舞城王太郎
舞城 王太郎 (まいじょう おうたろう) | |
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誕生 |
1973年 日本・福井県南条郡今庄町 |
職業 | 小説家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
活動期間 | 2001年 - |
ジャンル | 小説 |
代表作 | 『阿修羅ガール』(2003年) |
主な受賞歴 |
メフィスト賞(2001年) 三島由紀夫賞(2003年) |
デビュー作 | 『煙か土か食い物』(2001年) |
ウィキポータル 文学 |
舞城 王太郎(まいじょう おうたろう、1973年 - )は日本の小説家。福井県南条郡今庄町(現・南越前町)出身。
来歴
舞城王太郎の「舞城」という名字(ペンネーム)は、故郷の福井県今庄町(現・南越前町)のアナグラムだという説がある(いまじょう→まいじょう)。また、福井県若狭地方には「王の舞」と呼ばれる伝統芸能が存在している。さらに、舞城王太郎の作品に登場する「西暁町」のモデルは(国道365号線が走っていることや停車駅との位置関係から)南越前町(旧今庄町)だとする説が有力である[独自研究?]。
ミステリ小説『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビューした。その後『暗闇の中で子供』『世界は密室でできている。』を矢継ぎ早に発表。講談社ノベルスで洋書のようなカバーデザイン、ミステリの定型に対して挑発的なストーリー進行、若者言葉の発展とも言える[誰によって?]特異な口語体が特徴的である。 以降も書き下ろしをメインにしつつ、文芸誌『ファウスト』においていくつかの短篇を発表、西尾維新、佐藤友哉など同期作家と共に誌面の看板として活躍する。
2001年に短編「ピコーン!」で日本推理作家協会賞の候補となる。同年『群像』に発表し第15回三島由紀夫賞候補となった短編「熊の場所」以後は純文学にも活動の幅を広げ、2003年に『阿修羅ガール』にて選考委員の筒井康隆が評価し第16回三島由紀夫賞を受賞した。
他にも『好き好き大好き超愛してる。』『ビッチマグネット』でそれぞれ第131回(2004年上半期)・第142回(2009年下半期)の芥川龍之介賞候補作となっている(いずれの選考でも、主に池澤夏樹・山田詠美が推している)。第131回において、石原慎太郎は「タイトルを見ただけでうんざりした」と評し、また三島由紀夫賞の選考では、宮本輝が「面白くもなんともないただのこけおどし」と評した。
実際にミステリやSFなどの要素をスリップストリーム的に盛り込んだ物語と独特のスピード感とリズムを持った文体はアクが強く、純文学のフィールドの創作においてもこれらの要素が遵守されているため、文学的であるか否か、ということも含めて文壇での評価は割れている。
学歴・職歴は非公表の覆面作家であり、三島由紀夫賞の授賞式にも欠席した。同賞の受賞者で式典に欠席したのは舞城がはじめてである。このことをうけ、モブ・ノリオが『介護入門』で第131回芥川龍之介賞を受賞した際の記者会見で「どうも、舞城王太郎です」と挨拶した(前述の通り、同回の芥川賞では、本人も候補になっている)。
2005年12月、映画・ドラマ・アニメ・ゲームなどの映像作品を企画・制作・販売するユニット「REALCOFFEE」に所属が確認されている。
2007年12月15日~2008年2月17日にかけて東京都写真美術館で映像工夫館展の一環として開催された「文学の触覚」(企画協力:講談社「群像」、NHKエンタープライズ)において、「舞城小説粉吹雪」というタイトルで参加。同名の書き下ろし小説の創作過程(展示期間中も随時更新)におけるタイピング記録を、「Type Trace」というソフトウェアを使って記憶・再生する作品を展示した。また、20年度の第12回文化庁メディア芸術祭にも審査委員会推薦作品に[タイプトレース道〜舞城王太郎之巻]として選ばれた。その際は、「舞城小説粉吹雪」の他、新たに「せれくたん」(NHKBSのテレビ番組「ねっとすたー」の小説)の冒頭の一部などが展示された。
久々の単行本発売となった1000ページ超の長編『ディスコ探偵水曜日』も豊崎由美や大森望から称賛され、『このミステリーがすごい!』でベスト10以内にランクインを果たしている。
2010年には乙一・秋田禎信らとのコラボレーション企画としてライトノベルシリーズ『魔界探偵冥王星O』を越前魔太郎名義で発表。舞城自身も9月に刊行された『魔界探偵冥王星O デッドドールのダブルD』の執筆を担当する。
作風
