「ビオチン」の版間の差分
過剰摂取による影響 |
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| IUPACName=5-[(3a''S'',4''S'',6a''R'')-2-oxohexahydro-1''H''-thieno[3,4-''d'']imidazol-4-yl]pentanoic acid |
| IUPACName=5-[(3a''S'',4''S'',6a''R'')-2-oxohexahydro-1''H''-thieno[3,4-''d'']imidazol-4-yl]pentanoic acid |
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| OtherNames = ビタミンB<sub>7</sub>; ビタミンH; 補酵素R<br>D-[(+)-cis-ヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ-(3,4)-イミダゾール-4-吉草酸 |
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'''ビオチン'''(biotin) |
'''ビオチン'''(biotin)は、[[ビタミンB群]]に分類される[[水溶性ビタミン]]の一種で、'''ビタミンB<sub>7</sub>'''(Vitamin B<sub>7</sub>)とも呼ばれるが、欠乏症を起こすことが稀なため、単にビオチンと呼ばれることも多い。[[栄養素]]のひとつ。古い呼称で'''ビタミンH'''、'''補酵素R'''。 |
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== 小史 == |
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[[1935年]]、[[オランダ]]のケーグル(F. Kögl)により[[卵黄]]中から発見された。[[酵母]]の増殖に必要な因子ビオス(bios)の1成分として研究されたため、 |
[[1935年]]、[[オランダ]]のケーグル(F. Kögl)により[[卵黄]]中から発見された。[[酵母]]の増殖に必要な因子ビオス(bios)の1成分として研究されたため、ビオチンの名がついた。 |
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また、古くには、[[ハツカネズミ|マウス]]を用いた動物実験において、生卵白の大量投与によって皮膚に生じる炎症を防止する因子として発見されたことから、'''ビタミンH'''(H は皮膚を表す[[ドイツ語]] Haut から)と呼ばれたこともある。また、生体内において果たす役割から'''補酵素R'''と呼ばれることもある。 |
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==性質== |
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性質は、[[光]]、[[酸と塩基|酸]]、[[酸と塩基|アルカリ]]に対して安定、酸に不安定<ref name="hf180">{{Hfnet|180|ビオチン解説}} 2014年6月26日 閲覧2018年12月10日</ref>。水溶性なので有機溶剤には溶けない<ref name="hf180"/>。食品加工によって一部損失する<ref name="hf180"/>。 |
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== 生化学 == |
== 生化学 == |
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[[カルボキシル基]][[転移酵素]](carboxylase)の[[補酵素]]として働く<ref name="hf180"/>。特にビオチンを補酵素として持つ酵素の一群をビオチン酵素(biotin enzyme)と呼ぶ。 |
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この中には糖代謝に関与する[[ピルビン酸カルボキシラーゼ]]、[[脂肪酸]]合成に関与する[[アセチルCoAカルボキシラーゼ]]や、アミノ酸や脂肪酸代謝に関与する[[プロピオニルCoAカルボキシラーゼ]]、[[アミノ酸]]の一種[[ロイシン]]の代謝に関与する[[3-メチルクロトノイルCoAカルボキシラーゼ]]などが含まれる。<ref name="hf180"/><!--注記・出典画像中のプロパニルがたぶん誤記なので検証可能性を満たし、メチルクロトニルは正確には3とβの違いがある--><ref name="ポーリングビオチン"/><!--こちらの出典にも3はないがおよそ検証可能性を満たすということで--> |
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すべての生物種に必須だが、生合成できるのは微生物やカビなど、また一部の植物となる<ref name="ポーリングビオチン">{{PaulingInstitute|jp/mic/vitamins/biotin}}</ref>。 |
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=== 応用 === |
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生卵白中の[[アビジン]](後述)は、ビオチンに非常に強く結合するため、標的分子にビオチンを結合して目印とし、これをアビジンで検出する方法が用いられている。血液検査で用いられる<ref name="naid130007501857"/>。そのため大量摂取している場合、実際には以上がないのに誤診されることがある(後述)<ref name="naid130007501857"/>。 |
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== 摂取量 == |
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哺乳類には生合成できない必須ビタミン<ref name="hf180"/>。[[腸内細菌]]によるビオチンの合成だけでは必要量に満たないとされており食品からの接種が必要になるが、様々な食品に含まれるため通常の食生活では欠乏症は起こらない<ref name="hf180"/>。 |
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*日本の摂取基準(2015年)は、成人男女共に1日の50μg<ref name="hf180"/>。 |
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多く含む食材には[[酵母]]{{要出典|date=2018年12月}}、[[レバー (食材)|レバー]]<!--牛レバー96ug--><ref name="hf180"/>、豆類<ref name="hf180"/>、卵黄<!--52ug--><ref name="hf180"/>など。ビオチンの利用効率は食品によりかなり異なり、特に、[[小麦]]中のビオチンはほとんど利用されない。 |
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== 応用 == |
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[[卵]]に含まれる[[糖タンパク質]]である[[アビジン]]は、ビオチンを非常に強く結合する(ほとんど不可逆的)ため、標的分子にビオチンを結合して目印とし、これをアビジンで検出する方法が用いられている。[[生化学]]の研究用試薬、あるいは[[悪性腫瘍|がん]]などの検査用試薬、さらには[[モノクローナル抗体]]と[[制がん剤]]を結びつけてがん細胞のみを直撃する[[ミサイル療法]]製剤への適用などへの応用がある。 |
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日本では2014年以降、ビオチンを添加できる食品は、母乳代替食品や保健機能食品のみとなる<ref name="hf180"/>。栄養機能食品では、上限500ug、皮膚や粘膜の健康維持のための栄養素だと表示できる<ref name="hf180"/>。 |
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== 摂取 == |
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一日の目安量は、成人で45μg。[[腸内細菌]]叢により供給されるため、通常の食生活において[[ビタミン欠乏症|欠乏症]]は発生しない。多く含む食材には[[酵母]]、[[レバー (食材)|レバー]]、豆類、卵黄などがある。第六次改定・日本人の栄養所要量によれば成人男女の基準は30μg。ビオチンの利用効率は食品によりかなり異なり、特に、[[小麦]]中のビオチンはほとんど利用されない。サプリメントとしては他のビタミンとは違い、ビオチンは日本の薬事法では栄養機能食品以外には認可されず、一錠中の許容量も上限が500μgと定められている。 |
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=== 欠乏症 === |
