コスモドリーム

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コスモドリーム
欧字表記 Cosmo Dream[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1985年6月13日[1]
死没 2015年2月頃
ブゼンダイオー[1]
スイートドリーム[1]
母の父 ラッキーソブリン[1]
生国 日本の旗 日本北海道白老町[1]
生産者 上田牧場[1]
馬主 田邉廣己[1]
調教師 松田博資栗東[1]
競走成績
生涯成績 13戦4勝[1]
獲得賞金 1億5650万3300円[1]
勝ち鞍
GI 優駿牝馬 1988年
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コスモドリーム[1]日本競走馬繁殖牝馬1988年優駿牝馬(オークス)で優勝した。

経歴

出生

父・ブゼンダイオーはダイコーター産駒の条件馬で、4歳時(1977年)には毎日杯で2番人気に推されたが7着であった。引退後は上田牧場で自家用種牡馬になったものの、実際には当て馬が主な仕事となっていた。母・スイートドリームは未出走馬で、血統的に特筆すべきところはなかった。母の父のラッキーソブリンは種牡馬としてはシンウルフを送り出し、ブルードメアサイアーとしてはカネツクロスショウナンカンプを送り出した。スイートドリームは後ろに立った馬を蹴り上げようとする悪癖があり、高価な種牡馬を種付けするにはリスクが大きかった。それでも何とかモガミを種付けしたものの不受胎となったため、万が一蹴り飛ばされても損害が少ないという理由でブゼンダイオーに練習用種牡馬として白羽の矢が立った。1985年にコスモドリームが誕生するが、誕生日は6月13日という遅生まれであった。

また、上記の理由によりスイートドリームにはブゼンダイオーばかりが種付けされていたが、コスモドリームの活躍を受けて他の種牡馬も種付けされるようになり、1995年にはこの時不受胎だったモガミの仔も産んでいる。しかし、その成績はコスモドリームを除けば全頭合わせても1993年産のドロップゴールが地方競馬船橋競馬場で挙げた1勝のみである[2]

戦績

栗東松田博資厩舎に入厩し、当時3年目の熊沢重文を背に1988年1月デビュー。初めの3戦は全てダートの競走であったが、2度目の新馬戦で勝ち上がってブゼンダイオー産駒に中央・地方合わせての初勝利をもたらす。デビューからの3戦は全て出遅れていたものの、堅実にまとめていたコスモドリームに陣営は手応えを感じ、次走には桜花賞トライアルのチューリップ賞[注釈 1]を選択。初めての芝コースでマイル戦であったが、母譲りの激しい気性が災いしてスタート直後に熊沢を振り落としてしまう。この後は熊沢が自厩舎の中京遠征に帯同しなければいけなくなったこともあり、当時新人で熊沢の2年後輩に当たる岡潤一郎にバトンタッチ。新コンビとなってからは条件戦を2戦目で勝ち上がり、オークスへ出走した。当時、岡はGI競走での騎乗条件規定である「通算31勝」の規定を満たしていなかったため、本競走では再び熊沢が騎乗した。22頭立ての10番人気だったコスモドリームは、スタートで出遅れて後方からのレース運びとなる。しかし道中で徐々に進出、最後の直線で鋭い伸び脚を見せ、マルシゲアトラスに1馬身半差を付けて優勝した。人馬ともに重賞およびGI競走初制覇、熊沢は加えて20歳3ヶ月でのオークス優勝となり、本競走の最年少勝利記録を更新した。

夏は休養せず、ローカル開催を転戦する。勝利こそなかったが、高松宮杯オグリキャップの3着に入るなど、古牡馬に互しての好走を続けた。しかし、秋緒戦として出走した京都大賞典で2着となった後、エリザベス女王杯へ向けての調教中に骨折。同競走を回避し、休養を余儀なくされた。

6ヶ月の休養後、翌4月末に復帰戦で勝利。次走に迎えた春のグランプリ宝塚記念では5番人気に支持された。しかし後方待機から直線で伸びず、14着と大敗。続く高松宮杯も9着に終わり、これを最後に競走生活から退いた。

