デアリング級駆逐艦

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デアリング級駆逐艦
艦級概観
艦種 駆逐艦
前級 バトル級駆逐艦
次級 カウンティ級駆逐艦
性能諸元
排水量 基準: 2,830t
満載: 3,820t
全長 390 ft (120 m)
全幅 53 ft (16 m)
吃水 13.6 ft (4.1 m)
機関 B&Wボイラー
(46kgf/cm², 454℃)
2缶
パーソンズ式蒸気タービン (27,000 hp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大: 35ノット (65 km/h)
航続距離 4,400海里(20ノット巡航時)
乗員 297名
兵装 4.5インチMk.V連装砲 3基
ボフォース 40mm連装機銃 3基
スキッド対潜迫撃砲 1基
533mm(21 in)5連装魚雷発射管 2基
GFCS HACS Mk.VI 1基
MRS-3 1基
レーダー 291型 対空捜索用 1基
293型 低空警戒/対水上捜索用 1基
274型 航法用 1基
ソナー 170型 攻撃用 1基
174/177型 捜索用 1基

デアリング級駆逐艦英語: Daring-class destroyer)はイギリス海軍が運用していた駆逐艦の艦級。艦砲魚雷を主武装とした最後のイギリス駆逐艦であり、また在来型としてはもっとも重武装のイギリス駆逐艦でもあった。

来歴

本級は1943年から1945年にかけて17隻が発注されたが、第二次世界大戦後の軍縮のために1945年12月に8隻がキャンセルされた。残る8隻は1945年12月から1949年3月にかけて順次に起工されたが、戦後に起工した他の駆逐艦同様、しばらくの間建造が中断され、就役は1950年代まで遅延した。また、当初はバトル級の一部として建造される予定であった「ダナエー」と「デライト」は、本級に設計変更されたものの、予算削減に伴って「ダナエー」の建造は中止され、「デライト」のみが就役した。また、オーストラリアにおいても3隻が建造されており、これらは同国海軍においてヴォイジャー級として運用された。また、1964年2月10日の空母「メルボルン」との衝突事故によって「ヴォイジャー」が失われたことから、英海軍艦であった「ダッチェス」が同年中にオーストラリア海軍へ貸与され、1972年にはそのまま同海軍へ売却された。

設計・装備

配置図。

基本的な船体設計は、おおむね、先行するウェポン級およびバトル級を踏襲しており、船型としても同じく長船首楼型を採用している。重装備化のため、全長にして11フィート (3.4 m)、全幅にして12.5フィート (3.8 m)拡大されている。

この艦型拡大を補うため、主機関も増強されている。ボイラーの蒸気性状も、バトル級の圧力400 lbf/in2 (28 kgf/cm2)、温度370℃に対して、圧力46 kgf/cm2 (650 lbf/in2)、温度454℃と高圧・高温化されている。

主砲となる4.5インチ連装砲は発展型のMk.Vとされ、また装備数も2基から3基に増強された。ただし対潜火力となるスキッド対潜迫撃砲は、バトル級と同数でウェポン級より少ない1基とされた。なお高角機銃としては60口径長のボフォース 40mm機関砲が採用されているが、装備数には各艦差があり、Mk.5連装砲塔3基ないしMk.9連装砲塔2基とされている。また1963年には、より自動化が進められたSTAAG Mk.2に換装された。

同型艦

建造地 # 艦名 竣工 退役 その後
英国 D35 ダイヤモンド
HMS Diamond
1952年 2月 1970年 繋留練習艦として運用後、1981年にスクラップ処分
D05 デアリング
HMS Daring
1952年 3月 1971年 1971年中に解体処分
D119 デライト
HMS Delight
1953年10月
D108 デインティ
HMS Dainty
1953年 2月 1972年
D114 ディフェンダー
HMS Defender
1952年12月 1969年 標的艦として運用後、1972年に解体処分
D106 デコイ
HMS Decoy
1953年4月 ペルー海軍に売却、「フェレ」(DM-74)として再就役
D126 ダイアナ
HMS Diana
1954年3月 ペルー海軍に売却、「パラシオス」(DM-73)として再就役
D154 ダッチェス
HMS Duchess
1952年10月 1964年 「ヴォイジャー」の喪失に伴い豪海軍へ貸与、
1972年に同海軍へ売却。1980年解体
豪州 D04 ヴォイジャー
HMAS Voyager
1957年 2月 1964年2月10日、空母「メルボルン」と衝突して沈没
D08 ヴェンデッタ
HMAS Vendetta
1958年11月 1979年10月 1987年、スクラップ処分
D11 ヴァンパイア
HMAS Vampire
1959年 6月 1986年 8月 オーストラリア国立海洋博物館博物館船として展示

また、一旦は発注されたものの、1945年12月にキャンセルされた艦の予定艦名は以下の通りであった:

  • ダナエー (Danae)
  • デーモン (Demon)
  • ダルウィーシュ (Dervish)
  • デザイアー (Desire)
  • ダイアナ (Diana)[脚注 3]


脚注

  1. ^ D106は当初「ドラゴン」(Dragon)として発注されていた
  2. ^ D119は当初「ディスダイン」(Disdain)として発注されていた
  3. ^ D126は当初「ドルイド」(Druid)として発注されていた

参考文献

関連項目

同世代艦