清涼院流水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

清涼院 流水
誕生 金井 英貴
1974年8月9日(34歳)
兵庫県西宮市
職業 推理作家
国籍 日本
活動期間 1996年 -
代表作 JDCシリーズ
主な受賞歴 第2回メフィスト賞
処女作 コズミック
ウィキポータル 文学
  

清涼院 流水(せいりょういん りゅうすい 1974年8月9日 - )は、日本推理作家。自称「大説家(たいせつか)」。本名は金井英貴(かない ひでたか)。兵庫県西宮市出身。筆名の由来は「清涼飲料水」より。

目次

[編集] 経歴

甲陽学院高等学校卒業。高校在学時、田中芳樹の『銀河英雄伝説』に影響を受け、『夢幻天空絵巻』というファンタジー小説を執筆[1]。登場人物が数百名にのぼるこの架空歴史小説が、『JDCシリーズ』の構想のもととなった[1]

1993年、京都大学経済学部に入学。この頃から主にミステリを執筆するようになる[2]綾辻行人麻耶雄嵩らを輩出した京都大学推理小説研究会に所属し、そこでJDCシリーズ最初の短編となる『黒猫間の犯罪』を発表し、この作品が研究会の間で好評だったため、以降毎月のようにJDCの短編を発表していたという[2]。なお、この当時はまだ「JDC」という言葉は存在しなかった[2]。そして同年の秋、『ジョーカー』のプロトタイプとなる原稿用紙700枚の作品『華没』を完成させる。この作品は「ミステリの総決算」を目指して作られたが[3]、「研究会最大の問題作」と評され、そのことを巡る論争の結果、流水は研究会を脱退。

1995年、阪神・淡路大震災によって実家が全壊[3]。故郷の惨状を目の当たりにしたこの経験が、当時執筆途中だった『1200年密室伝説』[3]やデビュー後の『カーニバル』[4]の設定、そして自身の人生観に大きく影響を及ぼしたという[3]

そして1996年、完成させた『1200年密室伝説』をメフィスト賞に応募。これが第2回メフィスト賞受賞となり、『1200年密室伝説』は『コズミック 世紀末探偵神話』と改題した上で刊行され、流水は小説家としてプロデビュー。大塚英志東浩紀斎藤環などからリファレンスされた。

2001年1月1日、作家デビュー以後ずっと休学していた大学を中退。これにより、「21世紀初最初の京都大学中退者」になったと自称する[5]

2006年9月、記念ごとの好きな流水らしく、デビュー10周年を迎えた節目に、今まで作品を刊行してきた各出版社(講談社幻冬舎角川書店徳間書店)から各社1作ずつ、10周年記念作品を発表すると予告した。

2007年1月から、10周年作品の第1弾として、講談社から『パーフェクト・ワールド What a perfect world!』を刊行。講談社BOXの企画「大河ノベル」の第1弾で、12ヶ月連続で毎月1冊ずつ刊行された。流水の他には西尾維新島田荘司定金伸治らがこの企画に参加した。また流水は同年、12ヶ月連続刊行と並行して、全国の主要都市を巡る12ヶ月連続サイン会「どーもツアー」も達成した。

2007年4月、10周年作品の第2弾として、角川書店から『LOVE LOGIC』を刊行。しかし、幻冬舎から予定していた10周年作品は、担当編集者の失踪によって無期延期となった[6]。また、徳間書店から予定していた10周年作品『神とオセロ』は、デザイン上のトラブルなどの理由で、原稿は完成しているにもかかわらず、いまだ刊行されていない[7]

2008年からビジネス書著者の水野俊哉と毎日メールしあうほど親しい仲となり、「水野流水」名義で『成功ブック』という本を刊行することが予告されている[8]。2006年から2008年の「本人日記」、2007年から2008年の進研ゼミ連載を経て、2008年から2009年にかけてケータイ小説として連載していた『忘レ愛』は、スターダスト・ピクチャーズの公式サイトにおいて、映画化が進行中であることが明かされている。

2009年5月1日、カナダ人漫画家カイ・チェンバレンとの合同公式サイト「bbbcircle」をオープン。これは流水初の公式サイトとなる。

2009年5月27日、「生まれ変わった清涼院流水の“新たなるデビュー作”」と謳われた『コズミック・ゼロ』の刊行にあわせて、文藝春秋のサイトに特設コーナーがオープンし、水野俊哉との「水野流水」対談も公開された。

[編集] 作風

デビュー作から一貫して見られる特徴は、奇妙で突飛な発想の元に練られた設定と、あらゆる「言語トリック」、結末の意外性への固執である。また、本来あまり重要視されない部分にこだわり、なんらかの意味を持たせる傾向がある(カバーデザイン、価格、発売日、原稿枚数、ぱっと見たときの文章の並びなど)。読者からは反発が沸き起こる一方で熱狂的なファンもいる(なお、流水本人は自身の作風を指して「自分の作品は小説ではなく流水大説」と述べている)。

