Remember11 -the age of infinity-

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Remember11 -the age of infinity-
対応機種 PlayStation 2
Windows98/Me/2000
PlayStation Portable
iOS
Android
発売元 KID
サクセス(SuperLite2000)
サイバーフロント(PSP)
ジャンル アドベンチャーゲーム
発売日 2004年3月18日(PS2)
2005年5月12日(SL2000)
2009年4月16日(PSP)
レイティング CERO15
コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力
キャラクター名設定 不可
エンディング数 18(雪山編)+15(スフィア編)
セーブファイル数 60+クイック30
セーブファイル容量 110KB
キャラクターボイス 全員(主人公も含む)
CGモード あり
音楽モード あり
回想モード なし
メッセージスキップ 全文/既読
オートモード あり

Remember11 -the age of infinity-』(リメンバーイレブン ジ・エイジ・オブ・インフィニティ)は、KIDより発売されたサスペンスアドベンチャーゲーム

歴史[編集]

Remember11 -the age of infinity-
2004年3月18日PlayStation 2(PS2)版が発売。
2005年5月12日サクセスよりSuperLite2000シリーズでPS2版が発売。
infinity plus
2008年4月4日サイバーフロントより、シリーズ3作に新作『12RIVEN -the Ψcliminal of integral-』を加えたPC版セットが発売。
2008年10月9日、PS2版が発売。
Remember11 -the age of infinity-(PSP版)
2009年4月16日PlayStation Portable(PSP)版が発売。ディレクション、プログラム、スクリプトなどはレジスタが担当した。新規ムービー、用語解説、シリーズ年表を収録している。
infinity plus portable
2009年8月13日、PSP版のシリーズ4本セットが発売。オープニングムービー収録DVDが付属した。
Remember11 -the age of infinity-(アプリ版)
2012年11月20日、スマートフォン向けアプリが配信開始。

概要[編集]

無限に繰り返す時間の中、閉鎖空間からの脱出を図る『infinity』シリーズの第3作。前作までは恋愛アドベンチャーゲームだったが、このジャンル独特の制約をはずすために本作品はサスペンスアドベンチャーとされ[1]、前2作にはあまり見られなかった残酷描写やグロテスクな表現が多く描かれている。ギャルゲーではなくなった理由には女性ユーザーへのアピールという面もあり、前作までと比べてユーザーの女性比率が高くなった[2]

前半のテンポが悪かった『Ever17』の反省を受け、今回は次々といろいろなできごとが起きてプレイ意欲を喚起するようになっている[3]。ビジュアル面では、KID作品として初めて3Dと2Dの融合を試みている。背景を3D、人物を2Dで描画することで、遠景からのズームアップが画像の切り替え無しで表現できるようになった[4]

本作は「TIPS」という形で、作中の用語を調べることができる。これは前作『Ever17』にて「説明部分が長い」という指摘を受けて導入された機能である[5]。だが今度は「いちいち物語から切り離される」という批判を受けることになった[5]。TIPS閲覧中にゲーム進行が停止するということは、劇中の登場人物の視点からするとプレイヤーが瞬時にすべてを知ることと同じであり、ゲーム内からのプレイヤーへの干渉をテーマとするメタフィクションとしての本作品では、このシステムの特性自体に意味が持たされている[6]。このTIPSを集めることが隠し要素出現の条件となっている場合もある。ただし、グッドエンドでクリアするだけでは重要な情報を閲覧することはできない。

非常に難度が高いため「前衛的」と言われたり[5]、未完の作品として厳しい評価を下されることもあるが[7]、謎解きを好む層もおり「これがいい[5]」という意見もあった。

企画の経緯[編集]

KIDの戦略的に『infinity』シリーズを発売する必要が生じたとき、ゼロから企画を考える余裕がなかったため、以前から中澤工が暖めていた案を下敷きにすることになった[1]。なお、前作の企画原案を務めた打越鋼太郎は本作品から槻潮鋼と改名し、シナリオを担当している[8]

企画の原点はギャルゲー風『』をやりたいという発想だった[9]。ザッピングにより視点が切り替わる『街』のように人格転移現象がプロットの基となっていたが、それだけでは決め手に欠けていたところ、飲み屋で酔った中澤がふらついて頭を天井にぶつけたのを見て、「理由はわからないけれども確かに自分がやってしまった」という要素を打越(槻潮)が思いついた[10]。前作『Ever17』ではプレイヤーと同格の視点がゲーム世界に介入して問題を解決しているが、そうした高位の存在が劇中の登場人物にとって都合よく行動してくれるとは限らず、逆に悲劇が訪れるかもしれない。このような場合にキャラクターたちが自らを操作する得体の知れない存在に抱く感情を描いたなら、『Ever17』とは正反対のテーマとなり面白くなるだろうと考えたのである[10]

