ファウスト (文芸誌)

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ファウスト』は、講談社が不定期に刊行している文芸雑誌。2003年9月創刊。キャッチコピーは「闘うイラストーリー・ノベルスマガジン」。編集は講談社の太田克史が1人で行っている。掲載される作品は「ファウスト系」と呼ばれることがある。また小説のジャンルとして「新伝綺」を提唱した。

2009年7月現在、Vol.7までとコミック版1冊が刊行されている。また、台湾韓国アメリカでもそれぞれ現地語版のファウストが刊行されている。

目次

[編集] 概要

『ファウスト』は、講談社の創業100周年(2009年)を記念する新雑誌企画開発プロジェクトの一環として創刊された[1]。編集長は企画の提案者の太田克史(創刊当時は講談社文芸図書第三出版部在籍)が務める。判型は新書サイズで、刊を重ねるにつれてページ数が増している。

内容は書き下ろしの短編小説を中心に批評漫画・カラーイラストーリー・エッセイインタビュー記事などで構成される。小説の執筆者はメフィスト賞受賞者の中で、本格ミステリの作家に対して脱格系[2]などとされていた舞城王太郎佐藤友哉西尾維新を中心とし、のちに乙一滝本竜彦北山猛邦や、ビジュアルノベルシナリオライターとして評価を受けていた奈須きのこ竜騎士07らも参加した。執筆者が以上のような出自であるため、作品の中には通常のライトノベルとは異なるものも少なくない。

創刊当時から東浩紀笠井潔斉藤環らを起用して、作家を批評・評論面からもサポートした。創刊号には大塚英志の評論も掲載される予定だったが、舞城王太郎が批評家から絶賛されている状況を批判した内容だったために不掲載となった(後に『早稲田文学』2004年1月号に「世界がもし、舞城王太郎な村だったら。」として掲載)。

小説ごとにオリジナルのフォントを用意し、また表紙が折り畳み式になっているなど、雑誌全体のデザインに工夫が凝らされている。

出版ビジネスの観点からは、再販制度委託制度下で維持されている出版物流通のボトルネックを利用し、文芸雑誌に講談社が得意とする大量消費向けの週刊誌・漫画雑誌の手法を持ち込んだ点に特徴がある。

[編集] 編集方針

『ファウスト』を語るキーワードとして、編集長の太田克史は「ひとり編集」「イラストーリー」「本物のDTP」という3つの言葉を挙げている。[3]

[編集] ひとり編集

太田は社内公募の際、「ひとり編集部」という提案をした。1人だけで編集をおこなうことで作品や編集方針へのこだわりを十二分に誌面へ反映することが目的であった。これまでにない編集体制であったため、講談社内でもさまざまな意見が飛び交ったが、太田の強い熱意により最終的にこの編集体制での刊行となった。

[編集] イラストーリー

キャッチコピーで標榜されている通り、小説には必ずイラストがつく。また巻末には漫画を掲載し、この雑誌独自の「カラーイラストーリー」を巻頭に配すなどビジュアル的なものも重視している。

[編集] 本物のDTP

編集長の太田は従来のDTP(デスクトップパブリッシング、卓上出版)について「安かろう悪かろう」という印象を抱いていた。しかし、京極夏彦の「InDesignで小説を執筆し、PDFで入稿する」という宣言、圧倒的なボリュームがある小説を、自らが版面をコントロールすることで一気に読ませてしまう「京極マジック」を体験した結果、編集者も追いつかなければならないと思い、DTPの勉強を始めた。そして、『ファウスト』ではDTPへの挑戦をより顕著に行うこととなった。『ファウスト』では、すべての組版にAdobe InDesignが使われている。[4]

