無罪モラトリアム

『無罪モラトリアム』
椎名林檎 の スタジオ・アルバム
リリース	1999年2月24日 2008年11月25日（アナログ盤）
録音	スタジオテラ 亀ちゃんスタジオBメイン
ジャンル	J-POP
時間	41分00秒
レーベル	東芝EMI／イーストワールド
プロデュース	北城浩志
チャート最高順位
週間最高順位2位（オリコン） 週間最高順位178位（オリコン・アナログ盤）
ゴールドディスク
ミリオン（日本レコード協会）
椎名林檎 アルバム 年表
- 無罪モラトリアム （1999年） 勝訴ストリップ （2000年）
『無罪モラトリアム』収録のシングル
「幸福論」 リリース: 1998年5月27日 「歌舞伎町の女王」 リリース: 1998年9月9日 「ここでキスして。」 リリース: 1999年1月20日

『無罪モラトリアム』（むざいモラトリアム 英題：Muzai Moratorium）は、日本のシンガーソングライター・椎名林檎が1999年2月24日に発売した1作目のスタジオ・アルバム。発売元は、東芝EMI（当時）/イーストワールド。

初回生産盤の特典は、シングル「ここでキスして。」との連動企画で、同封のオビの付属の応募券を「ここでキスして。」分の応募券と一緒に送付すると、ビデオ『性的ヒーリング〜特別御奉仕編〜』が抽選で貰える。特殊ブックレット仕様（ブックレットに光沢があり、椎名の写真部分が剥がれる仕組みになっている）。また、ブックレットの丸ノ内線の路線図“霞ヶ関”が“霧ヶ関”と誤植されている。

概要

アルバム先行シングル「ここでキスして。」がスマッシュヒットを記録。その中で本作は発売、またその煽りを受ける形でロングヒット、遂にはミリオンセールスを記録するに至っている。

本作の全収録曲は、椎名がデビュー前に書き貯めていたもので構成されている。また、三作目のアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』収録曲の「葬列」も当初は本作に収録する予定であったが、ある理由により収録が見送られている。（『加爾基 精液 栗ノ花』の「葬列」の解説部分を参照）。

タイトルの略称は「無罪」と「モラトリアム」の頭からそれぞれを取り「MM」とされる。ちなみに、ジャケット写真の垂れ幕に題字を書いたのは椎名本人である。

楽曲について

1. 正しい街

   18歳の時に制作された曲。デビュー直前、福岡で交際していた当時の彼氏に、デビューするため上京する事になり別れを告げた時のやりとりと心情を綴った曲。歌詞にも福岡にある「百道浜」「室見川」が登場する。椎名はこの曲を必ずアルバムの1曲目に収録すると決めていた。

2. 歌舞伎町の女王

   2枚目のシングル。サントリー「ザ・カクテルバー　ミモザ クラッカー篇」CMソング。

   18歳の時に制作された曲。この曲は上京した時渋谷周辺を歩いていた際に、SMクラブのスカウトマンにスカウトされたときに思いついた曲。

3. 丸の内サディスティック

   この楽曲は2枚目のシングル「歌舞伎町の女王」収録のカップリング曲「実録 －新宿にて－ 丸の内サディスティック～歌舞伎町の女王」で、一部ではあるが既に発表されていた曲。デビュー前、イギリスに留学していた際にミュージックシーケンサーの打ち込みで作られ、歌詞は全て英語であったが、発表するにあたって語感の良い日本語に変えている。タイトルの「丸の内」とは、当時の営団地下鉄（現在の東京メトロ）丸ノ内線がモチーフとなっており、主要駅が歌詞中に登場する。

   2008年に行われた10周年記念ライブ「椎名林檎 (生)林檎博'08 〜10周年記念祭〜」では、歌詞の大部分を英語に改めリアレンジされた「丸の内サディスティック（EXPO Ver.）」がエンドロールとして流れた（このバージョンは4作目のアルバム『三文ゴシップ』に収録されている）。

   東京事変のライブでもしばしば披露されていたため、椎名の楽曲ではあるが、東京事変が解散前にリリースしたライブベストアルバム『東京コレクション』にも収録されている。

4. 幸福論（悦楽編）

   サントリー「ザ・カクテルバー　シェーカー篇」CMソング。

   デビューシングル「幸福論」のアルバムバージョン。シングルバージョンとは大きくアレンジが異なり、ヴォコーダーを利用した独特のアレンジとなっている。ライブでもこのバージョンを披露することが多く、その際は拡声器を使って歌う。

   なお、シングルバージョンは長らくアルバム作品としてまとめられていなかったが、デビュー10周年企画の第3弾として2008年11月25日に発売された『MoRA』の『無罪モラトリアム』にボーナス・トラックとして収録された。iTunes Storeなどの音楽配信でも入手可能であるが、オリジナルアルバムには収録されていない。

