる武器にもなるが、その得物にカメラを採用した点についてはほかにも狙いがある。それは、やみくもに撮影(攻撃)しても微々たる威力にしかならないが、大ダメージや様々な有利効果が得られる「フェイタルフレーム」と名付けられたシャッターチャンス(弱点)を敵それぞれに設定している点である。その弱点は総じて「画面いっぱいまで顔が迫ってくるようなギリギリの距離」まで引き付けないと発生しないため、敵との戦闘を早く終わらせるには「恐ろしい怨霊を直視しなければならず、場合によっては積極的に近付いていかなければならない」という独特の恐怖を生み出すツールにもなっている。

加えて、不意を突いて出没する浮遊霊を含めた数百体分の「霊リスト」が存在するため、上手く撮影できればポイントも増える一石二鳥な収集要素も手伝って、カメラをかまえること自体が常時プレイヤーを恐怖の出来事に注視させるための仕掛けなのである。

そんな射影機は唯一無二の物で上位機種(武器替え要素)が無い代わりに、「強化レンズ」などのパーツアイテムを入手することで、対象物の動きを遅くさせたり、ダメージを数倍にさせるといった様々な効果を与えられるようになる。さらに、いつでも強化可能な能力値が目的別に設定されており、霊に関するものを撮影していくとたまっていくポイントを任意で振り分けることで性能をアップさせることも出来るようになっているため、恐ろしいからと霊との対峙を避けるのではなく、むしろ向っていって撮影することで「ゲームを進める上でのメリット=様々なパワーアップ、クリア特典解放のフラグ立て」と、「プレイヤーの立場からのデメリット=怖い、可能ならスルーしたい」という相反する要素を上手く融合させているのもカメラシステムの特徴である。

サブキャラクターの日記や古文書を読んで過去の惨劇の秘密を解き明かしていくことも大きな目的であり、それら過去の惨劇は生きた人間の生贄を伴う何らかの悲劇的な儀式に起因することが多く、善しにつけ悪しきにつけ胸に突き刺さるような結末のエンディングへとつながる布石となっている。

なお、零シリーズでは一定時間(5分程度)コントローラを操作せずにいるとスクリーンセーバーが自動的に起動し、ぞっとするような演出が起こるようになっている。演出は作品ごとに異なっており、同じ作品でも偶数奇数の章によって異なるケースもある。

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ストーリー・設定

ストーリー

零 zero (ぜろ)
1986年9月24日、雛咲真冬は、自身の恩人であり取材中に行方不明となった作家・高峰準星の行方を捜すため、彼が取材に訪れたという氷室邸へやってくるが、彼もまた消息を絶ってしまう。
真冬の妹である深紅は、兄を捜して単身氷室邸を訪れる。深紅は兄の手がかりを探して屋敷の中を進むが、やがて屋敷の中を徘徊する霊たちに囲まれてしまう。逃げ惑う深紅の前に突如白い着物の女が現れ、彼女の体にそっと触れた。女が触れた後には縄のような痣が残っていた。それは女〜霧絵が屋敷を訪れる者にかける呪いだった。
果たして深紅は死の呪いが成就する前に兄を探し出し、共に脱出することができるのだろうか…。
零 紅い蝶 (ぜろ あかいちょう)
双子の姉妹である天倉繭と天倉澪は、昔住んでいた故郷に近い沢にやってきた。
この沢のある辺りはもうすぐダムの底に沈んでしまうため、最後にもう一度見ておきたいと思ったからである。だが幼い頃よく遊んだこの沢には、かつて姉の繭がこの沢のある山道で足を滑らせ転落、大怪我を負ってしまったという苦い思い出もあった。
妹の澪が回想しているとそばにいたはずの繭がいなくなってしまった。澪が辺りを見回すと、繭が紅く輝く蝶に導かれるように林の中へ入っていく。
澪が慌てて追いかけるも、2人は地図から消えた村、皆神村に閉じ込められてしまう。
零 -刺青ノ聲- (ぜろ しせいのこえ)
写真家を生業としている黒澤怜は、ある日幽霊屋敷と噂される日本家屋の取材を依頼される。そこで彼女はあるはずのない影を見る。
現像した写真には、2か月も前に死んだはずの婚約者・麻生優雨の姿が写っていた。その日から怜は悪夢を見るようになる。増築を重ねた末にうち捨てられ廃墟と化した日本家屋、その屋敷の中を徘徊する霊…。その悪夢の屋敷の中で悪霊に追立てられ、捕えられたところで怜は夢から覚める。いつの間にか怜の体には、刺青にも似た青い痣が浮かび上がっていた。その痣は激しい痛みを伴い、彼女を苛む。
怜の心に生まれた謎は、怜の助手の雛咲深紅や優雨の知人・天倉螢をも巻き込み広がっていく。そして現実の世界にもその恐怖は侵食していく。
果たして怜が見る夢の真相は? そして、あの世から聞こえる優雨の“聲”は彼女に届くのだろうか…。
零 月蝕の仮面 (ぜろ つきはみのかめん)
誰も覚えてないことは、存在しないことになるのだろうか…。
本州の南に浮かぶ島-朧月島で10年に1度開かれる朧月神楽。その神楽の最中に、5人の少女が神隠しに遭った。少女たちは1人の刑事に助け出されたが、すべての記憶を失くしていた。神隠しに遭った少女の1人、水無月流歌にはかすかに憶えていることがあった。それは、1つの旋律…。
仮面をつけた人々に囲まれて楽器を鳴らす少女たち、そして月の光の中で憑かれたように踊る仮面の女。旋律は繰り返され、速まり…やがて記憶は途切れた。あの日、何があったのか…? 流歌はその想いを抱え、過ごしてきた。
10年後、神隠しに遭った少女のうち、2人が相次いで死んだ。顔を覆い、泣き叫ぶような無残な姿で…。
流歌と共に残された少女、海咲と円香は友人の死の謎を解き明かすために朧月島に向かった。そして2人を追って流歌も島へ渡る。失った記憶の先にあるものを確かめるために…。
零〜紫の日記〜 (ぜろ むらさきのにっき)
その日記はある日、突然届けられた「紫の日記」。いつの頃からか、都市伝説で囁かれる古い日記…。
不気味な古い写真や意味不明の文字が綴られたその日記の最初のページ…?ぽかりと空いた、白紙のページに、「あるはずのない」文字を見た者は…。
神隠しに遭い、やがて変わり果てた姿となって発見されるという。「顔の削がれた」遺体となって…。
主人公は紫の日記に囚われた少女「眞夜」と共に日記の謎を解き明かす。その先に待つ真実を確かめるために…。

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設定

射影機
異界研究者である麻生邦彦博士により作り出された「ありえないもの」を写し出せるカメラで、撮影することで残留思念や過去を見聞きしたり、怨霊を除霊したりできる。各機能については以下の通り。
フィラメントファインダー付近に付属している豆電球大の発光器。霊的な「ありえないもの」を感知するレーダーで、封印霊や地縛霊などには青く、浮遊霊や怨霊などには赤く点灯し、照り具合の濃淡でその方向や距離を知らせる。
フィルム…「〇七式」「一四式」「六一式」「九〇式」「零式」(弱→強順)などの種類がある[4]。除霊効果は使用者自身の霊力にも左右されるが、強力なフィルムになるほど枚数は少なく貴重となる。素材には朧月島の面打ちに使用される塗料を改良したものが使用されている。
強化レンズ…カスタムアイテムの写真レンズで、ダメージに限らない様々な特殊効果を加えることが可能となる。代表的なものは「遅」「零」「祭」[4]など。続篇では「感」「追」などのレンズが「追加機能」へとスイッチされ、射影機本体に組み込む部品として扱われるようになった。
『zero』の雛咲家に伝わっていた射影機では、怨霊を射影機内に封印することも可能だった(ゲーム中での演出では、「封印」された怨霊はそれ以降出現しなくなる)。しかし、射影機で霊を撮影することは使用者の心が霊によって蝕まれることでもあり、使用者の霊感が強い場合は霊から受ける影響も強くなるため、その使用者が悲劇的な末路を辿ったケースが多い。
デザインには蛇腹式など共通する部分はあるものの、タイトル毎に全て異なったものとなっている。
写真フィルムの種類については平たい紙箱に収められていることが分かるのみ、カメラ本体についてもモデルになったのがリンホフ[2]だと述べられているだけで、ロールフィルムなのかシートフィルムなのかも含めて不詳な点が大半となっている。ゲームの舞台(状況)からすれば撮った写真を射影機から直接現像しているとしか思えないためポラロイドカメラが最もあてはまりそうだが、悪夢と現実を行き来する『刺青ノ聲』では暗室を使って現像するシーンもあるため、結局のところ「何カメラ」なのかは明かされていない。
霊石ラジオ
霊や人の思念がのり移った特殊な結晶石(『zero』に登場する「霊石」とは全くの別物)をセットすることで、それらを音声に変換し聞き取ることが出来る鉱石ラジオ。『刺青ノ聲』では石を必要としなくなり、特定の場所(霊)に近付くと自動で受信する仕様となった。また、逆に現実のラジカセを使って再生できる、霊石のような特性をもつ「カセットテープ」も登場した。
映写機
霊石ラジオの映像版といえる機器で、様々なフィルムリールを取り付けて再生する。ただし霊石ラジオとは違って持ち運びは出来ないマップ上の装置である。
儀式と災厄
シリーズ全作品に共通して、人里から隔絶された環境で行われていた災厄を防ぐための儀式が登場する(※1)。災厄は黄泉の入口から齎されるものであるため、儀式により黄泉の入口を封じて災厄を防ぐのである。これらの儀式は人間を生贄とする非常に残酷なもので、その儀式が失敗すると大きな災厄が起こり、儀式に関わる者や近隣の住人のほぼ全てが死に絶えることになる。ゆえにゲームの舞台となる場所は、儀式の失敗によって無人となった呪われた土地である。
黄泉の門
作品によって呼称や形態は異なるが、主人公たちの最終目的地は一貫して冥界との境界として祀られる禁忌の場所である。民間伝承では、それぞれの黄泉門はかつて慣習化していた洞窟葬、土葬、山葬、水葬の影響により洞窟の奥、地下、山中、海の彼方、海底などにあると考えられており、それらはしばしば複合して用いられる。また、零シリーズにおける黄泉の門は、通常地下にあると考えられている。幾人もの人物がその調査にむかい命を落としており、正確な話は伝わっておらず断片的な伝承が残るのみである。
闇と瘴気(災厄)
闇と瘴気を防ぐことが零シリーズの世界で儀式が行われる理由であり、「闇」の解釈は辞典などに記載されている「暗いこと」ではなく、本居宣長などが説いた「常世という黄泉の空間に充満する絶対の闇」のことで、災厄が黄泉の入口より発生するのは、黄泉そのものが現世における災厄(闇)に満たされているからである。「瘴気」も同様に「毒気」ではなく、「死者の魂を怨霊に変える」「死者の魂を束縛する」「人を狂わす」もので、『紅い蝶』では「闇」と「瘴気」は共にあふれ出て「人を死に至らしめる」「時間や空間を歪ませる」ものとされている(※2)。
瘴気によって怨霊化したのは儀式の失敗した時代に生きていた者が多数で、それ以外の時代に生きていた者や、瘴気の影響によって死ななかった者は、瘴気の影響を受けて怨霊や狂人と化した者によって殺害され怨霊となる。
また、瘴気の発生原因と源は、『zero』と『紅い蝶』の2作では黄泉の門が発生源となっているが、『刺青ノ聲』では巫女の心が乱れたことにより暴走した柊(生者が巫女に託した死に別れた者への想い)が原因となっている(※3)。
これらの災厄(闇と瘴気)は、黄泉の門が地下に存在することから通常地殻の下にあり、黄泉の門の封印が解けかかると時折マグマのように微量ながら噴き出ることがあるため、それによって起こる局地的な地震を判断材料にして、災厄を防ぐための儀式決行の指針としている。
※1 『月蝕の仮面』は除く。
※2 『zero』では霊の強い力により氷室邸内における時間と空間が歪んでいる。
※3 『月蝕の仮面』は瘴気と関係がない。