それまでの雑誌は決められたフォーマットにテキストを流し込むスタイルだったが、『ファウスト』では各作品ごとにフォントを変えるなどして、「新しい雑誌とは何か?」を模索している。フォントについても、太田が「一番フォントについて知っている人は誰かと探したら紺野さんだった」と語る凸版印刷紺野慎一に“フォントディレクター”を依頼し、各作品ごとにフォントの提案を受けている。『ファウスト』以降、講談社内の多くの雑誌・書籍の製作環境が順次DTPに移行された。[5]

[編集] 刊行状況

2003年9月5日にVol.1が発売し、9月20日には創刊を記念して、紀伊國屋サザンシアター(新宿)で「激変する文芸 ファウストフェスティバル2003」が行われた。Vol.1・2は、講談社の文芸誌『メフィスト』と同じように『小説現代』増刊として刊行されたが、発行部数が少なかったためオークションなどで高騰した[6]。Vol.3以降は「講談社MOOK」として刊行され、Vol.1・2も後にムック化され復刊した。Vol.3以降『特集』という形で1人の作家にスポットを当てたり、文芸やノベルゲーム周辺のブームを取り上げたりしている。

Vol.3で、年3回の定期刊行化が決定したと発表された。2004年はVol.2 - 4までの3冊、2005年はVol.5、6A、6Bと3冊が発行された。2006年には本誌2冊、別冊2冊の発行が予告されていたが、実際には別冊である『コミックファウスト』1冊が発行されただけで、その後2008年の夏まで2年間発行が途絶えた。

日本で『ファウスト』本誌の刊行が途絶えていた間、2006年2月に台湾尖端出版より、同年4月に韓国鶴山文化社より、それぞれ現地語版の『ファウスト』が出版され、日本のものを追いかける形で巻を重ねた。ただし、台湾版は2007年8月のVol.4 SIDE-A発売以来、刊行が途絶えている。韓国版はVol.5まで刊行されている。

2006年、太田が海外文芸出版部に異動し、11月には新レーベル『講談社BOX』を立ち上げた。それまで『ファウスト』の掲載作品は講談社ノベルスから単行本化されていたが、以降は講談社BOXでの刊行が主となっており、作品によってはハードカバーとなることもある。

2008年8月、約2年半ぶりに本誌(Vol.7)が発売された。Vol.7では日本を代表するSF作家である筒井康隆が「ビアンカ・オーバースタディ」という題名のライトノベルの第一話から第三話を執筆して、話題になった。また、2007年に刊行が決定していたアメリカ版「FAUST 1」が同月19日、Del Rey社より発売された。

[編集] 執筆陣リスト

登場順。コ=コミックファウスト。

[編集] 小説

メフィスト賞受賞者
ビジュアルノベルライター
その他
海外作家

[編集] カラーイラストーリー

[編集] コミック

[編集] 小説イラスト

カラーイラストーリー、コミックで名前が出ていない人のみ

[編集] 刊行巻

[編集] 国内

[編集] 台湾版(『浮文誌』)

尖端出版より刊行。小説は日本の作品の翻訳のみ掲載しており、浮文誌新人賞を募集してはいたが、オリジナル小説は掲載されなかった。

ファウスト関連作家の作品は、尖端出版のライトノベルレーベル「浮文字」(一部は文学レーベル「嬉文化」)から刊行されている。

  • Faust 浮文誌MOOK Vol.1(2006年2月7日、ISBN 9789571031576
    • 在我頭上鑽個洞 The Drill Hole In My Brain
    • 紅色的莫斯科騾子
    • 新本格魔法少女莉絲佳(副題なし)
  • Faust 浮文誌MOOK Vol.2(2006年6月22日、ISBN 9789571032788
    • F先生的口袋
    • ECCO
    • 黑色的寶礦力水得
    • 新本格魔法少女莉絲佳 有影子的地方就有光。
  • Faust 浮文誌MOOK Vol.3 SIDE-A(2006年8月10日、ISBN 9789571033532
    • DDD J the E.
    • 彩色的檸檬健怡可樂(濃縮版)
    • ECCO
  • Faust 浮文誌MOOK Vol.3 SIDE-B(2006年11月21日、ISBN 9789571033792
    • 新本格魔法少女莉絲佳 敵人的敵人是天敵!
    • 殺人鬼零崎軋識
    • 駒月萬紀子
    • 在Southberry樹下
  • Faust 浮文誌MOOK Vol.4 side-A(2007年8月9日、ISBN 9789571036564