このテーマを表現するため、初期案ではプレイヤーが選んだ選択肢のせいで主人公の悟が妹の沙也香を殺害してしまう場面がゲームの冒頭に入る予定だったが、さすがに直接的な描写はお蔵入りになった[11]

また、映画『メメント』も着想元の1つになっている。この映画は「見ている人間は救われるが登場人物に救いがない物語」であり、本作品は逆に「登場人物は救われるけど、見ている人間は救われない物語」になっている[12]

シナリオ構成[編集]

本作はココロ編とサトル編という2つのシナリオからなる。これら2編のシナリオは、各シナリオの主人公たちの意識が人格交換現象により入れ替わらされることにより、それぞれの舞台が絡み合いながら進行していく。

初回プレイ時には自動的にココロ編をプレイすることになり、ココロ編のグッドエンドを迎えることで初めてサトル編をプレイできるようになる。サトル編がプレイできるようになった後は、一方での選択が他方に影響を与える場合もあり、一方でバッドエンドを迎えた場合、他方でも辻褄を合わせる形でバッドエンドとなる(基本的にはストーリー上の同じタイミングで同じ内容。一方の主人公が死亡した状態で人格交代が行なわれることでもう一方の主人公も死亡する、両シナリオの人物が合流するべき時点で一方の人物がいない、など)。

サトル編を最後まで進めることでエピローグへと進み、そこでようやく物語は完結するが、多くの謎を残したままの結末となる。

トリック[編集]

タイトルの「11」とは二進法での「3」を表す[3]。こころと悟は2人で人格を交換しているのではなく、カーリーの胎内にいる子供が加わった3人で転移を繰り返している。舞台も雪山とスフィアだけではなく、性質上ほとんど訪れる機会はないがもう1か所関連する施設が存在する。

スフィアでは悟が命を狙われる場面があるがこれはミスリーディングであり、姿無き殺人者は想像の産物に過ぎない[13]。ほとんどの危険は人格交換の混乱から生じる事故によるものであり、犬伏もなにもしていない。主に自意識の発達していない胎児が悟やこころの肉体に宿ることで事件が起きている。なぜかスフィアで使っていた悟の目覚まし時計が33分進んでいたため、悟は避難小屋から直接スフィアに転移してきたと思い込んでおり、自分の前に胎児が肉体に宿っていたとは気づけなかった。

用語[編集]

朱倉岳
青森県青森市十和田湖町の北西、南八甲田連峰内の山。標高1298メートル。
青鷺島
北海道の礼文島から西方5キロにある無人島。
スフィア
正式名称は隔離と保護のための特定精神医療施設(SPHIA: Specified Psychiatric Hospital Hor Isolation And Aegis)。日本各地に新設された特別精神病院で、そのうち1つが青鷺島にある。
穂樽日鉱山跡
北海道后羽郡茂枝木村。朱倉岳と青鷺島の中間に存在し、時空間転移装置が設置されている。双子の出産を控えたカーリーが幽閉されている場所でもある。
時空間転移
量子テレポーテーションの原理に基づき、半径110メートルの半球状の空間(サークル)内にある物質を転移させる技術。場所だけではなく時間にも差が生じ、朱倉岳は2011年1月、穂樽日鉱山跡は2011年7月、青鷺島が2012年1月の時点で転移している。そのためサークルの出入りを利用することでタイムトラベルも可能である。
転移に際しては基本的にサークル内のすべてのものが入れ替わるが、一部の例外がある。こころ、悟、男児の意識は元の場所に残留するため、転移してきた空の肉体に宿ることになる。これが人格交換の理由である。同じことが穂鳥、犬伏、女児の間でも起こっている。
ライプリヒ製薬
悟と榎本が所属する多国籍企業。前作『Ever17』にも登場。
ユウキドウ計画
悟と榎本が立てた時空間転移による謎の計画。広大な場所を必要とするため2011年1月の時点で悟はオーストラリアに候補地を求めていたが、朱倉岳飛行機墜落事故の唯一の生存者とされるゆにと接触したことにより日本で実施することにした。このゆには「2011年の朱倉岳から2012年のスフィアに転移し、その7日後2011年の朱倉岳に再転移した」つまり未来から来た人物である。悟はゆにから必要な情報を引き出して転移が行われた未来の歴史を再現し、一方でゆには彼らの計画に便乗して自分だけでなくこころたちも助かるように行動することにした。
アイツ
悟が計画を通じて復讐をもくろむ相手。このゲームのプレイヤーのこと[11]
マグロ
なぜかシリーズを通して登場する魚。本作品ではスフィアにあった4人乗りのそりがマグロ型をしていた。