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登場人物

【登場作品】の並びは、zero / 紅い蝶 / 刺青ノ聲 / 月蝕の仮面 / 紫の日記 を表し、登場作品は○、未登場は-とする。プロフィールは初登場時のものとし、変更後のものは『紫の日記』時点を基準に併記する。

プレイヤーキャラクター

zero

雛咲 深紅 (ひなさき みく)
【登場作品: ○ / - / ○ / - / - 】
声:わくさわりか
シリーズ第1作『zero』の主人公で、当時の年齢は17歳。
生来より強い霊感を持ち、幽霊を見たり、残留思念を読み取ったりすることが出来る。しかし、その影響で唯一の肉親であり理解者でもある兄・真冬にしか心を開けないでいる。
行方が分からなくなった兄を追い、氷室邸に辿り着くが、怨霊の力により屋敷に閉じ込められてしまう。氷室邸内で兄が持ち込んだ母の形見の射影機を発見し、兄を探すため射影機を使い霊と対峙する。
シリーズ第3作『刺青ノ聲』では2人目の主人公として黒澤怜の仕事のアシスタントで登場し、怜の持ち家に同居しながら家事全般も担当している。年齢は1作目『zero』から成長し19歳になった。
恋人を失って仕事に没頭している怜の身を案じているが、怜の影響を受けて眠りの家の悪夢に囚われ、それをきっかけとして『zero』の事件以降失われていた霊感が復活する。なお、彼女の設定は『zero』のNORMALモードのエンディングを前提にしている。
非常に強い霊力を保有するため撮影時の攻撃力が高いが、反面怨霊の攻撃に対しては打たれ弱いという欠点を同時にもつ。また、体が小さいため怜や螢では進入できない床下のような狭い空間を調査することが可能。
雛咲 真冬 (ひなさき まふゆ)
【登場作品: ○ / - / ○ / - / - 】
声:金丸淳一
本編主人公である深紅の兄で、21歳のジャーナリスト。深紅同様強い霊感を持っている。
仕事の恩人である高峰準星の消息を追い、氷室邸に辿り着く。自殺した母・深雪から受け継いだ射影機を使い、霊に対抗するが、強大な怨霊を前に、高峰と同じく屋敷に捕らわれる。
顔立ちが霧絵の想い人に瓜二つであったため何もされずに解放されるが、彼女が怨霊と化した理由を知り、霧絵の魂を救うために屋敷の奥へと進む。
シリーズ第3作『刺青ノ聲』でも出演しているが、深紅の悪夢内に限ってのものであり、本人ではない。

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紅い蝶

天倉 澪 (あまくら みお)
【登場作品: - / ○ / ○ / - / - 】
声:神田朱未
シリーズ第2作『紅い蝶』の主人公の一人。年齢は15歳。明るく活発な性格。姉の繭ほど霊感は強くないが、双子の血故か繭を通して奇妙なビジョンを見ることがある。
紅い蝶に誘われた繭の後を追い皆神村に迷い込む。その途中村の廃屋で発見した射影機を使い、繭と村からの脱出を試みる。幼少時の繭が怪我をした事件を自分の責任だと気に病み、いつも繭を守るように思っている。名字こそ違うものの、彼女や繭は「射影機」の開発者である麻生邦彦の子孫にあたる。
作中説明されることはないが、冒頭で森の中に入り、消えた村の前で泣いている紗重の姉(八重)を見た際、澪は八重に憑依されている[5]
シリーズ第3作『刺青ノ聲』では『紅い蝶』での事件以来、眠りの家の悪夢に囚われるようになってしまい、間接的に物語にかかわることになる。なお、彼女の設定は『紅い蝶』のEASY・NORMALモードのエンディングを前提にしている。
天倉 繭 (あまくら まゆ)
【登場作品: - / ○ / - / - / - 】
声:川澄綾子
『紅い蝶』のもう一人の主人公で澪の双子の姉。年齢は15歳。妹の澪とは逆に控えめで大人しい性格。
強い霊感を持っており、本編内でもプレイヤー(澪)は繭の視線を通して幾度か奇妙なビジョンを見る。しかし、霊に対する耐性を持っていないため、とりこまれ易い。小さい頃澪と山に入った際、山道の斜面を滑り落ちて右足を怪我してしまう。その後遺症で速く走ることができず、澪が一人で走るとついていけなくなる。
難易度HARDでは、最後の戦闘の際にBGMとして「繭の告白」という繭の台詞が流れる。それによると繭は幼少時の事故により、澪が自責の念から繭を常に気にかけ、側にいてくれることを、密かに心の底で嬉しく思っていたことが明かされる。ただ、崖からの転落は繭が澪を縛るため意図的に行ったものではなく、柴田ディレクターの解説[5]によると「繭が崖から落ちたのは、衝動的なものだった。澪にあてつけて落ちたわけではなく、澪と離れる未来に悲観して自ら飛び降りたのだ。それは自殺にも等しいことだった」とあり、澪に対し何かをしようという気はなかった。

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刺青ノ聲

黒澤 怜 (くろさわ れい)
【登場作品: - / - / ○ / - / - 】
声:皆川純子
シリーズ第3作『刺青ノ聲』の主人公で、フリーの写真家。23歳。
過去に自らの運転する車で起こした自損事故で、同乗していた婚約者の麻生優雨を亡くしてしまう。自分だけが生き残ってしまったと苦悩し今でも自責の念に駆られており、仕事に没頭することで悲しみと共に紛らわしていた。
幽霊屋敷と噂される廃屋の撮影中に白昼夢を体験し、その日を境に眠りの家の悪夢に囚われるようになる。
黒澤の姓を名乗るが、過去作に登場した黒澤一族との関係は不明。右の目元に泣き黒子があり、「刺青の巫女」こと久世零華にも同じ特徴が見られる。
ペットの黒猫の名前は「ルリ」。ただし自身の元からの愛猫ではなく、同居人の深紅が実家から連れてきて飼っている[6]
雛咲 深紅 (ひなさき みく)
天倉 螢 (あまくら けい)
【登場作品: - / - / ○ / - / - 】
声:織田優成
『刺青ノ聲』の3人目の主人公で、26歳の若手ノンフィクション作家。黒澤怜の婚約者だった故 麻生優雨の友人であり、2作目『紅い蝶』の主人公である天倉澪・繭姉妹の叔父にあたる人物でもある。
夢にとらわれるようになった姪の澪を救うため、眠りの家を調べるが、自らもその悪夢に囚われるようになってしまう。生前の麻生優雨、そして深紅の兄・雛咲真冬とは仕事仲間だった。
リアリストであり、本来心霊現象には懐疑的である。そのせいか怜や深紅と比べて霊感が弱く、射影機による戦闘は不向きである。その代わり、「物陰に隠れてやり過ごす」という螢独自のアクションが用意されている。また身体能力に優れており、道を塞いでいる障害物を動かせたり、離れた足場へ跳び移るといった行動が可能。
「髪を梳かす女」こと久世鏡華が想いを寄せた柏木秋人と瓜二つの風貌であることから、眠りの家では幾度となく彼女に付き纏われる羽目になる。