[編集] 韓国版

鶴山文化社より刊行。小説は翻訳以外に、オリジナル小説も載せている。掲載されている数名の韓国作家のうち、推理作家のハンドンジンは韓国版ファウストでデビューした。

ファウスト関連作家の作品は、鶴山文化社のライトノベルレーベル「ファウストノベルズ」から順次刊行されている。

  • 파우스트Vol.1(2006年4月25日、ISBN 895298241X
    • ドリルホール・イン・マイ・ブレイン
    • 赤色のモスコミュール
    • 있거나 혹은 없어도강병융(「あってもなくても」カン ビョンユン
    • 新本格魔法少女りすか やさしい魔法はつかえない。
    • ロスタイム
  • 파우스트Vol.2(2006年8月25日、ISBN 8952988248
    • DDD
    • ECCO
    • 천국의 왕듀나(「天国の王」デュナ) - SF短編。
    • F先生のポケット
    • 黒色のポカリスエット
    • 新本格魔法少女りすか
  • 파우스트Vol.3(2007年1月25日、ISBN 8952992148
    • 第1特集 最新! 斬新! 西尾維新!
      • 新本格魔法少女りすか
      • 零崎軋識の人間ノック
    • 第2特集 韓国作家の力!
      • 新連載1「그녀 집으로 오세요이종호(「彼女のうちにおいで」イ ジョンホ) - ホラー小説。
      • 新連載2「킬킬킬강병융(「キルキルキル」カン ビョンユン) - 幻想小説。
    • 第3特集 ミステリーを語る!
      • 特別座談会 ミステリーを語る!
      • 新人発掘、ミステリー!「경성탐정록한동진(「京城探偵録」ハン ドンジン) - 推理小説。
    • その他収録小説
      • 虹色のダイエットコカコーラ(短縮版)
      • ECCO
      • ワールドミーツワールド
      • 駒月万紀子
      • 第1回(韓国)ファウスト賞優秀賞「호질이선웅(「虎叱」イ ソヌン) - ホラー推理短編。
  • 파우스트Vol.4(2007年6月20日、ISBN 9788952992154
    • 第1特集 文芸合宿! Live at FAUST!
      • 子供は遠くに行った
      • こころの最後の距離
      • 地獄の島の女王
      • 新世紀レッド手ぬぐいマフラー
      • 携帯リスナー
      • 誰にも続かない
    • 第2特集 ホラー小説 ルネッサンス!
      • 連載「그녀 집으로 오세요이종호(「彼女のうちにおいで」イ ジョンホ
      • 사자들김종일(「死者たち」キム ジョンイル)
      • 택시권정은(「タクシー」クォン ジョンウン)
      • 순결한 칼장은호(「純潔の刀」チャン ウノ)
      • 징후김미리(「兆し」キム ミリ)
    • 第3特集 ミステリーのフロントライン
      • 廃線上のアリア
      • 夜中に井戸がやってくる。
    • その他収録小説
      • 미래 관리부듀나(「未来管理部」デュナ) - SF短編。
      • 連載「킬킬킬강병융(「キルキルキル」カン ビョンユン) - 幻想小説。
      • 新本格魔法少女りすか
      • ECCO
  • 파우스트Vol.5(2008年4月25日、ISBN 9788952992161
    • 第1特集 集中特集、上遠野浩平!
      • アウトランドスの戀
      • ポルシェ式ヤークト・ティーガー
    • 第2特集 〈ひぐらしのなく頃に〉竜騎士07スペシャル!
    • その他収録小説
      • 新本格魔法少女りすか
      • 경성탐정록한동진(「京城探偵録」ハン ドンジン) - 推理小説。
      • 화염소녀김미리(「火焔少女」キム ミリ) - 幻想ホラー小説。
      • わたしのひょろひょろお兄ちゃん
      • 対ロボット戦争の前夜
      • ナオミに捧ぐ 愛も汚辱のうちに
      • 첫출근장은호(「初出勤」チャン ウノ) - SFホラー小説。
      • ポケットに君とアメリカをつめて
      • あなたとここにいるということ