未解決の謎[編集]

今作のストーリーは多くの謎を残したまま完結する。ユウキドウ計画は、2名の首謀者のうち悟が記憶喪失になり榎本が死亡するため、詳細は語られずじまいである。沙也香の死がどう計画に関係しているのかも説明がない。エンディング後に犬伏が抱いている子供をどうするのかもわからない。中澤工は、全ての情報を提示していないことを認めている[7]

グッドエンドを含むすべての結末で "This story has not finished yet. It is an infinity loop!" と表示されるのは、悟たちの物語が完結してもプレイヤーの物語はまだ無限ループの中にあることを意味している[7]。 本作品はキャラクターたちがプレイヤーに仕掛けた「終わりのない復讐の物語」であり[5]、触れることのできない相手をうまくおびき寄せて監禁し自由を奪うことが目的になっているのである[7]

つまり本作品はプレイヤーをテレビの中に閉じ込めるためのもので、真相を求めて悩むことも作品を構成するパーツとして意図されており[14]、中澤は「最初はやむを得ず(真相を)隠していました[12]」と語っている。しかしその結果として結末が消化不良に見えたり、後味が悪く思えるようになっているところは大きな反省点としている[15]

このような「理不尽に近い難解さ[16]」について、PSP版に真相に肉薄できる情報をInfinityシリーズの年表という形で盛り込み、PSP限定版添付の冊子に攻略チャートを掲載することで解決を図っている。

中澤工は「PS2版も、あれで完成・完結した物語としてまとめた」としながらも、PSP版発売に伴い新規ユーザーがプレイすることと、PS2版で抱えた不満を解消したがっている人がいることを考慮し検討した結果、「年表」という形を採用することを決めたと言う。なお、各個人の考察とスタッフが用意した真相の食い違いについては、「頭を捻りながらも楽しんでいる人」の存在を挙げ、「種々の興味深い考察」の「興をそがないため」を理由にして、「PSP版で明瞭になった情報と食い違っても無視してくださって結構」「最も納得した(あなたにとって妥当性のある)真相こそが、あなたにとっての真実」「『今回のPSP版の情報は、別の真相への手引き』だと解釈くださっても結構」としている[16]

ストーリー[編集]

2011年1月11日、稚内行きの飛行機HAL18便の機内で、冬川こころ楠田ゆにと知り合う。だが彼らの乗った飛行機は青森県の南八甲田朱倉岳に墜落する。

もうひとつの舞台である北海道の青鷺島に位置するスフィアでは、1月11日午後4時、優希堂悟が屋上の時計台にいた。しかし、突然彼は謎の影に追われ、時計台から転落する。

ココロ編[編集]

