ロビン・フッド

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ロビン・フッド碑

ロビン・フッド (Robin Hood) は、中世イングランド伝説上の人物である。まれに「ロビン・フード」と表記されることがある。

成立と変容[編集]

吟遊詩人たちによって1編の物語として編集され、一般に広まる。

「歴史書にも名前が現われる」とか「1241年没」という伝承もあるが、実在を裏付けるような確かな資料はない。ロビン・フッドというのは、あくまで何人かの人物にまつわる伝承が合わさって形成された可能性が高い。たとえばヘリワード・ザ・ウェイク (Hereward the Wake) などがモデルとして挙げられている。また、13世紀イタリアのアウトロー的人物、en:Ghino di Taccoからもインスピレーションを得ているらしい。

13世紀イギリスにはRabunhodという名の人の記録があるとしている文献が多いらしい[1]。ロビン・フッドに類似した名前は、アウトロー(法の保護外の者)の盗賊の比喩として使われていたようで、13・14世紀のいくつかの文献・資料に登場する。

中世抒情詩のひとつのジャンルであるパストゥレルは、騎士と女羊飼いとの恋の駆け引きを描くものであるが、フランス中世のアダン・ド・ラ・アル(1240年頃 - 1287?1304?年頃)は、それを田園牧歌劇形式に書き換え、Jeu de Robin et Marion ジュ・ドゥ・ロバン・エ・マリオン『ロバンとマリオンの劇』という作品に仕上げた。この作品の中ではロバンとマリオンは羊飼いのカップルとなっている。この劇作そのものかどうかははっきりしないが、この時代、アンジェでは毎年ペンテコステ聖霊降臨祭)で『ロバンのマリオンの劇』というタイトルの演劇作品が上演された、という。17世紀はじめごろまで、イギリスの五月祭の参加者の中から王と王妃役の人が選ばれ、彼らは「ロビンフッド」と「マリオン」と呼ばれたという[2]

14世紀のウィリアム・ラングランドの長編詩「農夫ピアズの夢」の中で、まとまった物語として(初めて)登場する[3]。古い伝承では、ロビン・フッドはノルマン・コンクエスト後に、ノルマン人に抵抗する、サクソン人の非小作農民ヨーマンとなっており、その後エドワード1世時代の設定になり、ノルマン人に所領を奪われた貴族、義賊、マリアン(ノッティンガムの領主の家族ことは確かだが、伝承や作品により、娘・妻・未亡人などの違いがある)とのロマンス、あるいは十字軍帰りなどの設定が加わった。16世紀以降、リチャード1世(獅子心王)時代の人物となり、リチャード1世が十字軍遠征に赴いている間にジョン王の暴政に反抗した人物として描かれるようになった。

の名手で、イギリスノッティンガムシャーウッドの森に住むアウトロー集団の首領で義賊」、 という設定(イメージ)は実は比較的新しいもので、19世紀あたりから描かれるようになったという。緑色の服をまとう人物として描かれる。

19世紀以降のお話での登場人物[編集]

ロビン・フッド
(あだ名:大股のロビン、ロクスレイのロビンRobin Longstride, Robin of Loxley or Locksley)

「愉快な仲間たち」(Merry Men[編集]

ちびのジョン(リトル・ジョン)Little John
あだ名に反して怪力の大男。ロビンの片腕的存在で、丸太橋の上で六尺棒でロビンと戦い仲間になる。
タック修道士 Friar Tuck
怪力の修道士。好戦的と言うよりもむしろエールを愛する陽気な男。
アーサー・ア・ブランド Arthur a Bland
逃亡中の密猟者で、ロビンと戦って勝って、仲間になる。
粉屋のせがれマッチ Much the Miller's Son
初期のバラッドでは成人で二番手の戦士、後世の物語では愉快な仲間たちの中で最年少となっている。
ウィル・スカーレット Will Scarlett
いつも赤い服を着ている。剣の達人でロビンの甥。
ウィル・スチュートリー Will Stutely
ジョンに自分のあだ名「ちび」を与える。ノッティンガムの代官をスパイして捕らえられ、そして救出される。ウィル・スカーレットと時折混同される。
ドンカスターのデイビッド David of Doncaster
ロビンにノッティンガムの代官が開催する弓比べの大会は罠であると教え、行かないように警告する。
アラン・ア・デイル Alan-a-Dale
吟遊詩人。別の男と結婚させられそうになっている恋人をロビンに頼んで救出させる。最近の媒体では、サラセン人(イスラーム教徒)が仲間にいる事が多い。
乙女マリアン Maid Marian
ロビン・フッドの恋人。最近の媒体では、お転婆娘で有能な戦士として描かれることが多い。
リーのリチャード Richard at the Lee
修道院長に土地を担保に借金をしたが返せないため、土地が没収されそうになっている悲しげな騎士。ロビンはその支払いを手伝ってやる。

その他の登場人物[編集]

獅子心王
リチャード1世
ジョン王子(後のイングランド王ジョン)
悪役として描かれる
ヘアフォード司教 Bishop of Hereford
裕福で強欲なため、ロビンと愉快な仲間たちに強盗を受ける。
ギスボーンのガイ Guy of Gisbourne
ノッティンガムの代官のためにロビンを捕らえるが、ロビンに殺され首を切られる。
ノッティンガム代官 Sheriff of Nottingham
敵役。ロビンを捕まえようと付け狙う。

ロビン・フッドが主題の作品(近代以降)[編集]

Douglas Fairbanks Robin Hood 1922 film poster.jpg
Robin shoots with sir Guy by Louis Rhead 1912.png

文学作品[編集]

映像作品[編集]

ゲーム[編集]

楽曲[編集]

影響[編集]

あるギャンブラー[誰?]がロビン・フッドと名乗って、困っている人にお金をあげる活動をしている[5]

関連項目[編集]

[編集]

  1. ^ Holt, J. C., Robin Hood, Ed : Thames & Hudson, 1982
  2. ^ [1]
  3. ^ 怠け者の司祭が、「主の祈りはよく覚えていないが、ロビン・フッドの詩は知っている」ことを告白するくだりがある。V.396 in Schmidt's ed.
  4. ^ 「BonusColumn 海外テレビ映画の放映」『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』 竹書房/イオン編、竹書房1995年11月30日、50頁。C0076。ISBN 4-88475-874-9
  5. ^ http://www.narinari.com/Nd/20100814000.html