裏金

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裏金(うらがね)とは、

  • 賄賂(わいろ)などによって動いている金銭。
  • 経理(けいり)上で、予算支出の自由度を不正規に高く確保すべく、既に外部に支払われた事にして、正式な出入金記録に記載されずにプールされた金銭。
  • (かんな)につかわれる刃を調整するための金属。
  • 曲尺(かねじゃく)の裏に目盛りを書いている。裏曲、裏矩とも書く。
  • の裏の摩耗しやすいところを補強するために使っている金板のこと。
ここでは、上位2項について詳しく解説する。

経理操作の意味での裏金

裏金づくり

裏金づくりは、公共機関企業、各種の団体とあらゆるところで日常的に行われていると考えられるが、当事者の証言がない限り実態の解明は困難であることが多い。

特にプール金と呼ばれる、経理上の不当操作を行なっての積立は後を絶たず、実質的には流動的資金の積立てと云う名目で組織内で容認されている場合もあって、内部の人間ですら、事実上の横領背任行為、または詐欺行為である事を気付かない場合もある。

特に中央官庁や地方公共団体といった公共機関は単年度主義など予算構造の硬直化で必要な部門に的確に予算を投下することが困難になっている場合がしばしばあり、出張費、消耗品費など他費目名義の予算を経理の不当操作によって裏金化して必要な費目へ充当することは常態化し、事実上こうした不当操作を行わなければ業務が回らなくなっていたためにしばしば発生していた。

警察不正経理問題

1984年には既に元内閣調査室主管・松橋忠光警察庁より出向、警視監)が著書『わが罪はつねにわが前にあり』で警察の組織的不正経理の実態を告発していた。ところが当時警察庁は同書に対し「コメントする内容のものではない」と無視した。また、1987年にも、元兵庫県警巡査松本均が、著書『交番のウラは闇』などで、兵庫県警に於ける組織的な裏金作りや、超過勤務手当の不払い等の不正を告発していた。

警察不祥事が続くなか、今度は不正経理問題が内部告発や自主申告の形で公表された。このような体質が全国で常態化しているといわれている。

2004年に入って、北海道警察福岡県警察静岡県警察愛知県警察島根県警察熊本県警察の不正支出金問題が表面化した。

全国市民オンブズマン連絡会議が2004年から行った「警察裏金追及」キャンペーンでは、7道県警で1,222,234,259円を返還させた(2007/12/21現在)[1]

警察の不正経理問題が表面化してから、大量の会計文書が「誤って廃棄」されるという事件が、全国の警察で続発している。警察庁のまとめでは計604人が「処分」されたことになっている。しかし、「破棄は組織的に行われた」「処分と言っても軽すぎる」「疑惑の引きだ」との強い批判の声が、警察の裏金問題を告発してきた元警察官や警察関係者から上がっている。

廃棄された文書は、捜査費証拠書類、旅行命令簿、物品取得書などの裏金作りに関係ある証拠文書ばかりである。警察庁の文書の保存期間は、5年間であるが、2004年3月に保存期間を延長した。その延長したにもかかわらず「誤って」破棄された。破棄は警察庁をはじめ、北海道、警視庁、その他37府県にまたがっている。

愛媛県警察では、告発した鉄道警察隊員の仙波敏郎が拳銃を没収された上に職務経験とは何の関係もない通信指令室付(本人を流す為にわざわざ新設された左遷用部署)となり、果ては昇進まで拒否された(巡査部長級に留め置き)。県人事委員会が不当人事と認め、警察本部に対し原職復帰させるよう命じる騒ぎとなった。更に2007年9月、県を相手取った損害賠償請求訴訟でも勝訴。

2008年から2010年にかけて、千葉県警察岩手県警察滋賀県警察広島県警察山形県警察で、2011年には石川県警察で不正経理が発覚した。

警察の不正を取り締まる第三者機関の必要性

このように警察の組織的犯罪が横行しているが、日本の現行法上警察もしくは検察が被疑者を逮捕しなければ刑罰を課すことができない。そして、大阪高等検察庁幹部を務めた元検察官[誰?]が「警察を敵に回すと仕事がしづらくなるから、警察の幹部は逮捕しない」などと述べていることからわかるように検察は警察の幹部を逮捕することには消極的である。結果として、いくら警察が不祥事を犯しても、重要人物が逮捕されることはない。このことから、警察・検察の不祥事を取り締まるための第三者機関が必要であると説かれる。すなわち、有識者により構成される第三者機関に警察や検察を逮捕・起訴する権限を与えるという案である。