1日目
【スフィア】目覚めたこころは、すぐそばにいた内海カーリーに自己紹介してゆにのことを尋ねるが、「冬川こころはもう死んだ」と怒られて平手打ちされる。施設の中を歩き回ると、殺人鬼・犬伏景子にそっくりな涼蔭穂鳥に出会う。それからようやくゆにを見つけるが、彼からは誰なのかと問われる。こころが鏡を見ると、そこに写っていたのは見知らぬ男性だった。
【避難小屋】気がついたこころは、先ほどのスフィアでの出来事は夢だと思い込み、ゆにと再会を喜び合う。黄泉木聖司から「優希堂」と呼ばれ、黛鈴にもそう名乗った理由を詰問されるが、こころには覚えがない。小屋の中にあった新聞を手に取ると、日付は半年後の2011年7月4日のもので、内容はこころ・黄泉木・黛が腐乱死体で発見されたというものだった。
【スフィア】カップの割れる音で我に返ったこころは、またしても男の体になっていることに卒倒するが、穂鳥に介抱される。その後こころが彼女の部屋を訪れると、穂鳥が錯乱して暴れていたので、カーリーとふたりで寝かしつける。こころはカーリーから睡眠薬をもらい、バスルームに入るが、不意に誰かの気配を感じる。
【避難小屋】こころは雪原の中を黄泉木に引きずられているところで気がつく。黄泉木とゆにからはDIDではないかと言われるが、黛からは嘘つき呼ばわりされる。
2日目
【スフィア】目覚めたこころは、机の上にあった悟からのメッセージを読む。その後、カーリー・穂鳥・ゆにと一緒に食事を取る。
【避難小屋】小屋に戻るとそこでも食事中だったが、黛に雑炊を奪われる。ゆにから飴玉をもらった後、こころは黄泉木が手入れをしていたナイフを手に取る。
【スフィア】地震が起きて停電する。暗闇の中で4人は身を寄せ合う。
【避難小屋】こころは寒さに震えながら乾パンをかじる。協調性のない黛の態度に黄泉木が怒る。悟が録音したボイスレコーダーを聞いたこころは、彼の体が何者かに狙われていると知る。
【スフィア】こころは左腕に怪我をして倒れていた。リビングで刃物を持つ人影を見て、悟の部屋に逃げ込んだところで電気が復旧し、カーリーと鉢合わせる。穂鳥の手当てを受けた後、悟にメモを残す。
【避難小屋】こころは新聞を読んでいる最中の体に戻る。未来の新聞など偽物だと言い張る黛に対し、ゆには本物だと主張する。
【スフィア】転移後、ゆにに新聞の件を尋ねてみるが、こちらの彼は何も知らない。穂鳥にネズミの死骸を見せられる。
3日目
【避難小屋】外に出た黄泉木の後を追ったこころは、飛行機の墜落現場から衛星電話などの使えそうなものを回収する。帰還後、事故現場の惨状に涙するこころをゆにが慰める。
【スフィア】穂鳥がまた暴れだす。こころは彼女を何とか落ち着かせる。
【避難小屋】悟からのメッセージには、今年は2012年だと吹き込まれていた。
【スフィア】今年がいつか確認を取ってみると、カーリーは2012年、穂鳥とゆには2011年だと答える。ゆにに先ほど慰めてくれた礼を述べるが、彼は知らないと言う。
【避難小屋】雪原に立っていたこころは、小屋に戻ってストーブにあたる。悟からは自分たちが時間と空間を越える転移現象に陥っていると教えられるが、ゆにの件が腑に落ちない。
【スフィア】ゆにに言われて外出したカーリーを探しに行くと、「明日は息子の誕生日」と告げられ、写真を見せられる。悟から「何も口にするな」と戒められていたので、夕食は摂らずそのまま就寝する。
4日目
【避難小屋】こころは黄泉木から、彼の息子が犬伏に殺されたこと、妻のカーリーは精神病院にいることを聞く。食糧管理係をめぐって黄泉木と黛が対立する。
【スフィア】カーリーと一緒に屋外にいたこころは施設に戻る。「ラジオでは墜落事故のニュースを流していない」といぶかしむゆにに事故のことを聞いてみるが、怒らせるだけに終わる。
【避難小屋】こころは雪原の中でゆにを追いかけていた。小屋に戻ると、チョコレートを隠し持っていた黛が黄泉木を突き飛ばしていた。一同は残った食料を4等分し、黛以外の3人は持ち分を共同管理することにする。
【スフィア】床に這いつくばっていたところを何者かに襲われ、戸外に締め出される。テラスから部屋に入ることができたが、悲鳴のような音がしたため地下倉庫に向かうと、ナイフを持った何者かにのしかかられる。
【避難小屋】こころは恐怖のあまり叫ぶが、そこは避難小屋だった。部屋が冷え切っていたため、黄泉木はやむなく残り少ない薪を火にくべる。
【スフィア】目の前には見知らぬ男が血まみれで横たわっており、穂鳥がナイフを持って立っていた。暴れだす穂鳥を押さえようとしたところ、カーリーがナイフを拾って穂鳥を刺そうとする。こころはとっさに穂鳥をかばう。
5日目
【避難小屋】ついに薪が尽き、4人は寒さに震える。
【スフィア】ベッドの上で目覚めたこころは、体がまったく動かないことに気づくが、しばらく経つと虚脱状態が和らぐ。部屋に顔をのぞかせたゆにを追いかけるが、その途中で転移が起こる。
【避難小屋】外で気がつき、屋内に戻る。
【スフィア】暖かな食事にありついたこころは泣き出す。ゆにはカーリーに甘える一方で、こころには「あの男を殺したのはお前だ」と言い放つ。
【避難小屋】吹雪の中で気がつく。急激に気候が変化したため、外に出ていた一同は小屋に取って返す。
6日目
【避難小屋】ゆにが「衛星電話で助けを呼ぼう」と言い出す。これまで何度も試しながら不通に終わってきたため黄泉木は渋るが、ゆにに押し切られて実行する。本当に電話が山岳救助隊につながるが、途中で切れてしまう。自暴自棄になった黛を、こころは悟の振りをして慰める。こころに素性を問い詰められたゆには突然外に走り出した挙句、気絶する。
7日目
【避難小屋】未来の新聞から救援物資のありかの目星をつけたこころは外に出て行く。黄泉木は彼女の後を追うが合流できずはぐれる。物資を発見できなかったこころは、小屋に戻る途中で若い女性の遺体を目にする。3人は小屋で黄泉木の帰還を待つが、いつまでも戻ってこないため探しに行く。山にいたはずの彼らは目の前に広がる海に驚愕する。そこへ肉体を持った状態の悟が駆けつける。

サトル編[編集]

