KID (ゲームブランド)

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KID(キッド)は、かつて2007年2月から2012年までサイバーフロントにより運営されていたコンシューマーゲームのブランド。また、株式会社キッドは、2006年11月末までこれを運営していた企業である。同社の自己破産、倒産によりサイバーフロントへと継承されることとなった。KIDとは「Kindle Imagine Develop」の略。

概要[編集]

シューティングゲームアクションゲームを制作していた時期もあったが、1990年代後半以降のゲームの大半は恋愛アドベンチャーゲームをはじめとするギャルゲー乙女ゲームで、アダルトゲームコンシューマー機への移植にも積極的に取り組んでいた。また、『Memories Off』や『infinity』などの自社の人気シリーズをWindowsに移植し、旧キッドの手により自社通販などで販売していた。

旧キッドの本社所在地は東京都品川区東大井の京急本線の線路沿いにあり、音楽館のゲーム『Train Simulator Real THE 京浜急行』および『Train Simulator 京成・都営浅草・京急線』にも登場する。

旧キッドの代表取締役と制作部取締役がどちらも市川姓であったため、しばしば同族経営の企業と勘違いされたが、両名は親戚ではなく偶然名前が一致していただけである[1]

(旧)株式会社キッド
KID corp
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
郵便番号:140-0011
東京都品川区東大井二丁目13番8号 ケイヒン東大井ビル6F
本店所在地 郵便番号:143-0025
東京都大田区南馬込四丁目43番1号
設立 1988年5月12日(登記簿上は1980年12月11日
業種 情報・通信
事業内容 コンシューマゲームソフトの企画、開発、販売、輸出入
代表者 破産管財人 櫻井喜久司
資本金 16,090万円
売上高 92,900万円(2006年3月)
従業員数 41名
決算期 3月
関係する人物 市川久祥(元代表取締役)
外部リンク www.kid-game.jp/
特記事項:2006年12月8日破産手続開始決定、2007年3月8日破産廃止。
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歴史[編集]

株式会社キッドの創業は1988年[1]。当初は大手ゲームソフトメーカーの下請けで開発を行っており『サマーカーニバル'92 烈火』などを開発、1991年発売のFM TOWNS用『雷電伝説』(販売は電波新聞社)と翌1992年発売の『デスブレイド』で自社のブランド名を出した。このころのゲーム誌では「シューティングゲームやアクションゲームが得意」と紹介されていた[2]

1990年代半ばにいわゆる「次世代ゲーム機」が登場してゲームで扱われる容量が激増すると、それに応じて研究費やスタッフ教育費もかさむようになり、下請けのままでは資金を捻出できなくなった。これを機にキッドは開発から販売までを手掛けるメーカーとして独立し[1]1996年4月に発売されたセガサターン用ゲームソフト『きゃんきゃんバニー プルミエール』(カクテル・ソフトの同名タイトルの移植)を皮切りに、アダルトゲームコンシューマー移植を中心とした自社ブランドのゲームソフトを発売するようになった。当時はまだ高価で一般に普及しきっていなかったパソコンのゲームを、セガサターンのユーザー層であるゲーム少年の手にも届くようにしようという意図によるものである[1]

また、双六のようなボードゲームのシステム作りも行っており、タカラのPSソフトの「人生ゲーム」シリーズの初期の作品などのEDテロップ内にも同ブランド名が見られる。同社がこの時の技術を元にPS用に開発・販売した「テナントウォーズ」などは後に「SuperLite1500シリーズ」として復刻されている(ゲームタイトルが変更になったものもある)。

その後、オリジナルタイトルである『Memories Off』や『infinity』などが好評を博してブランドを支える柱となるにつれ、ギャルゲーに特化した開発戦略に推移した。

2001年から2003年にかけて、都営バスの各路線にてラッピングバスが登場し、知名度を上げる。2005年、フジテレビ系ドラマ『電車男』の制作にスポンサーとして協力、KIDの制作したゲームソフトのポスターが同ドラマ内にも登場した。

自己破産[編集]

