パロキセチン
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パロキセチン
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| IUPAC命名法による物質名 | |
| (3S-trans)-3-((1,3-Benzodioxol-5-yloxy)methyl)- 4-(4-fluorophenyl)-piperidine |
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| 識別 | |
| CAS登録番号 | 61869-08-7 |
| ATCコード | N06AB05 |
| PubChem | 43815 |
| DrugBank | APRD00364 |
| 化学的データ | |
| 化学式 | C19H20NFO3 |
| 分子量 | 374.8 g/mol |
| 薬物動態的データ | |
| 生物学的利用能 | ? |
| 代謝 | 主に肝臓のCYP2D6 |
| 半減期 | 約14時間 |
| 排泄 | 64%が尿、35%が糞便 |
| 治療上の注意事項 | |
| 胎児危険度分類 |
C。胎盤・胎児移行あり(ラット) |
| 法的規制 |
劇薬指定 |
| 投与方法 | 経口投与 |
パロキセチン(パロキセチン塩酸塩水和物、Paroxetine Hydrochloride Hydrate)は、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(旧 スミスクライン・ビーチャム)で開発された選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) である。
同社より商品名「パキシル」で発売されている。日本では2000年11月に薬価収載され、販売が開始された。薬事法における劇薬指定。
他害行為と抗うつ剤との因果関係が否定できない症例が確認されたことから、2009年5月に厚生労働省より添付文書の改定を指示され、[重要な基本的注意]「自殺企図」の中に「攻撃性」のリスクが明示された。
目次 |
[編集] 概要
適応はうつ病・うつ状態、パニック障害、強迫神経症。その他月経前症候群、摂食障害にも用いられる。
パロキセチンは、脳内セロトニン神経系でセロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内シナプス間隙に存在するセロトニン濃度が高まり、神経伝達能力が上がる。その結果、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられる。
過剰投与された場合、激しい眠気、錯乱、幻覚、譫妄、痙攣が現れることがある。
[編集] 用法
飲み始めから2週間程度は副作用が強いため(個人差が大きく、数日で副作用がなくなる人から1ヶ月程度副作用が続く人もいる)、通常は1日10~20mg(大抵の場合10mg)から始まり、1週間から2週間ごとに5mgまたは10mgずつ増やす。減らす時はその逆である。5mg単位で使うときは10mg錠を半分に割って用いる。
1日の服用量の上限は、パロキセチンとして、パニック障害では30mg、うつ病・うつ状態では40mg、強迫性障害では50mgであり、毎日夕食後に経口服用する。効果が実感できるようになるまでの期間に個人差が大きく、1週間から1ヶ月程度かかる。
うつ病によりパキシルを服用している場合、うつ病が治ってからもしばらくの間は少量のパキシルを服用し続けることが必要である。急に薬を止めると、気分や体調が悪くなったり、何らかの拍子にフラッシュバックのようにうつ状態が再発する(俗に「揺り戻し」と言われる)可能性がある。医師の指示なく薬をやめることは危険なので、医師の指示通りに服薬することが大切である。
[編集] 副作用
概要(添付文書中に記載のある主なものを、承認時発生頻度順に列記。867例中15.0~1.3%。)
- 嘔気(投与初期に出現、多くは2週間程度でおさまる)
- 傾眠(日中の倦怠感)
- 口渇
- めまい
- 便秘
- 頭痛
- 食欲不振
重大な副作用(発生頻度は1%未満または不詳)
投薬中止時(特に突然の中断時)に以下の報告がある。
これらの副作用は以前から報告が有ったが2003年に取り扱い注意項目として追加された。