1日目
【避難小屋】悟は黄泉木に体を押さえつけられているところで気がつく。以前交際していた黛に声をかけるが、知らないと言われる。ゆにからは記憶をなくしていることを糾弾される。窓ガラスに映った悟の姿は、見知らぬ女性のものだった。
【スフィア】自室で目覚めた悟は、避難小屋での出来事を夢だと思い込む。ゆにとの会話中、逃げ出した犬伏を追うようカーリーに指示される。カーリーからは犬伏だけでなく悟もDIDと言われる。悟はコーヒーカップを落として割ってしまい、片付けようとする。
【避難小屋】カップの破片を拾うつもりの悟は、新聞紙の断片を集めていた。またも女性になっていることに当惑しつつ、他の3人と協力して新聞紙を修復する。そこに書かれていたのは2011年7月4日の記事で、内容はこころ・黄泉木・黛が腐乱死体で発見されたというものだった。悟はこの場所が本当に朱倉岳なのか確かめようとして小屋の外に出る。
【スフィア】悟が気がつくと、お湯が張られたバスタブの中でおぼれかけていた。部屋から犬伏が逃げていくのを目撃するが、強い眠気に襲われて倒れる。
2日目
【スフィア】自身を取り巻く状況について思索した悟は、こころに向けてメッセージを残す。
【避難小屋】こころ向けにボイスレコーダーを録音。雑炊を食べようとしたところで転移が起こる。
【スフィア】こころが残したメモに意味不明のイラストが描かれているのを見て当惑する。スフィアにいる理由をゆにに尋ねた後、涼蔭穂鳥と名乗る犬伏に誘惑される。こころにメッセージを残している最中にカーリーが現れる。
【避難小屋】怪我をした指先を黄泉木にしゃぶられているところで気がつき、彼を突き飛ばす。
【スフィア】闇の中で腕に痛みを感じた悟は、刃物を持った人影に気がつき逃げようとするが、つまづいて転倒する。
【避難小屋】悟は改めて新聞を読む。
【スフィア】4人で夕食後、ダイニングで瀕死のネズミを発見する。犬伏が突然ネズミをたたき殺す。
【避難小屋】犬伏の冷酷な態度に戸惑いつつ、眠りにつく。
3日目
【スフィア】施設を取り囲む壁を確認していたせいで朝食を食べ損ねる。地下倉庫で謎の液体がかかったチーズを発見するが、カーリーが液体を調べるために持ち去ってしまう。悟は毒物を警戒して昼食も抜く。犬伏にネズミの件を問い詰めると、彼女は急に錯乱する。
【避難小屋】ゆにを抱きしめた状態で気がつく。悟はこころが墜落現場に赴いたことを知り、ボイスレコーダーに励ましの言葉を吹き込むと、あわせて「今年は2012年」と伝える。
【スフィア】犬伏と手をつないだ状態で目覚める。カーリーからあの液体はMAO阻害剤だったと教わる。ゆにに「今年はいつか」と尋ねると、彼は2011年と答える。
【避難小屋】避難小屋の世界は2011年でスフィアの世界は2012年であること、スフィアでは食べ物を口にしてはいけないことをボイスレコーダーを通じてこころに伝える。ふと月の形がスフィアで見たときと同じであることに気づいた悟は外に飛び出し、海が広がっているのを目にする。
【スフィア】悟は自室で目覚める。月の形を確認すると避難小屋で見たものと同じだった。スフィアの外に出ると、やはり朱倉岳で見たのと同じ海が広がっていた。悟はスフィアに留まって真相を突き止めることを決意する。
4日目
【避難小屋】小屋の外にたたずむ黄泉木から、息子を犬伏に殺されたこと、妻のお腹の中には新しい命が宿っていることを聞かされる。
【スフィア】カーリーが犬伏への復讐をもくろんでいることを察し、阻止する。施設の外に出たカーリーから、邪魔をしないように頼まれる。