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月蝕の仮面

水無月 流歌 (みなづき るか)
【登場作品: - / - / - / ○ / - 】
声:能登麻美子
シリーズ第4作『月蝕の仮面』の主人公の一人で、朧月島出身の17歳。10年前に神楽を見ていた際に神隠しに遭い、救出されるも神隠しに遭う以前の記憶を失っている。
神隠しにあった5人の内2人が死亡し海咲と円香が朧月島に行ったのをきっかけに、唯一思い出せる旋律を奏でるたびによみがえる断片的な記憶とその先にあるものを知りたい、失ったものを取り戻したいという想いから、病の床に伏した母・小夜歌の制止を振り切って無人島となった朧月島に渡る。
生家は、朧月神楽の祭事に使われていた面打ち職人であった四方月家。しかし、父親に実験台として「月蝕の面」の試作品を何度もを被せさせられた事で精神に影響が出始め、徐々に記憶や自我が崩壊し死に至るという朧月島の風土病「月幽病」(げつゆうびょう)を患ってしまい、朧月館に入院していた。神隠しの後は月幽病を更に悪化させてしまったが、月の光によって奇跡的に精神状態が回復し、その代償に過去の記憶を一切失ってしまった。現在も父親の記憶は微かに残っているが、その父親の顔を思い出せないことがトラウマになっている。
神隠しに遭った当時は四方月という姓を名乗っていたが、その後両親が離婚したため、現在は小夜歌の旧姓である水無月の姓を名乗っている。
麻生 海咲 (あそう みさき)
【登場作品: - / - / - / ○ / - 】
声:沢城みゆき
『月蝕の仮面』の主人公の一人で、わがままで意思の強い少女。17歳。神隠しに遭った5人の1人。
「帰ってくるの…朧月島…」鏡に映った黒衣の少女の言葉に導かれ、その正体を知るために円香と一緒に朧月島に向かう。
朧月島の出身で、幼い頃に月幽病を患って朧月館に入院していたが、霊媒体質だったために症状の進行が早かった。入院中に朔夜と親しくなり、同じ霊媒体質だった事から看護師たちは二人を会わせないようにしていたが、海咲は何度も内緒で会いに行き、朔夜も症状が悪化するまでは海咲を気に掛けていた。海咲は神隠しに遭った後、過去の記憶も含めて朔夜のことを忘れていた。
前述の天倉操や麻生優雨と同じく、射影機を作った麻生邦彦博士の子孫にあたる(2人と海咲の血縁関係は不明)。そのため、自宅に保管されていた射影機の「残留思念や過去を写し出す力」が記憶を取り戻すための役に立つと思い、朧月島に持参していた。
月森 円香 (つきもり まどか)
【登場作品: - / - / - / ○ / - 】
声:後藤沙緒里
『月蝕の仮面』の主人公の一人で、海咲の友人。気が弱く、海咲の言うとおりに行動してしまう少女。17歳。流歌や海咲同様神隠しから助けられた少女たちの1人。
同じく神隠しから助けられた少女であり、友人だった奈々村十萌と篠宮鞠絵が相次いで死んでから海咲の様子が変わったことを心配している。幼い頃に月幽病を患って朧月館に入院しており、同じ病棟に入院していた亞夜子に虐められていた。亞夜子からは「中身の綺麗なおもちゃ」と呼ばれ、気に入られていた。海咲が海咲にとっての「大切な人」を思い出してしまうことを密かに恐れている。
朧月島に行くことは乗り気ではなかったが、海咲に言われるまま付いて行くことになった。しかし海咲とはぐれてしまい、ひとり海咲を探している最中に怨霊に取り囲まれ、「咲いた」状態になってしまい命を落とした[7]。その後、怨霊化して流歌や海咲に襲いかかる。
霧島 長四朗 (きりしま ちょうしろう)
【登場作品: - / - / - / ○ / - 】
声:小西克幸
『月蝕の仮面』の主人公の一人で、元刑事の探偵。刑事時代に連続殺人の容疑者である灰原耀を追って朧月島に渡った時、神隠し事件及び朧月神楽急死事件に遭遇する。その後、病院関係者の密告で灰原病院の地下を調べていたところを、神隠しに遭った彼女たちを発見した。本土に戻った後は刑事職を辞めて私立探偵となり、独自に灰原耀を追っていた。
神隠し事件がきっかけで懇意になった小夜歌の依頼で、朧月島へ向かった流歌を追う。彼のみ射影機ではなく小夜歌から受け取った「霊石灯」(れいせきとう)を使用して闘う。

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紫の日記

??? (プレイヤー自身)
【登場作品: - / - / - / - / ○ 】
『紫の日記』の主人公。

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敵、重要人物、その他のキャラクター

共通

麻生 邦彦 (あそう くにひこ)
明治末期から昭和初期の間、生存していたと思われる異界研究家及び科学者。名前だけの登場ではあるが、シリーズを通して射影機や霊石ラジオなどの開発者として名前が登場する重要人物でもある。
霊界などの異界の存在を科学の力で証明しようと試みた人物である。彼は、彼の開発品(射影機など)がありえない世界との関係を持つことに寄与すると既述した上で、その機械が使用者にもたらす副作用の危険性を認識していたようである。今のところ、彼の発明品だとわかっているのが射影機(複数)、霊石ラジオ(複数)、過去を映す映写機(複数)、霊石灯である。彼の発明品は、貸与、寄贈、紛失などの形で全国各地に散らばっており、現在では骨董収集家の嗜好品として取引され、その多くが行方不明である。
麻生邦彦は、当時希少価値の高い写真機や映写機、ラジオを多数所持しており、相当の資産家の生まれであったことと思われる。また、それらの機械の改造を行っており、技術や知識も十分にあったと思われる。なお、学会の人間からは変人扱いされていたらしい。『zero』の時点では氷室邸を訪れて完全な射影機を完成させた直後に失踪したとされており、その後場所は定かではないものの死亡していることが明かされている。

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zero

雛咲 深雪 (ひなさき みゆき)
真冬と深紅の母親。強い霊感を所持しており、二人が霊感を所持しているのは母譲り。
学生時代に考古学者の真人(まさと)[8]と出会い結婚。一時期は真人の助手として遺跡の発掘品などの撮影を行っていた。
多忙な夫とのすれ違いから趣味として再び写真を撮るようになったが、自らの霊感と母・美琴から受け継いだ射影機の力に耐え切れず首を吊り自殺。真人の方も、研究を優先し家庭をないがしろにしたまま旅先で事故死した。
高峰 準星 (たかみね じゅんせい)
声:小林清志
怨霊名は作家の霊。ミステリーやノンフィクションなどを多く手がける有名作家。42歳。
次回作の取材のために助手の平坂巴、編集者の緒方浩二を連れ氷室邸を訪れるが、怨霊によって氷室邸に捕らわれる。霊感はほとんどないと思われるが、それでも氷室邸の真実解明まであと一歩のところまで迫るなど、柔軟な思考と聡明さを併せ持った好人物。
緒方 浩二 (おがた こうじ)
怨霊名は編集者の霊。高峰準星が手がけていた雑誌の担当編集者。32歳。霊感は所持していない。
自らの取材も兼ね、高峰に同行するが共に怨霊に捕らわれることに。
平坂 巴 (ひらさか ともえ)
怨霊名は助手の霊。高峰準星の助手でパートナー。28歳。雛咲兄妹ほど強くはないが霊感を持っており、資料で調べていた段階で氷室邸に嫌な予感がしていたが、高峰の取材をふいにするわけにもいかず同行する。
高峰たちと共に怨霊に捕らわれ、殺害される。霊感のおかげで当時の霊や着物の少女の声を聞くことができたため、精神がおかしくなりかけながらも氷室邸の呪いを解く方法を資料として高峰に残した。
霧絵 (きりえ)
氷室家に伝わる「裂き縄の儀式」で生贄の「縄の巫女」となった最後の女性。
注連縄で両手足と首の五肢を引き裂かれたが、儀式の失敗によって起きた災厄「禍刻」(まがとき)により怨霊と化し、自分が受けた苦しみと同じ苦しみを味合わせようと屋敷を訪れた人間の五肢を引き千切り惨殺するようになる。
霧絵の代では巫女の掟が緩くなっており、決められた日に限り、日ごろ閉じ込められている座敷牢から中庭に出ることが許されていた。そして中庭に出ることを許された日、座敷牢の窓より以前から気にかけていた中庭を歩く男性と初めて散歩をした霧絵は、恋心に似た気持ちを抱く。霧絵本人は想い人との時間が限られたものであることを重々承知しており、自らの運命を受け入れようとしていたが、巫女が現世に未練を残すことで儀式が失敗してしまうことを恐れた当主や神官たちにより、想い人が殺されたことを悟ってしまう。自分の運命に想い人を巻き込み死なせてしまったという罪悪感から心が乱れ、現世への未練を完全に断ち切ることができなかった霧絵が贄となったことで、結局儀式は失敗し禍刻を発生させてしまった。なお、霧絵が愛した男性は顔立ちが真冬に瓜二つであった。
Xboxリメイク版では、儀式前日の夢の中で悲しい目をした鎧武者の霊に会い、儀式が失敗するよう念じれば思いを遂げられると唆されていた。
着物の少女
白い着物を着た少女の霊。深紅の前にたびたび現れ、ヒントを与えたり手助けをしてくれる。
その正体は、霧絵の怨霊から分離した霧絵の良心。幼い少女の姿なのは、霧絵の子供時代の姿をとっているためである。
氷室家当主
怨霊名は氷室家当主の霊般若に似た鬼の面で顔を隠した、氷室家最後の当主。儀式の失敗により黄泉の門からあふれた瘴気を浴び発狂、屋敷にいた人間全てを刀で斬り殺し、最後には自害した。
家人からは慕われていたが家訓に厳しい面があり、巫女である霧絵の感情を読み違え、神官たちに霧絵の想い人を殺害させてしまった。我流ではあるが、剣術の腕は達人の域に達している。
宗方 良蔵 (むなかた りょうぞう)
怨霊名は民俗学者の霊。氷室邸に伝わる儀式について調査を行っていた民俗学者。調査のため、妻・八重と娘・美琴を連れ無人となっていた氷室邸に移り住んだが、美琴が失踪し八重が自殺したあと、黄泉の門に繋がる禁忌の地下道へ踏み入り、怨霊に殺害された。雛咲兄妹自身は氷室邸を訪れるまで知らなかったものの、彼らの曽祖父にあたる。
宗方夫妻は『紅い蝶』にも登場しており、2つの作品間の繋がりを示す人物でもある。
宗方 八重 (むなかた やえ)
怨霊名は首を吊る女の霊。宗方良蔵の妻で、旧姓は黒澤。雛咲兄妹の曽祖母にあたる。
『紅い蝶』に登場する黒澤八重と同一人物であり、(『紅い蝶』で語られる事件により)故郷の村が消失したショックから過去の記憶を失い、伏せりがちになっていた。
娘・美琴が手に入れた射影機の不思議な力に気付いており、美琴の失踪は射影機を取り上げなかった自分のせいだと自責の念に駆られ、中庭の桜の木で首を吊って自殺してしまった。
宗方 美琴 (むなかた みこと)
宗方夫妻の一人娘。着物の少女から射影機を与えられ、それを持って友達と鬼遊び(かくれんぼ)をしていた際、突如行方不明となる。
実は娘を巫女として奪われた男の怨霊により神隠しに遭っており、同じように神隠しに遭った友達は命を落としたが、彼女だけは射影機の力のおかげで助かり、数日後無事に生還する。
失踪している間に両親が行方不明扱いになっていたため、父の友人であった雛咲の家に引き取られた。雛咲兄妹の祖母にあたる。
九鬼 時定 (くき ときさだ)
怨霊名は鎧武者の霊で、Xboxリメイク版で追加された新キャラ。
霧絵より前の縄の巫女に思いを寄せ、儀式を止めようと神官に斬りかかったため殺された若い武者。黄泉の門の封印を破れば想い人である過去の縄の巫女が解放されると思い込んでおり、門の封印を破るため縄の巫女である霧絵の夢の中に現れ、儀式を失敗させるよう唆した。

