パーキンソン症候群
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| パーキンソン症候群 | |
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| 分類及び外部参照情報 | |
| DiseasesDB | 24212 |
| MedlinePlus | 000759 |
パーキンソン症候群 (Parkinson's syndrome) とはパーキンソン病およびパーキンソン病症状を呈する疾患の総称である。パーキンソニズム (parkinsonism) ともよばれるが、パーキンソニズムは疾患群を意味するほかに下記の症状そのものをも意味する。
目次 |
[編集] 分類
[編集] 本態性パーキンソニズム
症状の原因が明らかでないパーキンソニズムを本態性パーキンソニズムという。そのほとんどがパーキンソン病であるが、そのほかに若年発症パーキンソニズム、遺伝性パーキンソニズムを分類することがある。
詳細は「パーキンソン病」を参照
[編集] 症候性パーキンソニズム
パーキンソン症状の要因が明らかなものを症候性パーキンソニズムという。
- 脳血管障害性パーキンソニズム
- ラクナ梗塞後、特に多発性ラクナ梗塞に発症することが多い。ラクナ梗塞は大脳基底核に好発するためと考えられる。ビンスワンガー型白質脳症でパーキンソニズムを呈することもある。
- 脳炎後パーキンソニズム
- 薬剤性パーキンソニズム
- 多くの薬剤の副作用として起こる。服用後数日から数週間で発症することが多い。またパーキンソン病と異なり左右対称性に症状が発現する傾向がある。女性・高齢者で起こりやすく、同じ薬剤なら服用量が多いほど起きやすい。ジスキネジアやアカシジアといった不随意運動を伴いやすい。以下の薬剤で起こる。
- ドーパミン拮抗作用のある薬剤 - 抗精神病薬や抗うつ薬、制吐薬など
- ドーパミン受容体のうちD2受容体のブロックにより惹起される。
- フェノチアジン系 - クロルプロマジン、レボメプロマジン、フルフェナジン、チオリダジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロペリシアジン、トリフロペラジン
- ブチロフェノン系 - ハロペリドール、フロロピパミド、モペロン、スピペロン、チミペロン、ブロムペリドール
- ベンザミド系 - スルピリド、スルトプリド、ネモナプリド、チアプリド
- 非定型抗精神病薬 - ペロスピロン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン(クエチアピンは他の抗精神病薬に比べて副作用が出にくいといわれており、パーキンソン病における幻覚や妄想などの精神症状に対しても使用されている)
- 三環系抗うつ薬 - イミプラミン、クロミプラミン、アミトリプチリン、アモキサピン、ノルトリプチリン、ロフェプラミン、トリミプラミン
- 四環系抗うつ薬 - マプロチリン、ミアンセリン
- その他の抗うつ薬 - トラゾドン、パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン
- 消化性潰瘍薬 - ラニチジン
- 制吐薬 - メトクロプラミド、イトプリド、オンダンセトロン、ドンペリドン(ドンペリドンは比較的副作用の発現頻度が低いため、抗パーキンソン薬の主な副作用である悪心・嘔吐に対して用いられる。これに対して最も一般的な制吐薬であるメトクロプラミドは、副作用発現頻度が高いためほとんど禁忌となっている)
- カルシウム拮抗薬
- 以前脳代謝改善薬として使用されていたシンナリジンによるパーキンソニズムの副作用が多かった。現在日本ではこの薬剤は販売されていないため、カルシウム拮抗薬によるパーキンソニズムは頻度が減少した。
- 血圧降下薬
- レセルピンは中枢性血圧降下薬であるが、その作用機序がシナプスのドーパミンを枯渇させるというものであるため、本来の作用としてパーキンソニズムを誘発しやすい(この作用から、かつては抗精神病薬として用いられていた)。
