整体
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整体(せいたい)とは、脊椎・骨盤・肩甲骨・四肢(上肢・下肢)等の体全体の骨格や関節の歪み・ズレの矯正と、骨格筋の調整などを、手足を使った手技と補助道具にておこなう医業類似行為の一種であるとされる。「整体術」「整体法」「整体療法」と呼ばれることもある。
現在の整体は、日本武術の柔術や骨法等の流派に伝わる手技療法を中心とする整体、伝統中国医学の手技療法を中心とする整体、大正時代に日本に伝わったオステオパシーやカイロプラクティックなどの欧米伝来の手技療法を中心とする整体、各団体らの独自の理論や思想などを加えた整体など多種多様である。
過去に柔術や骨法等では、正体・正體・整體・整胎術等と呼称されていたが、現在の柔道整復(接骨・整骨)とは、施術に対する思想、施術内容が全く異なるとされている。
なお、整体士(一般に「整体師」と表記される場合が多いが、整体士は原則、資格不要職業であり有資格職業との誤解を防ぐため本項では「整体士」に統一する)に関する公的な資格や登録などの手続きは存在しない。日本国内においては民間資格という表現が用いられるが、営利団体や整体院が独自に発行する「認定証」ないし「修了証」の類に過ぎない。 これら「認定証」ないし「修了証」は技術レベルを客観的に示す指標としては有効であるように思えるが、これら整体の名称の入った「認定証」や「修了証」は個人・団体・企業の誰しもが独自に・勝手に発行が出来うる上に法律の規定がないため十分な判断材料とは言えない。このため、整体士という肩書きについては各種証書は原則として必要とせず、「認定証」ないし「修了証」の有無にかかわらず、職業選択の自由を理由に誰でも名乗ることができる。
通信教育で取得出来る整体士民間資格や認定証などや数ヶ月の講習受講で取得出来るプログラム(資格商法)も横行しており、また就業年限が長いからといって、公的資格制度が存在しない以上は技術レベルを保証するものではない。
- 整体士は、あん摩マッサージ指圧師でないため、あん摩、マッサージ、指圧の各手技を行う事は法令により禁止されている。また整体にはその様な技術系譜も無いので行う事も無い。
目次 |
[編集] 概要
本来、「整体」という言葉には、体を整える、あるいは、体のバランスを整える、また、整った体、という意味がある。「整体」は「整体概念」という中医学の基礎として、古くからその名称が確認されている。国内では整体業の父と言われる野口晴哉が昭和31年、体育団体として「社団法人整体協会」を旧文部省の認可を受けて設立した。よって本来、整体とは自分で自分の体調を整えられるよう指導する体育理論であり、他人に第三者が施術する今日の整体ビジネスのような形体ではない。
[編集] 歴史
現在の整体の起源は、伝統中国医学としての中国推拿が日本に伝来し、日本独自の施術に変貌したものであり、長年にわたり「療術」(治療ではない)として多種多様に存在していた。近年、伝統中国医学の手技療法や、大正時代に日本に伝わったオステオパシーやカイロプラクティックなどの欧米伝来の手技療法と、当時の施術家たちの独自の工夫や独自の思想などを加え、集大成したものが現在「整体」と呼ばれるものである。整体創設初期においては整体の事を、正体・正體・整胎術等と呼称していた。 整体は「正體」・「正体」・「正胎」という名で呼ばれていた自己改善療法が、「整体の父」野口により「整体」と命名された。今日では野口の整体を他の施術法と区別する際には「野口整体」と呼ばれる。現在も整体は各営利団体によって更なる変貌を続け、様々な独自の手法、独自の思想、独自の理論が展開されており、これらを統一した手技療法とすることは困難であるとされる。
整体の開祖たる野口の定義する本来の整体では「人間にあるという体癖(体の歪み)を愉気法や活元という独自の方法で自己治療し、修正現象がおきることで自然体になる」とする。よって本来、整体とは他人に第三者が施術する今日の整体ビジネスのような形体ではなく、自分で自分の体調を整えられるよう指導する体育理論であり、野口整体の整体道場は現在もそのような指導を行っている。
[編集] 施術の特徴
整体とは、体全体の骨格を形作る関節(脊椎・骨盤・肩甲骨・四肢・顎関節等)の歪み・ズレの矯正と、骨格筋のバランス調整等を、主に手足を使った手技(道具は、あくまで補助として使用する)にて施術する事で体を整え、体幹から四肢への脈絡の流れを良くし、脈絡改善によって各症状の改善を期待する健康法であると言われている。整体士の施術は、国家資格である柔道整復、あん摩、マッサージ、指圧とはまったく異なるものである。その施術は人体表面、つまり末梢を対象にした刺激を目的としないとされている。(道具での刺激療法はある)。
施術自体は(整体)操法、整体療術とも呼ばれ、上記のあるように国家資格である柔道整復・あん摩・マッサージ・指圧とはまったく違うため、治療と称することは法律で固く禁止されている。
[編集] 施術者の名称
整体を生業にする者は自らを整体師・整体士・整体療法士・整体指導者・トレーナー・セラピストなどと自称している。整体士の一部からは、法制化による国家資格化を期待する意見もある。