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紅い蝶

天倉 操 (あまくら みさお)
繭、澪の父親。設定のみ存在し、本編では名前も登場しない。
二人が小さい頃山へ入り、繭が右足を怪我し動けなくなったとき、捜索に出たがそのまま行方不明になったとされている。天倉家に婿入りしており、旧姓は麻生。「射影機」や「霊石ラジオ」の発明者である麻生邦彦の血縁者である。
天倉 静 (あまくら しず)
繭と澪の母親。『刺青ノ聲』に登場する天倉螢は実弟であり、同作における新聞記事によると年齢は35歳。天倉操同様本編には出てきていない。
操が行方不明になってしばらくしてから二人を連れ、地方を後にし、都会へと移り住んだ。
黒澤 紗重 (くろさわ さえ)
怨霊名は血塗れの着物の女。黒澤八重の双子の妹。繭と同じく大人しい性格で体が弱い。村の最深部にある、黄泉へ繋がるという大穴「虚」(うつろ)を鎮めるために行われている「紅贄祭」(あかにえさい)という祭の双子巫女に、姉の八重と共に選ばれた。
姉(兄)が妹(弟)を絞殺するという紅贄祭[9]においては贄となる側だが、八重といつまでも一緒にいたいという強い願いから、本心では儀式を受け入れていた。紅贄祭の直前、立花樹月の立案により八重に従う形で村から脱出を試みるが、途中で山道から転落してしまい、村人に捕まる。結局八重が見つからなかったために一人で儀式を行うこととなってしまい、宮司たちによって鳥居に吊るされ絞殺されたあと、虚へと投げ込まれた。しかし儀式は失敗に終わり、怨霊の「楔」(くさび)となった真壁清次郎と共に怨霊化して虚から蘇り、災厄「大償」(おおつぐない)を引き起こして村民を一挙に虐殺し、村を闇の中へ消滅させた。紅贄祭の儀式は双子が揃って行うことを前提としているため、大償を引き起こしたというのはある程度必然の事象と思われる。
好意を寄せていた樹月が首吊り自殺した現場の第一発見者となってしまったことや、八重に見捨てられたという誤解から精神が崩壊しており、黒澤家の屋敷で狂笑している。
ちなみに、皆神村では双子が生まれた際に「後から出てきた方が兄・姉」とされており、「先に出てきた方が兄・姉」とする現代であれば、紗重の方が姉になる。
黒澤 八重 (くろさわ やえ)
黒澤紗重の双子の姉。前作『zero』にも登場している。澪と同じく活発な性格で、妹・紗重を何よりも護ろうとする。自分が妹を殺す儀式に関しては元から懐疑的であり、真壁清次郎が陰祭(かげまつり)の生贄にされたことでその思いが強まった。
紅贄祭の直前に、立花樹月の立案により妹の紗重と村から脱出する。逃亡途中で紗重が山道から転落したことではぐれてしまったが、彼女はだいぶ走ってから紗重がいないことに気付き、森で迷いながらも紗重を捜しに村に戻った。しかし、村の入口へ戻った時には既に大償で村は消滅しており、結果的に皆神村唯一の生存者になるが、大切な妹を失ったことと村が消えたショックから記憶喪失になる。村の入口だった筈の場所で泣き崩れていたところを、八重と紗重を迎えに村に戻ってきた宗方良蔵に発見されて保護されたが、それまでの明るい性格にも影が差すようになり、病弱ではかなげな性格になってしまった。
『zero』では宗方と結婚した彼女の様子が語られているが、皮肉にも最後は鳥居に吊るされた紗重と同じように首を吊り死んでしまう。彼女自身は『zero』で既に成仏しており、『紅い蝶』に登場する八重は記憶を失う前の残留思念である。
黒澤 良寛 (くろさわ りょうかん)
怨霊名は黒澤家当主。紗重、八重の父親。村の代表者として皆神村の祭の全てを取り仕切る立場にある祭主と呼ばれる人物。妻や娘たちに対する愛情は失っていないが、彼自身も過去の紅贄祭で弟を失っており、村を護るためならば非情な選択もやむを得ないと考えている。良寛の妻は、八重と紗重を出産後、産まれた子が双子であったことにショックを受け、虚に飛び込み自殺した。
立花 樹月 (たちばな いつき)
声:保志総一朗
皆神村の蔵に幽閉させられていた白髪の少年。皆神村内で行き先が知れなくなった繭を捜し求めていた澪のことを八重と勘違いし、さまざまなヒントを与える。
八重と紗重が行うはずだった儀式の1年前、紅贄祭の犠牲となった「双子御子」の片割れ。
儀式は行われたが、弟である睦月を思う気持ちが強過ぎて儀式を成功させることが出来なかった。白髪になったのはその際のショックからであり、立花兄弟による儀式が成功しなかったため、八重と紗重が次の巫女に選ばれた。
生前の睦月と共に八重と紗重を紅贄祭の犠牲にすることは出来ないと考え、彼の死後も約束を守るために2人を村から逃亡させようと試みる。宗方は樹月のことも迎えに来るつもりだったが、樹月はこれを断った。
巫女の逃亡を助けたことで蔵に閉じ込められることとなった。
作中で蔵に居る樹月は霊となっているが、死因は大償では無く、蔵内部で首を吊ったことによる自殺。
八重と紗重が村を出たことで役目を終えたと思い、2人が逃げ切れたことを確認せずに命を絶ってしまった。
立花 睦月 (たちばな むつき)
立花樹月の双子の弟。本編では登場しないが、樹月は幾度か彼に許しを請う発言をしている。
樹月と違い、黒髪。なお、もともとは樹月も黒髪である。体が弱かったらしい。
立花 千歳 (たちばな ちとせ)
怨霊名は紅い着物の少女。樹月、睦月の妹。幼少時から家族以外との接触を恐がり、よく押入れに隠れていたらしい。さらに生まれつき弱視のため、離れてもすぐ見つけられるようにと兄から鈴を貰った。そのため彼女が現れたときには鈴の音がする。外に出ることも少なかったようで、肌が色白。
兄の樹月が蔵に閉じ込められ自殺したのは、八重と紗重が逃亡をはかったからと考えている。そのため、2人(特に捕まらなかった八重)のことを激しく怨んでいる。大償の際にはいつものように押し入れに隠れていたようで、そのまま闇に飲み込まれて死亡した。
樹月と同じく澪を八重だと思い込んでおり、攻撃時には「お兄ちゃんを返せ!」と叫ぶ。また、攻撃時には、泣き叫ぶことによって、周囲の光を消してしまうという能力を持つが、自分自身が弱視であるため、暗くなっている間は泣きながら逃げ回っている。
真壁 清次郎 (まかべ せいじろう)
怨霊名は(くさび)、または縄の男。様々な伝承などを調べ歩いている民俗学者。「黄泉の門」と呼ばれるものを求め、助手の宗方良蔵から皆神村の風習を聞いて興味を抱き、彼と共に立ち入る。それ以降、村は地図から消えている。生前の麻生邦彦と親交があり、調査のため射影機を含む幾つかの「ありえないもの」をとらえる機械を皆神村に持ち込んだ張本人で、それらは後に澪にとって大きな助けとなった。
宗方と共に皆神村を訪れた際、村人たちから歓迎され、祭主を務める黒澤家に招かれて滞在していた。しかし実際は、陰祭(かげまつり)と呼ばれる紅贄祭の代替行事(マレビト(村を訪れた外部の人間)の身体を切り刻み、生きたまま虚に投げ入れることで一時的に虚を抑える儀式)の生贄として目をつけられていたためだった。本人も途中で薄々そのことに気付き始め、自分たちを何とか逃がそうとしていた八重と紗重に、助手の宗方に先に村から逃げるようにと綴った手紙を託した。しかし彼自身は「黄泉の門」への好奇心のあまり自ら逃亡の機会を逸して捕らわれ、儀式の犠牲となった。
大償により虚から闇が噴出した際、黒澤紗重と共に虚から怨霊として現れ、村から脱出しようとした村人を虐殺した。切り刻まれて死に絶えた村人たちは、彼の犠牲者である。
宗方 良蔵 (むなかた りょうぞう)
真壁清次郎の助手で、『zero』にも登場している。皆神村に出入りしていた商人の息子で、樹月・睦月とは昔からの親友だった。また皆神村の風習から民族学に興味を持つようになった。
樹月から八重と紗重の逃亡の手助けと、逃亡後の二人のことを手紙で頼まれ、真壁と共に皆神村に立ち入る。陰祭の生贄にされることを察した師の言葉を疑問に思いながらも、その伝言に従って一度は皆神村を去るが、樹月との約束のため再び村を訪れる。しかし、その時には既に村は消え去っており、その入り口だったはずの場所には、唯一の生き残りとなった八重が記憶を失い佇んでいるだけだった。
皆神村が消滅した後は、身寄りを失い病弱になってしまった八重を引き取り、後に彼女と結婚した。
桐生 茜 (きりゅう あかね)
怨霊名は双子少女の霊。桐生薊の双子の姉。八重・紗重の時代よりもさらに昔の紅贄祭に参加した人物であり、大償の時点で既に故人となっていた。今でもその魂は桐生家を彷徨っている。
生前、祭により薊を失ったことから心を病んでしまっており、父である善達に与えられた薊の人形を本物の薊だと思っていた。魂を宿した薊の人形に唆され、人形を処分しようとした善達を殺害した。
桐生 薊 (きりゅう あざみ)
桐生茜の双子の妹。姉・茜と同じく大償の時点で既に故人。茜と同じようにその魂は桐生家に留まっているが、茜の霊と共に行動している「薊」は彼女本人ではなく、茜に与えられた薊の人形である。本物の薊の霊は「自分は儀式によって茜と一つになれたのだから代わりなどいらない」と、人形を殺すよう訴える。
躯 (むくろ)
怨霊名は双子少女の人形。善達が心を病んだ茜のために作った人形に魂が宿ったもので、茜の霊と共に行動している「薊」の正体は躯である。
桐生 善達 (きりゅう よしたつ)
怨霊名はからくり師。茜、薊の父親。からくり師。皆神村の各所に存在する仕掛けは彼が作り出したものである。また、仕掛け以外でも多数の人形を作っている。
薊を失ったことで心を病んてしまった茜のため、薊を模した等身大の人形を製作し茜に与えたが、その人形が魂を宿し躯となったことに気付き、処分しようとしたところを躯に唆された茜により殺害される。
娘たちと同様に大償の時点で既に故人となっており、彼の代で桐生家は断絶している。彼の魂もまた、今でも桐生家を彷徨っている。
槙村 真澄 (まきむら ますみ)
怨霊名は切り刻まれた男。ダム建設に伴い皆神村周辺を調べにきた調査員。作業中誤って皆神村に迷い込む。
彼を探しにきた恋人・須藤美也子と共に村からの脱出を試みるが、怨霊により惨殺される。
須堂 美也子 (すどう みやこ)
怨霊名は迷い込んだ女。槙村真澄の恋人。行方不明となった槙村を探す途中、皆神村に迷い込む。
槙村と皆神村で再会することは出来たものの、後に怨霊化した槙村に殺され、自身も怨霊と化した。プレイヤーが最初に対峙する浮遊霊かつ怨霊である。
紅い蝶 (あかいちょう)
天倉繭を皆神村に誘う妖しくも美しい紅い蝶。
その正体は、紅贄祭の成功を表す双子巫女(御子)の片割れ(絞殺された側)の魂。紅い蝶の数は、過去に行われた紅贄祭の成功の数を表す。また、紅贄祭は確実に成功する儀式ではなく、失敗例(樹月、睦月の紅贄祭)もある。
紅贄祭が成功すると、妹(弟)の首にある絞殺の際についた両掌の痣より紅い蝶が浮かび上がる。この紅い蝶が出現するか否かにより、紅贄祭の成功か失敗かがわかる。紅贄祭が失敗すると双子の片割れ(絞殺された側)は紅い蝶になれない。
双子巫女ないしは双子御子の姉(兄)が妹(弟)を殺した痕は、祭の終わりで紅い蝶に姿を変える。巫女(御子)の身体は虚に落ち、蝶となった魂は村の周りを飛ぶことになる。紅い蝶の形は両手の痕をあらわしている。
紅い蝶は皆神村にずっと残り、村の守り神として永遠に祀られる。

