中島誠之助

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中島 誠之助(なかじま せいのすけ、1938年昭和13年)3月5日 - )は、日本骨董商・古美術鑑定家エッセイストテレビタレント。骨董屋「からくさ」の店主。なお、「からくさ」は2000年に閉店し、店舗営業はしていない。称号(現学位)は獣医学士。そのほか、伊万里文化大使の称号を持つ[1]

開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)に鑑定団の鑑定士としてレギュラー出演。たとえ鑑定した結果価値の低い物であっても、意匠などを褒め「大切になすってください」と依頼者に語りかけるなど、細やかな心遣いを見せる[注釈 1]。決めセリフの「いい仕事してますねぇ」で1996年度の「ゆうもあ大賞」を受賞。この決めセリフは鑑定以外の様々な場面やゲスト出演時にリップサービスとして良く使われ、中島誠之助の代名詞と言える[注釈 2]

古伊万里(伊万里焼磁器を世に広め、中島の鑑定によって「日本の古伊万里鑑定額の相場が決まる」と巷ではいわれている。

陶磁研究家で戸栗美術館評議員の森由美は娘。剣劇女優浅香光代は遠縁の親類(ただし血の繋がりはない)。

経歴

東京都港区青山に生まれる。1歳の時、両親の病死のため、神奈川県鵠沼の親族宅に移住。その後その親族の家業が立ち行かなくなり、東京都世田谷区二子玉川に移住。小学3年の時より骨董商の伯父に引き取られ、東京都港区赤坂で育った。その家には伯父の実子たち、そして先に引き取られていた誠之助の実兄(実家の家督を継いでいた)がおり、その中での立場は芳しくなかった。伯父は実子に厳しい骨董商の道を歩ませることを躊躇し、誠之助を店の小僧とすることを条件に養育したが、東京の芝高等学校に進学させ、日本大学農獣医学部水産学科(現生物資源科学部)へ進むことも認める一面もあった。大学卒業後、すぐに骨董修業に入ることを拒み、当時は困難だった世界旅行をするため、マグロ漁船に乗り込む。その時稼いだ70万円(当時)は飲み代などで消えたらしい。

1960年から骨董商として古美術鑑定に従事。鑑定技術は骨董商だった伯父(養父)仕込みである。もともとは伯父は誠之助を後継者とする事を定め、養子にしたのであるが、誠之助が家業を嫌ったこともあり、死の直前に銀座の画廊に勤めていた実子を後継者に定める決断をする。結局、もともと誠之助は従兄弟等とは折り合いが悪く、また骨董の世界に精通しておらず、騙されてばかりの伯父の店にいてもお先真っ暗、と見切りをつけ、30歳のときに独立。1976年東京の南青山に古伊万里染付の専門店「からくさ」を開店。古伊万里磁器を世に広める。1979年には「南青山骨董通り」の作詞を担当して、作曲・飯田二郎、唄・真咲みどりで1980年キングレコードからリリースした事から東京・青山の「骨董通り」の名付け親といわれる。

「開運!なんでも鑑定団」に1994年4月19日の放送開始当初からレギュラー出演し、歯切れのよいトークで人気者となり現在も出演中。また、2010年10月に開始した姉妹番組の「鑑定団が3倍面白くなる!目からウロコの骨董塾」(BSジャパン)でも塾長としてレギュラー出演している。現在は、本業以外でもタレント業や講演等でも活躍。テレビなどに出演する際は和服姿であることが非常に多い。

アニメ作品「ルパン三世 炎の記憶〜TOKYO CRISIS〜[注釈 3]や「ズッコケ三人組〜怪盗X物語〜」にも声優としてカメオ出演している。

逸話

若年時の失敗談としてよく用いられるものに、100万円で買った器が1万円だったという話がある(井伏鱒二の小説『珍品堂主人』主人公のモデルである秦秀雄から薩摩切子だと言われて買ったものが、実は西洋の香水の瓶で、友人宅に全く同じものがあり、騙されたと気付いたが、自分への戒めの為にその友人からその同じ瓶を1万7,000円で買い取った)[2]

趣味は俳句(きっかけは小学生の時に出された宿題で提出した自分の作品が教師に褒められたため)。1日3句考えるのが日課であり、閑弟子(かんていし)の俳号を持ち、2010年に第1句集「古希千句」を角川学芸出版より出している。

2008年6月に出演した『スタジオパークからこんにちは』内で、昔飼っていたの抜け殻を持参し、思い出を語った。元々、夫人の実家近くの利根川河口で子供のために捕まえ、飼育したところ17年生きて大往生を迎えたという。この事を知り合いの生物学者に言うと、節足動物甲殻類)が17年生きた例がなく(ただし、イセエビロブスタータラバガニなどの大型種は10~30年程度生きる)論文にまとめてくれないかと言われたことがある。ちなみに名前は「ニーカちゃん」という名前だった。

絵心はいまひとつのようで、『行列のできる法律相談所』のカンボジア学校建設プロジェクトにトビウオの絵を出品したが、島田紳助から「トビウオじゃない」などと番組内でいじられていた。

2008年頃のなんでも鑑定団で、具志堅用高白井義男のグローブを持参・鑑定依頼した際、「湯川秀樹ノーベル賞受賞、古橋廣之進の世界新記録、白井義男の世界フライ級タイトルマッチ、この3つがあって自分がある」と述べた。