2006年11月30日付で営業を停止し、翌12月1日付で東京地方裁判所自己破産を申請したという報道が12月1日に『毎日新聞』によってなされる。後にKIDは公式サイトのトップページにおいてこの事実を公表し、同年12月8日付で破産手続の開始が決定されたことを発表した。このことから当初は同月末のコミックマーケット71の企業スペースへの出展をキャンセルしていた。しかし、破産管財人から許可が下りたこと、予約していたスペースが埋まっていないままだったことによりコミックマーケット準備会からの協力があったことから急遽出展のキャンセルを撤回した。そして旧キッド社員の有志や準備会スタッフらにより、通販サイトで販売されていたゲームソフト・サウンドトラックテレホンカードなどの在庫処分が行われた。

なお、旧キッドは2007年3月8日付で費用不足のため破産廃止となり、完全消滅した。

ブランド活動再開[編集]

2007年2月2日サイバーフロントが破産管財人から旧キッドが保有していたゲーム関連の一切の権利およびソースコードなどの資産を取得し、KIDのブランドを継承することを発表した。同日にサイバーフロント、KIDの両公式サイトのトップページでも同じ発表がなされている。旧キッド倒産後、ゲーム開発の主要スタッフはほぼそのまま5pb.に移籍した。倒産発表前に新作として発売が予定されながら中止となっていた『Memories Off #5 encore』は、同社がサイバーフロントからの委託を受けて開発、サイバーフロントが発売することとなった。同じく倒産発表前に新作として発売が予定されながら中止となっていた『12RIVEN -the Ψcliminal of integral-』は、サイバーフロントが開発を行い発売されることとなった。

2007年11月30日5pb.がサイバーフロントよりMemories Offシリーズを独占的・排他的に利用する権利を取得したことが発表された[3]。これにより、今後の同シリーズに関する企画・開発・販売に係わる全ての業務は5pb.が請負うこととなった。それ以降も『My Merry May with be』『Monochrome』など、『メモオフ』以外の旧キッド作品はサイバーフロントから発売されている。また、『家族計画』『魂響〜御霊送りの詩〜』のように株式会社時代のキッドがかかわらなかった作品や、『code_18』のような完全新作にもKIDロゴが施されており、サイバーフロントのギャルゲー用総合ブランドとして活用されていた。ただし美少女キャラクターが中心となるゲームでも、工画堂スタジオ戯画の作品のようにキッドに含まれないものもある。

サイバーフロントでのブランド使用は、2012年で終了した。同社が解散した2013年にもギャルゲーは発売されているが、発売日が2012年内から年をまたいで延期された『黄昏のシンセミア portable』を例外として、KIDロゴは施されていない。

スクリプトエンジン[編集]

KID作品のスクリプトエンジンドリームキャストPlayStation 2へと主要プラットフォームが移行する過程で発展を遂げ、優れた操作性を持つに至った。いわゆるギャルゲーとしては珍しく、「定評あるキッドシステム」の言葉でシステム面の完成度を売りとするPRも多く見られた。2002年ごろのゲーム誌での新作紹介記事では「早送りやショートカットなどが完備されていて、プレイ環境が快適[4]」「定評あるシステムの快適さ[5]」のように述べられており、当時すでに操作性への評価が確立していることがわかる。

主な作品一覧[編集]

廉価版は除く。斜字表記があるものはアダルトゲームからの移植で、カッコ内は移植元のブランド・原題。

1996年[編集]

1997年[編集]

1998年[編集]

1999年[編集]

2000年[編集]

2001年[編集]

2002年[編集]

2003年[編集]

2004年[編集]

2005年[編集]

2006年[編集]

サイバーフロントにおけるKIDブランド使用作品[編集]

SDR project[編集]

KIDの一部タイトルには、起動時にKIDのロゴが表示された後、「SDR project」というロゴが続けて表示されるものがある。これはいわゆる「ブランド内ブランド」と言えるもので、KIDのオリジナルタイトルの中でも、『Memories Off』シリーズや『infinity』シリーズといったKIDブランドの中核に位置するとされるタイトルを中心に付与されている。

このブランドが最初に付与されたタイトルは『Ever17』で、同作の発売に合わせて「『Never7』や『Memories Off』のスタッフが新ブランドを立ち上げた」との発表がなされた[6]が、実際にはプロデューサーである市川和弘の個人ブランドである。