=== 欠乏症 === |
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生卵白の大量摂取によって欠乏症を生じることがある。ビオチンが生卵白中の[[アビジン]]と強く結合して吸収が阻害されるためである<ref name="hf180"/><ref name="ポーリングビオチン"/>。加熱した卵白は問題を起こさない<ref name="ポーリングビオチン"/>。これは特に卵白障害と呼ぶ。1日あたり10個以上の生卵を食用し続けると卵白障害に陥る可能性があるとされる。 |
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長期の[[抗てんかん薬]]の使用や、血液透析も原因となる<ref name="hf180"/>。肝硬変のような重度の肝障害でも、ビオチニターゼの活性が低下し欠乏が起こることがある<ref name="ポーリングビオチン"/>。また長期の静脈栄養(点滴)や<ref name="ポーリングビオチン"/>、ビオチンの少ない乳児用の調整乳の使用も原因となる<ref name="naid110009930121"/>。<!--出典待ち [[抗生物質]]の服用により腸内細菌叢に変調をきたすと欠乏症を示すことがある。--> |
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* [[白髪]]、脱毛、[[湿疹]]あるいは[[炎症]]など皮膚症状 |
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* 皮膚や粘膜の灰色退色や落屑 |
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* [[結膜炎]] |
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* [[筋肉痛]] |
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* 疲労感 |
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* 食欲不振 |
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* [[味覚]]異常 |
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* [[血糖値]]上昇 |
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* 不眠 |
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* 神経障害 |
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ビオチン欠乏症の症状は以下。 |
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またこれまでの動物を用いた多くの研究において、妊娠中ビオチン欠乏状態に陥った母体の胎児に、高い確率(-100%)で[[奇形]]が誘発されることが報告されている。主なものとしては、口蓋裂、小顎症、短肢症、内臓形成障害などがある。逆に動物実験ではビオチンを多量に摂取した場合に胎児にたまる性質があり、[[催奇性]]が確認されている。 |
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* 乾燥鱗片様の[[皮膚炎]]、[[結膜炎]]、[[脱毛]]、舌炎、皮膚の感染症<ref name="hf180"/>。 |
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* 眼、口、鼻、生殖器周辺での鱗屑性皮疹<ref name="ポーリングビオチン"/>。 |
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* [[筋肉痛]]、運動失調、知覚過敏、けいれん<ref name="hf180"/>。 |
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* 食欲不振、うつ症状、吐き気、悪心<ref name="hf180"/>。 |
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* アシドーシス、尿への有機酸排泄<ref name="hf180"/>。 |
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=== 過剰摂取による影響 === |
=== 過剰摂取による影響 === |
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過剰摂取しても尿中に排泄されるため、過敏症はないとされる<ref name="hf180"/>。日本人の食事摂取基準(2015)ではビオチンの上限量の設定はなく、十分なデータがなく200mgといった大量の投与でも健康を害した報告がないため<ref name="naid130007501857"/>。 |
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摂取許容量の上限は十分なデータが無く設定されていない<ref name=vso.91.10_621 />。過剰投与(過剰摂取)によって甲状腺機能の臨床検査値に異常を生じ、実際には甲状腺機に異常を生じていないのに甲状腺機能亢進症と判断される検査値がでる事がある<ref name=vso.91.10_621>田中清、青未空、[https://doi.org/10.20632/vso.91.10_621 ビオチン過剰摂取による臨床検査値への干渉] ビタミン 2017年 91巻 10号 p.621-623, {{doi|10.20632/vso.91.10_621}}</ref>。 |
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ビオチンの大量摂取によって、甲状腺ホルモンの検査方法に干渉し、実際には甲状腺機に異常がないのに甲状腺機能亢進症と判断される検査値がでる事がある<ref name="naid130007501857">{{Cite journal |和書|author1=田中清 |author2=青未空 |date=2017 |title=ビオチン過剰摂取による臨床検査値への干渉 |journal=ビタミン |volume=91 |issue=10 |pages=621-623 |naid=130007501857 |doi=10.20632/vso.91.10_621 |url=https://doi.org/10.20632/vso.91.10_621}}</ref>。服用をやめると、検査値は正常化する<ref name="naid130007501857"/>。こうした検査には申告する必要がある<ref name="naid130007501857"/>。検査キットには5mg(すなわち5000ug)では8時間経過してから検査を実施と書いてある製品もある<ref name="naid130007501857"/>。 |
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== 疾病とビオチン == |
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=== 免疫不全症とビオチン === |
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{{未検証|section=1|date=2010年8月}} |
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日本国内でのビオチン治療法は、[[自己免疫疾患]]([[易感染性]]、[[膠原病]])や[[血糖値]]上昇([[糖尿病]])など、そのほか、ビオチン欠乏からくる多岐にわたる病状を、改善または治癒([[緩解]]、[[寛解]]状態ではない)することを目的としたもので、[[プロスタグランジン]]や[[ヒスタミン]]のような、[[オータコイド]]系の[[生理活性物質]]を過剰に作らせない(機能の正常化)という、いわば、4種の[[カルボキシラーゼ]]の[[補酵素]]という考え方だけで治療を行っているアメリカよりも、日本の方がこの点では、一歩進んだ考え方となっている。しかし、今のところ、ビオチンによる免疫治療は、一部の病院でしか治療方法が確定しておらず、ほとんどの日本の病院では皮膚疾患の治療薬としか認識していない。 |
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=== 動物実験 === |
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=== 先天性ビオチン欠乏症の原因 === |
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ビオチン欠乏では、動物実験で、妊娠中の母体の胎児に、高い確率(-100%)で[[奇形]]が誘発されることが報告されている。主なものとしては、口蓋裂、小顎症、短肢症、内臓形成障害などがある。 |