関連項目

中央官庁関連

外務省の外交機密費(報償費)による裏金作りも有名である(外務省機密費流用事件)。官邸への上納金が主であるといわれており、官邸改革・外務省改革の必要性が問題になっている。

その他、広島労働局不正支出金(一億三千万円)が表面化している。

社会保険庁の職員による国民年金保険料の着服が明らかになった。また、90市区町村で101件の着服事案が判明した。総務省刑事告発を含む対応を取るように要望する文書を出した。

検察官三井環により、検察庁の調査活動費の裏金使用が内部告発され、2001年1月に『噂の真相』に西岡研介記者による記事が掲載された。その後、三井はTV番組で検察組織の裏金問題について語ろうとしたが、出演当日に逮捕され、マスメディアは「検察による内部告発つぶし」と批判した。

大阪高等裁判所裁判官の生田暉雄により、最高裁判所にも裏金が存在することが指摘されている。生田の試算では、金額は警察の裏金よりも多いという。

2009年末には退陣直前の麻生内閣による官房機密費(やはり報償費である)流用疑惑が発覚。市民団体が2010年1月、支出理由開示を求めて訴訟を提起する騒動になっている。

地方自治体関連

  • 大阪市教育委員会が、業者と共謀して、学校の維持運営費予算で裏金を作っていた。プールした総額は12億2500万円とみられている。大阪市立校の維持運営費予算で大量のインクやコピー紙を納入したようにして裏金を作っていた事件である。大阪市監査委員は「学校維持運営費に係る執行事務について、徹底的に調査・解明を行い、必要な措置を講じるとともに、今後、適正な事務執行が確保されるよう強く要望する。」との報告書をまとめた。さらに、市民グループは元大阪市教育委員会教育長や学校事務機センター(大阪市天王寺区東高津町)、楽器メーカー大手「ヤマハ」(静岡県浜松市)、柿本電機日東電機など計4社を相手取り、総額十数億円の損害賠償を求める提訴したが、被告側が一部を市に返還する条件で、大阪地裁で和解が成立した。
  • 岐阜県庁裏金問題2006年に発覚、架空請求などを元に組織的に裏金を捻出し、現金や預金として各部署にプールしていた。第三者による検討委員会は、1992年度から2003年度までの12年間で約16億円9700万円の裏金があったと認定され、返還対象総額は利息を含め約19億2000万円に上る。認定はされていないが市民団体などが調査したところ、1986年度以降の20年間の裏金と遅延損害金計約81億円であるとして、その返還を梶原前知事ら元県幹部約70人に請求することなどを求める訴訟を岐阜地裁に起こしている。
  • 大阪市は裏金づくりに関しての全庁調査を実施し、2008年2月13日中間報告を発表した。この調査は東住吉区役所の裏金づくりが発覚したことを受けて実施したものである。中間報告によると新たに建設局と8区役所で裏金計約1,940万円が発覚した。いずれも職員の机やロッカーなどに通帳や現金のまま保管されていた。
同調査は2008年3月10日に結果報告書が出されたが、残金計4987万円、総額は2億8119万円に上った。ただしこの報告書において、市は環境局のプール金計9426万円について「同和対策事業の会計手続きを市が代行していたケースで他のプール金と性格が異なる」とするなど中間報告の計上分から作為的に除外し、裏金総額は1億8605万円と中間まとめよりも減額して公表した。しかも驚くべきことにこの裏金は職員個人名義の口座で管理されていたことがわかった。
その後2008年8月に、浪速区役所など7つの区役所において、新たに裏金が発覚した。この問題では、同年10月に、98人が処分を受けることとなった。平松邦夫市長は、これを以って一連の調査を終結するとしている。
これらの裏金には私的流用とみられる項目もあったが、平松邦夫市長は「まだ全容が解明されたとは言い切れない」と述べながらも、関係職員の処分の時期や返還請求額の規模などについて当初明言を避けていたことや、2008年8月に発覚した事例では、裏金での風俗店通いがあったと報告されているにもかかわらず、風俗店通いについては、特定できなかったなどとして追及・処分を断念するなど、同和問題に絡む問題だからか、その取り組み姿勢が前市長から後退したと指摘する声が上がっている。
  • 神戸市役所では、業者から入手の白紙伝票を悪用するなどの手口で、パソコンなど総額約2億1,000万円の物品を不正購入していたことが発覚。同市は2010年12月21日に、関わった職員について、計789人という、戦後最大級の懲戒処分を行った。