[編集] その影響

以上のように、これまでのミステリ界では全くあり得なかったその作風からデビュー当時はミステリ界に賛否両論の大論争を巻き起こした。大森望によれば、『コズミック』刊行直後の鮎川哲也賞受賞パーティーでは、芦辺拓我孫子武丸綾辻行人有栖川有栖笠井潔北村薫京極夏彦倉知淳篠田真由美二階堂黎人貫井徳郎法月綸太郎麻耶雄嵩山口雅也などのミステリ作家が朝まで『コズミック』談義に明け暮れたという[9]。担当編集者曰く「デビュー当時最も叩かれた新人」。

また、大塚英志舞城王太郎西尾維新といった作家が後述のJDCシリーズに共鳴し、同じ世界観を共有した作品を発表しているなど、同世代およびそれ以降の世代の作家たちに与えた影響は大きい。

[編集] 主な作品

代表作は『コズミック』、『ジョーカー』、『カーニバル』、『彩紋家事件』の4作品を中心とする、総勢350人以上の日本探偵倶楽部 (JDC) の探偵達が活躍するJDCシリーズ

登場人物の名前を「九十九十九」「龍宮城之介」「ピラミッド・水野」などと命名したり、作品の冒頭で1200人の殺害予告がなされたり、作中の探偵が「必要なデータが揃うと真相を悟る」、「寝ないで推理すると限界を超えた先に真相が閃く」などの推理法を駆使したりするなど、従来のミステリの定石・常識から外れた(故意に『外した』)作風である。

[編集] 作品リスト

[編集] JDCシリーズ

詳細は「JDCシリーズ」を参照

[編集] 木村彰一シリーズ

単行本

文庫版

[編集] トップラン&ランドシリーズ

[編集] とくまシリーズ

[編集] パーフェクト・ワールド What a perfect world! シリーズ

詳細は「パーフェクト・ワールド What a perfect world!」を参照

[編集] その他

  • 秘密屋 赤 ISBN 4061821792
  • 秘密屋 白 ISBN 4061821806
  • 秘密屋文庫知ってる怪 ISBN 4062748312 - 『秘密屋 赤』・『白』に書き下ろし『黒』を加えた文庫版。
  • 秘密室ボン ISBN 406182290X - 講談社ノベルス創刊20周年記念「密室本」。
  • 秘密室ボン QUIZ SHOW ISBN 4062754037 - 『秘密室ボン』に、雑誌掲載短編『非密室バム』を加えた文庫版。
  • みすてりあるキャラねっと ISBN 4044285012
  • キャラねっと 愛$探偵の事件簿 ISBN 4048735179 - 新書化に伴い『みすてりあるキャラねっと』に追加、修正がなされたもの。
  • キャラねっと完全版 愛$探偵ノベル ISBN 4044285020
  • ぶらんでぃっしゅ? ISBN 4344010701 - 西尾維新、森博嗣、飯野賢治の3名がスペシャルゲストで参戦。それぞれの言葉遊びが掲載されている。
  • 成功学キャラ教授 4000万円トクする話 ISBN 4062836017 - 小説仕立ての成功学のレクチャー本。
  • レッドブック ワルツの雨 ISBN 4344012666 - 「RE」名義。飯野賢治との共著。
  • LOVE LOGIC(ラヴ・ロジック) 〜蜜と罰〜 ISBN 4048737635
  • コズミック・ゼロ 日本絶滅計画 ISBN 4163282300
  • B/W(ブラック オア ホワイト)完全犯罪研究会 ISBN 4778311779
  • 忘レ愛 ISBN 4903620603

[編集] 脚注・出典

[ヘルプ]
  1. ^ a b 『カーニバル 一輪の花』 講談社文庫、2003年1月15日、巻末特別付録 p.8
  2. ^ a b c 『カーニバル 一輪の花』 講談社文庫、2003年1月15日、巻末特別付録 p.17-18
  3. ^ a b c d 『カーニバル 一輪の花』 講談社文庫、2003年1月15日、巻末特別付録 p.21-23
  4. ^ 『カーニバル 五輪の書』 講談社文庫、2003年5月15日、巻末特別付録 p.13
  5. ^ 『トップランド2001 天使エピソード1』 幻冬舎文庫、2001年10月25日 著者紹介など
  6. ^ “本人日記”『hon-nin vol.3』太田出版
  7. ^ “本人日記”『hon-nin vol.8』太田出版
  8. ^ 『水野俊哉の日記』
  9. ^ 『コズミック 水』 講談社文庫、2000年5月15日、p.546 解説より

[編集] 外部リンク

  • bbbcircle 清涼院流水&カイ・チェンバレン合同公式サイト
  • 水野俊哉の日記 清涼院流水と「水野流水」ユニットを組む水野俊哉のブログ
  • コズミック・ゼロ 文藝春秋サイトにおける「コズミック・ゼロ」の特設コーナー
  • 忘レ愛 スターダスト・ピクチャーズにおける「忘レ愛」の特設コーナー
他の言語