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先天的なビオチン欠乏には大きく分けて、[[ビオチニダーゼ欠損症]]と[[ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症]]の2つがあり、いずれも[[常染色体]][[遺伝子疾患|劣性遺伝疾患]]である。前者は、本来ビオチンがビオチニターゼによってリサイクルされて使用されるのだが、ビオチニダーゼがないために、ビオチンが再利用できないことによるビオチン欠乏である。後者はビオチンをアポカルボキシラーゼに取り込む反応を触媒する酵素であり、ホロ化(活性化)できないことによる欠乏症状である<ref>[http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/contents/senten_04.html ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症] - 東北大学病院 東北大学大学院 医学系研究科遺伝病学分野</ref>。 |
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大量投与では、哺乳動物での動物実験で、妊娠中では、胎児の吸収による妊娠初期の胚死亡や、卵巣の萎縮が報告されている<ref name="hf180"/>。 |
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==ビオチン代謝異常症== |
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先天性と栄養性があり、ビオチン代謝異常症と総称され、日本では合計100人以下と考えられる<ref name="難病859"/>。脱毛、感染症が合併しやすい<ref name="難病859"/>。ビオチンを5mg (すなわち5000ug) から 20mg 、経口か静脈注射する |
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=== 先天性ビオチン欠乏症 === |
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先天性の原因には、ビオチニダーゼ欠損症とホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症<ref name="hf180"/>、ビオチントランスポーター欠損症(ビオチン輸送担体欠損症<ref name="ポーリングビオチン"/>)がある<ref name="難病859"/>。いずれも[[遺伝子疾患]]でビオチンの補給を継続すれば良好な経過をたどる<ref name="ポーリングビオチン"/>。 |
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ビオチニダーゼ欠損症では、ビオチニターゼの作用が利用できず、による食品からのビオチンを遊離させ吸収できるようにしたり、タンパク質と結合したビオチンを遊離させて再利用できない<ref name="ポーリングビオチン"/>。ビオチニターゼ欠損症では、乳児期にけいれんや筋緊張の低下で気づかれる<ref name="難病859"/>。難聴が起こることがある<ref name="難病859"/>。日に5mg-10mgを補給するが、多くの症例ではより少なくて済む<ref name="ポーリングビオチン"/>。 |
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ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では、ビオチンをアポカルボキシラーゼに結合して、ホロカルボキシラーゼとする酵素であり、生後に重篤なアシドーシスの症状を呈して明らかとなる<ref name="naid110002843507">{{Cite journal |和書|author=成澤邦明 |date=1998 |title=12. ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の遺伝子変異とビオチン反応性 |journal=ビタミン |volume=72 |issue=2 |pages=70-71 |naid=110002843507 |doi=10.20632/vso.72.2_70 |url=https://doi.org/10.20632/vso.72.2_70}}</ref>。重症となりやすく尿への有機酸の排泄が特徴的で、皮膚炎もある<ref name="難病859">{{難病情報センター|id=859|name=ビオチン代謝異常症(平成22年度)}} 2018年12月10日閲覧。</ref>。これまでの全症例でビオチン大量投与が有効で、研究からホロカルボキシラーゼ合成酵素の活性が約100分の1と推定され、大量投与することで活性上昇できると考えられている<ref name="naid110002843507"/>。変異酵素の型によって、毎日10mg、あるいは40mg投与される<ref name="naid110002843852">{{Cite journal |和書|author1=鈴木洋一 |author2=坂本修 |author3=李雪 ほか |date=1999 |title=5. ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の臨床像と遺伝子型 |journal=ビタミン |volume=73 |issue=5 |pages=330-331 |naid=110002843852 |doi=10.20632/vso.73.5-6_330 |url=https://doi.org/10.20632/vso.73.5-6_330}}</ref>。多くて100mg<ref name="ポーリングビオチン"/>。 |
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ビオチン輸送担体欠損症でも多量にビオチンを補給する<ref name="ポーリングビオチン"/>。 |
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=== 栄養性ビオチン欠乏症の原因 === |
=== 栄養性ビオチン欠乏症の原因 === |
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栄養性ビオチン欠乏症では、食物アレルギー治療用のペプチドミルク等の長期摂取が特に問題とされる原因となる<ref name="難病859"/>。栄養性ビオチン欠乏症は、皮膚炎、尿への有機酸排泄で気づかれる<ref name="難病859"/>。 |
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乳幼児のビオチン欠乏は出産時に、ビオチン欠乏の母親から悪玉菌優勢の[[腸内細菌]]叢を引き継ぐこと<ref>[[乳酸菌]] {{snamei|Lactbacillus plantarum}} ATCC8014 などはビオチンを食べて繁殖する、そのためビオチンの濃度検査にも使用されている。</ref>や、母乳中にビオチンが少ないことで発症するといわれている。生活環境では、[[喫煙]]、[[アルコール]]、[[乳製品]]、生卵白などの取りすぎはもとより、頻回の下痢、抗生物質や[[ストレス]]などで[[腸内細菌]]叢の構成に異状をきたしたとき、その他にも、完全静脈栄養施行時、腎臓透析施行時、または、長期にわたり、ペプチドミルク(乳幼児)、一部の抗てんかん薬、鎮痛薬などを服用したときに欠乏する。食物中のビオチンは卵黄中にも存在しているが、アビジンや[[リジン]]などタンパク質と結合した結合型であり、穀物中のビオチンは吸収できないなど、生体内での利用がしにくい。これに対し、腸内バクテリアが産生しているビオチンは活性型といわれている遊離型である。 |
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特殊ミルクは、様々な疾患用に調整された調製粉乳(とりわけ牛乳アレルギー用)だが、日本では欧米と異なり大部分の調整乳が、国連と世界保健機関による[[国際食品規格委員会|CODEX]]の推奨量を満たしていなかった<ref name="naid110009930121">{{Cite journal |和書|author1=野崎章仁 |author2=湯浅正洋 |author3=沈婉 |author4=渡邊敏明 |date=2015 |title=本邦における特殊ミルクによる二次性ビオチン欠乏症 |journal=ビタミン |volume=89 |issue=3 |pages=119-124 |naid=110009930121 |doi=10.20632/vso.89.3_119 |url=https://doi.org/10.20632/vso.89.3_119}}</ref>。皮膚症状は約9割に起こり、低体重や発達遅滞は2割未満にみられた<ref name="naid110009930121"/>。 |