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刺青ノ聲

麻生 優雨 (あそう ゆう)
声:黒田崇矢
黒澤怜の婚約者。怜の運転していた車に乗っていて事故に遭い他界。生前、天倉螢や雛咲真冬らと交流があった。
射影機の開発者・麻生博士の子孫であり、怜の家(優雨との新居となるはずだった家)の屋根裏部屋には麻生博士と射影機に関する書物が保管されている。
久世 零華 (くぜ れいか)
声:皆川純子〈2役〉
怨霊名は刺青の巫女。かつて“眠りの家”久世家で行われていた儀式「戒ノ儀」(かいのぎ)の失敗により怨霊化した巫女。体中に刺青が刻み込まれている。
本来は儀式の総締めである久世家近隣の集落で暮らす普通の娘だったが、身寄りを失くし久世家当主の久世夜舟に引き取られ、縁者と死に別れた人々の思いを刺青として肌に刻み、黄泉へ渡す刺青の巫女となった。旧姓は雪代(ゆきしろ)。
久世家に引き取られる以前、夜舟の孫とは知らずに乙月要と愛し合っていたが、都会へ出ていく要についていくことはできず、巫女となることを受け入れ久世家に入った。
刺青が身体を埋め尽くしたため、最後に永遠の眠りに就き刺青を黄泉へと渡すための戒ノ儀を行うが、眠りに就く直前に要が殺害される姿を目の当たりにしてしまい、悲しみと絶望にとらわれた彼女は身体に刻まれた刺青を暴走させてしまうという最悪の禁忌「破戒」(はがい)を引き起こして久世屋敷を現世と常世の狭間に閉ざした。今でも要の悲惨な最期にとらわれ、「もう見たくない」「眠らせて」と怜に自身の苦痛を訴えている。
久世 鏡華 (くぜ きょうか)
怨霊名は髪を梳かす女。夜舟の実の娘で要の母。女系である久世家は子孫を残すために外部からマレビトの男性を招いて血を繋いでいた(そしてその際に招かれた男性は用済みとして殺される)ため、彼女も久世家を調査しに来ていた民俗学者・柏木秋人との間に子を儲けた。
しかし生まれた子供が男児だった場合は掟により4歳の時点で流され(殺され)てしまう運命にあったため、秋人を心から愛していた彼女は何処の誰とも知らぬ家の人間にこっそり要を預けて命を助け、夫の末路も知らずに秋人が再び自分の元に来るのを待ち続けた。しかしそんな母の願い空しく零華を愛してしまった要は父と同じ運命を辿ることになる。
乙月 要 (おとつき かなめ)
夜舟の孫で鏡華の息子。また久世家近隣の村で零華と共に育った幼馴染みでもある。
村を出て都会で生活していたため、零華が久世家に引き取られたことは知らないが、久世家の奥から零華の呼び声が聞こえるという不思議な夢を見るようになる。
夢の「異界との境目」としての面を研究していた麻生博士に協力し、その夢や久世家に関する伝承の話をしていくうち、零華が刺青の巫女になったことを直感した要は一目でも良いから最期に会いたいと願い、鎮女の一人・雨音の手引きで久世家へ侵入。久世の宮の地下最深部にある儀式の間「棘獄」(しごく)において零華と再会を果たしたものの、夜舟の手によって零華の眼前で殺されてしまった。
なお、公式完全攻略本『導魂之書』では、「公式ではない」との前置きの上で、都会へ引っ越した要が零華に宛てた手紙の形で久世家へ向かうまでの彼の様子が描かれている。
鳴海 天涯 (なるみ てんがい)
怨霊名は顔を隠した男。寺社番匠(宮大工)たちを束ねる木工頭であり、代々久世家の建物の保全を行ってきた守谷家の主。
夜舟の依頼により、破戒の影響が外に及ぶことを防ぐための久世家増築を指揮した。その後、増築に携わった寺社番匠全員を人柱として殺害した。本来、木工頭である彼だけは守谷家の技術を次の代に残すために生き残るはずであったが、零華の起こした破戒の威力は強力であり、寺社番匠全員を人柱にしても数が足りなかったため、最期は自分自身を最後の人柱とするため自ら命を断った。
久世 夜舟 (くぜ やしゅう)
声:山口奈々
怨霊名は久世家当主。東北の寒村にある久世家の女主。儀式の断絶を防ぐために孤児となった零華を引き取り巫女にした。
家のしきたりに厳格で、家を守るためならたとえ自分の孫を手に掛けることも厭わない。零華の眠りがまだ完全ではないことに気付かず、棘獄に侵入した要を彼女の目の前で殺害してしまい、結果的に破戒を引き起こしてしまった。
鎮女 (しずめ)
怨霊名は巫女姿の少女。巫女の世話係にあたる幼女たちの総称。鎮女は代々近隣の村などから集められた幼い少女が4人組で務めることになっており、外界と接触を絶たれた巫女の周辺の世話をし、話し相手になり、最後には巫女の両手足を棘獄に杭で繋ぎ止め、巫女の眠りが覚めぬように「咎打ち」をする役割を担っている。なお、4人とも久世の姓を名乗ってはいるが実の姉妹というわけではない。通常、鎮女は巫女を穿つ役目を終えたあと生家に戻ることになっていたが、雨音は掟を破った罪により殺害され、他の3人も破戒の発生により久世家を出ることなく命を落とした。
久世 雨音 (くぜ あまね)
声:黒葛原未有
4人の中で唯一鎮女の職務に嫌悪を覚えていた少女。要の異父妹でもある。零華がしきりに会いたがる恋人が兄・要であることを知った彼女はせめて最期だけは、と要を男子禁制である久世の宮の中枢部へ案内してしまう。一度は兄を送り出したものの兄の安否を気遣った雨音は自身も終ノ路へと引き返すが、奈落で待ち受けていた3人の鎮女に捕まり、罰として四肢を穿たれ死んでしまった。深紅の前に現れ、零華と兄を助けてくれと懇願する。
久世 氷雨、時雨、水面 (くぜ ひさめ、しぐれ、みなも)
氷雨…職務に忠実で淡々と仕事をこなす鎮女の最年長。破戒によって広がった「挟間」(はざま)を屋敷内に留めるための儀式として、すでに穿たれた雨音を除く時雨・水面の2人を殺害した後、誰もいなくなった久世屋敷の中で孤独な最期を迎えた。
時雨…己のしていることに罪悪感を抱き始めていたが最後まで職務を完遂した少女。雨音の罰に対しても日記で「ごめんなさい」と謝っている。
水面…鎮女になったばかりの最年少で、幼さゆえの残忍な心を持ち、人の四肢を穿って死に至らしめることにまだ罪悪感を覚えておらず、むしろ楽しみにしている節がある。
瀧川 吉乃 (たきがわ よしの)
怨霊名は生き残った女。婚約者を含む家族と旅行中、飛行機の墜落事故に巻き込まれ、一人だけ奇跡的に生き残った女性。
自分だけが生き残ってしまったという心の傷から眠りの家に引き込まれ、そこで出会った怜に助けを求めるが、その後完全に眠りの家に取り込まれてしまう。