5. 茜さす 帰路照らされど･･･

   サントリー「ザ・カクテルバー　オレンジ絞り篇」CMソング。

   16歳の頃に制作された曲。

6. シドと白昼夢

   19歳になる前に制作された曲。

   この曲は、本作の他に2001年に発売されたシングル「真夜中は純潔」のカップリング曲として、服部隆之編曲によるアレンジで収録されている。本作ではバンド編成のサウンドになっている。

7. 積木遊び

   椎名曰く「箸休め的なお遊び曲」。この曲で使用されている椎名の演奏による「なんちゃって御琴」とはシンセサイザーによる琴の音色を使用したもの（ちなみに椎名は三枚目のアルバムでは本物の琴を弾いている）。ミュージック・ビデオも制作され、「性的ヒーリング〜其ノ壱〜」におまけ映像として収録されている。

   なお、この曲には決められた振り付けがあり、椎名本人がミュージック・ビデオやライブでも披露している。この振り付けは、同アルバムのバンドスコアに掲載されている。

8. ここでキスして。

   3枚目のシングル。当時自身最高の30万枚以上を売り上げた。この曲でテレビ朝日系ミュージックステーションに初登場。

   後に堂本剛など様々なミュージシャンがカバーし、椎名の代表曲ともいえる楽曲となった。

9. 同じ夜

   アコースティック・ギターとヴァイオリンというシンプルな編成の曲。

   3枚組シングル集「絶頂集」には、この曲のライブ音源が「Jｪﾁ~ｯじo™ｳ」として収録されている。

10. 警告

    サントリー「ザ・カクテルバー　スパークリングキャンペーン篇」CMソング。

    昔交際していた彼氏への不満を綴った曲。シングルが売れ椎名の知名度が上がったとき、その当時の彼氏が電話してきて何を思ったか「俺が悪かった」と今更ながら謝ってきたので憤慨したと、その事から製作に至っている。

11. モルヒネ

    19歳の時に制作された曲。

    ライブで披露されたのはファーストツアー「先攻エクスタシー」のみ。

• 全作詞・作曲：椎名林檎
• 全編曲：亀田誠治

収録曲

#	タイトル	作詞・作曲	演奏	時間
1.	「正しい街」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	3:53
2.	「歌舞伎町の女王」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	2:51
3.	「丸の内サディスティック」	椎名林檎	絶叫ソルフェージュ	3:56
4.	「幸福論 (悦楽編)」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	2:58
5.	「茜さす 帰路照らされど･･･」	椎名林檎	桃色スパナ	4:07
6.	「シドと白昼夢」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:03
7.	「積木遊び」	椎名林檎	桃色スパナ	3:24
8.	「ここでキスして。」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:20
9.	「同じ夜」	椎名林檎	桃色スパナ	3:38
10.	「警告」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:05
11.	「モルヒネ」	椎名林檎	桃色スパナ	3:42
合計時間:				41:00

アナログ盤

Side A

#	タイトル	作詞・作曲	演奏	時間
1.	「正しい街」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	3:53
2.	「歌舞伎町の女王」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	2:51
3.	「丸の内サディスティック」	椎名林檎	絶叫ソルフェージュ	3:56
4.	「幸福論 (悦楽編)」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	2:58
5.	「茜さす 帰路照らされど･･･」	椎名林檎	桃色スパナ	4:07
6.	「シドと白昼夢」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:03

Side B

#	タイトル	作詞・作曲	演奏	時間
7.	「積木遊び」	椎名林檎	桃色スパナ	3:24
8.	「ここでキスして。」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:20
9.	「同じ夜」	椎名林檎	桃色スパナ	4:14
10.	「警告」	椎名林檎	絶倫ヘクトパスカル	4:05
11.	「モルヒネ」	椎名林檎	桃色スパナ	3:42
合計時間:				41:00

演奏

絶倫ヘクトパスカル

声・生ドラム・手・口笛：椎名林檎

電気式ギター・生ギター：西川進

電気式ベースギター・手：亀田誠治

生ドラム・声・手：河村智康

桃色スパナ

声・なんちゃって御琴・口笛：椎名林檎

電気式ギター・生ギター・声指導：鈴木玲史

電気式ベースギター：亀田誠治

生ドラム・すべからくコンガ：河村智康

絶叫ソルフェージュ

声・生ピアノ・けんばんハーモニカ・手足：椎名林檎

電気式ベースギター・声：亀田誠治

生ドラム・声・手足：河村智康

ゲスト

電子ピアノ(M1.10)・ピアノ(M5)：森俊之

ヴァイオリン(M9)：斎藤ネコ

ストリングス(M1.5)：金原千恵子ストリングス

電子ピアノ(M8)：矢代恒彦