なお、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師柔道整復師には3年間の専門教育と国家試験による免許取得が義務づけられている。そのため、これらの国家資格保有者などからは、資格不要職業である整体士が正しい知識も持たずに有資格職業であるかのように振舞って医業類似行為や擬似治療行為を行うのは国民の利益に反する犯罪まがい行為と言っても過言ではないとし、その禁止を求める署名運動[要出典]も起きている。
しかしながら、各流派・会派・団体・企業・店舗間で、その理論や思想の違いがあり、組織的な統合の合意がされていない事、国家資格化に伴う各整体団体の利益損失、各整体スクールの利益損失、一般には柔道整復師ならびにあん摩マッサージ指圧師との違いが分かりにくい、整体術そのものが医学的・科学的に根拠が乏しいなどの理由から、実現性はない。
整体士が医業類似行為を業として行う事に対して、1960年最高裁判所昭和35年1月27日大法廷判決が「憲法22条は何人も公共の福祉に反しない限り職業選択の自由を有することを保障している」と判示したことを根拠に、合法であるとする主張がある。しかしながら、この判決は、医業類似行為を客に行った被告人が、無資格診療を行ったとして刑事訴追された刑事事件に関する判決である。同時に、「人の健康に害を及ぼすおそれのある業務行為に限れば、法律でこれを禁止することは合憲である」とも判示しており、仙台高等裁判所に事件を差戻している。そして、仙台高等裁判所は、当該事件の医業類似行為が「人の健康に害を及ぼすおそれのある業務行為」であることを認定して有罪判決を維持し、再度上告された最高裁判所で有罪判決が確定している(それぞれ、仙台高裁判決昭和38年7月22日、最高裁判所決定昭和39年5月7日)。 にもかかわらず、今日も整体ビジネスが公然と行われているのは既得権益によるものである。
これに対し主に整体士の側からは「整体はそもそも医業類似行為にはあたらない。仮にあたるとしても、人の健康に害を及ぼすおそれがない。したがって、整体は法律に違反しない。」と主張されている[要出典]。しかし、主に国家資格者であるあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師や医療従事者からは、「骨折や脱臼、神経麻痺などを起こすおそれがある。また、悪性腫瘍などの重大疾患が隠れているような場合に、医療機関への受診遅れにもつながりかねない。したがって、整体は『人の健康に害を及ぼすおそれがある医業類似行為』であり、無資格でこれを行うことは違法で、国民の利益に反する。」と懸念されている(後述)。
なお、国家資格である鍼灸・按摩マッサージ・指圧・柔道整復を教育する学校では、整体術は明確な体系化がなされていないため教えていない。
[編集] 医業類似行為として
「医業類似行為」も参照
医業類似行為を行なって良い者は、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あはき法第12条の2により同法公布の際に引き続き3カ月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者だけである。
「あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復」以外の狭義の医業類似行為については、「当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となる」とされている[1]。
- 整体士は医師でないため、「医師」の名称使用は法で禁じられている(医師法第十八条)。ドクターの名称についても医師との紛らわしさを防ぐために、医療系のドクターでない旨専門分野を明らかにして表記しなくてはならないと厚生労働省の通知がある。
- 整体士は医師ではないため、「病院」「療養所」「診療所」「診察所」「医院」、その他病院又は診療所に紛らわしい名称を付けることは法で禁じられている(医療法第三条)。
- 整体士は医師法に定める医師ではないので診断を伴う診察を行うことはできない。具体的には医学で使用されている病名を判断してはならない。(「胃潰瘍である」とか「腱鞘炎である」等)。また外科的手術、注射、はり、灸、マッサージ、麻酔、レントゲン撮影、さらには血圧を測ることも医師法など医療関連法により禁止されている。
- 整体士は薬剤師ではないので医薬品を調合出来ない。
- 整体士は医師でないので投薬や服用の指示は出来ない。
- 整体士は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師ではないので、当該国家資格を持たない限り、あん摩・指圧・マッサージ・はり(鍼)・灸・接骨、整骨等の用語を使用してはならない。
- 整体士は国家資格ではなく誰でも名乗ることができ、認定証・修了証がある場合でも原則無資格者となる。治療類似行為を行い、それが著しく好ましくない結果をもたらした場合、刑法の定める業務上過失傷害罪などに問われる。また、医療機関への受診が必要であるにもかかわらず、これを妨げて相手が死傷した場合、保護責任者遺棄致死傷罪や、不作為による殺人罪にも問われる(ライフスペース主宰者によるシャクティパット事件参照)。
- 施術実績などの広告を出すこと、効果のある病名を掲示すること、「○○流□□派」などの流派の誇示は、あはき法第七条によって禁止されている[2]。
