山田尚子
やまだ なおこ 山田 尚子 | |||||||||||
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本名 | 山田 尚子 | ||||||||||
生年月日 | 1984年11月28日(39歳) | ||||||||||
出生地 | 日本・京都府 | ||||||||||
職業 |
アニメーション監督 アニメーション演出家 | ||||||||||
ジャンル | 映画、テレビアニメ | ||||||||||
活動期間 | 2005年 - | ||||||||||
主な作品 | |||||||||||
アニメーション映画 テレビアニメ 『けいおん!』(監督) 『たまこまーけっと』(監督) 『響け! ユーフォニアム』(シリーズ演出) | |||||||||||
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山田 尚子(やまだ なおこ、1984年[1]11月28日[2] - )は、日本のアニメーション監督、アニメーション演出家。京都アニメーション所属。京都府生まれ[3]、群馬県出身[4]。京都造形芸術大学美術造形学科洋画コース卒業。
来歴
大学卒業後、京都アニメーションに入社。2005年『AIR』にて初原画。2007年『CLANNAD -クラナド-』第8話「黄昏に消える風」、第12話「かくされた世界」の演出補佐を経て、第17話「不在の空間」で演出デビューを果たす。
2009年、20代半ばにして『けいおん!』の監督に抜擢される[5]。この作品は、東京アニメアワードやアニメーション神戸で優秀作品賞を受賞した[6][7]ほか、数々の社会現象を巻き起こす大ヒットを収める[8]。その後、2011年には『映画けいおん!』にて長編映画初監督を務め[9]、第35回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞に輝く[10]。
2013年『たまこまーけっと』にてオリジナル初監督[11]。翌2014年にはその続編となるオリジナル長編映画『たまこラブストーリー』の監督を手がけ、第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞[12]。審査委員であるアニメーション監督高橋良輔からは「現在の日本のアニメの到達点、何気ない日常の中にみずみずしい感動を見つけるという視点はやはり独特」[13]との高い評価を受ける。
2015年には、テレビシリーズ『響け! ユーフォニアム』にてシリーズ演出を担当[14]。また、同年10月、大今良時原作『聲の形』のアニメーション映画化に際し、監督を務めることが発表された[15]。
人物・作風
アニメーションを志すきっかけとなった作品の一つに、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の『アリス Něco z Alenky』を挙げている[3]。
他に言及している映画監督に小津安二郎、セルゲイ・パラジャーノフ、ソフィア・コッポラ、アレハンドロ・ホドロフスキーなど。好きな音楽ジャンルではテクノやニューウェイブ、UKパンク、アーティストに電気グルーヴ、YMOなどを挙げている。
大学在学中は油絵を専攻していたが、3回生にて「キャンバスでは自分がやりたい表現は出来ない」と感じ、立体造型の製作に着手。皆が絵画に取り組む中、発泡プラスチックを削っていたという。また、卒業制作においては歯車がモーターで無限に回転するオブジェを制作した。観覧に訪れた祖母は「尚ちゃんは絵を勉強しに大学に入ったんじゃ…」という感想を若干引き気味に述べており、本人は落胆したという[16]。
原作ものをアニメ化する際のスタンスは「原作ファンの人とずれてしまう」ことの怖さを語っており、「原作のファンは、自分だけの声や動きでキャラクターをイメージしている。それと、アニメが固定的に表現するイメージがずれる可能性が怖いと。では、どうしたか。『自分が一番のファンになろう。ファンの人よりファンになろう』という事を心掛けている。またユーザーの意見はあまり見ないようにしており、ユーザーに引っ張られるのではなく、こっちが引っぱっていくようにしたい」とも語っている[17]。
映像面では、キャラクターを「絵空事のキャラクター」としてではなく、ひとりの人間として扱うことを大切にしており、演出においても「カメラで被写体に迫る」という感覚を持ち、レンズを意識したり、望遠気味に撮ったり、といった実写的なアプローチが印象的である[18]。
監督作品
- けいおん! (2009年)監督・絵コンテ・演出・原画/エンディング絵コンテ・演出・原画[19]
- けいおん!! (2010年)監督・絵コンテ・演出/前期エンディング絵コンテ・演出/後期オープニング絵コンテ・演出/後期エンディング絵コンテ・演出
- 映画けいおん!(2011年)監督・絵コンテ・演出/前期エンディング絵コンテ・演出
- たまこまーけっと (2013年)監督・絵コンテ・演出/オープニング絵コンテ・演出/エンディング絵コンテ・演出/劇中歌「恋の歌」作詞[20]
- たまこラブストーリー(2014年)監督・絵コンテ・演出/オープニング曲「KOI NO UTA」・エンディング曲「こいのうた」作詞[21]
- 聲の形 (2016年秋予定)監督
受賞歴
- 第35回 日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞
- 第18回 文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞
- 東京アニメアワード
- 第9回、第10回 テレビ部門優秀作品賞
- アニメーション神戸
- 第15回 テレビ部門作品賞
- 第17回 劇場部門作品賞
参加作品
テレビアニメ
- AIR (2005年)原画
- フルメタル・パニック!The Second Raid (2005年)原画
- 涼宮ハルヒの憂鬱シリーズ
- 2006年度版:原画
- 2009年度版:絵コンテ・演出
- Kanon (2006年-2007年)原画/エンディング原画
- らき☆すた (2007年)原画
- CLANNAD シリーズ
- CLANNAD -クラナド- (2007年-2008年)絵コンテ・演出・演出補佐・原画/オープニング原画
- CLANNAD 〜AFTER STORY〜 (2008年-2009年)絵コンテ・演出・原画/オープニング原画
- 日常 (2011年) 絵コンテ・演出/エンディング原画
- 氷菓 (2012年) 絵コンテ・演出
- 中二病でも恋がしたい! (2012年)原画/エンディング絵コンテ・演出
- Free! (2013年)絵コンテ・演出/エンディング原画
- 境界の彼方 (2013年)絵コンテ・演出/エンディング原画
- 中二病でも恋がしたい!戀 (2014年)絵コンテ/エンディング絵コンテ・演出
- Free!-Eternal Summer- (2014年)絵コンテ・演出/オープニング演出補佐/エンディング演出補佐
- 響け! ユーフォニアム (2015年)シリーズ演出・絵コンテ・演出/エンディング絵コンテ・演出
- 無彩限のファントム・ワールド(2016年)絵コンテ
OVA
- MUNTO 時の壁を越えて (2005年)動画
- フルメタル・パニック! The Second Raid 特別版OVA (2006年)原画
- らき☆すたOVA (2008年)演出
映画
- 涼宮ハルヒの消失 (2010年)演出・原画
その他
- 京アニBON VOL.25表紙イラスト (2009年)
- 京都アニメーションCM「メガネ編」(2012年)原画
- 京都アニメーションCM「行きたくなるお店編」(2012年)原画
脚注
- ^ “宮崎駿氏は71歳だけど……アニメ監督の高齢化は進んでいるか?”. ITmedia. 2015年4月14日閲覧。
- ^ つながる☆パピコ - 京都アニメーション公式スタッフブログ「THE☆アニメバカ一代」 (2009年11月25日)
- ^ a b 2015年10月31日に京都市勧業館で行われた「第2回京アニ&Do ファン感謝イベント」トークショー発言より。
- ^ 2012年10月14日にスコットランド(イギリス)のグラスゴーで行われた「映画けいおん!」トークショー発言より。
- ^ “現在大ヒット中! 若き女性監督に聞く映画『けいおん!』の魅力”. ニュース@ぴあ映画生活. 2015年4月22日閲覧。
- ^ “「第10回 東京アニメアワード」受賞作品が決定 アリエッティ、けいおん!!も”. エキサイトニュース. 2015年4月20日閲覧。
- ^ “第15回アニメーション神戸 「けいおん!」の山田監督も”. アニメ!アニメ!. 2015年4月20日閲覧。
- ^ “オタクも女子高生も熱狂、150億円市場生んだ「けいおん!」人気の理由”. 日本経済新聞. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “『けいおん!』山田尚子監督、寂しい…と本音チラリ!テレビシリーズ最終回へとつながる劇場版の展開は感動もの!”. シネマトゥデイ. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “「映画 けいおん!」深夜アニメから日本を代表する映画へ”. エキサイトニュース. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “京アニのオリジナル「たまこまーけっと」来年1月放送開始予定 山田尚子監督”. アニメ!アニメ!. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “第18回文化庁メディア芸術祭 「映画クレヨンしんちゃん」「ジョバンニの島」などに優秀賞”. アニメ!アニメ!. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “アニメーション部門新人賞”. 第18回文化庁メディア芸術祭. 2015年6月22日閲覧。
- ^ “アニメ質問状:「響け!ユーフォニアム」”. MANTANWEB. 2015年11月9日閲覧。
- ^ “劇場アニメ『聲の形』制作は京アニ 監督は『けいおん!』山田尚子”. ORICON STYLE. 2015年11月9日閲覧。
- ^ 2009年11月1日に母校の学園祭で行われたトークショー発言より。
- ^ “京アニ八田英明社長 山田尚子監督 京都でセミナーに”. アニメ!アニメ!ビズ. 2015年4月14日閲覧。
- ^ “「たまこラブストーリー」山田尚子監督インタビュー 第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞”. アニメ!アニメ!. 2015年4月14日閲覧。
- ^ この他、エンディングに登場するキャラクターの衣装デザインや最終回の最後に挿入される「おしまい」という文字を手描きするなどもした。
- ^ “マニュエラ作家陣活躍の「たまこまーけっと」歌モノベスト”. 音楽ナタリー. 2016年3月25日閲覧。
- ^ “洲崎綾、マニュエラ作家陣による劇場版「たまこ」主題歌”. 音楽ナタリー. 2015年4月22日閲覧。