主に出身地の「福井県」を舞台にすることが多く、方言や地方性なども含めて中上健次の「紀州サーガ」や阿部和重の「神町サーガ」とならぶ[独自研究?]「福井サーガ」を構築している。他に東京都調布市もいくつかの作品の舞台になっている。また、イラストレーションの腕も非凡なものがあり、作品のほとんどは舞城自身がイラストを担当している。
作品リスト
単行本
長編
- 煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices (2001年講談社ノベルス、2004年講談社文庫)
- 暗闇の中で子供 The Childish Darkness (2001年講談社ノベルス)
- 世界は密室でできている。 THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS. (2001年講談社ノベルス、2005年講談社文庫) - 講談社ノベルス創刊20周年記念「密室本」
- 阿修羅ガール (2003年新潮社、2005年新潮文庫)
- 短編 川を泳いで渡る蛇 (『新潮』2003年7月号) - 文庫版のみに収録。
- 九十九十九 (2003年講談社ノベルス、2007年講談社文庫) - 清涼院流水によるJDCシリーズの世界観にのっとって描かれている。
- 山ん中の獅見朋成雄 (2003年講談社、2005年講談社ノベルス、2007年講談社文庫) - 初出:『群像』2003年7月号
- 好き好き大好き超愛してる。 (2004年講談社、2006年講談社ノベルス、2008年講談社文庫) - 初出:『群像』2004年1月号
- 短編 ドリルホール・イン・マイ・ブレイン (『ファウスト』2003年Vol.1) - 文庫には収録されていない。
- SPEEDBOY! (2006年講談社BOX) - 初出:『群像』2006年1月号
- ディスコ探偵水曜日(2008年新潮社、2011年新潮文庫) - 文庫版は上巻に第一部・第二部、中巻に第三部、下巻に第四部を収録
- 上巻
- 第一部 梢 (『新潮』2005年5月号)
- 第二部 ザ・パインハウス・デッド (『新潮』2006年1月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 第1章 (『新潮』2006年9月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 第2~5章 (『新潮』2006年10月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 第6~7章 (『新潮』2006年11月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 第8~11章 (『新潮』2006年12月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 第12~14章 (『新潮』2007年2月号)
- 第三部 解決と○ん○ん 完結編 (『新潮』2007年4月号)
- 下巻
- 第四部 方舟 (書下ろし)
- 上巻
- ビッチマグネット (2009年新潮社 - 初出:『新潮』2009年9月号)
- 獣の樹 (2010年講談社ノベルス)
- NECK (2010年講談社文庫)
- a story (書下ろし)
- the original (舞台『NECK』の脚本&絵コンテ)
- the second (『エソラ』vol.6)
- the third (映画『NECK』の原案となった脚本)
- 魔界探偵冥王星O デッドドールのダブルD (2010年講談社ノベルス)
短編集
- 熊の場所 (中編集、2002年講談社、2004年講談社ノベルス、2006年講談社文庫)
- みんな元気。 (2004年新潮社、イラスト片山若子)
- みんな元気。(『新潮』2004年9月号)☆
- Dead for Good (書き下ろし)☆
- 我が家のトトロ (『新潮』2003年6月号)★
- 矢を止める五羽の梔鳥 (『新潮』2004年6月号)☆
- スクールアタック・シンドローム (『新潮』2004年1月号)★ - 後に青山景によって漫画化される。
- みんな元気。 (2007年新潮文庫)
- ☆印3作を収録。
- スクールアタック・シンドローム (2007年新潮文庫)
- ★印2作と書き下ろし1編を収録。
- ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート (書き下ろし)
- イキルキス (2010年講談社)
- イキルキス (『群像』2008年7月号)
- 鼻クソご飯 (『群像』2002年12月号)
- パッキャラ魔道 (『群像』2004年5月号)
単行本未収録作品
群像