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[[腸内細菌]]叢で産生しているビタミンは種々あるが、食物から摂取しにくいビタミンはビオチンに限らず[[ビタミンK|ビタミンK<sub>2</sub>]](Menaquinone)なども腸内バクテリアが産生している、このビタミンK<sub>2</sub>は食物ではチーズにはMK-9、納豆にはMK-7が主に含まれている、MK-7はバクテリア以外には産生しないため、抗生物質などの内服により、[[腸内細菌]]叢の構成の変化により欠乏症をおこしたばあい、[[骨粗鬆症]]などの発症原因になるといわれている。 |
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<!--乳幼児のビオチン欠乏は出産時に、ビオチン欠乏の母親から悪玉菌優勢の[[腸内細菌]]叢を引き継ぐこと<ref>[[乳酸菌]] {{snamei|Lactbacillus plantarum}} ATCC8014 などはビオチンを食べて繁殖する、そのためビオチンの濃度検査にも使用されている。</ref>や、母乳中にビオチンが少ないことで発症するといわれている。生活環境では、[[喫煙]]、[[アルコール]]、[[乳製品]]、生卵白などの取りすぎはもとより、頻回の下痢、抗生物質や[[ストレス]]などで[[腸内細菌]]叢の構成に異状をきたしたとき、その他にも、完全静脈栄養施行時、腎臓透析施行時、または、長期にわたり、ペプチドミルク(乳幼児)、一部の抗てんかん薬、鎮痛薬などを服用したときに欠乏する。食物中のビオチンはタンパク質と結合した結合型で生体内での利用がしにくい。対し、腸内バクテリアが産生しているビオチンは活性型といわれている遊離型である。--> |
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ビオチンは様々な[[薬物相互作用]]があり、処方されている内服薬との関係を調査しなければならない。飲食物との相互作用もあり、喫煙、副流煙による受動喫煙はビオチンの効力をなくしてしまうことや、飲酒はビオチンを多量に消費してしまうので避けるべきである。その他にも乳製品の偏った食べ過ぎや生卵白などは効力を減弱させてしまう。他に[[ステロイド]]の内服はビオチン欠乏症を増悪させてしまい、使用していると、改善、治癒([[緩解]]、[[寛解]]状態ではない)できなくなってしまうので、外用薬として使用することが望ましい。 |
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<!--ビオチンは様々な[[薬物相互作用]]があり、処方されている内服薬との関係を調査しなければならない。飲食物との相互作用もあり、喫煙、副流煙による受動喫煙はビオチンの効力をなくしてしまう。飲酒はビオチンを多量に消費してしまう。 |
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他に[[ステロイド]]の内服はビオチン欠乏症を増悪させてしまい、使用していると、改善、治癒([[緩解]]、[[寛解]]状態ではない)できなくなってしまうので、外用薬として使用することが望ましい。--> |
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== 疾病とビオチン == |
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=== ビオチン欠乏により発症する病 === |
=== ビオチン欠乏により発症する病 === |
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ビオチン欠乏による発症機序は、[[脾臓]]細胞の[[免疫]]システム活性([[免疫グロブリンA]]や[[免疫グロブリンG|G]]など)がそれぞれ異常値になり発症するもの<ref>{{cite journal | author = Báez-Saldaña A, Díaz G, Espinoza B, Ortega E | title = Biotin deficiency induces changes in subpopulations of spleen lymphocytes in mice. | journal = Am J Clin Nutr.| year = 1998| volume = 67| issue = 3| pages = 431-7}} PMID 9497186</ref>、免疫機能の低下により病気に対する抵抗が弱くなり、2次的に発症するもの([[易感染性]]など)、[[グリセミックインデックス]](GI値)の高い食品を食べ続けたことにより、[[インスリン抵抗性]]が増加し、[[グルコース]]を血管内から細胞内にとりこめなくなることで、発症するもの。そのほかにも、[[免疫グロブリンE]]が持っている特異な[[レアギン活性]]によるものが知られている。ビオチン欠乏症の患者は、健常者に比べ[[インスリン]]の生合成も少ない<ref name="Sone1999">{{cite journal | author = Sone H, Ito M, Sugiyama K, Ohneda M, Maebashi M, Furukawa Y| title = Biotin enhances glucose-stimulated insulin secretion in the isolated perfused pancreas of the rat.| journal = J Nutr Biochem.| year = 1999| volume = 10| issue = 4| pages = 237-43}} PMID 15539296</ref>。ビオチンは[[ピルビン酸カルボキシラーゼ]]の補酵素であるため、欠乏すると乳酸アシドーシスなどの障害も起きる。 |
ビオチン欠乏による発症機序は、[[脾臓]]細胞の[[免疫]]システム活性([[免疫グロブリンA]]や[[免疫グロブリンG|G]]など)がそれぞれ異常値になり発症するもの<ref>{{cite journal | author = Báez-Saldaña A, Díaz G, Espinoza B, Ortega E | title = Biotin deficiency induces changes in subpopulations of spleen lymphocytes in mice. | journal = Am J Clin Nutr.| year = 1998| volume = 67| issue = 3| pages = 431-7}} PMID 9497186</ref>、免疫機能の低下により病気に対する抵抗が弱くなり、2次的に発症するもの([[易感染性]]など)、[[グリセミックインデックス]](GI値)の高い食品を食べ続けたことにより、[[インスリン抵抗性]]が増加し、[[グルコース]]を血管内から細胞内にとりこめなくなることで、発症するもの。そのほかにも、[[免疫グロブリンE]]が持っている特異な[[レアギン活性]]によるものが知られている。ビオチン欠乏症の患者は、健常者に比べ[[インスリン]]の生合成も少ない<ref name="Sone1999">{{cite journal | author = Sone H, Ito M, Sugiyama K, Ohneda M, Maebashi M, Furukawa Y| title = Biotin enhances glucose-stimulated insulin secretion in the isolated perfused pancreas of the rat.| journal = J Nutr Biochem.| year = 1999| volume = 10| issue = 4| pages = 237-43}} PMID 15539296</ref>。ビオチンは[[ピルビン酸カルボキシラーゼ]]の補酵素であるため、欠乏すると乳酸アシドーシスなどの障害も起きる。 |
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<!--(ビオチン欠乏との相関関係はあるかも知れませんが、因果関係がわかりません。)[[易感染性]]、[[多発性骨髄腫]]、攣縮性[[狭心症]]、狭窄型[[狭心症]]、[[慢性甲状線炎]]、[[肝硬変]]、[[糖尿病]]、[[IgA腎症]]、[[非IgA腎症]]、[[高乳酸血症]]、[[習慣性流産]]、[[発育遅延]]、[[自閉症状]]、[[うつ病]]、神経炎など神経障害、四肢の感覚異常、痙攣、運動失調、[[クローン病]]、[[慢性関節リウマチ]]、[[全身性エリテマトーデス]]、[[シェーグレン症候群]]、結膜炎、[[ベーチェット病]]、[[レイナー病]](Leiner’s disease)、呼吸障害、乳幼児の突然死、緊張低下、[[肺炎]]、[[気管支喘息]]、[[掌蹠膿疱症]]、[[掌蹠膿疱症性骨関節炎]]、[[代謝性アシドーシス]]、[[味覚異常]]、嘔吐、食欲不振、不眠、低血圧、倦怠・疲労感、[[筋肉痛]]、[[アトピー性皮膚炎]]、[[尋常性乾癬]]、[[水虫]]、カンジダ[[皮膚炎]]、[[ヘルペス]]、[[扁桃炎]]、[[中耳炎]]、[[湿疹]]など炎症性皮膚症状、[[脂漏性湿疹]]、顔面周囲の剥脱性皮膚炎や灰色退色や落屑、指の爪の強度不足、小児の全身脱毛を含む髪の損失、髪の脱色、など、そのほか、多岐にわたる病気を発症する。--> |
