伊藤潤二

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伊藤 潤二(いとう じゅんじ、1963年[1]7月 - )は、日本の漫画家。代表作は『富江』シリーズ、『うずまき』、『首吊り気球』、『ミミの怪談』など。

岐阜県生まれ[1]中津川市在住。保育園児の頃から、楳図かずお古賀新一らの怪奇マンガに熱中し、自らも怪奇マンガを描き始める。映像化された作品も多い。2006年に創造生物画家の石黒亜矢子と結婚した。

作風[編集]

ホラー作品を中心とする。そのほかにはサスペンス作品の製作も行っている。

初期の作画は線の描き込みや特殊なアングル(視点)などの点で、大友克洋の影響が指摘される[2]。男女を問わない現実離れした美貌を持つキャラクターを描ききる繊細な画力と、ページをめくる人間に不快感を催させるグロテスクな描写の混成が特徴の一つである。プロットは、「首吊り気球」などアイディア自体が偏執的な設定が多く、高度な画力や奇妙な切迫感を煽るストーリーテリングによって読者を引きつける。その不条理かつグロテスクな恐怖は後年映像表現において大きな潮流となったジャパネスク・ホラーに近似的なものである。

また、作中におけるホラー表現の中には、そうした切迫感のうちにもギャグあるいはパロディの効果を生んでいるものが多いことが指摘され、作者が意図的に配置しているものであるとも考えられている[3]。街中の人間がゾンビになるというゾンビ映画を翻案した、街中の人間が首から先だけ気球になるという「首吊り気球」などが筆頭であり、実際に事実上のシュールギャグ漫画なども執筆したこともある。

2012年10月31日放送の『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日制作)内のコーナー、「新3大・伊藤潤ニの映像を超えている恐怖」で3作品が取り上げられた。

来歴[編集]

作品リスト[編集]

  • ハロウィン少女コミック館 / 朝日ソノラマ
    • 屋根裏の長い髪 (1990/2)
    • 地下室 (1990/2)
    • 屋敷 (1990/10)
    • JUNJIの恐怖コレクション(1) 脱走兵のいる家 (1991/3)
    • JUNJIの恐怖コレクション(2) 首のない彫刻 (1991/10)
    • JUNJIの恐怖コレクション(3) 楽しい夏休み (1992/3)
    • JUNJIの恐怖コレクション(4) 路地裏 (1992/12)
    • JUNJIの恐怖コレクション(5) 布製教師 (1993/8)
    • JUNJIの恐怖夜話(1) うめく排水管 (1994/3)
    • JUNJIの恐怖夜話(2) 首吊り気球 (1994/9)
    • JUNJIの恐怖夜話(3) 墓標の町 (1994/11)
    • サイレンの村 (1995/2) (下記の『サイレンの村』を再収録)
    • シリーズ恐怖の双一 棺桶 (1995/9)
    • シリーズ富江の恐怖 画家 (1996/2)
  • 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス / 朝日ソノラマ
  • フランケンシュタイン (1994/12)
  • 伊藤潤二恐怖マンガCollection 全16巻 / 朝日ソノラマ (上記全収録作品を再収録)
    • 第1巻 富江 (1997/10)
    • 第2巻 富江 PART 2 (1997/11)
    • 第3巻 肉色の怪 (1997/12)
    • 第4巻 顔泥棒 (1998/1)
    • 第5巻 双一の楽しい日記 (1998/2)
    • 第6巻 双一の呪いの日記 (1998/3)
    • 第7巻 なめくじ少女 (1998/4)
    • 第8巻 血玉樹 (1998/5)
    • 第9巻 首幻想 (1998/6)
    • 第10巻 あやつり屋敷(1998/7)
    • 第11巻 道のない街 (1998/8)
    • 第12巻 いじめっ娘 (1998/9) (「土の中…」を新規収録)
    • 第13巻 サーカスが来た (1998/10)
    • 第14巻 トンネル奇譚 (1998/11)
    • 第15巻 死びとの恋わずらい (1998/12)
    • 第16巻 フランケンシュタイン (1999/1)
  • 死びとの恋わずらい 完全版(2001/3) / 朝日ソノラマ (『死びとの恋わずらい』に「余話・白服の美少年」を加えて再収録)
  • 富江 <全> -The complete comics of Tomie- (2000/2) / 朝日ソノラマ (上記「富江」作品を再収録)
  • 富江 Again -富江 PART 3- (2001/3) / 朝日ソノラマ
  • 伊藤潤二恐怖博物館 - ソノラマコミック文庫 全10巻 / 朝日ソノラマ (上記全収録作品を再収録)
    • 第1巻 富江 1 (2002/5)
    • 第2巻 富江 2 (2002/5)
    • 第3巻 屋根裏の長い髪 (2002/6)
    • 第4巻 案山子 (2002/7)
    • 第5巻 路地裏 (2002/8)
    • 第6巻 双一の勝手な呪い (2002/9)
    • 第7巻 うめく排水管 (2002/10)
    • 第8巻 白砂村血譚 (2002/11)
    • 第9巻 押切異談&フランケンシュタイン (2002/12)
    • 第10巻 死びとの恋わずらい (2003/1)
  • 伊藤潤二恐怖博物館 新版 - ソノラマコミック文庫 全10巻 (2007/11) / 朝日新聞出版 (『伊藤潤二恐怖博物館]』と同一内容)
  • 伊藤潤二傑作集 - 朝日コミックス 既刊8巻 / 朝日新聞出版 (『伊藤潤二恐怖博物館]』をリサイズ)
    • 第1巻 富江 上 (2011/1)
    • 第2巻 富江 下 (2011/1)
    • 第3巻 双一の勝手な呪い (2011/2)
    • 第4巻 死びとの恋わずらい (2011/2)
    • 第5巻 脱走兵のいる家 (2011/3)
    • 第6巻 路地裏 (2011/3)
    • 第7巻 首のない彫刻 (2013/4)
    • 第8巻 うめく排水管 (2013/4)
  • うずまき
    • ビッグスピリッツコミックススペシャル 全3巻 (1998/08,1999/02,1999/09) / 小学館
    • ビッグコミックスワイド版 (2000/03) / 小学館 (特別読切『銀河』を収録)
    • ビッグコミックスワイド版 (2010/08) / 小学館 (特別読切『銀河』を収録、佐藤優氏の解説付き)
  • ギョ
    • ビッグスピリッツコミックス全2巻 (2002/02,2002/05) / 小学館 (短編『大黒柱悲話』『阿彌殻断層の怪』を収録)
    • 2012年にアニメ文庫(OVA)化。
  • ミミの怪談 - MFコミックス (2003/03) / メディアファクトリー
  • 闇の声
    • 闇の声 - 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス (2003/09) / 朝日ソノラマ
    • 新・闇の声 潰談 - 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス (2006/11) / 朝日ソノラマ
    • 闇の声 <全> - ソノラマコミック文庫 (2009/3)/ 朝日新聞出版 (上記2作品を文庫化して再収録)
  • 地獄星 レミナ - ビッグスピリッツコミックス (2005/08) / 小学館 (短編『億万ぼっち』を収録)
  • 伊藤潤二の猫日記よん&むー - ワイドKC (2009/3) / 講談社
  • ブラックパラドクス - ビッグスピリッツコミックススペシャル (2009/3) / 小学館
  • 怪、刺す (原作:木原浩勝) - 少年サンデーコミックススペシャル (2010/8) / 小学館
  • 猫マンガだニャン! - 未単行本化(『YOMBAN』にて連載中のリレー漫画の第1話を担当)
  • 憂国のラスプーチン - 全6巻(原作:佐藤優、脚本:長崎尚志)/ 小学館

