ホッキョククジラ

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ホッキョククジラ
ホッキョククジラ

(下)人間の大きさとの対比
人間との大きさの対比
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: クジラ目 Cetacea
亜目 : ヒゲクジラ亜目 Mysticeti
: セミクジラ科 Balaenidae
: ホッキョククジラ属 Balaena
: ホッキョククジラ B. mysticetus
学名
Balaena mysticetus 
Linnaeus, 1758
和名
ホッキョククジラ
英名
Bowhead Whale

ホッキョククジラ(北極鯨、学名Balaena mysticetus)は、ヒゲクジラ亜目セミクジラ科ホッキョククジラ属に属するクジラ。他のクジラが採餌や繁殖のために移動を行うのと異なり、ホッキョククジラは一生を肥沃な北極海で過ごす。近縁種にセミクジラ属がある。

他のセミクジラ科のクジラ同様、ホッキョククジラは捕鯨産業の初期の目標とされており、1966年に商業捕獲が一時停止されるまでに個体数が激減した。現在の個体数は全世界で9,000頭と推測されている。これは捕鯨が開始される以前の推定50,000頭に比べて大幅な減少である。

目次

[編集] 形態

フェロー諸島の切手に描かれたホッキョククジラ

ホッキョククジラの体格はがっしりしていて暗色の体色をしている。全長20mに達し、雌は雄よりも大きくなる。クジラの肉の脂肪層は他のいかなる動物よりも厚く、平均43-50cmに及ぶ。背びれをもたず、強く湾曲した下顎と細い上顎をもつ。髭板の長さは3mを超え、これはヒゲクジラの中でも最も長い。この髭板は水中の小さな獲物を濾し取るために用いられる。

このクジラは非常に骨太な頭蓋骨をもち、呼吸する際にこれを使って氷を下から砕いている。イヌイットの狩人達によると、ホッキョククジラはこの方法で60cmの氷の下から浮上することが出来るという。

[編集] 分布と生態

ホッキョククジラの生息域

ホッキョククジラは、ヒゲクジラの中で唯一、生涯を北極海およびその周辺で過ごす種である。ベーリング海南西部で冬季を過ごしている様子がアラスカ沖で見かけられる。ホッキョククジラは春になると流氷の開口部を追って北へ移動し、オキアミ動物プランクトンを餌としながらチュクチ海ボーフォート海へ向かう。ホッキョククジラは泳ぐのが遅く、たいていは単独または最大6頭程度の小さな群で移動を行う。

ホッキョククジラは社会性で攻撃的ではなく、脅威を感じたときには氷の下に逃げこむ。一度の潜水で40分ほど海面下に潜っていられるものの、ホッキョククジラは深くまで潜水を行うとは考えられていない。このクジラを捕食する生物は人間のほかはシャチのみである。

[編集] 繁殖と寿命

ホッキョククジラは高度な発声能力をもち、移動・採餌および集団行動の際のコミュニケーションのために水中音を使用している。長く繰り返される音声を発することもあり、これは求愛の歌であると考えられている。ホッキョククジラの習性としては他に、水上に飛び上がって体を水面に打ちつけるブリーチング、尾びれで水面を打つテール・スラッピング、体を垂直にして水面から顔を出すスパイホッピングなどがある。繁殖行動は一つがいの間、あるいは数頭の雄と1~2頭の雌からなる騒がしい集団内で行われる。

繁殖は3月から8月にかけて観察される。繁殖活動は、クジラが10~15歳程度になった頃から行われるようになる。メスは3~4年に一度、13~14ヶ月間の妊娠期間の後に出産する。ホッキョククジラの新生児は全長4.5m、平均体重1,000kgほどで、最初の一年で9mほどに成長する。

ホッキョククジラの寿命は、かつては他のクジラと同程度の60~70年ほどと考えられていた。しかし最近の詳細な研究により、少なくとも数頭の個体は150~200年程度生きているという信頼のおける結論が得られた(別の報告によると、90歳の雌がなおも繁殖可能であるという)[1]

その寿命の長さから、ホッキョククジラの雌は更年期障害に陥ると考えられている。大型の動物の観察(幼獣を除く)が、この仮説の支えとなっている[2]

[編集] 人間との関わり

オランダの捕鯨船員が北極においてホッキョククジラの捕鯨を行う様子が描かれた18世紀の版画。背景の山はヤンマイエン島のビレンバーグ山
捕鯨の対象となったホッキョククジラの死骸
ホッキョククジラの骨格

ホッキョククジラは、脂肪を含む鯨油・骨および鯨鬚を目当てに捕鯨の対象とされてきた。ホッキョククジラはセミクジラと近縁で、泳ぎが遅く、死亡した後も水面に浮いているという捕獲に適した特性もセミクジラと共通している。アラスカなどの先住民は古くからその捕獲を行ってきた。欧米による商業捕鯨が行われる以前には、北極地方には50,000頭以上(推定)のホッキョククジラが存在した。商業捕鯨は1611年スヴァールバル諸島グリーンランド付近で開始され、各海域の資源を枯渇させると新たな海域に移動した。北太平洋では、商業捕鯨は1800年代半ばに開始され、その後20年間でホッキョククジラの個体数の60%以上が捕獲される結果となった。

個体数減少の最大の原因であった商業捕鯨は現在は中断している。ただしアメリカのアラスカ先住民とロシアのチュクチ族は、原住民生存捕鯨として許可を得て毎年ホッキョククジラを捕獲している。この捕獲(年に25~40頭程度)は、個体数回復の妨げになるものではないと見られ、アラスカ沖における個体数は、商業捕鯨停止後は増加傾向にある。

[編集] 個体数

アラスカ海岸沖の個体数(ベーリング=チュクチ=ボーフォート個体群とも呼ばれる)は回復傾向にあるようだが、現在も7,800頭程度(1990年)に留まっており、これは捕鯨開始以前の同海域の個体数のおよそ41%であると推定される。その他の海域におけるホッキョククジラの個体数はあまり良く知られていないが、いずれもごくわずか、おそらく数百頭程度と考えられている。そのため世界全体での個体数は8,000~9,200頭程度で、商業捕鯨以前の1/5以下に留まると見られる。

ホッキョククジラはワシントン条約の付属書Iに掲載されている(すなわち、「絶滅の恐れのある種」である)。IUCNレッドリストにおける分類は以下の通り。

[編集] ギャラリー

[編集] 脚注

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[編集] 外部リンク

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