<!--(ビオチン欠乏との相関関係はあるかも知れませんが、因果関係がわかりません。)[[易感染性]]、[[多発性骨髄腫]]、攣縮性[[狭心症]]、狭窄型[[狭心症]]、[[慢性甲状線炎]]、[[肝硬変]]、[[糖尿病]]、[[IgA腎症]]、[[非IgA腎症]]、[[高乳酸血症]]、[[習慣性流産]]、[[発育遅延]]、[[自閉症状]]、[[うつ病]]、神経炎など神経障害、四肢の感覚異常、痙攣、運動失調、[[クローン病]]、[[慢性関節リウマチ]]、[[全身性エリテマトーデス]]、[[シェーグレン症候群]]、結膜炎、[[ベーチェット病]]、[[レイナー病]](Leiner’s disease)、呼吸障害、乳幼児の突然死、緊張低下、[[肺炎]]、[[気管支喘息]]、[[掌蹠膿疱症]]、[[掌蹠膿疱症性骨関節炎]]、[[代謝性アシドーシス]]、[[味覚異常]]、嘔吐、食欲不振、不眠、低血圧、倦怠・疲労感、[[筋肉痛]]、[[アトピー性皮膚炎]]、[[尋常性乾癬]]、[[水虫]]、カンジダ[[皮膚炎]]、[[ヘルペス]]、[[扁桃炎]]、[[中耳炎]]、[[湿疹]]など炎症性皮膚症状、[[脂漏性湿疹]]、顔面周囲の剥脱性皮膚炎や灰色退色や落屑、指の爪の強度不足、小児の全身脱毛を含む髪の損失、髪の脱色、など、そのほか、多岐にわたる病気を発症する。--> |
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=== 糖尿病とビオチン === |
=== 糖尿病とビオチン === |
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ビオチン欠乏症は、リュウマチ、シェーグレン症候群、クローン病など[[膠原病群]]の免疫不全症だけではなく、1型及び2型の[[糖尿病]]にも関与している。ビオチン欠乏が進むと、インスリン分泌能がきわめて低下する<ref name="Sone1999"/>。ビオチンの投与により[[インスリン抵抗性]]が低下することや、粘膜部位の炎症、皮膚疾患、血糖値が改善することが知られている。 |
ビオチン欠乏症は、リュウマチ、シェーグレン症候群、クローン病など[[膠原病群]]の免疫不全症だけではなく、1型及び2型の[[糖尿病]]にも関与している。ビオチン欠乏が進むと、インスリン分泌能がきわめて低下する<ref name="Sone1999"/>。ビオチンの投与により[[インスリン抵抗性]]が低下することや、粘膜部位の炎症、皮膚疾患、血糖値が改善することが知られている。 |
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=== 免疫不全症とビオチン === |
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{{未検証|section=1|date=2010年8月}} |
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日本国内でのビオチン治療法は、[[自己免疫疾患]]([[易感染性]]、[[膠原病]])や[[血糖値]]上昇([[糖尿病]])など、そのほか、ビオチン欠乏からくる多岐にわたる病状を、改善または治癒([[緩解]]、[[寛解]]状態ではない)することを目的としたもので、[[プロスタグランジン]]や[[ヒスタミン]]のような、[[オータコイド]]系の[[生理活性物質]]を過剰に作らせない(機能の正常化)という、いわば、4種の[[カルボキシラーゼ]]の[[補酵素]]という考え方だけで治療を行っているアメリカよりも、日本の方がこの点では、一歩進んだ考え方となっている。しかし、今のところ、ビオチンによる免疫治療は、一部の病院でしか治療方法が確定しておらず、ほとんどの日本の病院では皮膚疾患の治療薬としか認識していない。 |
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==出典== |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* {{cite journal | author |
*<!--<ref name="pmid17182796 ">-->{{cite journal | author=Atamna H, Newberry J, Erlitzki R, Schultz CS, Ames BN| title=Biotin deficiency inhibits heme synthesis and impairs mitochondria in human lung fibroblasts| journal=J Nutr.| year=2007| volume=137| issue=1| pages=25-10 |pmid=17182796| doi=10.1093/jn/137.1.25 |url=https://doi.org/10.1093/jn/137.1.25 }} |
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* 柴田克己 他『日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する基礎的研究』平成16-18年度 厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業) [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H16-18.I-08.pdf PDF] |
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*<!--<ref name="naid120001795688">-->{{Cite journal |和書|author=田上泰子、花井潤師、野町祥介ほか|date=2000|title=札幌市における先天性代謝異常症 ハイリスク・スクーリング結果(1996~1999年度)|url=http://ir.cc.sapmed.ac.jp/dspace/handle/123456789/864 |journal=札幌市衛生年報|volume=|issue=27|page=32-37|naid=120001795688}} [https://www.city.sapporo.jp/eiken/annual/no27/documents/00study02.pdf pdf] |
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* 渡辺敏明『In vitro におけるビオチンのマウス胎児の口蓋突起発育に及ぼす影響』 1993年 微量栄養素研究会 第11回微量栄養素研究会シンポジウム [http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym11/11_089.pdf PDF] |
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* <!--<ref name="naid40016413903">-->{{Cite journal |和書|author1=永井良子 |author2=榎原周平 |author3=福井徹 |date=2008 |title=ビオチンサプリメントの過剰摂取による胎児発育への影響 |journal=微量栄養素研究 |volume=25 |issue= |pages=85-90 |naid=40016413903 |url=http://www.jtnrs.com/sym25/25_085.PDF}} |
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* 渡辺敏明・福井徹『糖尿病精密検査該当者における血清ビオチンと血糖との関連についての検討』 1995年 第12回 微量栄養素研究会シンポジウム [http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym12/12_099.pdf PDF] |
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* {{cite journal |和書| author=曽根英行、渡邊敏明、古川勇次| title=ビオチンによるインスリン分泌修飾に関する研究 |url=http://hdl.handle.net/10623/16621 |
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* 前橋賢『免疫異常症としての掌蹠膿疱症性骨関節炎とビオチン欠乏』1998年 第95回日本内科学会 |
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| journal=Trace Nutrients Research| date=2007 | volume=24| pages=163-170}} [http://www.jtnrs.com/sym24/24_163.pdf PDF] |
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* 田上奏子 他『札幌市における先天性代謝異常症 ハイリスク・スクーリング結果(1996~1999年度)』 2000年 札幌市衛生年報 27:32-37 [http://www.city.sapporo.jp/eiken/org/health/Hrisk/00study02.pdf PDF] |