- 整体への出費は医療費控除の対象とならない。
[編集] 整体士の整体技術に対する見解について
日本に整体の教育を公的に評価する機関は存在しない。よって営利目的の整体団体や整体スクール、整体チェーン企業によって「認定証」または「修了証」が独自に発行されるのみである。これは仮にある者が「国際整体免許皆伝協会」なる団体を創立して、独自の判断から「国際整体免許皆伝認定証」を自らに発行できるという事である。
- 『厚生労働大臣認可 全国整体療法協同組合』
- 経営組織が中小企業等協同組合である経営互助会に加盟していることを示すもので、国家資格・技術資格とは異なる。
- 『内閣府認証』という表現を謳った認定証や修了証
- こちらも同様の営利団体や企業が独自に組織したNPO法人が発行している物であり、国家資格とは異なる。なお、NPO法人設立には内閣府の認証が必要であるため、「内閣府認証」という表記は虚偽ではないが、公益性があるかのような印象操作を狙っていると思われる。
よって、頻繁に国家資格保有者である他の療術業から、整体士は『法律により国家資格保持者のみが施術を許される施術をしている』と指摘される。これに対して整体士の側の主張は、按摩・マッサージ・指圧を施術しているのでは無く、『触診法・骨格矯正法・揺さ振り法・開節法・弛緩法・操作法・筋整流法(腱引き療法)・操体法・牽引法等』などの健康法を行っているに過ぎないというものだが、国家資格者たる按摩マッサージ、柔道整復師などからは、整体行為は如何に体の歪みを矯正する健康法であったとしても、その施術の範囲内にあるとの指摘がされており、整体士の施術の見解については意見が分かれる。
ただし厚生労働省では、「整体は指圧の類ではないか」との疑義照会に対して、昭和47年7月9日付旧厚生省医務局長からの回答で『整体は脊椎等の調整を目的とする点において、あん摩、マッサージ又は指圧と区別される。従って、あん摩、マッサージ又は指圧に含まれないものと解する』と回答している。[要検証]
また特にチェーン展開のスーパー銭湯内の整体店などで多く見られるが、法逃れの為に整体の看板を隠れ蓑に客を寝かせ安易にアルバイトが背中や腰を押すだけと言った、実質的にマッサージ行為を行っている違法の悪質業者も多く散見する。
[編集] 禁忌対象疾患
整体術(カイロプラクティックなど)の対象とすることが適当でない疾患として、厚生労働省通達[3]において、腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされている。さらに、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、整体で悪化させる恐れがあるため注意が必要である。たとえば、寝違えて首が痛い場合は、首筋を揉んだり叩いたりしてはいけない。整体士には正しい医学知識がないため「寝違えた」と訴えてきた客にたいして、安易に揉んだり叩いたりするが、寝違えた場合は首筋の筋が炎症を起こしている可能性が高く、揉んだり叩いたりすると症状を悪化させるだけであるため注意が必要である。さらに血圧が高いときは要注意である。通常、血管に障害があるときは血圧が高くなるため、整体術により脳梗塞、脳血栓などの致命的な障害を誘発しかねない。整体士は血圧を測ることも禁止事項であり、客が自分の血圧を認識しておくことが重要である。
また国内外を問わず、整体などによる施術(寝違いの治療)を行い頸椎損傷で意識不明の重篤な障害を負ったり、半身不随になった事例が数多く報告されており、そのまま死亡してしまったケースも存在する。
[編集] 出典
- ^ いわゆる無届医業類似行為に関する最高裁判所の判決について 昭和35年3月30日 医発第247号の1 各都道府県知事あて厚生省医務局長通知
- ^ あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反, 刑集第15巻2号347頁 (最高裁判所大法廷 昭和36年02月15日).
- ^ 平成03年06月28日 医事第58号
[編集] 参考文献
- 『整體醫典』平賀臨著壽康会1939年(昭和14年)日本公論社
- 『手を似て病気を治す法』平賀臨著壽康会昭和15年京文社書店
- 『正體術大意』高橋迪雄著日本正體術協会1926年(大正15年)
- 『正體術矯正法』高橋迪雄著日本正體術協会1927年(昭和2年)
- 『正體術』高橋迪雄著 日本正體術協会 昭和十一年
- 『山田式整体講義緑』 山田信一講述 大正10年発行
- 『柔術教授書龍之巻・虎之巻』野口潜龍軒監修 帝国尚武会 大正二年
- 『武術最高極意』 野口一威斎帝国尚武会大正五年
- 『甲・乙・丙種科教授書』永井尚知著 野口潜龍軒監修 帝国尚武会 明治四十二年五月発行
- 『整体入門』野口晴哉 著、1968年 東都書房、1976年 講談社、2002年 ちくま文庫 ISBN 978-4480037060
- 『実践武術療法―身体を識り、身体を治す!』月刊秘伝編集部【編】BABジャパン ISBN 9784862205063
[編集] 関連項目
- 体癖
- 活法
- 手技療法
- カイロプラクティック(脊椎矯正療法)
- リフレクソロジー
- クオリティ・オブ・ライフ (QOL)
- 健康法
- 医業
- 医業類似行為
- 代替医療