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月蝕の仮面

奈々村 十萌 (ななむら ともえ)
流歌や海咲、円香と共に神隠しに遭った少女の1人。17歳。病室で顔を覆い、泣き叫ぶような無残な姿で死亡する。
篠宮 鞠絵 (しのみや まりえ)
神隠しに遭った少女のうちの1人。17歳。十萌と時同じくして自宅にて死亡する。
灰原 朔夜 (はいばら さくや)
灰原耀の姉で、朧月館の院長の娘。20年前、10年に1度月蝕の夜に行われる島の祭「朧月神楽」の「器(巫女)」を務めたことがあるが、それをきっかけとして「月幽病」(げつゆうびょう)を発症し、朧月館4階の隔離病棟に入院していた。
母譲りの霊媒体質の影響で月幽病の進行が非常に早く、回復の見込みはほぼ絶望的で、流歌たちが神隠しにあった10年前には既にほとんど会話ができない状態となっていた。正気を失う前は、同じ霊媒体質だった海咲のことを気にかけていた。
10年前、末期となった月幽病を治療するための最終手段として、魂の根源「零域」(れいいき)に魂を送ることで自我を洗い、正しい形にして戻すという朧月神楽の本来の姿である儀式「帰来迎」(きらいごう)の器とされる。しかし、儀式の失敗により「生きながら死んだ」存在と化し、2年間の昏睡の後、かつて島を滅ぼしかけた「無苦の日」(むくのひ)を再び引き起こし、自分の顔を見た島民を次々と「咲いた」状態にして死に追いやり、島を滅亡させた。
灰原 耀 (はいばら よう)
声:櫻井孝宏
霧島が追っていた連続殺人事件の容疑者で、灰原朔夜の弟。
姉である朔夜には肉親以上の感情を抱いており、父・重人と同じく朔夜の月幽病治療のためならば手段を選ばない。霧島に追われるきっかけとなった殺人事件も、東京に開院した自分の病院で月幽病研究のために違法な手術を行った結果である。
姉の治療方法を求めて様々な手をつくした結果、姉を救うには禁忌として封印され失われていた「帰来迎」を行うしかないと考え、父の重人や流歌の父と共に準備を行っていた。儀式の「奏」にするために、流歌たちを神隠しした張本人。姉の朔夜が回復した後は、亞夜子と三人で島を出るつもりでいた。
灰原 重人 (はいばら しげと)
朧月神楽を取り仕切る祭祀であり、灰原病院院長でもある。耀と朔夜の父親。
霊媒体質だった妻と朔夜が月幽病を発症し、妻がそのことを苦に自殺してしまったため、朔夜の治療のために他の月幽病患者を使って人体実験まがいの研究を行っていた。娘の治療のために「帰来迎」を行うも、儀式に失敗してその2年後に「無苦の日」が起きてしまい、咲いた朔夜の顔を見て「咲いて」しまった。
亞夜子 (あやこ)
朧月館207号室に入院していた少女の霊。入院時の年齢は12歳。院長紹介の特別待遇の患者だった。
残酷かつ攻撃的な性格で、当時7歳の円香を階段から突き落としたり、看護婦を刃物で刺したり、円香が大切にしていたペットのカナリアの首をハサミで切ったりするなど、看護婦や他の患者から恐れられていた。一方で灰原姉弟からは可愛がられており、耀は亞夜子の性格を「自分に似たのかもしれない」と評している。姓は明らかになっておらず、他者との血縁関係は不明だが、作中の日誌や遺書などで灰原耀と朔夜の間に生まれた子どもであることが示唆されている。
朧月島の島民を滅亡させた「無苦の日」の際には「月幽病」が悪化しながらもただ一人生き残った。朧月島に来た定期船の船長が島の異変に気付いて本土の警官を呼んだ際に、唯一の生存者として発見され本土の病院へ運び込まれたが、そこでまもなく死亡した。享年14歳。
水無月 小夜歌 (みなづき さやか)
声:鵜飼るみ子
流歌の母。娘が神隠しに遭った事件の際、当時刑事だった霧島と知り合い懇意になる。
流歌が朧月島へ向かうことに反対しており、自分の制止を振り切り島へ渡った流歌の身を案じて霧島に流歌を連れ戻してほしいと依頼。その際、彼に「霊石灯」という道具を渡した。
彼女も朧月島の出身で、夫の宗也のことを深く愛していたが、家族を顧みずに面打ちにのめりこんでいる夫に次第に不満を募らせるようになっていった。流歌が「月幽病」を発症してしまった時に、その原因を作った夫から娘を遠ざけようと灰原病院に預けるも、院長の重人たちの思惑で流歌は神隠しに遭ってしまう。流歌が発見された状況を聞いて、一連の失踪事件に夫が関わっていると確信し、夫と離婚して記憶を失った流歌を連れて島を出て行った。
四方月 宗也 (よもつき そうや)
声:立木文彦
流歌の父で、「帰来迎」の際に必要とされる「月蝕の面」の技術を受け継ぐ面打師。
灰原重人に月蝕の面の作成を依頼され、帰来迎の末にたどり着く「零域」に魅了されるようになった。仮面を完成させようとする執念の余り、流歌に試作品の仮面を被せて実験台にするなど危険に晒したため、妻である小夜歌は流歌を連れて家を出ていった。
愛する家族を手放してまで行った帰来迎は失敗し、「無苦の日」を引き起こしてしまった。彼は面打師として最後まで見届ける決意をし、自分のもとを訪れた朔夜の顔を見て「咲いて」しまった。
片桐 省二 (かたぎり しょうじ)
 本土から来た医者で灰原重人の助手をしているが、その治療方針の効果をある程度認めつつも疑問を抱いていた。「帰来迎」が行われた後、灰原病院地下の流歌達の存在を霧島に匿名で密告した。それから2年後、院長と運命を共にすることになる。 
黒衣の少女
海咲の前に現れる謎の少女。海咲そっくりの容姿をしており、彼女に朧月島に戻ってくるように伝えている。
その正体は朔夜がかつて海咲に送った人形。重度の「月幽病」だった朔夜は、人形に「朔夜」と名付けて辛うじて自我を保っていた。それでも症状の進行は収まらず、せめて海咲には同じようになって欲しくないと思って彼女に託し、「海夜(みや)」と名付けた。

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紫の日記

眞夜 (まや)
「紫の日記」に囚われていたという少女。主人公(プレイヤー)と共に日記の謎を調べるため同行する。
囚われた男
「紫の日記」の都市伝説を調べていて呪われ、正気を失ってしまった男。
仮面の少年
「紫の日記」に囚われ神隠しにあった少年。
老婆
「紫の日記」に関わった者の前に現われる老婆。