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*<!--<ref name="naid110006242196">-->{{Cite journal |和書|author1=谷口歩美 |author2=渡邊敏明 |date=2007 |title=ビオチン欠乏状態の新規バイオマーカー : プロピオニルCoAカルボキシラーゼ |journal=ビタミン |volume=81 |issue=3 |pages=101-104 |naid=110006242196 |doi=10.20632/vso.81.3_101 |url=https://doi.org/10.20632/vso.81.3_101}} [http://web.kyoto-inet.or.jp/people/vsojkn/81(3)watanabe.pdf PDF] |
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* 渡邊敏明『ビオチンの生理機能と健康影響』2003年1月 ビタミン広報センター (ニュースレター) No. 106 [http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.106/106.pdf PDF] |
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* 渡邊敏明 |
*<!--<ref name="vNews106">-->{{Cite journal |和書|author=渡邊敏明|date=2003-1|title=ビオチンの生理機能と健康影響|url=http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.106/106.pdf|format=pdf|journal=ビタミン広報センター|volume=|issue=106|page=}} |
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*<!--<ref name="vNews109">-->{{Cite journal |和書|author=渡邊敏明|date=2004-10|title=ビオチンの役割と健康への影響|url=http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.109/no109.pdf|format=pdf|journal=ビタミン広報センター|volume=|issue=109|page=}} |
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* {{cite journal |和書| author = 曽根英行、渡邊敏明、古川勇次| title = ビオチンによるインスリン分泌修飾に関する研究| journal = Trace Nutrients Research| year = 2007| volume = 24| pages = 163-170}} [http://www.jtnrs.com/sym24/24_163.pdf PDF] |
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* 渡辺敏明「[https://web.archive.org/web/20160304130301/http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym11/11_089.pdf In vitro におけるビオチンのマウス胎児の口蓋突起発育に及ぼす影響]」1993年 微量栄養素研究会 第11回微量栄養素研究会シンポジウム [http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym11/11_089.pdf 元URL] |
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*『ビオチン欠乏状態の新規バイオマーカー -プロピオニルCoA カルボキシラーゼ-』 2007年3月 日本ビタミン学会 トピックス3号ビタミン81巻 [http://web.kyoto-inet.or.jp/people/vsojkn/81(3)watanabe.pdf PDF] |
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* 渡辺敏明・福井徹「[https://web.archive.org/web/20130612043859/http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym12/12_099.pdf 糖尿病精密検査該当者における血清ビオチンと血糖との関連についての検討]」1995年 第12回 微量栄養素研究会シンポジウム [http://www.japanclinic.co.jp/gakuju/sym12/12_099.pdf 元URL] |
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* [http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/vitamins/biotin/ Biotin] - Linus Pauling Institute at Oregon State University (オレゴン州立大学・ライナスポーリング微量栄養素情報センター) |
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* 柴田克己『日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究』平成16年度厚生労働科学研究費(循環器疾患等総合研究事業) |
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;厚生労働科学研究 |
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* 早川享志『ビタミンB2およびB6と生活習慣病』岐阜大学応用生物科学部食品科学系 [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-V-3b.pdf PDF] |
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* 柴田克己 他「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H16-18.I-08.pdf 成人におけるビオチンの目安量についての検討]」「日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する基礎的研究」平成16-18年度 厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業) |
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* 柴田克己 他 平成17年度厚生労働科学研究費(循環器疾患等総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究 |
* 柴田克己 他 平成17年度厚生労働科学研究費(循環器疾患等総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究 |
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**「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-II-3.pdf 日本人の母乳中の水溶性ビタミン含量についての検討]」 |
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**「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-II-4.pdf ビオチンの大量摂取がラットに与える影響]」 |
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**「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-III-10.pdf ビオチン欠乏状態における 3-hydroxyisovaleric acid の新規な指標としての有用性についての検討]」 |
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**『ビオチンの大量摂取がラットに与える影響』 [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-II-4.pdf PDF] |
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**「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-III-12.pdf 日本人におけるビオチン摂取量の推定についての検討]」 |
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**『ビオチン欠乏状態における 3-hydroxyisovaleric acid の新規な指標としての有用性についての検討』 [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-III-10.pdf PDF] |