「からくさ」経営時、『開運!なんでも鑑定団』レギュラー出演から人気が出た頃は、何も買わずに中島を見に来るだけの来客が多かったことから、営業中は店を妻に任せて店の前にある喫茶店にいて、買いに来た客が来たときだけ店に戻るという事をしていたと『笑っていいとも!』のゲスト出演時に語っている。

鑑定士の代名詞」的扱いをされ、パロディの対象になることが多く、落語でも目利き(現代で言う鑑定士)の名前として、「井戸の茶碗」などに中島の名、あるいはそれをもじった名前がよく登場する。

  • さらに、2018年4月24日放送の「開運!なんでも鑑定団」では、初代引田天功の弟子であることを番組の冒頭でほのめかした。


開運!なんでも鑑定団曜変天目茶碗 鑑定ミス騒動

2016年12月20日放送の『開運!なんでも鑑定団』において、出品された天目茶碗を「国宝の曜変天目と同じものに間違いない。漆黒の地肌に青みを帯びた虹のような光彩がわき上がっていて、まるで宇宙の早雲をみるようだ」と絶賛。100万円とした所有者の自己評価を大きく上回る2500万円の鑑定額をつけた。曜変天目は、完全な状態では世界で3点しか現存せず、藤田美術館(大阪市)と静嘉堂文庫美術館(東京)、大徳寺龍光院(京都市)で所蔵。いずれも国宝に指定されている。依頼品の茶碗が曜変天目であれば、「4点目」という驚きの発見であった。 番組放送後、曜変天目茶碗の再現に父の代から挑み続け、何度も中国に赴くなどして研究を続ける陶芸家、九代目長江惣吉(54)=愛知県瀬戸市=や大学教授学芸員ら複数の専門家が「似ても似つかない」「鑑定する以前の問題」「本物なら桁が3つくらい増えてもおかしくない」などと相次いで鑑定結果を疑問視した。論争は過熱し、徳島県教育委員会は、いったん計画していた茶碗の文化財指定に向けての調査を中止し、当初は協力的だった所有者からも中止の願い出があった。中国福建省建窯の陶芸家・李欣紅が「あれは私が焼いたもの」と名乗りでて、証言した。「数年前に作った。1400円だからそんなに高くない。これまで1万個は売れている」「日本のテレビ番組に出たものと100%同じじゃないが、底に入っている文字(「供御」と読める)が証拠」と茶碗の底を見せ、番組に登場したものと同じであり、「アルバイトが彫ったものだ」という。模様も「筆で描いた。曜変天目のように窯の中で(偶然)変化したものじゃない」という。テレビ東京は「鑑定結果は番組独自によるもの。この件についてお答えすることはございません」とコメントしている。中島は妻を通じて「自分の意見は今まで通りです」とコメントした[3][4][5][6][7]

主な出演TV番組(鑑定団以外)

出演CM

著書

  • 古伊万里染付入門(平凡社、1992年)
  • 中国古陶磁入門(平凡社、1996年)
  • ニセモノ師たち(講談社、2005年)
  • 骨董屋からくさ主人(角川学芸出版、2005年)
  • やきもの鑑定五十年―拝見させていただきます(小学館、2006年)
  • 勘助物語―甲斐犬になったオトーサン (淡交社、2007年)
  • ニセモノはなぜ、人を騙すのか?(角川書店、2007年)
  • 骨董掘り出し人生(朝日新聞社、2007年)
  • 「開運!なんでも鑑定団」の十五年 (平凡社、2008年)
  • やきもの百科―鑑定の入り口(淡交社、2009年)  その他多数

参考文献

脚注

注釈

  1. ^ 稀ではあるが、人を騙すようなあまりにも酷いものや依頼者の態度が浅ましい場合では厳しい口調で語ることもある。
  2. ^ 出張鑑定の時はこの決めセリフが出ると観客から盛大な拍手がおきるとされる。
  3. ^ 題字も手掛けている。

出典

  1. ^ 伊万里市ウェブサイト「市長雑感:市長雑感(第49号) 中島誠之助さん「伊万里文化大使第1号」就任」参照。
  2. ^ 中島誠之助氏に偽物をつかませた男 骨董の目利き、秦秀雄”. 福井新聞 (2019年6月30日). 2019年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月1日閲覧。
  3. ^ [1] “国宝級茶碗”の真贋はドロ沼「神学論争」に なんでも鑑定団騒動…今度はX線分析結果に専門家が猛反論 産經新聞 2017.4.1
  4. ^ [2] 2500万円茶碗の鑑定人・中島誠之助「自分の意見はいままで通り」 モーニングショー 2018年01月19日
  5. ^ [3] 「曜変天目茶碗」の真贋論争は今、こうなっている テレビ東京はどう対応する?【なんでも鑑定団】テレビ東京は報道機関でもあり、説明責任を求める声が上がっている。 The Huffington Post 2017年01月27日
  6. ^ 鑑定団で「2500万円」国宝級お宝は1400円? 国分、困惑「鑑定でそんなミス…」
  7. ^ 『なんでも鑑定団』国宝級茶碗に中国人が「作ったのは私!」

関連項目