現役中に厩務を担当したのは現調教師の大橋勇樹であった。

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[3]およびJBISサーチ[4]に基づく。

年月日 レース名 頭数 枠番 馬番 人気 着順 距離(状態 タイム 上がり 着差 騎手 斤量 勝ち馬/(2着馬)
1988 1. 10 京都 4歳新馬 16 3 5 1 3着 1200m(良) 1:14.8 (36.2) 0.9秒 熊沢重文 52 シンコウエンジェル
1. 23 京都 4歳新馬 11 5 5 1 1着 ダ1800m(稍) 1:54.4 (37.7) 大差 熊沢重文 52 (ロングイチヒメ)
2. 13 京都 梅花賞 400 8 6 6 2 3着 ダ1800m(良) 1:54.8 (37.8) 0.3秒 熊沢重文 53 ワンダーテイオー
3. 13 阪神 チューリップ賞 OP 11 8 10 6 中止 芝1600m(良) - -  - 熊沢重文 54 シヨノロマン
3. 27 阪神 4歳牝馬限定400万下 9 2 2 2 2着 芝2000m(不) 2:08.3 (36.0) 0.6秒 岡潤一郎 50 ミントビガー
4. 16 阪神 はなみずき賞 400 12 7 9 4 1着 芝2200m(良) 2:15.5 (36.3) クビ 岡潤一郎 53 (ミントビガー)
5. 22 東京 優駿牝馬 GI 22 3 9 10 1着 芝2400m(良) 2:28.3 (36.5) 1 1/2身 熊沢重文 55 マルシゲアトラス
7. 10 中京 高松宮杯 GII 8 1 1 4 3着 芝2000m(良) 1:59.9 (35.1) 0.9秒 熊沢重文 52 オグリキャップ
8. 28 小倉 小倉記念 GIII 12 4 4 1 2着 芝2000m(良) 2:02.1 (36.2) 0.0秒 熊沢重文 55 プレジデントシチー
10. 9 京都 京都大賞典 GII 8 7 7 1 2着 芝2400m(良) 2:27.6 (36.0) 0.5秒 岡潤一郎 55 メイショウエイカン
1989 4. 30 京都 オーストラリアトロフィー OP 9 5 5 2 1着 芝2200m(良) 2:17.1 (36.3) ハナ 熊沢重文 57 (スカイジャイアント)
6. 11 阪神 宝塚記念 GI 16 6 10 5 14着 芝2200m(良) 2:16.1 (38.4) 2.1秒 熊沢重文 54 イナリワン
7. 9 中京 高松宮杯 GII 14 8 14 5 9着 芝2000m(稍) 2:00.6 (36.8) 1.7秒 熊沢重文 55 メジロアルダン

引退後

引退後は北海道門別町の下河辺牧場で繁殖入り。リヴリアリアルシャダイダンシングブレーヴなど活躍種牡馬との交配もあったが目立った産駒は出なかった。後継の繁殖牝馬は5頭出した。2009年に繁殖からも引退。以後はむかわ町のフラット牧場で余生を送っていたが、2015年2月頃に老衰のため亡くなった。30歳没。

産駒一覧

生年 馬名 毛色 馬主 管理調教師 戦績 主な勝利競走 供用 出典
初仔 1991年 ミスチーフ 鹿毛 アスワン 田邉廣己 栗東・松田博資 (不出走) (繁殖牝馬) [5]
2番仔 1992年 ルナロッサ リヴリア 4戦0勝 [6]
3番仔 1993年 リアルハイブローウ リアルシャダイ 新潟村松保信
道営松田路博
34戦4勝 [7]
4番仔 1994年 スターノーティス ダンシングブレーヴ 田邉廣己
→市野長嗣
→西川尚
名古屋斉藤弘光 66戦15勝 [8]
5番仔 1995年 ネオン オールドヴィック 田邉廣己 道営・原孝明 (不出走) (繁殖牝馬) [9]
6番仔 1996年 マルブツクラウン 栃栗毛 クリミナルタイプ 大沢毅
→高橋秀昌
→大西優
→大西和子
→藤原晃
→朝田直行
栗東・坪正直
→名古屋・瀬戸口悟
水沢佐々木修
西脇松浦正勝
68戦13勝(うち地方55戦13勝) [10]
7番仔 1997年 コスモアクトレス 黒鹿毛 フォーティナイナー 大沢毅 栗東・坪正直 28戦1勝 [11]
8番仔 1999年 エスプレンドル 栗毛 田邉廣己 栗東・土門一美
園田溝橋利喜夫
7戦1勝(うち地方3戦1勝) (繁殖牝馬) [12]
9番仔 2000年 ブルーコメット 鹿毛 ウォーニング 田邉康子
→田邉廣己
栗東・土門一美
→道営・久保旭
→園田・溝橋利喜夫
→名古屋・山本敏男
50戦4勝(うち地方44戦4勝) [13]
10番仔 2001年 エスペランサー タイキブリザード 田邉廣己
→佐藤信吉
栗東・須貝彦三
→道営・鈴木英二
→園田・溝橋利喜夫
→道営・米川伸也
→道営・原孝明
→園田・保利幸作
52戦7勝(うち地方48戦7勝) [14]
11番仔 2002年 ヒサンサン 黒鹿毛 キングヘイロー 田邉康子 栗東・大橋勇樹 7戦1勝 [15]
12番仔 2003年 エトワール 鹿毛 シーロ 5戦0勝 [16]
13番仔 2005年 ユウズツ 栗毛 サウスヴィグラス 田邉廣己 栗東・大橋勇樹
→道営・米川伸也
12戦1勝(うち地方5戦1勝) [17]