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* 柴田克己 他「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H14Report.II-12.pdf 水溶性ビオチンの食事摂取基準の妥当性の検討-ビオチン]」厚生労働科学研究費(効果的医療技術の確立推進臨床研究事業)日本人の水溶性ビタミン必要量に関する基礎的研究 |
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**『日本人におけるビオチン摂取量の推定についての検討』 [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-III-12.pdf PDF] |
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* 柴田克己 他 |
* 柴田克己 他「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H18-III-04.pdf 健常成人女性におけるビオチンの吸収と排泄についての検討]」平成18 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究 |
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;講演会 |
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* 柴田克己 他『健常成人女性におけるビオチンの吸収と排泄についての検討』平成18 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究 [http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H18-III-04.pdf PDF] |
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*渡辺敏明「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-V-1a.pdf ビオチンの効能と期待]」「日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究-第1回講演会」 |
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* {{cite journal |和書| author = 永井良子、福井徹、榎原周平、渡邊敏明| title = ビオチンサプリメントの過剰摂取による胎児発育への影響| journal = Trace Nutrients Research| year = 2008| volume = 25| pages = 85-90}} [http://www.jtnrs.com/sym25/25_085.PDF PDF] |
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* 邊敏明「[http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H17-V-3b.pdf ビオチンは糖尿病の予防に有効か?]」-第3回講演会 |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2018年12月13日 (木) 08:32時点における版
ビオチン[1] | |
---|---|
5-[(3aS,4S,6aR)-2-oxohexahydro-1H-thieno[3,4-d]imidazol-4-yl]pentanoic acid | |
別称 ビタミンB7; ビタミンH; 補酵素R D-[(+)-cis-ヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ-(3,4)-イミダゾール-4-吉草酸 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 58-85-5 |
PubChem | 171548 |
ChemSpider | 149962 |
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| |
特性 | |
化学式 | C10H16N2O3S |
モル質量 | 244.31 g mol−1 |
外観 | 白色の針状結晶 |
融点 |
232-233 °C |
水への溶解度 | 22 mg/100 mL |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ビオチン(biotin)は、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB7(Vitamin B7)とも呼ばれるが、欠乏症を起こすことが稀なため、単にビオチンと呼ばれることも多い。栄養素のひとつ。古い呼称でビタミンH、補酵素R。
小史
1935年、オランダのケーグル(F. Kögl)により卵黄中から発見された。酵母の増殖に必要な因子ビオス(bios)の1成分として研究されたため、ビオチンの名がついた。
また、古くには、マウスを用いた動物実験において、生卵白の大量投与によって皮膚に生じる炎症を防止する因子として発見されたことから、ビタミンH(H は皮膚を表すドイツ語 Haut から)と呼ばれたこともある。また、生体内において果たす役割から補酵素Rと呼ばれることもある。
性質
性質は、光、酸、アルカリに対して安定、酸に不安定[2]。水溶性なので有機溶剤には溶けない[2]。食品加工によって一部損失する[2]。
生化学
カルボキシル基転移酵素(carboxylase)の補酵素として働く[2]。特にビオチンを補酵素として持つ酵素の一群をビオチン酵素(biotin enzyme)と呼ぶ。
この中には糖代謝に関与するピルビン酸カルボキシラーゼ、脂肪酸合成に関与するアセチルCoAカルボキシラーゼや、アミノ酸や脂肪酸代謝に関与するプロピオニルCoAカルボキシラーゼ、アミノ酸の一種ロイシンの代謝に関与する3-メチルクロトノイルCoAカルボキシラーゼなどが含まれる。[2][3]
すべての生物種に必須だが、生合成できるのは微生物やカビなど、また一部の植物となる[3]。
応用
生卵白中のアビジン(後述)は、ビオチンに非常に強く結合するため、標的分子にビオチンを結合して目印とし、これをアビジンで検出する方法が用いられている。血液検査で用いられる[4]。そのため大量摂取している場合、実際には以上がないのに誤診されることがある(後述)[4]。
摂取量
哺乳類には生合成できない必須ビタミン[2]。腸内細菌によるビオチンの合成だけでは必要量に満たないとされており食品からの接種が必要になるが、様々な食品に含まれるため通常の食生活では欠乏症は起こらない[2]。
- 日本の摂取基準(2015年)は、成人男女共に1日の50μg[2]。
多く含む食材には酵母[要出典]、レバー[2]、豆類[2]、卵黄[2]など。ビオチンの利用効率は食品によりかなり異なり、特に、小麦中のビオチンはほとんど利用されない。
日本では2014年以降、ビオチンを添加できる食品は、母乳代替食品や保健機能食品のみとなる[2]。栄養機能食品では、上限500ug、皮膚や粘膜の健康維持のための栄養素だと表示できる[2]。
欠乏症
生卵白の大量摂取によって欠乏症を生じることがある。ビオチンが生卵白中のアビジンと強く結合して吸収が阻害されるためである[2][3]。加熱した卵白は問題を起こさない[3]。これは特に卵白障害と呼ぶ。1日あたり10個以上の生卵を食用し続けると卵白障害に陥る可能性があるとされる。
長期の抗てんかん薬の使用や、血液透析も原因となる[2]。肝硬変のような重度の肝障害でも、ビオチニターゼの活性が低下し欠乏が起こることがある[3]。また長期の静脈栄養(点滴)や[3]、ビオチンの少ない乳児用の調整乳の使用も原因となる[5]。
ビオチン欠乏症の症状は以下。
- 乾燥鱗片様の皮膚炎、結膜炎、脱毛、舌炎、皮膚の感染症[2]。
- 眼、口、鼻、生殖器周辺での鱗屑性皮疹[3]。
- 筋肉痛、運動失調、知覚過敏、けいれん[2]。
- 食欲不振、うつ症状、吐き気、悪心[2]。
- アシドーシス、尿への有機酸排泄[2]。
過剰摂取による影響
過剰摂取しても尿中に排泄されるため、過敏症はないとされる[2]。日本人の食事摂取基準(2015)ではビオチンの上限量の設定はなく、十分なデータがなく200mgといった大量の投与でも健康を害した報告がないため[4]。
ビオチンの大量摂取によって、甲状腺ホルモンの検査方法に干渉し、実際には甲状腺機に異常がないのに甲状腺機能亢進症と判断される検査値がでる事がある[4]。服用をやめると、検査値は正常化する[4]。こうした検査には申告する必要がある[4]。検査キットには5mg(すなわち5000ug)では8時間経過してから検査を実施と書いてある製品もある[4]。
動物実験
ビオチン欠乏では、動物実験で、妊娠中の母体の胎児に、高い確率(-100%)で奇形が誘発されることが報告されている。主なものとしては、口蓋裂、小顎症、短肢症、内臓形成障害などがある。
大量投与では、哺乳動物での動物実験で、妊娠中では、胎児の吸収による妊娠初期の胚死亡や、卵巣の萎縮が報告されている[2]。
ビオチン代謝異常症