【避難小屋】ゆにに「2012年から来たのではないか」と問い詰めると、彼は叫びながら外へ飛び出す。
【スフィア】地下倉庫で扉を発見した悟は、モニター室で榎本と出会う。時空間転移の説明を受けた後、計画の理由を知っているのは悟自身だと言われ、激しく動揺する。ナイフで襲い掛かる榎本に追われて、悟は転倒する。
【避難小屋】自分に代わってスフィアで襲われているこころの無事を祈る。
【スフィア】地下倉庫でナイフを手に持った状態で気がつく。足元にはめった刺しになった榎本の死体があった。血まみれの犬伏がナイフを奪い取り、刺すのと刺されるのではどちらが好きかと尋ねてくる。
【避難小屋】ゆにから彼の素性を聞く。小屋のゆには2012年の人間で、スフィアにいるのは過去の彼だった。新聞も2012年から彼が持ち込んだものだった。
5日目
【スフィア】キッチンで倒れた状態で気づくが、朦朧として体が動かない。カーリーの介抱を受け、MAO阻害剤とDMTを飲まされたか、あるいは自分で飲んだことを知らされる。
【避難小屋】外の天候から、サークルが青鷺島に転移していることを察した悟は、全員を避難させようとするが間に合わない。
【スフィア】悟の目の前にはゆにをかばうように犬伏が立っていた。自室に戻り薬が抜けるのを待っていると、犬伏が現れて殺す殺さないの話をした挙句、口移しで飴玉を流し込んでくる。
【避難小屋】悟は雪原を探索中に涼蔭穂鳥の死体を発見する。上空を飛ぶヘリコプターの音に気づいた黄泉木と黛が外へ走り出し、ゆにと悟も後を追う。
【スフィア】めちゃくちゃになったリビングで気がつく。カーリーからは悟の仕業だと言われ、モニター室のカメラ映像でそれを確認する。
6日目
【スフィア】週刊誌で飛行機事故犠牲者に穂鳥の名を見つけた悟は、彼女と犬伏も人格交換していたと推測する。カーリーが犬伏を刺殺しようとするが、悟は犬伏をかばい、ゆにがカーリーを説得する。カーリーは半年前に穂樽日鉱山跡に監禁されていたことを話す。
7日目
【スフィア】モニター室で録画映像を見た悟は時空間転移が3か所で起きていることを察する。確認のためスフィアサークルを出て転移を待つ。
【穂樽日鉱山跡】転移してきた鉱山サークル内に入り、白い建物を目撃するが、中には立ち入らずサークル外に出る。
【避難小屋】転移してきた青鷺島サークルに入った悟は、こころと合流する。話を聞いた彼は、黄泉木だけが朱倉岳のサークルの外に出てしまったと察して探そうとするが、間に合わず転移が起こる。
【スフィア】ゆにに黛をサークル外に連れ出すよう頼んだこころと悟はスフィアに入る。しかしカーリー・犬伏・2011年のゆには以前の転移でスフィア外に出て朱倉岳におり、施設は無人だった。
スフィアサークルが朱倉岳に転移した後、2人は黄泉木を探すため雪原に出る。黄泉木はカーリーと犬伏を滑落から救うが、自身は負傷する。こころと悟が駆けつけたところで雪崩が発生するが、何とか全員無事ですむ。彼らは転移の機会を待つが、2011年のゆにだけが避難小屋サークルに踏み込んでしまい朱倉岳に残留。そのまま救助隊に「飛行機事故唯一の生存者」として保護される。残る5人はスフィアサークルに入ってさらなる転移を待ち、青鷺島で待機する黛・2012年のゆにと合流する。
スフィアに黄泉木とカーリーの双子の子供が届けられる。7人で子供を眺めているうち、犬伏が1人の子を連れ去ってしまい、こころが急いで後を追う。一方、悟はようやく男の姿で黛と会うことができたが、「あなたは悟じゃない」と言われて愕然とする。