頭痛や眠気、吐き気などは、アルコールと一緒に飲むと起きやすくなる。服用中は、飲酒を避けることが望ましい。また妊娠中、服用中に妊娠が判明した女性は、必ず医師に伝える。
[編集] 禁忌
以下に当てはまる患者には、投与不可。
- パロキセチンに対して過去に過敏症を示した患者
- MAO阻害剤を服用中か、服用を中止してから2週間に満たない患者
- 脳内のセロトニン濃度が高まるため
- 塩酸チオリダジン(商品名:メレリル)投与中の患者
- ピモジド(商品名:オーラップ)を服用中の患者
- チオリダジンのケースに同じ
[編集] 剤形
- 錠 — 10mg / 20mg
海外では40mg錠などもあるが、日本では使われていない。
[編集] 商品名
主な国々での商品名を挙げる。
- Paxil…日本、アメリカ、カナダ、ブラジルなど
- Seroxat…オーストリア、ギリシャ、イスラエル、ポーランド、ポルトガル、イギリス、中国など
- Aropax…オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ブラジルなど
- Pondera…ブラジルなど
- Deroxat…スイス、フランスなど
- Paroxat…ドイツなど
- Cebrilin…ラテンアメリカなど
[編集] 後発医薬品
特許権存続中のため、後発医薬品はない。
なお、2009年現在日本では未発売のSSRI系の薬として、シタロプラムやフルオキセチンなどがある。
[編集] 問題点
- 高い薬価
- パキシルの薬価は10mg錠で123.4円、20mg錠で216.9円(2008年10月現在)と、それまでの三環系抗うつ薬と比較した場合高額である。
- 自殺を誘発する危険(自殺企図)
- パロキセチン服用により自殺を試みる行動が増える傾向があると確認されており、2006年5月アメリカ食品医薬品局(FDA)は、医師に対して、服用者の慎重な観察を求める警告を発表した。同年6月、日本の厚生労働省も、パキシルの添付文書に「若年の成人で自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されており、投与する場合は注意深く観察すること」との記載を加えるよう指導を行なった。
- 自殺する危険性が高まる理由は分かっていない。
- 「副作用の少ない薬」の誤解
- パキシルが認可される前に主流だった三環系抗うつ薬と比較すると、重篤な副作用は少ない。吐き気、眠気、口の渇きなど比較的軽いものも含めた副作用発現率は、決して低いとは言いがたい。
- 日本で行ったうつ病患者、パニック障害患者、強迫性障害患者を対象にした臨床試験において、総症例867例中516例(59.5%)(グラクソ・スミスクライン社発表)に何らかの副作用が発現している[1]。
- 「安全な薬」の誤解
- 大量服薬や他の薬との併用、前述した自殺を誘発する危険や副作用の少ない薬と言う誤解を含め、決して安全な薬ではない。
- 他の薬との併用
- 併用注意とされる薬剤は多く、添付文書中に記載のあるものは以下の通り。
- セロトニン作用薬、リスペリドン、三環系抗うつ剤、抗不整脈剤、β-遮断剤、タモキシフェン、キニジン、シメチジン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、リファンピシン、ホスアンプレナビルとリトナビルの併用時、ワルファリン、ジゴキシン、止血・血液凝固を阻害する薬剤、出血症状の報告のある薬剤、アルコール(飲酒)
[編集] 関連項目
- 全日空61便ハイジャック事件 - 犯人が事件直前に処方されたSSRIにパキシルが含まれていた。
- 森川陽一郎 - 日本の映像作家、元映画監督。パキシルの服用を公言している。
[編集] 参考文献
- ディヴィド・テイラー,キャロル・ペイトン編『症例で学ぶ精神科薬物療法―向精神薬の使い方』
- 精神障害の診断と統計の手引き(DSM-IV)日本語版
- 小野真吾、天保英明「SSRIと他の薬を容易に併用してはいけない!」『治療』85号673-675頁2003年
- 「パキシル錠10mg/パキシル錠20mg」添付文書(2008年5月改訂(第15版))
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- グラクソ・スミスクライン - パキシル
- グラクソ・スミスクライン - パキシルの安全性の見解
- お薬110番
- (百科事典)「Paroxetine」 - Medpediaにある「パロキセチン」についての項目。(英語)