先天性と栄養性があり、ビオチン代謝異常症と総称され、日本では合計100人以下と考えられる[6]。脱毛、感染症が合併しやすい[6]。ビオチンを5mg (すなわち5000ug) から 20mg 、経口か静脈注射する
先天性ビオチン欠乏症
先天性の原因には、ビオチニダーゼ欠損症とホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症[2]、ビオチントランスポーター欠損症(ビオチン輸送担体欠損症[3])がある[6]。いずれも遺伝子疾患でビオチンの補給を継続すれば良好な経過をたどる[3]。
ビオチニダーゼ欠損症では、ビオチニターゼの作用が利用できず、による食品からのビオチンを遊離させ吸収できるようにしたり、タンパク質と結合したビオチンを遊離させて再利用できない[3]。ビオチニターゼ欠損症では、乳児期にけいれんや筋緊張の低下で気づかれる[6]。難聴が起こることがある[6]。日に5mg-10mgを補給するが、多くの症例ではより少なくて済む[3]。
ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では、ビオチンをアポカルボキシラーゼに結合して、ホロカルボキシラーゼとする酵素であり、生後に重篤なアシドーシスの症状を呈して明らかとなる[7]。重症となりやすく尿への有機酸の排泄が特徴的で、皮膚炎もある[6]。これまでの全症例でビオチン大量投与が有効で、研究からホロカルボキシラーゼ合成酵素の活性が約100分の1と推定され、大量投与することで活性上昇できると考えられている[7]。変異酵素の型によって、毎日10mg、あるいは40mg投与される[8]。多くて100mg[3]。
ビオチン輸送担体欠損症でも多量にビオチンを補給する[3]。
栄養性ビオチン欠乏症の原因
栄養性ビオチン欠乏症では、食物アレルギー治療用のペプチドミルク等の長期摂取が特に問題とされる原因となる[6]。栄養性ビオチン欠乏症は、皮膚炎、尿への有機酸排泄で気づかれる[6]。
特殊ミルクは、様々な疾患用に調整された調製粉乳(とりわけ牛乳アレルギー用)だが、日本では欧米と異なり大部分の調整乳が、国連と世界保健機関によるCODEXの推奨量を満たしていなかった[5]。皮膚症状は約9割に起こり、低体重や発達遅滞は2割未満にみられた[5]。
疾病とビオチン
ビオチン欠乏により発症する病
ビオチン欠乏による発症機序は、脾臓細胞の免疫システム活性(免疫グロブリンAやGなど)がそれぞれ異常値になり発症するもの[9]、免疫機能の低下により病気に対する抵抗が弱くなり、2次的に発症するもの(易感染性など)、グリセミックインデックス(GI値)の高い食品を食べ続けたことにより、インスリン抵抗性が増加し、グルコースを血管内から細胞内にとりこめなくなることで、発症するもの。そのほかにも、免疫グロブリンEが持っている特異なレアギン活性によるものが知られている。ビオチン欠乏症の患者は、健常者に比べインスリンの生合成も少ない[10]。ビオチンはピルビン酸カルボキシラーゼの補酵素であるため、欠乏すると乳酸アシドーシスなどの障害も起きる。
皮膚疾患とビオチン
ビオチンは、抗炎症物質を生成することをによってアレルギー症状を緩和する作用がある。また、ビオチンはタンパク質の生成にも関係し、皮膚を作る細胞を活性化させ、老廃物の排泄を促し、皮膚の機能を正常に保つ働きもある。皮膚疾患で代表的なアトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症の治療にもビオチンが使われることがある。ビオチンにはコラーゲンやセラミド(細胞間脂質)などの生合成を高める働きがあり、骨などに炎症や変形をともなう病気の治癒を促す。
糖尿病とビオチン
ビオチン欠乏症は、リュウマチ、シェーグレン症候群、クローン病など膠原病群の免疫不全症だけではなく、1型及び2型の糖尿病にも関与している。ビオチン欠乏が進むと、インスリン分泌能がきわめて低下する[10]。ビオチンの投与によりインスリン抵抗性が低下することや、粘膜部位の炎症、皮膚疾患、血糖値が改善することが知られている。
免疫不全症とビオチン
この節の内容の信頼性について検証が求められています。 |
日本国内でのビオチン治療法は、自己免疫疾患(易感染性、膠原病)や血糖値上昇(糖尿病)など、そのほか、ビオチン欠乏からくる多岐にわたる病状を、改善または治癒(緩解、寛解状態ではない)することを目的としたもので、プロスタグランジンやヒスタミンのような、オータコイド系の生理活性物質を過剰に作らせない(機能の正常化)という、いわば、4種のカルボキシラーゼの補酵素という考え方だけで治療を行っているアメリカよりも、日本の方がこの点では、一歩進んだ考え方となっている。しかし、今のところ、ビオチンによる免疫治療は、一部の病院でしか治療方法が確定しておらず、ほとんどの日本の病院では皮膚疾患の治療薬としか認識していない。
出典
- ^ Merck Index, 11th Edition, 1244.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v ビオチン解説 - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所) 2014年6月26日 閲覧2018年12月10日
- ^ a b c d e f g h i j k l m ビオチン - (オレゴン州大学・ライナス・ポーリング研究所)
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- ^ a b c 野崎章仁、湯浅正洋、沈婉、渡邊敏明「本邦における特殊ミルクによる二次性ビオチン欠乏症」『ビタミン』第89巻第3号、2015年、119-124頁、doi:10.20632/vso.89.3_119、NAID 110009930121。
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- ^ 鈴木洋一、坂本修、李雪 ほか「5. ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の臨床像と遺伝子型」『ビタミン』第73巻第5号、1999年、330-331頁、doi:10.20632/vso.73.5-6_330、NAID 110002843852。
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参考文献
- Atamna H, Newberry J, Erlitzki R, Schultz CS, Ames BN (2007). “Biotin deficiency inhibits heme synthesis and impairs mitochondria in human lung fibroblasts”. J Nutr. 137 (1): 25-10. doi:10.1093/jn/137.1.25. PMID 17182796 .
- 田上泰子、花井潤師、野町祥介ほか「札幌市における先天性代謝異常症 ハイリスク・スクーリング結果(1996~1999年度)」『札幌市衛生年報』第27号、2000年、32-37頁、NAID 120001795688。 pdf
- 永井良子、榎原周平、福井徹「ビオチンサプリメントの過剰摂取による胎児発育への影響」『微量栄養素研究』第25巻、2008年、85-90頁、NAID 40016413903。
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- 渡邊敏明「ビオチンの生理機能と健康影響」(pdf)『ビタミン広報センター』第106号、2003年1月。
- 渡邊敏明「ビオチンの役割と健康への影響」(pdf)『ビタミン広報センター』第109号、2004年10月。
- 渡辺敏明「In vitro におけるビオチンのマウス胎児の口蓋突起発育に及ぼす影響」1993年 微量栄養素研究会 第11回微量栄養素研究会シンポジウム 元URL
- 渡辺敏明・福井徹「糖尿病精密検査該当者における血清ビオチンと血糖との関連についての検討」1995年 第12回 微量栄養素研究会シンポジウム 元URL
- 厚生労働科学研究
- 柴田克己 他「成人におけるビオチンの目安量についての検討」「日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する基礎的研究」平成16-18年度 厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)
- 柴田克己 他 平成17年度厚生労働科学研究費(循環器疾患等総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究
- 柴田克己 他「水溶性ビオチンの食事摂取基準の妥当性の検討-ビオチン」厚生労働科学研究費(効果的医療技術の確立推進臨床研究事業)日本人の水溶性ビタミン必要量に関する基礎的研究
- 柴田克己 他「健常成人女性におけるビオチンの吸収と排泄についての検討」平成18 年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究
- 講演会
- 渡辺敏明「ビオチンの効能と期待」「日本人の食事摂取基準(栄養所要量)の策定に関する研究-第1回講演会」
- 邊敏明「ビオチンは糖尿病の予防に有効か?」-第3回講演会
関連項目
外部リンク
- ビオチン - (オレゴン州大学・ライナス・ポーリング研究所)
- ビオチン解説 - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所)
- ビオチン - 同
- 先天性ビオチン代謝異常症 - 難病情報センター