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ネズミ目(齧歯目)
Rodentia
生息年代: 暁新世現世, 56–0 Ma
現生種最大のネズミ カピバラ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
上目 : 真主齧上目 Euarchontoglires
大目 : グリレス大目 Glires
: ネズミ目(齧歯目) Rodentia
学名
Rodentia Bowdich1821
亜目

ネズミ目 (ネズミもく、Rodentia) は脊椎動物亜門 哺乳綱の目の1つ。齧歯目(げっしもく)、齧歯類(げっしるい)ともいう。リスネズミヤマアラシなどが含まれる。現在の哺乳類で最も繁栄しているグループであり、現生哺乳類全種(4300-4600種)の約半数に当たる2000-3000種を占める。生息域は、南極大陸を除く全大陸、およびほとんどすべての島。さまざまな環境に適応した多様な種が存在する。

特徴

ネズミ目の動物は、物をかじるのに適した歯と顎を持ち、上顎・下顎の両方に伸び続ける2つの門歯と、犬歯を持たないことが特徴である[1][2]。この門歯は物をかじることで次第に削れてゆき、長さを保っている。漢語名齧歯目、および学名「Rodentia」はラテン語で「かじる(齧る)」という意味のrodereから来ている。歯は木を削ったり堅果類の皮をかじったり身を守ったりするために使われる。ネズミ目の動物の多くは、種子などの植物質を食料とするが、魚や昆虫を主食とする種もわずかに存在している。なお他の哺乳類とは異なり、ネズミ目では嘔吐反射が見られない[3]

南極大陸ニュージーランドを除く世界各地に分布している。オーストラリアを除く各地域では、種類数・個体数ともに多く、外形・習性変化も富んでおり、約2400種が知られている。「ねずみ算」という言葉があるほど、非常に繁殖力が強い[1]

概して小さいものが多く、なかでもアフリカンドワーフマウスは体長6cm、体重7g程度しかない。一方、大きいものでは、現生種最大のカピバラ Hydrochoeris hydrochaeris が 45kg 程度である。

化石種としては、1999年南米ベネズエラで全身化石が発見された第三紀後期のフォベロミス・パッテルソニ Phoberomys pattersoni が最大で、体高 1.3 m(尾まで含めた体長は3 m)、体重 700 kg程度あったと考えられている[4]

ネズミ目と伝染病

ネズミ目は、伝染病の生物学的な媒介者となることがある。ペストの例は、公衆衛生が発達した2000年代においても世界的に年間数千人規模の患者が発生し、時にはアウトブレイクも発生するなど病気の撲滅が達成されていないが、これは野生のネズミ目が感染している広大な地域では対策が難しいためである[5]

系統

真主齧上目
Euarchontoglires
グリレス大目
Glires

アナガレ目 Anagalida

単歯類
Simplicidentata

混歯目 Mixodontia †(側系統?)

ネズミ目 Rodentia

重歯類
Duplicidentata

ミモトナ目 Mimotonida

ウサギ目 Lagomorpha

真主獣大目
Euarchonta

ツパイ目 Scandentia

ヒヨケザル目 Dermoptera

プレシアダピス目 Plesiadapiformes

サル目 Primates

分類

ネズミ目は系統的にはヤマアラシ亜目 Hystricomorpha (Ctenohystrica)、ネズミ亜目 Myomorphaリス亜目 Sciuromorpha (Sciurognathi) の3亜目に分かれる[6]。ただし、古い分類では、同じ3目に分けていても内容が微妙に異なることがある。

ネズミ亜目の3下目をそれぞれ亜目に引き上げ5亜目とする分類もある[7]が、本質的には同じである。

顎骨の形態からリス顎亜目(リス亜目) Sciurognathiヤマアラシ顎亜目(ヤマアラシ亜目) Hystricognathi に分ける分類もあるが、リス顎亜目はネズミ亜目・リス亜目・ヤマアラシ亜目の一部(グンディ科)にわたって分布する側系統と思われる。

ヤマアラシ亜目

ヤマアラシ下目の2つの小目をそれぞれ下目とすることもある。

ネズミ亜目

3つの下目をそれぞれ亜目とすることもある。

リス亜目

ニホンリス

ネズミ目でないもの

形態などから、ネズミの名を持たされた別目の種がいくつかある。

脚注

  1. ^ a b 齧歯類とは”. コトバンク. 2020年12月27日閲覧。
  2. ^ 齧歯目とは”. コトバンク. 2020年12月27日閲覧。
  3. ^ Bininda-Emonds OR, Cardillo M, Jones KE, MacPhee RD, Beck RM, et al. (2007) The delayed rise of present-day mammals. Nature 446: 507–512. doi: 10.1038/nature05634
  4. ^ Sanchez-Villagra et al. (2003)
  5. ^ ペスト:地域別罹患率・死亡率の検討-2004年~2009年 CDC Travelers' Health, Outbreak Notice(2010年2月18日)2017年3月4日
  6. ^ Blanga-Kanfi et al. (2009)
  7. ^ ITISWikispeciesなど

参考文献

  • Marcelo R. Sánchez-Villagra, Orangel Aguilera, Inés Horovitz (9 2003). “The Anatomy of the World's Largest Extinct Rodent”. Science 301 (5640): 1708-1710. doi:10.1126/science.1089332. 

関連項目

外部リンク