登場人物[編集]

主要登場人物7人には、カール・グスタフ・ユングが提唱する分析心理学元型が割り当てられている。この思想によると、人間の意識を構成する元型は無意識下のセルフによって統括されている。これを拡大解釈すると、あらゆる人間を統括する存在があるという発想に至る。キャラクターに元型が当てはめられるのは、彼ら7人がみな「セルフ」の制御下にあり、劇中の世界は1人の人間の中の心理現象とも考え得ることを表している[11]

主人公[編集]

この2人の主人公の人格が何度も入れ替わって物語を進めることとなる。また、今作は前作までと異なり、操作中の主人公も通常通り音声が再生され、立ち絵も(常時ではないが)表示される。これは、人格交換により性別が変わったときの衝撃を強めるためと、前作『Ever17』でトリックのために主人公の姿を隠し続けたことへのアンチテーゼである[17]

冬川 こころ(ふゆかわ こころ)
森永理科
元型:アニマ。男性の中の女性原理。
20歳、1990年2月22日生まれ、B型。
ココロ編の主人公。鳩鳴館女子大学・人文学部社会学科3年生(人間学講座に所属)。外向的で好奇心旺盛。感情を信じるタイプ。文系。連続殺人鬼・犬伏景子を調べており、彼女に会うためにスフィアを目指していたが、その際に事故に巻き込まれる。人格が転移するという不可解な現象と、極寒の雪山と言う生と死が隣り合わせな世界に、さらには人格の転移先では何者かに命を狙われるという状況に次第に追い詰められて行くが、直接話すことのできない相棒・悟と協力して苦難を乗り越えようとする。
『infinity』シリーズにおけるヒロイン命名の伝統を受け継いでおり、『Never7』の優夏、『Ever17』の優春・優秋に続き、もうひとりの主人公・悟の姓と組み合わせることで「優冬」となる[18]
優希堂 悟(ゆうきどう さとる)
声:子安武人
元型:アニムス。女性の中の男性原理。
21歳、1989年2月22日生まれ、A型。
サトル編の主人公。鳩鳴館大学大学院・工学部物理工学科修士課程2年生(量子物理学研究室に所属。なお、2年飛び級という経歴を持つ)。行動力はあるが慎重派。合理的な思考を常とする。理系。スフィアの時計塔から転落し、自分がなぜ時計塔を登っていたのか。そもそもなぜ自分はスフィアにいるのかといった、多くの記憶を失ってしまう。人格が転移している現象に気付き、こころと共に事態を打開することと、雪山にいる4人を救い出す決意を固める。こころとのコンタクトはメモ書きやボイスレコーダーを使う。

主要人物[編集]

黛 鈴(まゆずみ りん)
声:豊口めぐみ
元型:ペルソナとは化粧であり、自分を取り繕うことを暗示する[18]
23歳、1987年4月30日生まれ、A型。
飛行機事故の生存者の1人であるOL。気が強く非協力的。OLと言っても"Office Lady"ではなく、"Official Lawyer"。つまり国選弁護士(の見習い)である。悟とはかつては恋人同士だったが、親が決めた相手と結婚するため別れた。
黄泉木 聖司(よもぎ せいじ)
声:江原正士
元型:オールドワイズマン。「聖司」は英語でワイズマンと同じく賢者を意味する "sage" に通じる[18]
35歳、1975年9月16日生まれ、O型。
飛行機事故の生存者の1人。サバイバル精神旺盛な登山家。穏和でユーモアがある、グループのリーダー的存在。息子がいたが、犬伏景子に殺害されている。実はカーリーの夫だった。
内海 カーリー(うつみ カーリー)
声:久川綾
元型:グレートマザー。名前はインドの女神カーリーから[18]
27歳、1984年9月16日生まれ、O型。
スフィアに滞在する小学校教師。心理学に精通している。ムードーメーカー兼まとめ役だが、時折不可解な言動や行動を見え隠れさせる。悟にはスフィアのスタッフを自称しているがこれは偽りで、息子を殺害した犬伏への復讐を目的として潜入した身である。
涼蔭 穂鳥(すずかげ ほとり)
声:友永朱音
元型:シャドウ。初期設定では彼女がトリックスター相当で、名前も楠田穂鳥(くすだほとり→とりっくすたー)だった[18]
19歳、1991年4月30日生まれ、AB型。
スフィア滞在中の予備校生。その姿は連続殺人鬼・犬伏景子(いぬぶし けいこ)である。犬伏はDID(多重人格障害)と診断されたためにスフィアに収容されており、涼蔭穂鳥とは犬伏の別人格ではないかと序盤で推測される。ココロ編では大人しく優しい性格、サトル編では精神を病んでいるようなトラブルメーカーと、それぞれのシナリオでまるで別人のように性格が違うが、その理由は彼女もまたこころと悟のように他者と人格を交換しているからだった。
殺人鬼とされる犬伏であるが、劇中(2012年1月11日から17日)ではネズミ1匹を殺しただけで人間には危害を加えていない[19]
真の涼蔭穂鳥
19歳、1991年10月30日生まれ、A型。
HAL18便の乗員だった少女。墜落時に一命は取り留めたものの、山小屋までたどり着けず雪原で倒れる。時空間転移現象によって犬伏と肉体を交換することになるが、急性失語症に陥ったことと犬伏がもともとDIDだったせいで誰にも真相に気づいてもらえず、そのまま雪の中で死亡する。
こころが見かけたとき、彼女からはもう息を引き取っていると思われたが実はまだ完全に死んでおらず、画面が切り替わる直前に一瞬指が動く[20]
楠田 ゆに(くすだ ゆに)
声:皆川純子
元型:トリックスター
11歳、1999年10月19日生まれ、AB型。
こころが旅客機で乗り合わせた少年。しかし、雪山とスフィアの両方に同時に存在する謎の人物でもある。無邪気かつ臆病。優しさと機転の良さを持ち合わせる。オカルト方面の知識が豊富。時折、その行動や言動には不可解な部分を見せる。
雪山に墜落した初日、時空間転移中に避難小屋サークルの外へと出てしまい、1年後のスフィアに移動する。そのため事態を把握できておらず、こころの名を騙る悟(悟の肉体に宿ったこころ)に冷たい。一方雪山のゆには、こころたちを助けるため過去の自分と入れ替わる形で転移してきた未来の彼であり、救助が来る歴史につながるよう一同を誘導しようとしている。

