岩波少年文庫

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岩波少年文庫(いわなみしょうねんぶんこ)は、日本出版社岩波書店が出版している児童文学の叢書である。小B6判・並製。

沿革[編集]

1950年12月25日創刊[1]。初回の刊行はスティーブンスン宝島』、ウェブスターあしながおじさん』、ディケンズクリスマス・キャロル』、ハムズン『小さい牛追い』、ケストナーふたりのロッテ』の5冊であった。当初の装丁はソフトカバーであったが、1954年にハードカバー化された。ケースもしっかりした厚紙であった。

1961年12月16日までに第一期(全100点、121冊)・第二期(全72冊)合計193冊の刊行が完了。以後、児童書については単行本および、岩波少年少女文学全集全30巻(1960〜1963年)、個人全集の刊行に力が入れられ、岩波少年文庫の新刊は10年余り刊行されなかった。

1974年11月13日第一次オイルショック による物価高騰の影響を受け、ソフトカバーの軽装版で新刊の刊行を再開[2]。1983年までに全68冊が刊行された。

1985年には創刊35周年を迎え、4色刷のカバーの新装版が発行された。この時、背表紙の色が対象年齢別に、ピンク(小学生中級〜)、黄色(小学生上級〜)、水色(中学生〜)の3種に色分けされた。その後、1991年までに全51冊が刊行された。

1995年には創刊45周年を記念して新刊の刊行を再開。これ以降、新刊の刊行は継続している。2000年には創刊50周年を迎え、左右の幅を7mm広げた新しい判型が採用された。

2010年には創刊60周年を迎えており、総発行点数は約400、総発行部数は約3,100万部に達している[3]

分類[編集]

現在は対象年齢を小学生向け・中学生向けの2種類に分けて背表紙を対象年齢別に、ピンク系(小学生〜)及びブルー系(中学生〜)の2種を基本としつつ、シリーズものには特別な配色が用いられている。小学生向けに関しては表紙裏のあらすじ部分に「小学3・4年生以上」のように対象学年が記載されている。

作品番号は発行順でなく001〜199番が小学生向け、501〜699番が中学生向けに割り当てられている。

過去の分類[編集]

第1期から3期は対象年齢別の分類でなく、発行された順番を原則とする3ケタの通巻番号が割り当てられていた。第3期のソフトカバー版では小学校中学年(3・4年生)向けを1000番台、高学年(5・6年生)向けを2000番台、中学生向けを3000番台とする4ケタの分類番号が新たに採用され、1985年のカバー復活後もこの番号が継承されたが2000年以降は前述したように新しい3ケタの分類番号へ移行している。

関連する人物[編集]

児童文学作家の石井桃子は、岩波書店嘱託として、創刊当時から本文庫の企画・編集に関わった。戦前に石井が開設していた児童図書館・白林少年館の出版部より刊行されたケネス・グレアムたのしい川べ』とヒュー・ロフティングドリトル先生アフリカゆき』の2点は現在も岩波少年文庫に収録されている[4]

創刊から2000年まで旧版の巻末に掲載されていた「岩波少年文庫発刊に際して」の執筆者は、本文庫の創刊に尽力した吉野源三郎である。2000年以降は、編集部名義の「岩波少年文庫創刊50年 新版の発足に際して」が掲載されている。

関連文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『岩波書店七十年』(1987年3月27日、岩波書店発行)289頁。
  2. ^ 『岩波書店七十年』(1987年3月27日、岩波書店発行)633、635頁。
  3. ^ 岩波少年文庫創刊60周年記念フェア(2010年10月3日時点のアーカイブ
  4. ^ 『たのしい川べ』の白林少年館版は中野好夫訳だが、岩波少年文庫版は石井桃子の新訳。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]