文教機関の裏金問題

2010年9月山口大学の不正経理事件で26人が懲戒処分になった。 [1]

2011年夏、朝日新聞が、関東を中心に、複数の大学で不正経理が行われていたことを報じた。[2]

陸上自衛隊

2004年末、防衛庁陸上自衛隊警務隊員のカラ出張を認めた。霞ヶ浦駐屯地警務隊霞ヶ浦派遣隊所属の陸曹長が、出張したように見せかけて約59,000円を受け取ったというもの。裏金づくりは、これ以前にも2003年5月、飯塚駐屯地で大がかりなカラ出張が行われていたことが内部告発され、国会で問題になった。

賄賂の意味での裏金

日本プロ野球

新人選手の獲得にあたっては契約金の最高標準額(1億円+出来高5000万円)が申し合わされている。しかし、実際にはドラフト上位選手に対しては最高標準額以上の裏金が飛び交っていると言われている。裏金が飛び交う原因として、ドラフト対象となる選手(特に大学生)にとって、所属チームの監督や両親の意向は絶対的であることがある。スカウトが所属チームの監督や両親に金銭を渡し、選手を説得(半ば脅迫とも言える)しようと試みる。有力選手であればあるほど、多額の金銭が飛び交うと言われている。その逆指名における裏金が明るみに出たのが2004年一場靖弘を巡る裏金事件である。更に2007年に発覚した横浜ベイスターズによる、2004年に自由獲得枠で入団した那須野巧投手への、契約金の最高標準額や1年目の年俸の申し合わせ額の逸脱がある。ただし当時の横浜球団としては、裏金と契約金の上乗せは範疇が異なると理解していたと発表されている。また、新人獲得時の裏金は、球団経営を圧迫する原因とも言われている。2004年プロ野球再編問題が勃発した時には、プロ野球経営がいかに杜撰で丼勘定であったかが露呈した。一場の問題と同時期には、野間口貴彦読売ジャイアンツから入団前に数回200万円が支払われており、一場問題の調査で野間口投手への授与も把握していたが、桃井恒和球団社長は「公表しなければいけないものでもない。今回(朝日新聞から)取材を受けたので申し上げておきます」と話した[2]

2007年3月、プロ野球の西武ライオンズ東京ガス木村雄太早稲田大学の清水勝仁に「栄養費」として約1300万円の金を渡していたことが問題となった(これにより木村は謹慎、東京ガスチームも対外試合禁止となった。清水は退部)。この問題を調べていた同年4月の西武の調査委員会の中間報告では、94年から05年までに契約金の最高標準額を越えて12億円近くが支払われたと発表された。またアマチュアチーム関係者など、延べ170人に謝礼金が渡されていたことも合わせて発表された。

  • 木村は、秋田経済法科大学附属高等学校3年生だった2004年1月から東京ガス入社の同年9月までの間月額30万円の金銭を受け取っていた。日本高校野球連盟は、2007年3月10日、プロ野球側に対し、高校関係者の関与について説明を求めたことを明らかにした。
  • 清水が専修大学北上高等学校3年生の秋頃、同校教諭で野球部副部長が選手の父親と一緒に西武との「覚書」にサインしていたことを専大北上高校の校長が2007年3月14日に記者会見で明らかにした。続く3月15日、日本高等学校野球連盟の参事は、記者会見で、清水が金銭を受け取っていただけでなく、高校生がプロの練習に参加していた事実に「目を疑うような内容」と驚きを隠さなかった。

2012年3月には、やはり読売ジャイアンツで、NPB加盟球団相互の申し合わせに反し、最高標準額を大幅に上回る額(高い選手で10倍)の契約金を一部の選手に支払っていた事が朝日新聞の取材により発覚。対象になったのは阿部慎之助高橋由伸などだという[3]

日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

プロ野球と同じように、Jリーグでも選手の獲得に際して契約金以外の物品を渡すことは当然ながらJリーグ規約によって禁じられている。

なおJリーグで裏金等の不正が発覚した場合には、制裁金のみでなく、リーグ戦における勝点減、下位ディビジョンへの降格、カップ戦への出場権剥奪、Jリーグからの除名(登録チームへの降格、サッカー界からの追放)などチームの勝敗や人気・経営面に影響する厳罰が課される。

なお1993年の開幕以後はJリーグにおいて、裏金に関する報道は皆無で、これまで裏金によって罰則が下った例はない。これは、プロ野球とJリーグの歴史、経済・財務的要因の違いによるものである。

関連項目

脚注