- その他
- 中毒性パーキンソニズム
- 脳腫瘍
[編集] 症状
詳細は「パーキンソン病#症状」を参照
安静時の振戦(ふるえ)、筋強剛(筋固縮)、無動(または、寡動)、姿勢保持反射障害の運動症状を主徴とする。結果として小刻み歩行・加速歩行(注1)などの歩行異常、前傾姿勢、表情が乏しくなる仮面様顔貌、小字症などの症状が見られる。また、無動のため言動が鈍くなり一見して認知症(痴呆)のようにみえることもあるが、実際に認知症を合併する疾患もあり鑑別を要する。また、うつ症状などの精神症状を合併する場合がある。他には発汗低下、起立性低血圧、便秘、排尿障害(尿閉)などの自律神経症状も見られる。
注1:血管性パーキンソニズムでは加速歩行(突進現象)は比較的生じにくいとされている。
これらの症状をすべて合併したもの、または一部が見られる症候をパーキンソニズム(パーキンソン症状)とする。ADL(生活に必要な能力)を大きく障害するため福祉、リハビリテーションにおいても大きな課題となる。
[編集] 原因
原因が不明ともされているが、脳の血管障害、薬の副作用だけではなく、一酸化炭素#一酸化炭素中毒の後遺症として本症状が発生する事が多くある。[1][2]
[編集] 治療
現在唯一治療可能なものは薬剤性パーキンソニズムであり、何よりも原因となった薬剤の投与を中止する。それ以外のパーキンソニズムに対しては治療は対症的なもののみで、原因に対するものはまだ実験段階である。
パーキンソン病をはじめとして、これに属する疾患はいずれも完治は困難である。様々な医学的アプローチが検討されているが、現在のところ一時的な症状改善や進行を遅らせる程度にとどまっている。
[編集] 薬物療法
薬物療法としては、ドーパミンの前駆物質であるL-Dopa(ドパストン®)、ドーパミン分泌を促進する塩酸アマンタジン(シンメトレル®)等のドーパミン作動薬を投与しドーパミンを増やしたり、効果を増強する、ドロキシドパ(ドプス®)の投与でノルアドレナリンを増やす、塩酸トリヘキシフェニジル(アーテン®)やアトロピンなどの抗コリン薬の投与によりアセチルコリンの影響を減らす、等が行われるが、徐々に必要量が増加する他に、症状の日内変動、日差変動も生じることが多く、症状の変動に合わせた処方の調整が必要である。
他にネオドパストン®・メネシット®(カルビドパ+レボドパの合剤、カルビドパは末梢でのレボドパの消費を防ぐ)、ドーパミン受容体刺激薬であるパーロデル®(プロモクリプチン)、ビ・シフロール®(プラミペキソール)やカバサール®(カベルゴリン)、MAO-B阻害剤であるエフピー®(セレギリン)などがある。 ドーパミン受容体刺激薬はジスキネジアやon-off現象が少ないといった特徴がある。
[編集] その他
薬物療法以外では、姿勢反射障害、歩行困難等に対しては、足底装具の処方、リハビリテーション訓練などが行われる。
また、スティーヴン・ホーキングが使用しているような意思伝達装置の導入により、意思伝達を行っている人がいる。 日本語版には、伝の心(でんのしん)・トーキングパートナー、英語版には、ホーキングと同じwordsplus・ワンタッチで操作可能なezkeysがある。
[編集] 鑑別疾患
- 進行性核上性麻痺
- 大脳皮質基底核変性症
- 大脳皮質基底核変性症(だいのうひしつきていかくへんせいしょう)は、パーキンソン症状や、腕や手が思い通りに動かない観念運動失行などを主な症状とする疾患。特定疾患に指定されている。
- 線条体黒質変性症 (SND)
- オリーブ橋小脳萎縮症 (OPCA)
- シャイ・ドレーガー症候群 (SDS)
- レビー小体型認知症(瀰漫性レヴィ小体病) (DLB)
[編集] 脚注
- ^ “パーキンソン病、パ-キンソン症候群”. ここカラダ. 2011年11月19日閲覧。
- ^ “喫煙と神経疾患”. 公益財団法人喫煙科学研究財団. 2011年11月19日閲覧。