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零 zero

『零 zero』 プレイステーション2、2001年12月13日発売
「雛咲深紅」(および雛咲真冬)が主人公で、舞台は広大な廃屋。
視点はクォータービュー(俯瞰視点)方式で、ストーリーは全5章。
「射影機」に付けられた霊を感知するレーダー「フィラメント」の反応を頼りに索敵および探索を進め、浮遊霊などを撮影しながら怨霊を倒しつつクリアを目指す。
フィルムについては、威力の差で分けられる全4種類[4]
おまけ要素の追加コスチュームには、髪と肌の色&メイクまでを含めて変わる「コギャル」などもある。
  • 『零 zero PlayStation 2 the Best』[10] 同上、2002年8月1日&2007年11月22日発売
  • 『FATAL FRAME BASED ON A TRUE STORY.』(フェイタル・フレーム ベースド・オン・ア・トゥルー・ストーリー) 同上、2002年3月4日発売
『zero』の北米PS2版。逆さになった女の顔が描かれたジャケット。
  • 『Project ZERO』(プロジェクト・ゼロ) 同上、2002年8月28日発売
『zero』の欧州豪州PS2版。日本PS2版の裏面をベースにした、青白くゆらめくロゴと空間に顔が描かれたジャケット。
  • 『零 제로』(ゼロ) 同上、2002年8月27日発売
『zero』の韓国PS2版。日本PS2版の裏面をベースにした、深紅とクモの巣が描かれたジャケット。北米版(英語音声)に韓国語字幕をつけた仕様となっている。
韓国版『zero』の廉価版
『FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION』(フェイタル・フレーム ぜろ スペシャル・エディション) Xbox、2003年2月6日発売
下記の北米Xbox版を逆移植したもので、難易度FATAL、第3のエンディング、新たな怨霊・地縛霊・文章ファイルなどが追加されたリメイク
セーブについては(#Xboxリメイク版の問題点)を参照のこと。
  • 『FATAL FRAME BASED ON A TRUE STORY.』(フェイタル・フレーム ベースド・オン・ア・トゥルー・ストーリー) 同上、2002年11月22日発売
『零 SPECIAL』の北米Xbox版。苦悶の表情の男が描かれたジャケット。
  • 『Project ZERO BASED ON A TRUE STORY.』(プロジェクト・ゼロ 〃) 同上、2003年5月2日発売
『零 SPECIAL』の欧州・豪州Xbox版。ジャケットは北米Xbox版とほぼ同一。
音楽、書籍

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零 紅い蝶

『零 紅い蝶』 プレイステーション2、2003年11月27日発売
「天倉澪」と「天倉繭」の双子の姉妹が主人公で、舞台はまるごと一つの廃村。
視点はクォータービュー(俯瞰視点)方式で、ストーリーは全10章。
「射影機」を持つ澪がメインキャラだが、たびたび霊に憑依され単独先行してしまう無防備な繭とを交互に操作するという、二人三脚的なシステムが特徴。ゆえに、戦闘時に無抵抗の繭が倒されてしまってもゲームオーバーになる。
かつての村人の残留思念や死後の想いを聴ける「霊石ラジオ」や、無声映画のような映像を再生できる「映写機」などが新たに登場し、プレイヤーの想像力を利用しての恐怖演出が追加された。
フィルムについては、改定され全5種類になったと同時に装填時間差の概念が追加され、物によっては連写が効かないようになった。また、射影機を強化するためには「念珠」というアイテムも別途で必要となった。
初回予約特典:映像ディスク「零 紅い蝶 Crimson Report 〜紅い蝶の秘密〜」
  • 『零 紅い蝶 PlayStation 2 the Best』[10] 同上、2004年8月5日&2007年11月22日発売
  • FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』(フェイタル・フレーム・ツー クリムゾン・バタフライ) 同上、2003年12月10日発売
『紅い蝶』の北米PS2版。佇む双子少女と蝋燭が描かれたジャケット。
  • 『Project ZERO II CRIMSON BUTTERFLY』(プロジェクト・ゼロ・ツー 〃) 同上、2004年4月29日発売
『紅い蝶』の欧州豪州PS2版。佇む双子少女と蝋燭、空間に澪と女の顔が描かれたジャケット。
『紅い蝶』の韓国PS2版。ジャケットは日本PS2版とほぼ同一。北米版ベースだった前作と違い、今回は日本版(日本語音声)に韓国語字幕をつけている。
  • 『제로 붉은 나비 BigHit Series』(〃 ビッグヒット・シリーズ) 同上、2008年8月1日発売
韓国版『紅い蝶』の廉価版
『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』(フェイタル・フレーム・ツー クリムゾン・バタフライ) Xbox、2004年11月11日発売
5.1chサラウンド、難易度FATAL、第3のエンディングなどが追加されたリメイク
また、新たな視点としてFPS(主観)モードがシリーズで唯一導入・選択可能となった。
セーブについては(#Xboxリメイク版の問題点)を参照のこと。
初回予約特典:映像ディスク「FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY Premium Fan Disc」
  • 『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT』(〃 ディレクターズ・カット) 同上、2004年11月1日発売
『FATAL FRAME II』(日本リメイク版)の北米Xbox版。巫女姿の少女を囲む手が描かれたジャケット。
  • 『Project ZERO II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT』(プロジェクト・ゼロ・ツー 〃) 同上、2005年2月4日発売
『FATAL FRAME II』(日本リメイク版)の欧州・豪州Xbox版。ジャケットは北米Xbox版とほぼ同一。
音楽、書籍

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零 -刺青ノ聲-

『零 -刺青ノ聲-』 プレイステーション2、2005年7月28日発売
「黒澤怜」「雛咲深紅」「天倉螢」の3名が主人公で、舞台は悪夢の中の屋敷と現実世界の住居。キャッチコピーは “ 侵蝕する恐怖 ”
視点はクォータービュー(俯瞰視点)方式で、ストーリーは全14章。
特殊行動として、怜は一時的な無敵回避技の「フラッシュ」、深紅はスロー効果をもたらす「御神石のお守り」と固有のタメ攻撃「重(チャージショット)」、螢はマップ内の要所に回避する手段「隠れる」などを有する。
3人をそれぞれで独立している章ごとに操作し、悪夢と現実を行き来しながら進めていくが、次第に境界が曖昧になり現実世界にも霊が侵食してくる恐怖が特徴。また、ある章を過ぎるとマップが瘴気に包まれ画面がモノクロ化し、完全無敵の絶対霊「刺青の巫女」が徘徊するようになってしまうため、どこかに点在している「袚いの灯火」というアイテムを探しあてて炎の勢いを補充するというタイムサスペンス的な展開も追加される。
フィルムについては、威力の差で分けられる全5種類だが「六一式」以上の物は取得者に固定化されるため、どのキャラクターに強いフィルムを回収させるかなど、各章の中ボス戦ないし終盤やラスボスに向けた戦略も重要となる。
初回予約特典:映像ディスク&設定資料集「History of "Project Zero" 〜黒澤レポート〜」
  • 『零 -刺青ノ聲- PlayStation 2 the Best』[10] 同上、2006年7月6日&2007年11月22日発売
  • 『FATAL FRAME III THE TORMENTED』(フェイタル・フレーム・スリー ザ・トーメンテッド) 同上、2005年11月8日発売
『刺青ノ聲』の北米PS2版。水面に伏せる怜と刺青の巫女が描かれたジャケット。
  • 『project zero 3』(プロジェクト・ゼロ・スリー)[1] 同上、2006年2月24日発売
『刺青ノ聲』の欧州豪州PS2版。ジャケットは北米PS2版とほぼ同一。
音楽、書籍

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零 月蝕の仮面

『零 月蝕の仮面』 Wii、2008年7月31日発売
「水無月流歌」「麻生海咲」「月森円香」「霧島長四朗」の4名が主人公で、舞台は離島のサナトリウム
「テクモ×任天堂プロジェクト」の第1弾で、開発はテクモ、監修・発売元は任天堂。新たにグラスホッパー・マニファクチュア須田剛一がディレクター陣に参加。
視点はビハインドビュー(後方視点)方式が初導入され、Wiiリモコンとヌンチャクを使った独自の操作方法となっている。
新たに「霊石灯」(れいせきとう)という武器が追加された。
おまけ要素の追加コスチュームには、任天堂のゲームキャラとコラボした「ゼロスーツサムス」や「ルイージ」などもある。また、前作群と違ってプレイ中からの衣装変更が可能となった。
音楽、書籍
  • 天野月子 『ゼロの調律』 音倉レコード(イメージソング)
  • 天野月子 『NOiSE』 音倉レコード(エンディングテーマ)
  • 『任天堂公式ガイドブック 零 月蝕の仮面 〔Wii〕』 小学館、ISBN 978-4-09-106428-8

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零 眞紅の蝶

『零 眞紅の蝶』 Wii、2012年6月28日発売予定[3]
「コーエーテクモ×任天堂プロジェクト」の第2弾(予定)。
PS2版『零 紅い蝶』のリメイク作品となる。

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零〜紫の日記〜

『心霊カメラ 〜憑いてる手帳〜』 ニンテンドー3DS、2012年1月12日発売
上記3DS専用オリジナルソフトに「ARストーリー 零〜紫の日記〜」として収録されているタイトル。

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メディアミックス

2002年ドリームワークスが「FATAL FRAME」名で実写化すると発表された。その後全米で2005年11月公開とされたが、続報は途絶えたままである。

2004年夏、シリーズ第2作『零 紅い蝶』を題材にした和風ホラーアトラクション『4D零』がとしまえん梅田ジョイポリスポルトヨーロッパで上映された。

2002年8月には3Dサウンドコンテンツ『零〜zero〜サウンドホラー』、2004年8月には携帯電話のカメラを利用したホラーゲーム『REAL〜零〜』のサービスが行われた。

シリーズ第3作『刺青ノ聲』のBEST版発売後は、携帯サイト『テクモ-メロディ-etc』にてシリーズ関連の壁紙や着うた配信が行われた。

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その他

Xboxリメイク版の問題点

『FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION』と『FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY』の2作は、初代Xbox(初期型)本体HDDの範囲内でしか記録を残せない仕様となっている。