[編集] アメリカ版

Del Rey社より刊行。2号までの刊行は確定していたが、2号に次号予告はなく、続刊の予定は不明である。

編集長の太田はアメリカでの出版に関して、「認めたくはないが、ファウストがアメリカで刊行できるのは高河ゆんさんや小畑健さんが挿絵を描いているからだといって差し支えなく、これが日本の小説をアメリカで刊行するための唯一の方法だと理解している」という意味の発言をしている(アメリカ版ファウストVol.2収録の対談[7])。そのことば通り、アメリカ版ファウストでは既にアニメや漫画である程度知名度のある人の名が前面に押し出されている。表紙を飾っている名前は、Vol.1では順に「CLAMP、小畑健、ウエダハジメ西尾維新、高河ゆん、上遠野浩平」、Vol.2では順に「小畑健、ウエダハジメ、西尾維新、乙一大友克洋、竹、上遠野浩平、寺田克也」である。

  • FAUST 1(2008年8月19日、ISBN 034550206X
    • 目次及び初出
    • Introduction
      • WELCOM TO FAUST! 太田克史(アメリカ版オリジナル)
    • Fiction and essays
      • 西尾維新「xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル 第1話 アウターホリック」(コミックファウスト)
      • 上遠野浩平「アウトランドスの戀」(Vol.5)
      • 舞城王太郎「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」(Vol.1)
      • 乙一「F先生のポケット」(Vol.2)
      • 奈須きのこ「空の境界 1 俯瞰風景」(『空の境界(上)』等)
      • 渡辺浩弐「Hな人人」(Vol.2、第03話「進化する世界」)
      • 清涼院流水「ヤバ井でSHOW」(Vol.1、BATTLE 01のみ)
      • 佐藤友哉「佐藤友哉の人生・相談」(Vol.1)
      • 滝本竜彦「滝本竜彦のぐるぐる人生相談」(Vol.1)
      • 森川嘉一郎「オタク20周年に寄せて」(Vol.1)
    • Bonus features
      • 「劇場版空の境界アルティメットインタビュー」奈須きのこ、武内崇(パンドラVol.1 SIDE-A、日本版にはない追加部分あり)
      • 「From Japan to the World, From the World to Japan」椎名ゆかり(アメリカ版オリジナル)
    • Manga and Illusrated stories 背表紙側から順に
      • 「月草」(Vol.3) - カラー
      • VOFAN「日光舞踏会」(Vol.6 SIDE-A) - カラー
      • やまさきもへじ「紅葉狩」(Vol.2) - カラー
      • 高河ゆん、西尾維新「放課後、7時間目。」(コミックファウスト)
  • FAUST 2(2009年6月23日、ISBN 0345503570
    • 目次及び初出
    • Introduction
      • WELCOM TO FAUST! 太田克史(アメリカ版オリジナル。Vol.1と同一)
    • Fiction and essays
      • 西尾維新「新本格魔法少女りすか やさしい魔法はつかえない。」(Vol.1)
      • 上遠野浩平「ポルシェ式ヤークト・ティーガー」(Vol.5)
      • 乙一「窓に吹く風」(Vol.6 SIDE-A)
      • 佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ」(『灰色のダイエットコカコーラ』)
      • 滝本竜彦「ECCO」(Vol.2)
      • 渡辺浩弐「Hな人人」(Vol.3、第05話「都合のいい女」)
      • 清涼院流水「ヤバ井でSHOW」(Vol.2、BATTLE 05のみ)
      • 佐藤友哉「佐藤友哉の人生・相談」(Vol.2)
      • 滝本竜彦「滝本竜彦のぐるぐる人生相談」(Vol.2)
      • 森川嘉一郎「オタクvs.オタク・ビジネス」(Vol.2)
    • Bonus features
      • 「Talk Session: On the Occasion of the Publication of the U.S. Edition of Faust」乙一、佐藤友哉、滝本竜彦、西尾維新、太田克史の対談(アメリカ版オリジナル。2008年5月、KOBOCAFEで収録されたもの)
      • 「Lost in Translation!? Torn between Japanese and English」椎名ゆかり、Andrew Cunningham(アメリカ版オリジナル)
    • Manga and Illusrated stories 背表紙側から順に
      • x6suke「蝶の夢」(Vol.5) - モノクロ
      • 片山若子「彼女の透明なおへそ」(Vol.6 SIDE-A) - モノクロ
      • VOFAN「陰影舞踏曲」(Vol.6 SIDE-B) - モノクロ
      • 大友克洋寺田克也「親父衆」(パンドラVol.1 SIDE-B)
      • ウエダハジメ「鉄人形部隊」(コミックファウスト)