映像化作品[編集]

映画[編集]

富江
  • 富江 (1999年)
  • 富江 replay (2000年)
  • 富江 re-birth (2001年)
  • 富江 最終章 ―禁断の果実― (2002年)
  • 富江 BEGINNING (2005年)
  • 富江 REVENGE (2005年)
  • 富江VS富江 (2007年)
  • 富江 アンリミテッド (2011年)
恐怖コレクション
  • 伊藤潤二 恐怖collection 「屋根裏の長い髪」 (2000年)
  • 伊藤潤二 恐怖collection 「首吊り気球」 (2000年)
  • 伊藤潤二 恐怖collection 「悪魔の理論」 (2000年)

テレビドラマ[編集]

  • 戦慄の旋律(1991年)
  • 富江 恐怖の美少女(1999年) VHS/DVDリリース時に「富江 アナザフェイス」に改題
伊藤潤二恐怖コレクション
  • 伊藤潤二恐怖コレクション 「長い夢」(2000年)
  • 伊藤潤二恐怖コレクション 「顔泥棒」(2000年)
  • 伊藤潤二恐怖コレクション 「押切」(2000年)
  • 伊藤潤二恐怖コレクション 「墓標の町」(2000年)

ビデオ作品[編集]

  • DRAMADAS 伊藤潤二+山上たつひこの謎さがし 戦慄の旋律 / おろし金に白い指(2005年)

アニメーション[編集]

新人の盗作騒動[編集]

2006年4月上旬に『月刊ホラーM』に掲載された「第19回ホラーM新人まんが大賞期待賞受賞作」が伊藤潤二の作品『なめくじ少女』に類似していることが指摘された。この件に関して編集部は、自由の範疇として盗作を否定したが、その後は著作権侵害となると認めたために受賞は取り消された。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 歯科医療経済 2012年1月号, p.23
  2. ^ 夏目房之介による(NHK『BSマンガ夜話』2004年12月1日放送)。
  3. ^ 『BSマンガ夜話』での夏目や岡田斗司夫による指摘。しかしいしかわじゅんは、ギャグ表現が意図的であることについては否定的見解を示した。

参考文献[編集]

  • 「平成24年新春特別企画 2012年に羽ばたく歯科界異能の才人たち」、『歯科医療経済』第2巻第1号、医療経済出版東京都千代田区、2012年1月、 22-30頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]