その他の人物[編集]

榎本 尚哉(えのもと なおや)
21歳、1990年11月27日生まれ、B型。
声:西垣俊作
記憶を失う前の悟と組んで「ユウキドウ計画」を実施した人物。その際、時空間転移を利用してお互いの肉体を交換している。悟の記憶喪失をはじめとするイレギュラーの連続で計画の修正に追われるが、すべてを語る前にスフィア地下にて死亡。
優希堂 沙也香(ゆうきどう さやか)
声:友永朱音
享年10、1990年2月22日生まれ、AB型。
11年前に死んだ悟の双子の妹。彼女の死がユウキドウ計画の発端となったとされる。DIDをわずらっており、殺人衝動に苛まれるなど犬伏との共通点が多いが、すべては謎である。
黄泉木 潤一(よもぎ じゅんいち)
享年9、1999年1月14日生まれ、O型。
聖司とカーリーの息子。やんちゃで元気いっぱいの少年だったが、怪我の治療に訪れた阿波墨病院で犬伏に殺害される。
プロフィールから逆算するとカーリーは14 - 15歳で彼を出産したことになるため、関連書籍で父親の聖司に突っ込みが入っているが[21]、ドラマCDによると実はカーリーが暴行されて宿した子である。聖司はカーリーと新しい命を愛するゆえに、不名誉を恐れず順一を自分の子として育てたのだった。

スタッフ[編集]

  • 企画原案・監督:中澤工
  • キャラクターデザイン:
  • シナリオ
    • サトル編:中澤工、槻潮鋼
    • ココロ編:中澤工、打越鋼太郎、たきもとまさし、松川しゅうさく、林直孝、石川健太
  • 音楽:阿保剛
    • OP:little prophet
      作詞、作曲:志倉千代丸/歌:KAORI
    • ED:Darkness of chaos
      作詞、作曲:志倉千代丸/歌:皆川純子
    • PSP版OP:宇宙のステンシル
      作詞、作曲:志倉千代丸/歌:宮崎羽衣
    • PSP版ED:キレナイナイフ
      歌:宮崎羽衣

関連商品[編集]

書籍[編集]

CD[編集]

  • Remember11 サウンドコレクション(サイトロン / SCDC-00340〜00341)
  • リメンバー11 プロフェシーコレクション
    1. 冬川こころ(サイトロン / SCDC-00346)
    2. 優希堂悟(サイトロン / SCDC-00347)
    3. 黛鈴(サイトロン / SCDC-00350)
    4. 楠田ゆに(サイトロン / SCDC-00351)
    5. 涼蔭穂鳥(サイトロン / SCDC-00352)
    6. 内海カーリー(サイトロン / SCDC-00353)
  • リメンバー11 ドラマCD(サイトロン / SCDC-00354)
  • Remember11 ボーカルコレクション(サイトロン / SCDC-00367)
  • Infinity+Integral perfect Vocals (5pb. / VGCD-0168)

脚注[編集]

  1. ^ a b 『Remember11 -the age of infinity- ビジュアルファンブック』p.98
  2. ^ 『Remember11 -the age of infinity- ビジュアルファンブック』p.97
  3. ^ a b 『Remember11 -the age of infinity- ビジュアルファンブック』p.99
  4. ^ 『Remember11 -the age of infinity- ビジュアルファンブック』p.104
  5. ^ a b c d e 『infinity plus』同梱「infinity plus premium book」p.19
  6. ^ PSP版『Remember11 -the age of infinity-』初回限定版同梱「Remember11 プレミアムブック」p.40
  7. ^ a b c d 「Remember11 プレミアムブック」p.45
  8. ^ 『Remember11 -the age of infinity- ビジュアルファンブック』p.100
  9. ^ GAME SIDE』Vol.12、マイクロマガジン社、2008年5月、p.52
  10. ^ a b 「Remember11 プレミアムブック」p.39
  11. ^ a b c 「infinity plus premium book」p.20
  12. ^ a b 「Remember11 プレミアムブック」p.44
  13. ^ 「Remember11 プレミアムブック」p.42
  14. ^ 『GAME SIDE』Vol.12、p.48
  15. ^ 「Remember11 プレミアムブック」p.46
  16. ^ a b ■1と0の間なNotebook■
  17. ^ 「Remember11 プレミアムブック」p.41
  18. ^ a b c d e 「infinity plus premium book」p.21
  19. ^ 『Remember11 -the age of infinity- 設定解説ファンブック』p.84
  20. ^ 「Remember11 プレミアムブック」p.43
  21. ^ 『Remember11 -the age of infinity- 設定解説ファンブック』p.86

関連項目[編集]

外部リンク[編集]