[編集] ファウスト賞

[編集] 国内

ファウスト賞は、応募資格を1980年生まれ以降に限定した公募新人文学賞である。400字詰め原稿用紙80枚以上120枚以内の小説を募集する。優秀作品はファウストに掲載され、作者には規定の原稿料が支払われる(賞金はない)。全体の講評は本誌に、全作品へのコメントは講評があったのと同じ号のファウスト特設ページ(講談社のWebサイト内[8])に掲載される。第4次まで受賞者は出ていない。また、第5次の講評・コメントは出されていない。Vol.7では「「ファウストJr.」(第六次ファウスト賞)」として募集され、優秀作品は『ファウストJr.』に掲載するとされた。『ファウストJr.』は2008年末から翌年初めに開始予定の新企画とされていたが、ファウスト本誌自体の刊行が延期されており、企画の詳細は明らかになっていない。

  • 第1次 2003年11月15日締切(Vol.2に講評、応募数173)
  • 第2次 2004年10月15日締切(Vol.5に講評、応募数166)
  • 第3次 2005年2月15日締切(Vol.6 SIDE-Bに講評、応募数98)
  • 第4次 2005年9月30日締切(Vol.6 SIDE-Bに講評、応募数122)
  • 第5次 2006年3月31日締切(2008年8月末頃を目処に講談社BOXのサイトで発表するとされていたが[9]、2009年7月現在まで発表はされていない)
  • 「ファウストJr.」第6次ファウスト賞 2008年10月31日締切

[編集] 台湾

台湾版のファウスト賞である浮文誌新人賞繁体字浮文誌新人獎)は応募を1970年生まれ以降に限定している。主催は尖端出版で、15000から30000字の未発表小説を募集する。大賞(1名)には賞金10万元(約30万円)と楯、優秀賞(1名)には6万元と楯、佳作(2名)には2万元と楯が与えられ、また尖端出版の契約作家になるチャンスがあるとされた。

第1回では大賞は出なかったものの、佳作が4作選ばれた。第2回では大賞1作品・優秀賞1作品・佳作2作品が選ばれた。第1回の佳作作品は公開されなかったが、第2回では4作品とも尖端出版のWebサイトで公開された。[10]

第2回の最終選考は台湾の作家既晴九把刀zh)、朱学恒zh)と、尖端出版のライトノベル担当の編集主任・陳君平が行った。浮文誌新人賞は、ライトノベルの賞であるとするなら、2008年募集開始の台湾角川ライトノベル大賞に先駆ける台湾で最初のライトノベルの賞だということになる。