なお、「SDR」が何を意味し、また何の省略形であるのかは明らかにされていない。

株式会社KIDの倒産後は、5pb.ブランドから SDR project を冠したゲーム作品が出ている。

SDR project 作品一覧[編集]

  • Ever17 -the out of infinity-(Premium Edition および Xbox 360版を含む)
  • 想い出にかわる君 〜Memories Off〜
  • Memories Off Duet
  • Never7 -the end of infinity-(PS2版)
  • 想いのかけら -Close to-(『Close to 〜祈りの丘〜』のPS2版)
  • Remember11 -the age of infinity-
  • Memories Off 〜それから〜
  • Memories Off After Rain Vol.1〜3
  • Memories Off #5 とぎれたフィルム
  • Separate Hearts
  • 12RIVEN -the Ψcliminal of integral-
  • ユア・メモリーズオフ 〜Girl's Style〜
  • DUNAMIS15

廉価版[編集]

PlayStationPlayStation 2においては、『Memories Off』シリーズや『infinity』シリーズは自社発売ではなく、サクセスからSuperLite1500(PS)/2000(PS2)シリーズとして発売され、ユーザーサポート先もサクセスとなっている。後期になるとリバーシブルジャケット仕様の商品も登場し、ジャケット絵をオリジナル版と同じものに変更することもできるようになった(ただし、裏面右下にはSuperLite2000版であることは明記されている)。SuperLite版制作に当たって、オリジナル版発売後に発表された新作イラストや販促イラストなどが特典としてギャラリーモードに追加収録されることがよくある。それゆえにオリジナル版とは完全に別のセーブデータとして扱われており、同一タイトルであってもデータの互換性はなく、コンバートする機能もない。

また、これら以外にも2006年に自社発売によるPlayStation 2向けの廉価版が発売されたタイトルも存在した。このほかにも、ドリームキャストでもドリコレとして再発売されているタイトルも存在する。

  • サクセス
    • PlayStation(SuperLite1500シリーズ)
      • Memories Off
    • PlayStation 2(SuperLite2000シリーズ)
      • 『Memories Off』シリーズ
        • メモオフみっくす
        • 想い出にかわる君 〜Memories Off〜
        • Memories Off Duet
        • Memories Off After Rain Vol.1 - 3
        • Memories Off 〜それから〜(リバーシブルジャケット仕様)
        • Memories Off #5 とぎれたフィルム(リバーシブルジャケット仕様)
        • Memories Off 〜それから again〜(リバーシブルジャケット仕様)
      • 『infinity』シリーズ
        • Never7 -the end of infinity-
        • Ever17 - the out of infinity- Premium Edition
        • Remember11 -the age of infinity-(リバーシブルジャケット仕様)
      • Monochrome(リバーシブルジャケット仕様)
      • 藍より青し
  • KID
    • ドリームキャスト(ドリコレ)
      • Never7 -the end of infinity-
      • 夢のつばさ Fate Of Heart
      • てんたま -1st Sunny Side-
    • PlayStation 2(2800セレクション: すべて2006年発売)
      • Iris 〜イリス〜
      • 想いのかけら -Cross to-
      • 夏夢夜話
      • CROSS†CHANNEL 〜To all people〜
      • カラフルBOX 〜to Love〜
      • PIZZICATO POLKA 〜縁鎖現夜〜
      • マビノ×スタイル
      • My Merry May with be
      • てんたま -1st Sunny Side-
      • てんたま2wins
      • 水の旋律
      • 水月 -迷心-
      • White Princess the second 〜やっぱり一途にいってもそうじゃなくてもOKなご都合主義学園恋愛アドベンチャー〜
      • カルタグラ 〜魂ノ苦悩〜

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b c d 電撃G's magazine』2004年8月号 pp.42 - 45、メディアワークス
  2. ^ 電撃王』1993年2月号、メディアワークス、p.37
  3. ^ 5pb.ニュースリリース
  4. ^ ユーゲーDX STAGE 2』p.209、『Ever17』の記事。
  5. ^ 電撃PlayStation』Vol.238 p.86、『Never7』の記事。
  6. ^ 電撃G's magazine』2002年6月号、メディアワークス