- 僕のお腹の中からはたぶん『金閣寺』が出てくる。 (『群像』2003年3月号・企画「現代小説・演習」第3回)
- 私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。 (『群像』2003年12月号・企画「現代小説・演習」第12回)
- 重たさ (『群像』2006年10月号)
- 舞城小説粉吹雪 (『群像』2008年1月号掲載分に加え、展覧会『文学の触覚』にて不定期書下ろし)
- ドナドナ不要論 (『群像』2010年8月号)
- ほにゃららサラダ(『群像』2010年9月号)
- 短篇五芒星(『群像』2012年3月号)
- 美しい馬の地
- アユの嫁
- 四点リレー
- バーベル・ザ・バーバリアン
- あうだうだう
ファウスト
- 駒月万紀子 (『ファウスト』2004年Vol.3)
- 夜中に井戸がやってくる。 (『ファウスト』2004年Vol.4)
- めくるめく (『ファウスト』2005年Vol.6 SIDE-B)
エソラ
- 182(ONE EIGHT TWO) (『エソラ』vol.4) - 漫画+小説形式。未完。
- 風の名前 (『エソラ』vol.5) - 舞城王太郎 with REALCOFFEE名義、物語+イラスト形式
Type Traceで展示されたもの
- 舞城小説粉吹雪(『群像』に掲載されたものを含む)
- せれくたん 第一話
- 八極幸有の二〇〇五年七月
- 名探偵巴里屋超丸の二〇〇八年七月(『波』掲載)
NECK
- NECK the fifth (『IN☆POCKET』2010年8月号)
- ANOTHER NECK (NECK the sixth) (舞台『NECK』パンフレット掲載)
- NECK the seventh (『papyrus』2010年10月号)
- NECK the eighth (『ダ・ヴィンチ』2010年9月号)
- NECK the ninth (映画『NECK』オリジナル・サウンドトラック ライナーノーツ掲載)
- NECK the tenth(『週刊少年マガジン』2010年39号)
- NECK the eleventh (映画『NECK』パンフレット掲載)
- NECK the twelfth(映画『NECK』DVD内ブックレット掲載)
その他
- W (『en-taxi』2003年No.2)
- petals (『週刊ヤングジャンプ』2004年No.30)
- A Dragon Girl (『制コレISM03』2004年)
- 喜びは鳥になる。 (『週刊新潮』2005年・企画「街の名は」第三十三回)
- 子猫探し (『小説現代』2007年2月号)
- 東京戦争 (『メフィスト』2007年5月号) - 第一章、第二章のみ掲載
- 名探偵巴里屋超丸の二〇〇八年七月(『波』2008年8月号)
- すっとこどっこいしょ (『新潮』2008年12月号)
- You Ain't No Better Than Me. (『小説新潮』2010年7月号)
- Shit, My Brain Is Dead. (『新潮』2010年9月号)
- 力と気持ち(『新潮』2011年3月号)
- やさしナリン(『新潮』2012年1月号)
- あまりぼっち(『新潮4月号別冊「Story Power」2012』)
その他の著作
小説以外
- 評論
- 翻訳
- コールドスナップ (『ファウスト』2004年Vol.2、トム・ジョーンズ著の短篇を翻訳)
- イラストーリー
- PaPa IN THE DOG (2003年9月『ファウストフェスティバル』にて配布)
- 二郎 (『ファウスト』2004年Vol.3)
- 漫画
- BLAND NEW ME, BLAND NEW WORLD (『ファウスト』2005年Vol.5)
- ぬるつべぴりり (『コミックファウスト』2006年)
- 『NECK』プロジェクト
- 舞台『NECK』(原作:舞城王太郎 / 劇作:竹内佑 / 演出:河原雅彦。2010年2月10日~2月24日:青山円形劇場にて公演)
- 映画『NECK ネック』(原案:舞城王太郎 / 監督:白川士 / 脚本:江良至 / 藤平久子。2010年8月21日公開)
共著・参加
アンソロジーなどの再録は除く
- バット男 (2004年白水社) - 倉持裕による戯曲。
- ピコーン! (2007年小学館IKKI COMPLEX) - 青山景による漫画。
- ピコーン! (『IKKI』2004年8月号)
- スクールアタック・シンドローム (書下ろし)
- 「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか(バジリコ、2007年3月) - 仲俣暁生の評論集。以下3作を特別収録。