受賞作
  • 第1回 2006年6月30日締切、2007年2月2日授賞式、応募数104
    • すべて佳作 「神州王」沙承垚、「RE:」李承霖、「紅花樓之謎」李柏青、「怪力十七」黃洋達
  • 第2回 2007年4月30日締切、2008年8月13日授賞式、応募数163
    • 大賞「烏栖曲」無患子(彭千華)、優秀賞「空手而歸的賊」李柏青、佳作「惡夢」小山羊(王君儀)、佳作「寂寞的預感」湖南蟲(李振豪)

受賞者のうち、李柏青小山羊は後に他社から単行本デビューした。また、第1回2次選考通過作「吾乃雜種」(寵物先生)、第2回応募作「淚水狂魔」(林斯諺)、ファウスト賞応募のため執筆された[11]推理作家冷言の「請勿挖掘」は後に台湾の出版社・明日工作室から刊行された。また、既に推理作家としてデビューしていた烏奴奴zh)は「逆向」で第1回の2次選考を通過している[12]

[編集] 韓国

韓国版ファウスト賞(파우스트 소설상、Pauseuteu小説賞)は、「20歳の若い感性が生きている小説」を募集するとしているが、年齢制限自体は設けていない。200字詰め原稿用紙200枚以内の未発表作品を募集し、大賞1編を選ぶ。賞金は300万ウォン(約22万円)。第3回まで大賞は出ていないが、第1回の優秀賞にイ・ソヌンのホラー推理短編「虎叱」(이선웅호질」)が選ばれ、Vol.3に掲載された。

[編集] ファウスト系

『ファウスト』によく載るような、「セカイ系とミステリと現代ファンタジーを融和させた作品」のことをファウスト系と呼ぶことがある。青春の心の停滞を怪奇等の日常から逸脱した出来事と共に書くことにより、自分の存在意義や心の在り方などといった自分探しを拡大させ自己の内面と世界を繋げさせる、といった構造が特徴的である。代表的な作家として『ファウスト』に創刊当時から参加している西尾維新舞城王太郎佐藤友哉などが挙げられる。

また、『ファウスト』Vol.3では「伝奇作品の流れがここに来て、新たな文学のステージに到達した」という意味で奈須きのこ原田宇陀児元長柾木の作品を「新伝綺」と謳っている。その後Vol.6では竜騎士07錦メガネの作品が新伝綺とされた。しかし、このような作品は『ファウスト』以外ではあまり見られないため、新伝綺の作品群を含めて「ファウスト系」と言うことのほうが多い。ファウスト「文芸合宿」(Vol.4)時の東浩紀の評では、ファウスト系という言葉が使われており、新伝綺という言葉は使われていない。

[編集] 関連項目

[編集] 注釈

  1. ^ Vol.2編集後記参照
  2. ^ 笠井潔「本格ミステリに地殻変動は起きているか?」(原書房『本格ミステリ・クロニクル300』、2002年)参照
  3. ^ Vol.1編集後記および本物のDTPを目指した文芸誌「ファウスト」参照
  4. ^ 本物のDTPを目指した文芸誌「ファウスト」より
  5. ^ 導入してわかる新たな次世代DTP戦略より
  6. ^ Vol.4「Editor×Editor」での矢野優の発言参照
  7. ^ 『FAUST 2』収録の対談"Talk Session: On the Occasion of the Publication of the U.S. Edition of Faust" p.313参照
  8. ^ 講談社BOOK倶楽部 - ファウスト
  9. ^ Vol.7 p.18参照
  10. ^ 先端出版 2008年浮文誌新人奨(中国語)
  11. ^ 關於〈請勿挖掘〉這篇小說 - 作者の冷言による解説(中国語)
  12. ^ 烏奴奴的異想國度 - 推理作家烏奴奴のWebサイト(中国語)

[編集] 外部リンク

他の言語