エピソード

優駿牝馬当日のフジテレビスーパー競馬』での中継において、実況アナウンスを務めた堺正幸が、最後の直線でコスモドリームと同枠に入っていたサンキョウセッツとを誤認する事件があった。堺はコスモドリームが抜け出してきた瞬間「サンキョウセッツが来た」と実況、そのままゴールまで「サンキョウセッツ」と連呼を続け、ゴール後には「(サンキョウセッツに騎乗していた)郷原やっと牝馬のタイトル、牝馬クラシックを取りました」と締め括った。やがて誤りに気付き、解説を務めていた大川慶次郎との確認後に訂正した。

血統表

コスモドリーム血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ボワルセル系
[§ 2]

ブゼンダイオー
1974 鹿毛
父の父
ダイコーター
1962 鹿毛
*ヒンドスタン
Hindostan
Bois Roussel
Sonibai
*ダイアンケー
Dianne K.
Lillolkid
Bonnie Luna
父の母
アランバード
1963 鹿毛
*アドミラルバード
Admiral Byrd
Nearco
Woodlark
*アランデール
Allandale
Propontis
*フリローラ

スイートドリーム
1979 鹿毛
*ラッキーソブリン
Lucky Sovereign
1974 鹿毛
Nijinsky Northern Dancer
Flaming Page
Sovereign Pardao
Urshalim
母の母
ゲラン
1964 栗毛
*ソロナウエー
Solonaway
Solferino
Anyway
*ミスブゼン Summertime
Imperial Gold F-No.18
母系(F-No.) ミスブゼン系(FN:18) [§ 3]
5代内の近親交配 PharosFairway 5×5=6.25%、Bois Roussel 4・5(父内)=9.38% [§ 4]
出典
  1. ^ [18]
  2. ^ [19]
  3. ^ [18]
  4. ^ [18][19]


脚注

注釈

  1. ^ 当時はオープン特別。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o コスモドリーム”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月28日閲覧。
  2. ^ ドロップゴール”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  3. ^ コスモドリームの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月28日閲覧。
  4. ^ コスモドリーム 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月28日閲覧。
  5. ^ ミスチーフ”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  6. ^ ルナロッサ”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  7. ^ リアルハイブローウ”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  8. ^ スターノーティス”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  9. ^ ネオン”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  10. ^ マルブツクラウン”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  11. ^ コスモアクトレス”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  12. ^ エスプレンドル”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  13. ^ ブルーコメット”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  14. ^ エスペランサー”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  15. ^ ヒサンサン”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  16. ^ エトワール”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  17. ^ ユウズツ”. JBISサーチ. 2019年9月28日閲覧。
  18. ^ a b c コスモドリーム 血統情報:5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月28日閲覧。
  19. ^ a b コスモドリームの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月28日閲覧。

参考文献

  • 須田鷹雄「コスモドリーム 関東では無名の有名関西馬」『別冊宝島143 競馬名馬読本』(JICC出版局、1991年)

外部リンク