また、Xbox 360本体が発売されて以降、初代Xbox専用ソフトをXbox 360本体で遊べるようにする「ゲーム互換性アップデート」のサービスが始まり、本タイトル2作も対応してはいるが、実際に360本体側でプレイしてもバグが非常に多い。したがって、360本体ならモデルによって外付けのHDDを使ったバックアップが選択可能であるのに対し、推奨される初代Xbox(初期型)が故障した場合などに対するデータのバックアップ手段は皆無に等しいため、どちらの機種で遊んでも何かしらの不都合がある。

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異なる結末

零シリーズでは初回プレイで到達できるエンディングは1つとなっているが、2周目以降に難易度やサブイベント完遂などの条件を満たすことで異なるエンディングを迎えることができる。

また、『zero』と『紅い蝶』のXboxリメイク版である『零 SPECIAL』と『FATAL FRAME II』には、それぞれにハッピーエンド的なエンディングが1つ追加されている。

なお、『刺青ノ聲』発売時のスタッフインタビューによると、『zero』と『紅い蝶』は続編である『刺青ノ聲』へと続くエンディング(初回プレイ、もしくは難易度NORMAL以下でプレイした場合のエンディング)が公式であり、『刺青ノ聲』では2周目以降に条件を満たすことで到達可能なエンディング(スタッフロールに登場人物のその後を窺わせる写真が追加されたもの)が公式であると発表されている[6]

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時代背景

零シリーズは、2010年時点までで発売されている『zero』『紅い蝶』『刺青ノ聲』『月蝕の仮面』の4作品が、登場人物を中心に間接的にだが繋がっている(ただし、ストーリーはそれぞれが独立している。特に『月蝕の仮面』は他の作品との繋がりが薄く、ある人物が他3作とも関わる人物と血縁関係にあることのみが接点となっている)。

時間的流れとしては、『刺青ノ聲』の初回予約特典「History of "Project Zero" 〜黒澤レポート〜」による公式設定で、『刺青ノ聲』が発売された時点で、『zero』は1986年、『紅い蝶』は1988年と明かされている。また、『刺青ノ聲』の螢の話によると、『紅い蝶』の事件から2か月程度経過しているため、『刺青ノ聲』は1988 - 1989年の出来事となる。『月蝕の仮面』に関しても舞台は1980年代だという[11]

時系列としては『zero』→『紅い蝶』→『刺青ノ聲』(『月蝕の仮面』は不詳)であり、過去の儀式の失敗も同じ順になる。『zero』において『紅い蝶』の登場人物である黒澤(宗方)八重の成長した姿が登場しているため混乱しやすいが、これは『zero』において「儀式の失敗」と「神隠し事件」という、年代の違う2つの事件に関係する人物の霊が登場しているためであり、『zero』と『紅い蝶』の過去の事件の時系列は

  1. 裂き縄の儀式の失敗(『zero』。公式ウェブサイト『零 zero』のダウンロード画面にある「シーン2」で、文政10年冬〈1828年〉と明記されている)
  2. 紅贄祭の失敗(『紅い蝶』。作中の文章から「双子に関する太政官布告(1874年)」以降であることが確定している)
  3. 宗方一家が氷室邸に移り住んできた後の神隠し事件(『zero』。紅贄祭の失敗より更に数年後)

となる。

ちなみに、服装に代表されるトレンドなどは平成(現代)的な文化が反映されているため時代考証に矛盾が生じているが、スタッフインタビューによれば「1980年代に設定した理由は、まだ携帯電話などが普及していなかったから」とのことで、そういった外部と連絡の取れる通信機器を意図的に排除することで孤独感を際立たせ、近代テクノロジーの象徴でもある存在そのものを「はじめから無いもの」とした和洋折衷ならぬ新旧折衷の世界として演出している。

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開発

正式名称が公開される前、テクモが配布している冊子「テクモプレイヤーズマグ」などで「Project Zero」という名称で発表され、そのまま零シリーズを総括したプロジェクト名などに使用されるようになった。開発には『刻命館』シリーズを手掛けたスタッフが携わっている。

ストーリーはそれぞれが独立しているが『zero』『紅い蝶』『刺青ノ聲』は実質的な3部作である。ただし、『月蝕の仮面』も含めて舞台となる場所と時間(年月日)は異なり、登場人物も間接的なつながりが存在する程度なので、プレイヤー(ユーザー)に対して購入(体験)の順番を強制したりはしておらず、どれからプレイしてもいいようにデザインされている。

シリーズ第2作『紅い蝶』ではディレクター・柴田誠の推薦により天野月子が主題歌を担当し、以降の作品でも彼女の楽曲がイメージソングとなっている[12]

海外向け販売戦略については、反響[13]その他の動向を受けてからは更に積極的な姿勢で展開されるようになり、海外で先に制作・発売したリメイク版を日本に逆輸入(移植)するという商品展開も行われた。

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評価

受賞歴

零 zero
FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION
零 紅い蝶
FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY
零 -刺青ノ聲-
零 月蝕の仮面
心霊カメラ 〜憑いてる手帳〜

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その他

零シリーズは前述してきた『バイオハザード』を筆頭とする『サイレントヒル』や『SIREN』などの類系タイトルとは対照的に、グロテスクな容姿のクリーチャーによるビジュアル的な恐ろしさや、そういったものと対峙しての本能的な命の危機感でプレイヤーを恐怖させるというよりも、雰囲気や空気感でじわじわと恐怖を煽り立て、精神的に追い詰めていくような内容となっている。その点について『リング』などの著書で知られる鈴木光司は、「恐怖(ホラー)の要となる“気配”があるゲーム」というような賛辞を呈した[14]

アメリカのゲーム情報サイト『IGN』におけるホラーゲームランキングではTOP10、TOP13ともにランクインしている。特にTOP10では、『サイレントヒル』に次いで第2位を獲得した[3]。また、海外のホラーゲーム『F.E.A.R.』が、零シリーズから多大な影響を受けて制作されたことが関係者から語られている。

ゲーム雑誌『ファミ通』の関係者にも愛好者が見られ、シリーズ第2作『紅い蝶』には浜村弘一と漫画家・柴田亜美が同誌の連載漫画におけるキャラクターでゲスト出演している[15]。芸能人の伊集院光も零シリーズをプレイしており、同誌のコラムなどで度々取り上げている。

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脚注

  1. ^ a b c d e ゲーム本篇タイトルコール(ロゴ)に基づく正式名称。ただし、ソフトの背表紙・説明書、公式サイト、攻略本や関連書籍、メディア記事、副次資料では「〜zero〜」「〜紅い蝶〜」「刺青の聲」「〜刺青の聲〜」「〜月蝕の仮面〜」などの記述が大半となっている(加えて、本来正しい「」(波線)ではなく誤用の「~」(全角チルダ)を使用しているものが殆んど)。なお、「紅い蝶」の場合は四角形の枠で副題を囲むデザインが厳密には正しい。また、海外の欧州・豪州版『刺青ノ聲』の場合は、国別で「project zero 3 THE TORMENTED」(Project ZERO III THE TORMENTED)との記述も見られる。
  2. ^ 前者はアメリカ。後者はヨーロッパやオーストラリア。
  3. ^ a b 任天堂カンファレンス2010ニンテンドー3DSカンファレンス 2011
  4. ^ a b c 初作『zero』の時点では、フィルムは「一四式」「三七式」「七四式」「九〇式」の4種で、強化レンズは概念そのものがまだ無く、本体に付加される「補助機能」の名で存在した。
  5. ^ a b 『零〜zero〜 零〜紅い蝶〜 恐怖ファンブック 怨霊の刻』 実業之日本社。
  6. ^ a b 零 -刺青ノ聲- 公式完全攻略本 導魂之書』 エンターブレイン。/ルリについては、深紅の両親が『zero』の事件のショックで塞ぎ込みがちになった深紅のために贈ったと記述されているが、深紅の両親は『zero』の事件の前に既に死亡しているため矛盾が生じている。
  7. ^ 「咲いた」状態とは月幽病の末期症状で、完全に精神が崩壊して程なく死に至る状態のこと。月幽病の症状の一つに「鏡に映った自分の顔が崩れて見える」というものがあるのだが、「咲いた」人間の顔は他人から見ても崩れているように見え、その顔を見た人間も「咲いた」状態になり被害が拡大していく危険性が高いため、朧月島では「咲いた」状態になって死んだ人間の死体は顔の皮を剥がし、症状の感染を防ぐという習慣があった。
  8. ^ 設定[1]のみの存在であり、本篇では名前も登場していない。
  9. ^ 正確に言えば、双子のうち後に生まれた方先に生まれた方を絞殺するもの。天倉澪のように現在では後に生まれた方が弟・妹となるが、皆神村は昔からのしきたりで後に生まれた方が兄・姉と呼ばれている。
  10. ^ a b c 新旧2種類が存在。:『zero』 ジャケット余白が白色。『紅い蝶』 CEROマークが数字。『刺青ノ聲』 ジャケット裏の一文が上部配置。価格は2,800 - 3,150円。/:『zero』 ジャケット余白が灰色。『紅い蝶』 CEROマークがアルファベット。『刺青ノ聲』 ジャケット裏の一文が下部配置。価格は1,890 - 2,800円。
  11. ^ Wii公式ウェブサイトで配信されたスタッフインタビュー 『クリエイターズボイス:零 月蝕の仮面』 より。
  12. ^ 開発秘話 (その一 イメージソング「蝶」について…)
  13. ^ 零〜zero〜奇譚 特別編 世界の『零〜zero〜』
  14. ^ 『刺青ノ聲』 販売促進広告より。
  15. ^ 霊リスト 「no.150 描きつづける女」。ただしPS2版に限ったもので、Xboxリメイク版では変更されており登場しない。

外部リンク